銀河群
銀河群[1](ぎんがぐん、Galaxy group[2], group of galaxies[1][3], GrG[4])は、各々がそれぞれ銀河系程度の明るさを持つ、50個程度かそれ以下の銀河が重力的に結びついた集合体である。これよりも銀河の数が多いと銀河団と呼ばれる[5]。また、銀河群や銀河団が集まったものは超銀河団と呼ばれる。
特徴
[編集]銀河群は、最小の銀河の集まりである。銀河の数は50を超えず、典型的には直径は1-2Mpc、質量は約1013太陽質量である。ここの銀河の分散速度は約150km/sである。しかし、これより大きく重いものも銀河群とされることがある[7]。
銀河群は、銀河の最も一般的な構造であり、局所宇宙の銀河の少なくとも50%は銀河群を形成する。銀河群は、非常に大きい楕円銀河と銀河団の中間の質量を持つ[8]。局所宇宙の約半数の銀河群が銀河団ガスから散乱性のX線を放射している。X線を放射する銀河群は、初期のタイプの銀河を含むものである。X線は、銀河群のビリアル半径の10-50%の通常50-500pcの領域から放射される[9]。
タイプ
[編集]銀河群には、いくつかのサブタイプがある。
コンパクト銀河群
[編集]コンパクト銀河群は、小さな領域に銀河が近傍に密に集まった小さな銀河群である。通常5個程度の銀河が他の銀河から離れて存在する[10]。初めて発見されたのはステファンの五つ子銀河で、1877年に発見された[11]。ステファンの五つ子銀河自体は、4つの銀河からなる銀河群と、遠方の1つの銀河が含まれる[10]。天文学者ポール・ヒクソンは、1982年にこのような銀河群を集めたカタログを作った(ヒクソン・コンパクト銀河群)[12]。
目に見える物質の重力は、このように銀河をコンパクトに結び付けるには圧倒的に小さく、暗黒物質の効果を見ることができる。ハッブル時間を超えると、コンパクト銀河群は安定ではなく、銀河の合体等で進化する[10]。
化石銀河群
[編集]化石銀河群は、古い銀河群の残骸である。ここでは、明るい銀河が合体して楕円銀河を形成している。このような系は、未だ祖先の銀河群程度の大きさのX線ハロを持っている。また、合体していない矮小銀河を含むことがあるが、より重いものは中央の銀河に凝集している[9][10]。
原始銀河群
[編集]原始銀河群は、形成の途上にある銀河群である。原子銀河団の小さな形態である[13]。これらは、暗黒物質ハロに埋め込まれた銀河や原始銀河を含み、単一の暗黒物質ハロを持つ銀河群への融合の途上にある[14]。
出典
[編集]- ^ a b 『天文学大事典』(初版第1版)地人書館、165頁。ISBN 978-4-8052-0787-1。
- ^ Bärbel Koribalski. “The NGC 6221/15 Galaxy Group”. 2015年5月3日閲覧。
- ^ Hartmut Frommert. “Groups and Clusters of Galaxies with Messier objects”. SEDS. 2015年5月3日閲覧。
- ^ “Object classification in SIMBAD”. SIMBAD. 2015年5月3日閲覧。
- ^ L.S. Sparke; J.S. Gallagher (2007). Galaxies in the Universe: an Introduction (2nd ed.). Cambridge University Press. pp. 278. ISBN 9780521671866
- ^ Mike Irwin. “The Local Group”. 2009年11月7日閲覧。
- ^ UTK Physics Dept. “Groups of Galaxies”. University of Tennessee, Knoville. September 27, 2012閲覧。
- ^ Muñoz, R. P.; Motta, V.; Verdugo, T.; Garrido, F. et al. (11 December 2012). “Dynamical analysis of strong-lensing galaxy groups at intermediate redshift”. Astronomy & Astrophysics 552: 18. arXiv:1212.2624. Bibcode: 2013A&A...552A..80M. doi:10.1051/0004-6361/201118513. A80.
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- ^ a b c d Paul Hickson (1997). “Compact Groups of Galaxies”. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 35: 357–388. arXiv:astro-ph/9710289. Bibcode: 1997ARA&A..35..357H. doi:10.1146/annurev.astro.35.1.357 .
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- ^ Yujin Yang (2008). Testing Both Modes of Galaxy Formation: A Closer Look at Galaxy Mergers and Gas Accretion. ProQuest. p. 205. ISBN 9780549692300
- ^ C. Diener; S. J. Lilly; C. Knobel; G. Zamorani et al. (9 October 2012). “Proto-groups at 1.8<z<3 in the zCOSMOS-deep sample”. The Astrophysical Journal 765 (2): 11. arXiv:1210.2723. Bibcode: 2013ApJ...765..109D. doi:10.1088/0004-637X/765/2/109. 109.