「和蝋燭」の版間の差分
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[[File:JapaneseCandleAndCandlestick Warousoku Shokudai.jpg|250px|thumb|right|赤い和蝋燭と燭台]] |
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[[File:和蝋燭・三嶋屋・飛騨古川P8117675.jpg|250px|thumb|right|和蝋燭]] |
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[[File:warousokusagyo.jpg|250px|thumb|right|和ろうそく製作風景]] |
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2020年10月11日 (日) 06:17時点における版
和蝋燭(わろうそく Japanese candle)は、灯具である蝋燭の一種。 櫨(ハゼ)の実から搾り取った木蝋(もくろう Japan wax)を加熱して熔かしたものを、和紙および燈芯草の髄から作った芯(灯心)の周りに手でかけ、乾燥させてを繰り返して作る。完成した蝋燭は、断面が年輪状になる。和ろうそくの芯は洋ろうそくの綿芯に比べて太く見えるが、芯は筒状で、中は空洞になっている。ハゼの蝋のみで作った蝋燭が最も高級とされる。
特徴
灯具である「ろうそく」の一種。和蝋燭は、1/fゆらぎという人に快適感やヒーリング効果を与えると言われる炎の揺らぎが他のろうそくよりも大きく、趣のある灯りが特徴である。他のろうそくに比べ炎がが大きく、火持ちが良い理由として、和蝋燭の構造があげられる。和蝋燭の芯は中が空洞になっているため、空気が蝋燭の中を流れる。そのため、和蝋燭ならではの炎の大きさや揺らぎが生まれる。炎の揺らぎ方は芯の状態によって異なり、その燃え方の表情の変化を好む人もいる。マイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』では、和蝋燭の芯の換気構造をファラデーが驚きを持って聴衆に語るエピソードがある。
また、蝋が垂れるよりも芯が蝋を吸い上げるスピードが速く、蝋垂れが起こりにくい。メーカーにもよるが、一般的に15cmより大きなサイズの和ろうそくになると芯も太くなるため、灯したときに芯が燃え切らず炭化して残ってしまうことがある。そのため、専用の道具を用いて炭化した芯をちぎる「芯切り」を行うことで、芯の長さを調節し火を整えている[1][2]。
和ろうそくの側面に絵を描く『絵ろうそく』の文化がある。その理由として、和ろうそくは仏壇に置く風習があり、仏壇には花を飾るが、和ろうそくに花の絵を描くことで、花が枯れたりなくなっても、和ろうそくの花柄の絵で代用ができるという意味がある[3][4]。
洋蝋燭より作成に手間がかかるため高価であり、一般には仏具専門店にて販売されるが、西日本ではスーパーマーケット等でも販売されている。西日本では金箔仏壇を使用する例が多いが、和蝋燭の煙に含まれるカーボンが洋蝋燭に比べ少ないので、金箔を汚しにくいためである。
洋蝋燭に比べ光が強く、長時間もつと言われている。ろうそくプレイに使われるのは基本的に和蝋燭である。その理由の一つとして、手がけ和蝋燭の原料となる木蝋の融点が50~53℃前後であり、ほかの種類の蝋で作られた同じ直立型のろうそくの融点に比べて低いため、皮膚火傷における安全面への配慮が意識されていることが挙げられる。
歴史
和蝋燭は、1375年頃の『太平記』の記述に出てくる。その頃に作り始められたと思われる。
1700年代から生産が活発になった広島藩内では、1780年(安永9年)に他国へ売りさばいた商品として蝋燭800貫、生蝋4200貫が記録に残されている[5]。
産地としては、山形県鶴岡市・酒田市、福島県会津若松市、新潟県新潟市、石川県七尾市、滋賀県高島市、福井県福井市、愛知県岡崎市、兵庫県西宮市、京都府京都市、愛媛県内子町などが上げられるが、現在、軒数が最も多いのは愛知県といわれている。
2016年に三重県志摩市で開催された第42回先進国首脳会議(伊勢志摩セミット)で、各国首脳への贈答品として「カキツバタ」絵が描かれた和ろうそくが贈られた[6]。
原料
和蝋燭の原料は、植物のハゼの実の外殻から絞った油脂分を精製した木蝋(もくろう)使用する。また芯は和紙からできており、その和紙に燈芯草、真綿を巻いたものを使用している。
近年では櫨の生産量が減少しており、東南アジア原産のよく似た植物性を原料に使用しているメーカーもある。国内産の櫨の実で作られた純木蝋製の和蝋燭は、現在では貴重品とされる。
種類
- 内子和蝋燭(愛媛県伝統的特産品)
- 近江和蝋燭(滋賀県伝統的工芸品)
- 越前和蝋燭(福井県指定郷土工芸品)
- 七尾和蝋燭
- 三州岡崎和蝋燭
- 会津絵蝋燭 (福島県伝統的工芸品)
- 越後和蝋燭
- 庄内絵蝋燭
脚注
参考文献
- 『櫨の道』矢野眞由美、松山櫨復活委員会出版、2015年8月。ISBN 978-4-9908402-0-4。