「触手責め」の版間の差分
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触手責めは[[日本]]においてとくに好まれ、発展した[[ポルノグラフィ]]の一様式である。古くは[[葛飾北斎]]の『[[蛸と海女]]』で描かれており、日本文化研究者の[[スーザン・J・ネイピア]]は、これが触手ものの起源であるとみている<ref>[[ヨコタ村上孝之]] 『マンガは欲望する』 [[筑摩書房]]、2006年、132-133頁。ISBN 978-4480873514。</ref>。 |
触手責めは[[日本]]においてとくに好まれ、発展した[[ポルノグラフィ]]の一様式である。古くは[[葛飾北斎]]の『[[蛸と海女]]』で描かれており、日本文化研究者の[[スーザン・J・ネイピア]]は、これが触手ものの起源であるとみている<ref>[[ヨコタ村上孝之]] 『マンガは欲望する』 [[筑摩書房]]、2006年、132-133頁。ISBN 978-4480873514。</ref>。 |
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日本国内では[[成人向け漫画]]・[[アダルトアニメ]]・[[アダルトゲーム]]において定番の描写のひとつであったこのジャンルは、[[パロディ]]の対象にもなっています。 21世紀には、このジャンルの日本映画はアメリカとヨーロッパでより一般的になり、海外にも輸出された[[前田俊夫]]の[[漫画]]を原作としたアダルトアニメ『[[超神伝説うろつき童子]]』や『[[La☆BlueGirl|淫獣学園]]』、[[菊地秀行]]の[[小説]]を原作としたアニメ『[[妖獣都市]]』における触手責めは日本国外のポルノ愛好者にもこのシチュエーションが広く知られる契機となったが、アダルト映画業界ではまだフェティッシュ志向の小さな部分である。ほとんどの触手ものはアニメーション化であるが、実写映画もいくつかあり、このジャンルは[[ファーリー・ファンダム]]へのマイナーなクロスオーバーもみられる<ref>{{Cite journal|last=Ortega-Brena|first=Mariana|year=2009|title=Peek-a-boo, I See You: Watching Japanese Hard-core Animation|url=http://www.springerlink.com/content/r1267467784j8710/fulltext.html|journal=Sexuality & Culture|volume=13|issue=1|pages=17–31|publisher=[[Springer New York]]|location=New York|DOI=10.1007/s12119-008-9039-5|ISSN=1095-5143}}</ref>。 |
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触手責めの描写をエスカレートさせた場合、肛門に挿入された触手がそのまま腸、胃、食道を経由して口にまで到達するという「貫通」、行為の対象となる人間に卵を産み付ける、または惨殺する描写も存在する。 |
触手責めの描写をエスカレートさせた場合、肛門に挿入された触手がそのまま腸、胃、食道を経由して口にまで到達するという「貫通」、行為の対象となる人間に卵を産み付ける、または惨殺する描写も存在する。 |
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触手を持つ生き物は、アニメポルノのずっと前に日本のエロティカものに登場。初期の例の中で最も有名なものの中には''[[蛸と海女]]''として一般に知られている1814年の葛飾北斎のイラストがあるがこれは[[春画]]の例であり、多くの芸術家によって手直しされている<ref>{{Cite book|title=Octopus!: The Most Mysterious Creature in the Sea|last=Courage|first=Katherine Harmon|publisher=[[Penguin Books]]|year=2013|isbn=9780698137677|page=<!-- none given -->|chapter=Tentacle Erotica|url=https://books.google.com/books?id=eSMRlaceRIEC&pg=PT115}}</ref>。[[寺岡政美|寺岡正美]]は彼の2001年の作品「Sarah and Octopus / Seventh Heaven」で彼の''Waves and Plagues''コレクションの一部としてイメージを最新のもので表現。ダニエル・タレリコ<ref>Talerico, Danielle. “Interpreting Sexual Imagery in Japanese Prints: A Fresh Approach to Hokusai’s Diver and Two Octopi”, in ''Impressions, The Journal of the Ukiyo-e Society of America'', Vol. 23 (2001).</ref>の学術論文では、西洋の観客はしばしば北斎の有名なデザインをレイプと解釈するが、江戸時代の日本人の観客はそれを合意と見なすであろうことを示した。彼らはこのプリントが女性の[[アワビ#%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%96%A2%E3%82%8F%E3%82%8A|アワビ]]ダイバーのタマトリの伝説を描いていると認めていたとしている。物語では、タマトリはドラゴンキングから宝石を盗み、彼女の脱出の間、ドラゴンキングと彼の海の生き物(タコを含む)は彼女を追いかける。図の対話は、ダイバーと2つのタコが相互の楽しみを表現していることを示しているという。 |
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比較文学者の[[ヨコタ村上孝之]]は、触手ものにおいて、通常の(男性向け)ポルノグラフィと違って同一すべき主体(通常のポルノグラフィでいう男性)が存在しない、あるいは存在したとしても事実上同一化することが不可能であることを指摘し、男性オタクが性の主体性を放棄していることと結び付けて論じている<ref>『マンガは欲望する』133-134頁。</ref>。これに対してライターの[[堀あきこ]]は、触手は[[少年漫画]]・[[少女漫画]]を含め様々な分野で描かれているモチーフであることから単純にオタクのイメージを結び付けて論じるのは短絡的であると批判し、むしろ男性向けの[[アダルトゲーム]]などにみられる「男性キャラクターを後景化・透明化する手法」の派生系と考えることもできるとしている<ref>[[堀あきこ]] 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 [[臨川書店]]、2009年、168-170頁。ISBN 978-4653040187。</ref>。 |
比較文学者の[[ヨコタ村上孝之]]は、触手ものにおいて、通常の(男性向け)ポルノグラフィと違って同一すべき主体(通常のポルノグラフィでいう男性)が存在しない、あるいは存在したとしても事実上同一化することが不可能であることを指摘し、男性オタクが性の主体性を放棄していることと結び付けて論じている<ref>『マンガは欲望する』133-134頁。</ref>。これに対してライターの[[堀あきこ]]は、触手は[[少年漫画]]・[[少女漫画]]を含め様々な分野で描かれているモチーフであることから単純にオタクのイメージを結び付けて論じるのは短絡的であると批判し、むしろ男性向けの[[アダルトゲーム]]などにみられる「男性キャラクターを後景化・透明化する手法」の派生系と考えることもできるとしている<ref>[[堀あきこ]] 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 [[臨川書店]]、2009年、168-170頁。ISBN 978-4653040187。</ref>。 |
2019年9月11日 (水) 03:48時点における版
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触手責め(しょくしゅぜめ)とは、フィクションにおいてイカやタコのような軟体動物、あるいはファンタジー作品やSF作品に登場する架空の怪物が触手を用いて人間と性行為を行うシチュエーションである。
概要
触手責めは日本においてとくに好まれ、発展したポルノグラフィの一様式である。古くは葛飾北斎の『蛸と海女』で描かれており、日本文化研究者のスーザン・J・ネイピアは、これが触手ものの起源であるとみている[1]。
日本国内では成人向け漫画・アダルトアニメ・アダルトゲームにおいて定番の描写のひとつであったこのジャンルは、パロディの対象にもなっています。 21世紀には、このジャンルの日本映画はアメリカとヨーロッパでより一般的になり、海外にも輸出された前田俊夫の漫画を原作としたアダルトアニメ『超神伝説うろつき童子』や『淫獣学園』、菊地秀行の小説を原作としたアニメ『妖獣都市』における触手責めは日本国外のポルノ愛好者にもこのシチュエーションが広く知られる契機となったが、アダルト映画業界ではまだフェティッシュ志向の小さな部分である。ほとんどの触手ものはアニメーション化であるが、実写映画もいくつかあり、このジャンルはファーリー・ファンダムへのマイナーなクロスオーバーもみられる[2]。
触手責めの描写をエスカレートさせた場合、肛門に挿入された触手がそのまま腸、胃、食道を経由して口にまで到達するという「貫通」、行為の対象となる人間に卵を産み付ける、または惨殺する描写も存在する。
触手を持つ生き物は、アニメポルノのずっと前に日本のエロティカものに登場。初期の例の中で最も有名なものの中には蛸と海女として一般に知られている1814年の葛飾北斎のイラストがあるがこれは春画の例であり、多くの芸術家によって手直しされている[3]。寺岡正美は彼の2001年の作品「Sarah and Octopus / Seventh Heaven」で彼のWaves and Plaguesコレクションの一部としてイメージを最新のもので表現。ダニエル・タレリコ[4]の学術論文では、西洋の観客はしばしば北斎の有名なデザインをレイプと解釈するが、江戸時代の日本人の観客はそれを合意と見なすであろうことを示した。彼らはこのプリントが女性のアワビダイバーのタマトリの伝説を描いていると認めていたとしている。物語では、タマトリはドラゴンキングから宝石を盗み、彼女の脱出の間、ドラゴンキングと彼の海の生き物(タコを含む)は彼女を追いかける。図の対話は、ダイバーと2つのタコが相互の楽しみを表現していることを示しているという。
比較文学者のヨコタ村上孝之は、触手ものにおいて、通常の(男性向け)ポルノグラフィと違って同一すべき主体(通常のポルノグラフィでいう男性)が存在しない、あるいは存在したとしても事実上同一化することが不可能であることを指摘し、男性オタクが性の主体性を放棄していることと結び付けて論じている[5]。これに対してライターの堀あきこは、触手は少年漫画・少女漫画を含め様々な分野で描かれているモチーフであることから単純にオタクのイメージを結び付けて論じるのは短絡的であると批判し、むしろ男性向けのアダルトゲームなどにみられる「男性キャラクターを後景化・透明化する手法」の派生系と考えることもできるとしている[6]。
触手責めが登場する作品
脚注
- ^ ヨコタ村上孝之 『マンガは欲望する』 筑摩書房、2006年、132-133頁。ISBN 978-4480873514。
- ^ Ortega-Brena, Mariana (2009). “Peek-a-boo, I See You: Watching Japanese Hard-core Animation”. Sexuality & Culture (New York: Springer New York) 13 (1): 17–31. doi:10.1007/s12119-008-9039-5. ISSN 1095-5143 .
- ^ Courage, Katherine Harmon (2013). “Tentacle Erotica”. Octopus!: The Most Mysterious Creature in the Sea. Penguin Books. ISBN 9780698137677
- ^ Talerico, Danielle. “Interpreting Sexual Imagery in Japanese Prints: A Fresh Approach to Hokusai’s Diver and Two Octopi”, in Impressions, The Journal of the Ukiyo-e Society of America, Vol. 23 (2001).
- ^ 『マンガは欲望する』133-134頁。
- ^ 堀あきこ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 臨川書店、2009年、168-170頁。ISBN 978-4653040187。
関連項目
外部リンク
- Manga Artist Interview Series Part I, Sake-Drenched Postcards - 前田俊夫インタビュー (英語)