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アカメカモメ
	アカメカモメ（生殖羽） Larus canus; （ガラパゴス諸島、エスパニョラ島）
保全状況評価
	LEAST CONCERN; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001));
分類
学名
	Creagrus furcatus; (Neboux, 1846)
和名
	アカメカモメ
英名
	Swallow-tailed Gull

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2012年1月7日 (土) 17:34時点における版

アカメカモメ (Creagrus furcatus) は、カモメ科に属する赤道付近の海鳥である。肉食を意味するラテン語の Creagra とギリシア語の kreourgos に由来する Creagrus 属（アカメカモメ属）の唯一の種であり、また kreas は食肉で、Jobling によれば、本種のかぎ状のくちばしを指す「食肉のためのフック」を意味する^[2]。

本種は、フランスの博物学者で外科医である Adolphe-Simon Neboux により1846年に初めて記された。その元の学名は、カモメを意味するギリシア語の「Glaros」に通じるラテン語の Larus 「カモメ」と、 furca 「2本歯のフォーク」に由来する^[3]。

アカメカモメは、その大半を飛行して生活し、外洋上で餌を探すことに費やす。主な繁殖地は、エスパニョラ島（英: フッド島）、へノベサ島（英: タワー島）、ウォルフ島（英: ウェンマン島）の岩礁海岸や絶壁であり、他の多くの島々でも少数が繁殖する。水の暖かい東の島々で、より一般的にみられる^[4]。

アカメカモメは世界で唯一、完全に夜行性のカモメかつ海鳥であり^[5]、プランクトンを食べるため夜に浮上するイカや小魚を捕食する^[6]。

形態

雌雄において形態または羽衣の差はない。繁殖期では、成鳥は頭部の羽毛が黒く、目の周りに鮮赤色の肉縁がある。繁殖期以外は、頭部は白く、目縁は黒くなる^[5]。上胸は灰色みを帯び、上背は灰色で、翼端は黒い。くちばしは大部分が黒色で、先端が対照的に白い^[6]。

分布

アカメカモメはガラパゴス諸島に繁殖するほぼ固有の鳥であるが、少数のつがいがコロンビアの沖合のマルペロ島に営巣する。非繁殖期には完全に遠洋にいて、外洋上で飛翔して捕食し、エクアドルやペルーの沿岸へとに東に渡る。

生態

食性

アカメカモメは、カモメ類のなかでも夜間にのみ採餌し^[5]、もっぱらプランクトンを食べるために夜浮上する魚やイカを食べることで独特である^[6]。夕暮れに群れでコロニーを離れるとき、大きな鳴き声をあげてディスプレイをする^[4]。

鳴き声

鳴き声やディスプレイは他のカモメ類とはかなり異なり、ミツユビカモメやクビワカモメの発する声に最も似る。最も大きく、かつ最も一般に聞かれる鳴き声は、警戒を表す「ガラガラ声とホイッスル」であり、頭を左右に動かし喉を鳴らして鳴き声をあげる。この鳴き声は、原因を認識せずに他の鳥へとつながり広く伝搬する。大声で速い kweek, kweek, kweek という声は、頭と頸を地面へと前方に曲げてなされる配偶者間の挨拶の鳴き声である^[4]。

繁殖

アカメカモメは、およそ 5 歳より繁殖し^[5]、つがいでよく毎年一緒に過ごす^[4]。ほぼ一年を通して、ガラパゴス諸島の断崖の多様なコロニー (colonies) や時には平地で繁殖し、若い鳥への餌は、営巣するコロニーに近い海から採る^[5]。巣は断崖の小さな壇に作り、通常は海抜10m未満にあり^[4]、溶岩の小片、白い珊瑚、ウニの棘で岩面を覆い、卵が転がるのを防ぐ^[5]。営巣は断崖に面する傾向があり、ミツユビカモメのようにもっぱら断崖に営巣するカモメ類共通の習性である^[6]。

雌は通常、繁殖の機会ごとに1個の斑点のある卵を産む^[5]。それらは同時期に繁殖せず（年間を通していつでも繁殖できる）、9か月周期、あるいは卵または雛がうまく育たなかった場合に繁殖する^[5]。卵は通常31–34日で孵化する^[5]。雛はおよそ60–70日後に初めて飛べるようになり、おそらく成鳥とともに陸地を離れて外洋上で暮すようになるまでの約90日は、成鳥によって給餌される^[5]。

状況

生息数の動向は推定されていないが、脅威にさらされているとは考えられていない。その個体数は、2004年の最後の調査時において、約35,000羽と推定された^[1]。

生理学

暗視

夜、餌を捜し求める際に見るためのアカメカモメの目は、大きさや量感において、他のカモメのものより大きい。さらにそれらは目の裏側に輝板を備えており、網膜へと光を反映して、光受容細胞が受ける光量を増加させる^[7]。

メラトニン

アカメカモメのメラトニン濃度に関する研究では、それらに日内のメラトニンの周期は認められなかったのに対して、比較のために選ばれた1日給餌されたカモメは、日中に活動する鳥類のため夜間のメラトニン濃度が予想より高かった。高メラトニン濃度は一般に鳥類の眠りを誘うが、そのメラトニンの濃度が、アカメカモメの夜間活動の要因もしくは結果であるかどうかはまだ解明されていない^[8]。

画像

ガラパゴス諸島の岩地
雛（ひな）

脚注

^ ^a ^b BirdLife International (2004). "Creagrus furcatus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006. International Union for Conservation of Nature. 2006年5月11日閲覧。
^ Tarsicio Granizo, 2009. Etimologia de nombres cientificos de las aves del Ecuador.ISBN: No. 978-9978-9959-0-7
^ Simpson DP (1979). Cassell's Latin Dictionary (5 ed.). London: Cassell Ltd.. p. 883. ISBN 0-304-52257-0
^ ^a ^b ^c ^d ^e Jackson, M. H. (1993). Galapagos: A Natural History. University of Calgary Press. p. 157. ISBN 9781895176070
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j Harris, M (1970) "Breeding ecology of the Swallow-tailed Gull". Auk 87(2): 215–243
^ ^a ^b ^c ^d Kricher, John C. (2006). Galapagos: A Natural History. Princeton University Press. p. 122. ISBN 9780691126333
^ Hailman, P. Jack. (1964). "The Galapagos Swallow tailed Gull is Nocturnal. The Wilson Bulletin 76(4): 347-354
^ Wikelski, Martin; Elisa M. Tarlow, Corine M. Eising Ton G.G. Groothuis, Ebo Gwinner (2006). “Do night-active birds lack daily melatonin rhythms? A case study comparing a diurnal and a nocturnal-foraging gull species”. Journal of Ornithology 147 (1): 107–111. doi:10.1007/s10336-005-0018-4 2008年9月9日閲覧。.

参考文献

Snow, D.W. & Snow, B.K. (1967). "The breeding cycle of the Swallow-tailed Gull (Creagrus furcatus)." Ibis 109(1):14-24
Snow, B.K. & Snow, D.W. (1968). "Behavior of the Swallow-tailed Gull of the Galapagos." Condor 70(3):

外部リンク

[BirdLife2004-1] BirdLife International (2004). "Creagrus furcatus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006. International Union for Conservation of Nature. 2006年5月11日閲覧。

[2] Tarsicio Granizo, 2009. Etimologia de nombres cientificos de las aves del Ecuador.ISBN: No. 978-9978-9959-0-7

[3] Simpson DP (1979). Cassell's Latin Dictionary (5 ed.). London: Cassell Ltd.. p. 883. ISBN 0-304-52257-0

[Jackson1993-4] Jackson, M. H. (1993). Galapagos: A Natural History. University of Calgary Press. p. 157. ISBN 9781895176070

[Harris70-5] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j Harris, M (1970) "Breeding ecology of the Swallow-tailed Gull". Auk 87(2): 215–243

[Kricher2006-6] Kricher, John C. (2006). Galapagos: A Natural History. Princeton University Press. p. 122. ISBN 9780691126333

[7] Hailman, P. Jack. (1964). "The Galapagos Swallow tailed Gull is Nocturnal. The Wilson Bulletin 76(4): 347-354

[8] Wikelski, Martin; Elisa M. Tarlow, Corine M. Eising Ton G.G. Groothuis, Ebo Gwinner (2006). “Do night-active birds lack daily melatonin rhythms? A case study comparing a diurnal and a nocturnal-foraging gull species”. Journal of Ornithology 147 (1): 107–111. doi:10.1007/s10336-005-0018-4 2008年9月9日閲覧。.

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