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* ''T. utahensis'' {{AUY|Lawson|1976}}
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'''トロサウルス'''(学名 : ''Torosaurus'')は[[中生代]][[白亜紀]]後期[[マストリヒシアン|マーストリヒト階]]の現在の[[北アメリカ大陸]]に生息した四足歩行の[[植物食]][[恐竜]]の一属。意味は“突き通す爬虫類”。
'''トロサウルス'''(学名 : ''Torosaurus'')は[[中生代]][[白亜紀]]後期[[マストリヒシアン|マーストリヒト階]]の現在の[[北アメリカ大陸]]に生息した四足歩行の[[植物食]][[恐竜]]の一属。意味は“突き通す爬虫類”。==説明==
トロサウルスは全ての陸棲動物中最大の頭の持ち主である。 フリルは2.77mの長さがある。全長は7.6~9m<ref name="Holtz2008">Holtz, Thomas R. Jr. (2008) ''Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages'' [http://www.geol.umd.edu/~tholtz/dinoappendix/DinoappendixSummer2008.pdf Supplementary Information]</ref><ref name="holtz2008">Holtz, Thomas R. Jr. (2011) ''Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages,'' [http://www.geol.umd.edu/~tholtz/dinoappendix/HoltzappendixWinter2010.pdf Winter 2010 Appendix.]</ref> で体重は4~6tと推定される。トロサウルスは大きなフリルの開口部、フリル表面上方に伸びる長い鱗状骨、そしてフリルの縁に5対以上の[[ホーンレット]]が見られる点で、同時期に生息した[[ケラトプス類]][[トリケラトプス]]と通常区別される<ref name="richyrich">{{cite journal|author1=Longrich, N. R |author2=Field, D. J. |lastauthoramp=yes |year=2012|title=''Torosaurus'' is not ''Triceratops'': Ontogeny in chasmosaurine ceratopsids as a case study in dinosaur taxonomy|journal=[[PLoS ONE]]|volume=7|issue=2|page=e32623|doi=10.1371/journal.pone.0032623|bibcode = 2012PLoSO...7E2623L|pmid=22393425|pmc=3290593}}</ref> 。トロサウルスはまたトリケラトプス・プロルスス ''Triceratops prorsus''に見られるような長い鼻角をもたず、より原始的なトリケラトプス・ホリドゥスがもつような短い鼻角を備える<ref name="richyrich"/>。4種がこれまでに命名されてきたが(''Torosaurus latus''、 ''T. gladius'' 、''T. utahensis''、''T. gladius'')それほど種が多様だったとは今では考えられておらず、有効なのは[[模式種]]T. latus の1種か、T.utahensis を加えた2種がせいぜいだと思われる。



最近、トロサウルス属自体の有効性が議論されている.<ref name=newsci>{{cite web|url=http://www.newscientist.com/article/mg20727713.500-morphosaurs-how-shapeshifting-dinosaurs-deceived-us.html?full=true |title=Morph-osaurs: How shape-shifting dinosaurs deceived us - life - 28 July 2010 |doi=10.1080/02724634.2010.483632 |publisher=New Scientist |date= |accessdate=2010-08-03}}</ref> 。2010年にホーナー、スキャネラらによって行われた解剖学的な分析では、フリルの形状の研究と結びついて、トロサウルスはおそらくトリケラトプスをの成体であると結論づけられた。いわゆる典型的なトリケラトプスとして知られる標本は未成熟であり、トロサウルスに見られるフリル開口部の発達初期の兆候を示しているとされた。成長の間、フリルは大きく伸長し、途中でそこに穴が空くのだと説明された<ref name=scannella&horner2010/><ref>{{cite web|last=Switek|first=Brian|title=New Study Says Torosaurus=Triceratops|url=http://blogs.smithsonianmag.com/dinosaur/2010/07/new-study-says-torosaurustriceratops/|work=Dinosaur Tracking|publisher=Smithsonian.com|accessdate=2 March 2011}}</ref><ref>Horner, Jack. TEDX Talks: "[http://www.ted.com/talks/jack_horner_shape_shifting_dinosaurs.html Shape-shifting Dinosaurs]". Nov 2011. Accessed 20 Nov 2012.</ref>。しかし、2011年、2012年および2013年には、既知の標本の外部特徴の研究により、2つの属間の形態学的相違がシノニム説は否定されると指摘された。主な問題は、確実な移行期を示す標本の欠如、本物のトロサウルス亜成体の明らかな存在、独立した異なる頭骨のプロポーション、フリルの厚みが薄いのはむしろ若い個体で逆に老成個体と思われるものほど厚みを増す(2010年のシノニム説では成長段階の順番を誤っている)、そしてフリルの開口はむしろ原始的なケラトプス類の特徴であり、進化の過程でそれを失ったトリケラトプスが再度それを獲得するのは不自然であるという主張がなされた。<ref name="richyrich"/><ref name="fark"/><ref name="Maiorino2013"/>


== 特徴 ==
== 特徴 ==

2017年6月19日 (月) 03:33時点における版

トロサウルス
トロサウルス
Torosaurus latusの、実物化石を組み合わされて作られた、頭骨の復元。
地質時代
白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae
: トロサウルス属 Torosaurus
学名
Torosaurus
Marsh1891

トロサウルス(学名 : Torosaurus)は中生代白亜紀後期マーストリヒト階の現在の北アメリカ大陸に生息した四足歩行の植物食恐竜の一属。意味は“突き通す爬虫類”。==説明== トロサウルスは全ての陸棲動物中最大の頭の持ち主である。 フリルは2.77mの長さがある。全長は7.6~9m[1][2] で体重は4~6tと推定される。トロサウルスは大きなフリルの開口部、フリル表面上方に伸びる長い鱗状骨、そしてフリルの縁に5対以上のホーンレットが見られる点で、同時期に生息したケラトプス類トリケラトプスと通常区別される[3] 。トロサウルスはまたトリケラトプス・プロルスス Triceratops prorsusに見られるような長い鼻角をもたず、より原始的なトリケラトプス・ホリドゥスがもつような短い鼻角を備える[3]。4種がこれまでに命名されてきたが(Torosaurus latusT. gladiusT. utahensisT. gladius)それほど種が多様だったとは今では考えられておらず、有効なのは模式種T. latus の1種か、T.utahensis を加えた2種がせいぜいだと思われる。


最近、トロサウルス属自体の有効性が議論されている.[4] 。2010年にホーナー、スキャネラらによって行われた解剖学的な分析では、フリルの形状の研究と結びついて、トロサウルスはおそらくトリケラトプスをの成体であると結論づけられた。いわゆる典型的なトリケラトプスとして知られる標本は未成熟であり、トロサウルスに見られるフリル開口部の発達初期の兆候を示しているとされた。成長の間、フリルは大きく伸長し、途中でそこに穴が空くのだと説明された[5][6][7]。しかし、2011年、2012年および2013年には、既知の標本の外部特徴の研究により、2つの属間の形態学的相違がシノニム説は否定されると指摘された。主な問題は、確実な移行期を示す標本の欠如、本物のトロサウルス亜成体の明らかな存在、独立した異なる頭骨のプロポーション、フリルの厚みが薄いのはむしろ若い個体で逆に老成個体と思われるものほど厚みを増す(2010年のシノニム説では成長段階の順番を誤っている)、そしてフリルの開口はむしろ原始的なケラトプス類の特徴であり、進化の過程でそれを失ったトリケラトプスが再度それを獲得するのは不自然であるという主張がなされた。[3][8][9]

特徴

体長7 - 9メートル、体重約5 - 8.5トン。頭骨は2.6メートルに達し、陸生動物では最大と目される(ペンタケラトプスの物を上回る可能性のある化石が見つかっている)。[要出典]鼻上に太くて短い角を1本、左右の眉上に長大な角を一本ずつ、合計3本の角が生えている。また、ホーンレットのないフリルは長大で、腰の辺りにまで達する。

3本の角は、この仲間の看板ともいえるトリケラトプスのそれよりも短く屈曲も少なめである。[要出典]復元図では、カスモサウルス共々襟飾りに威嚇用の目玉状の模様を描かれることが多いが、そのような模様があったという科学的証拠はない(目玉模様は、肉食性の生物には効果が無いとの説も有る[要出典])。

学名について

日本の恐竜関連の書籍ではしばしば、トロサウルスを「雄牛の爬虫類(雄牛トカゲ)」と邦訳する文献があるが、これは誤りである。一説にこれはTorosaurusのToroを“雄牛”を意味するスペイン語と混同しての事だと言われている。[要出典]

トリケラトプス同属説

A:標本番号YPM 1831の頭骨(亜成体)、B:ANSP 15192の頭骨(若齢成体)。これらは実物化石を用いているが多くの部位は復元である。

トロサウルス属(Torosauru)がトリケラトプス属(Triceratops)のシノニムである可能性は、両者の発見当初から長年議論されてきた。両者とも同じ地層から発掘される上、フリルなどを除いて形態的な差異がほとんど見られないためである。[10] またトロサウルスは完全に成長しきったと見られる不完全な標本が数個体分しか発掘されないにも係わらず、トリケラトプスは成長段階などをも含んだ50以上もの化石が次々と発掘されてきた。

こうした中、2010年モンタナ州立大の研究グループは、モンタナ州東部での発掘調査などにより、上述の通りトロサウルスとトリケラトプスにフリル以外の差異が認められないこと、トリケラトプスが幼体から成体までの幅広い個体の化石が確認されるのにトロサウルスとされるフリルを持つ個体は成体のみしか確認されない点を重視した。またトリケラトプスのフリルの一部(後頭骨-鱗状骨の境界部分)は成長に従って薄くなり、開口に向かうこと。そしてそうした形態がトロサウルスに非常によく似ることを示し、トロサウルスとトリケラトプスは同一種であり、トロサウルスは成熟したトリケラトプスと結論付ける発表を行った。[11] [12]。 もっとも、2011年現在までに反論もあり、まだこの説が一般的に定着しているわけでもない。

騒動

トリケラトプスの知名度の高さも手伝ってか、この研究は2010年8月当時、比較的大きな話題となった。しかし中には「トリケラトプスが消えてトロサウルスに纏められるのでは」という、本来の論文の趣旨とは全く相反する報道もなされ[13] 、これがツイッターなどを通じて拡散され混乱を招く事態が起こった。だがそもそも論文の題名にもある通り、トロサウルスが消えてトリケラトプスに纏められることになるのが元々の情報であって、上記のような報道は全くの曲解と言えるそもそも国際動物命名規約では、基本的には時系列上先に記載された方を有効名とする規定になっており、この場合、最初に記載された方であるトリケラトプスが有効名として認められる。またこの件に関しては論文の著者であるジャック・ホーナーらはその後も公式に「トリケラトプスが残る」ことを強調している。[14]

脚注

  1. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2008) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages Supplementary Information
  2. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2011) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages, Winter 2010 Appendix.
  3. ^ a b c Longrich, N. R; Field, D. J. (2012). Torosaurus is not Triceratops: Ontogeny in chasmosaurine ceratopsids as a case study in dinosaur taxonomy”. PLoS ONE 7 (2): e32623. Bibcode2012PLoSO...7E2623L. doi:10.1371/journal.pone.0032623. PMC 3290593. PMID 22393425. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3290593/. 
  4. ^ Morph-osaurs: How shape-shifting dinosaurs deceived us - life - 28 July 2010”. New Scientist. doi:10.1080/02724634.2010.483632. 2010年8月3日閲覧。
  5. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「scannella&horner2010」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  6. ^ Switek, Brian. “New Study Says Torosaurus=Triceratops”. Dinosaur Tracking. Smithsonian.com. 2011年3月2日閲覧。
  7. ^ Horner, Jack. TEDX Talks: "Shape-shifting Dinosaurs". Nov 2011. Accessed 20 Nov 2012.
  8. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「fark」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  9. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「Maiorino2013」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  10. ^ Farke, A. A. (2007) Cranial osteology and phylogenetic relationships of the chasmosaurine ceratopsid Torosaurus latus; pp. 235–257 in K. Carpenter (ed.), Horns and Beaks: Ceratopsian and Ornithopod Dinosaurs. Indiana University Press, Bloomington and Indianapolis, Indiana.
  11. ^ Scannella, J. and Horner, J.R. (2010). "Torosaurus Marsh, 1891, is Triceratops Marsh, 1889 (Ceratopsidae: Chasmosaurinae): synonymy through ontogeny ." Journal of Vertebrate Paleontology, 30(4): 1157 - 1168
  12. ^ モンタナ州立大学によるプレスリリース
  13. ^ トリケラトプスが教科書から消える? : ギズモード・ジャパン
  14. ^ | KBZK | Bozeman, Montana - News, Weather, Sports | Dinosaur expert Jack Horner: 'Triceratops' name will stay