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[[1996年]]8月に名称の公募を行い、27850点の応募の中から1997年1月に、[[房総半島]]の『ふさ』に乙女を組み合わせて「ふさおとめ」と命名された{{Sfn|渡部富男|1999}}</ref>。[[1998年]]に初出荷<ref>「[http://www.cb.zennoh.or.jp/pdf/inasaku200911.pdf 稲作だより 2009 11月号] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20110615141732/http://www.cb.zennoh.or.jp/pdf/inasaku200911.pdf |date=2011年6月15日 }}」 JA全農ちば 米穀部。</ref>。


冷害に強く、いわゆる[[早場米]]であるとともに、食味評価Aを得るなど、隠れた名産米である。2016年現在、外食・中食向けの業務用米として多用されている<ref>{{Cite news |title=業務用コメ、16年産も高く、家庭用より需要、品薄観測 |newspaper=[[日経MJ]] |date=2016-08-29}}</ref>。[[大阪堂島商品取引所]]のうち、業務用米が取引される「東京コメ」市場にて2015年から指標銘柄のひとつとなっている<ref>{{Cite news |title=16年産業務用米4割高、コメ先物、品薄観測強く |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2016-04-21 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99942330R20C16A4QM8000/ |accessdate=2016-09-15}}</ref><ref>{{Cite news |title=コメ先物、指標銘柄を変更 大阪堂島15年産から |newspaper=日本経済新聞 |date=2015-03-27 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ27H3C_X20C15A3QM8000/ |accessdate=2016-09-15}}</ref>。
冷害に強く、いわゆる[[早場米]]であるとともに、食味評価Aを得るなど、隠れた名産米である。2016年現在、外食・中食向けの業務用米として多用されている<ref>{{Cite news |title=業務用コメ、16年産も高く、家庭用より需要、品薄観測 |newspaper=[[日経MJ]] |date=2016-08-29}}</ref>。[[大阪堂島商品取引所]]のうち、業務用米が取引される「東京コメ」市場にて2015年から指標銘柄のひとつとなっている<ref>{{Cite news |title=16年産業務用米4割高、コメ先物、品薄観測強く |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2016-04-21 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99942330R20C16A4QM8000/ |accessdate=2016-09-15}}</ref><ref>{{Cite news |title=コメ先物、指標銘柄を変更 大阪堂島15年産から |newspaper=日本経済新聞 |date=2015-03-27 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ27H3C_X20C15A3QM8000/ |accessdate=2016-09-15}}</ref>。


2013年に誕生した茨城県産の「一番星」は、ふさおとめを母に愛知101号を交配した品種である<ref>{{Cite web |title = 水稲新品種「一番星」の育成 |publisher = 茨城県農業総合センター生物工学研究所 |date = 2015 |url = https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/seikoken/kenkyuuhokoku/documents/ichibanboshi.pdf |accessdate = 2016-08-07}}</ref>。
2013年に誕生した茨城県産の「一番星」は、ふさおとめを母に愛知101号を交配した品種である<ref>{{Cite web |title = 水稲新品種「一番星」の育成 |publisher = 茨城県農業総合センター生物工学研究所 |date = 2015 |url = https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/seikoken/kenkyuuhokoku/documents/ichibanboshi.pdf |accessdate= 2016-08-07}}</ref>。


==ふさおとめちゃん==
==ふさおとめちゃん==
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ふさおとめのキャラクター「ふさおとめちゃん」は、赤い[[リボン]]をつけ、[[菜の花]](千葉県の県花)の帯、赤い[[和服]]を着たおとめの姿をしている<ref>「[http://www.pref.chiba.lg.jp/seisan/bei2.html ちばのお米]」 [[千葉県庁]]、2010年9月13日。</ref>。その[[萌え]]要素を含んだ姿や{{要出典範囲|「初交配」という言葉から|date=2022年1月}}、一部にファンがおり、関連するウェブサイトや、[[フィギュア]]を作る者も現れた。


ただ、'''ふさおとめ'''の出荷範囲の関係から千葉県のローカルキャラクターに近い扱いを受けている。
ただ、'''ふさおとめ'''の出荷範囲の関係から千葉県のローカルキャラクターに近い扱いを受けている。
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==参考文献==
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==外部リンク==
==外部リンク==
*[http://www.pref.chiba.lg.jp/seisan/bei2.html 千葉県庁の千葉の農産物より千葉の米公式サイト]
* [http://www.pref.chiba.lg.jp/seisan/bei2.html 千葉県庁の千葉の農産物より千葉の米公式サイト]
*[https://web.archive.org/web/20051210214757/http://www.lares.dti.ne.jp/%7Edenki-k/coneta/fusaotome/ Fusaotome Fun Club]
* [https://web.archive.org/web/20051210214757/http://www.lares.dti.ne.jp/%7Edenki-k/coneta/fusaotome/ Fusaotome Fun Club]
*[https://web.archive.org/web/20050315052349/http://www.ne.jp/asahi/nukunuku-daisuki/bannou-bunka-neko-musume/fusa.htm 愛情一番ふさおとめ]
* [https://web.archive.org/web/20050315052349/http://www.ne.jp/asahi/nukunuku-daisuki/bannou-bunka-neko-musume/fusa.htm 愛情一番ふさおとめ]
*[http://www7.big.or.jp/~katsurao/mascot/fusaotome/fusaotome.htm げんれい工房・片隅のマスコット工学内の解説]
* [http://www7.big.or.jp/~katsurao/mascot/fusaotome/fusaotome.htm げんれい工房・片隅のマスコット工学内の解説]


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[[Category:千葉県の食文化]]
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2022年2月20日 (日) 01:27時点における版

ふさおとめ
イネ属 Oryza
イネ O. sativa
交配 ハナエチゼン×ひとめぼれ
亜種 ジャポニカ O. s. subsp. japonica
品種 ふさおとめ
開発 千葉県農林総合研究センター
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ふさおとめは、イネの品種の一つ。

概要

千葉県農業試験場で1990年に父:越南146号(後のハナエチゼン)、母:東北143号(後のひとめぼれ)の組合せで交配した[1][2]。育種年限を短縮するため、交配の翌年にバイオテクノロジー葯培養法を行う[1]</ref>[2]。その結果得られた倍加個体[3]から得た穂を穂別系統選抜[4]し、1992年に有望な1系統に「佐系葯97号」の系統名が付与された[1]。1993年に生産力検定及び各種特性検定の結果を総合し地方系統名「千葉6号」が付与された[1][2]1995年には水稲奨励品種決定基本調査、及び現地調査を行った結果、品種として有望と認められたため、同年12月に種苗法に基づく品種登録申請を行い、1997年3月に奨励品種に採用された[1][2]

1996年8月に名称の公募を行い、27850点の応募の中から1997年1月に、房総半島の『ふさ』に乙女を組み合わせて「ふさおとめ」と命名された[1]</ref>。1998年に初出荷[5]

冷害に強く、いわゆる早場米であるとともに、食味評価Aを得るなど、隠れた名産米である。2016年現在、外食・中食向けの業務用米として多用されている[6]大阪堂島商品取引所のうち、業務用米が取引される「東京コメ」市場にて2015年から指標銘柄のひとつとなっている[7][8]

2013年に誕生した茨城県産の「一番星」は、ふさおとめを母に愛知101号を交配した品種である[9]

ふさおとめちゃん

ふさおとめのキャラクター「ふさおとめちゃん」は、赤いリボンをつけ、菜の花(千葉県の県花)の帯、赤い和服を着たおとめの姿をしている[10]。その萌え要素を含んだ姿や「初交配」という言葉から[要出典]、一部にファンがおり、関連するウェブサイトや、フィギュアを作る者も現れた。

ただ、ふさおとめの出荷範囲の関係から千葉県のローカルキャラクターに近い扱いを受けている。

原作者はイラストレーターのkeina。

脚注

  1. ^ a b c d e f 渡部富男 1999.
  2. ^ a b c d 8.水稲新品種「ふさおとめ」の育成 Archived 2010年10月25日, at the Wayback Machine.」 農林水産技術情報協会、2010年10月8日閲覧。
  3. ^ 葯培養によって、通常は数世代にわたる自家受粉が必要である、遺伝子型の固定を1世代で完了させる。
  4. ^ 葯培養を行う事で、遺伝子型が固定した個体から得られた穂1本分の種子をそれぞれ系統として扱い、比較する。
  5. ^ 稲作だより 2009 11月号 Archived 2011年6月15日, at the Wayback Machine.」 JA全農ちば 米穀部。
  6. ^ “業務用コメ、16年産も高く、家庭用より需要、品薄観測”. 日経MJ. (2016年8月29日) 
  7. ^ “16年産業務用米4割高、コメ先物、品薄観測強く”. 日本経済新聞. (2016年4月21日). http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99942330R20C16A4QM8000/ 2016年9月15日閲覧。 
  8. ^ “コメ先物、指標銘柄を変更 大阪堂島15年産から”. 日本経済新聞. (2015年3月27日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ27H3C_X20C15A3QM8000/ 2016年9月15日閲覧。 
  9. ^ 水稲新品種「一番星」の育成”. 茨城県農業総合センター生物工学研究所 (2015年). 2016年8月7日閲覧。
  10. ^ ちばのお米千葉県庁、2010年9月13日。

参考文献

  • 渡部富男「水稲品種「ふさおとめ」の育成と栽培・普及について」『日本作物学会関東支部会報』第14巻、日本作物学会関東支部、1999年、7-10頁、doi:10.20768/jcskanto.14.0_7ISSN 1341-6359NAID 110001787195 

外部リンク