「楔数」の版間の差分

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'''楔数'''(くさびすう、{{lang-en-short|sphenic number}})とは、相異なる 3 つの[[素数]]の[[積]]で表される[[自然数]]([[合成数]])のことである。
'''楔数'''(くさびすう、{{lang-en-short|sphenic number}})とは、相異なる 3 つの[[素数]]の[[積]]で表される[[自然数]]([[合成数]])のことである。


例えば、66 は 2 × 3 × 11 と 3 つの相異なる素数の積に[[素因数分解]]されるので楔数である。楔数は無数に存在し、そのうち最小の数は最小の 3 つの素数 2, 3, 5 の積の 30 である。
最小の楔数 {{math|[[30]]}}({{math|{{=}} 2 × 3 × 5}})である。また、楔数は無数に存在る。


楔数の列は以下の通りである。
楔数を 30 から小さい順に列挙すると
:[[30]], [[42]], [[66]], [[70]], [[78]], [[102]], [[105]], [[110]], [[114]], [[130]], [[138]], [[154]], [[165]], [[170]], [[174]], [[182]], [[186]], [[190]], [[195]], [[222]], [[230]], [[231]], [[238]], [[246]], [[255]], …({{OEIS|A007304}})
:{{math2|[[30]], [[42]], [[66]], [[70]], [[78]], [[102]], [[105]], [[110]], [[114]], [[130]], [[138]], [[154]], [[165]], [[170]], [[174]], [[182]], [[186]], [[190]], [[195]], [[222]], [[230]], [[231]], [[238]], [[246]], [[255]], …}}({{OEIS|A007304}})


== 性質 ==
== 性質 ==
* 楔数 n はそれぞれ相異なる素数 p, q, r を用いて n = pqr と表され、[[約数]]は 1, p, q, r, pq, qr, rp, pqr の 8 つのみである。
* 楔数の正の[[約数]]は {{math|8}} である。
*:楔数 {{math|''N'' {{=}} ''pqr''}}({{mvar|p}}, {{mvar|q}}, {{mvar|r}} は相異なる素数)の正の約数は {{math2|1, ''p'', ''q'', ''r'', ''pq'', ''qr'', ''rp'', ''pqr''}}
* 楔数 n は 1 以外の[[平方数]]を約数に持たない([[平方因子をもたない整数|無平方数]]である)ので、<math>\mu(n) = -1</math> を満たす。ただし μ は[[メビウス関数]]である。
* 楔数 n は 1 以外の[[平方数]]を約数に持たない([[平方因子をもたない整数|無平方数]]である)ので、<math>\mu(n) = -1</math> を満たす。ただし μ は[[メビウス関数]]である。
* 2 つの連続する自然数がともに楔数であるような組うち最小のは (230, 231) である。(230 = 2 × 5 × 23, 231 = 3 × 7 × 11)
* 連続する2つの自然数である楔数組で最小のもの{{math|(230, 231)}} である。({{math2|230 {{=}} 2 × 5 × 23, 231 {{=}} 3 × 7 × 11}})
**小さい方の数だけ挙すると [[230]], [[285]], [[429]], [[434]], [[609]], [[645]], [[741]]…である。({{OEIS|A215217}})
**小さい方の数 {{math2|[[230]], [[285]], [[429]], [[434]], [[609]], [[645]], [[741]], }}({{OEIS|A215217}}
* 3 つの連続する自然数が全て楔数で同様の組は (1309, 1310, 1311) である。(1309 = 7 × 11 × 17, 1310 = 2 × 5 × 131, 1311 = 3 × 19 × 23)
* 連続する3つの自然数である楔数の組で最小のもの{{math|(1309, 1310, 1311)}} である。({{math2|1309 {{=}} 7 × 11 × 17, 1310 {{=}} 2 × 5 × 131, 1311 {{=}} 3 × 19 × 23}})
** 中央の数だけを小さい順に挙すると 1310, 1886, 2014, 2666, 3730, …であり、10000 までに 21 組ある。({{OEIS|A248202}})
** 中央の数 {{math2|1310, 1886, 2014, 2666, 3730, …}} で、10000 までに 21 組ある。({{OEIS|A248202}})
* 4 つ以上の連続する自然数が全て楔数であるような組は存在しない。なぜならば、少なくとも一つは 4 の倍数、すなわち 2<sup>2</sup> を約数に持つ数であり楔数でないからである。
* 4 つ以上の連続する自然数である楔数の組は存在しない。なぜならば、少なくとも一つは 4 ({{math2|{{=}} 2{{sup|2}}}}) の倍数であり、それの素因数 {{math|2}} の指数は {{math|2}} で楔数でないからである。
* 楔数は 1 から 100 までは 5 個、1 から 1000 までは 135 個、1 から 10000 までは 1800 個ある。
* 楔数は100以下には 5 個、1000以下には 135 個、10000以下には 1800 個ある。
* 楔数のうち[[三角数]]である数は [[66]], [[78]], [[105]], [[190]], [[231]], [[406]], [[435]], [[465]], [[561]], [[595]], …({{OEIS|A128896}})
* [[三角数]]であるの列{{math2|[[66]], [[78]], [[105]], [[190]], [[231]], [[406]], [[435]], [[465]], [[561]], [[595]], …}}({{OEIS|A128896}})


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2018年6月19日 (火) 19:25時点における版

楔数(くさびすう、: sphenic number)とは、相異なる 3 つの素数で表される自然数合成数)のことである。

最小の楔数は 30= 2 × 3 × 5)である。また、楔数は無数に存在する。

楔数の列は以下の通りである。

30, 42, 66, 70, 78, 102, 105, 110, 114, 130, 138, 154, 165, 170, 174, 182, 186, 190, 195, 222, 230, 231, 238, 246, 255, …オンライン整数列大辞典の数列 A007304

性質

  • 楔数の正の約数8 個である。
    楔数 N = pqrp, q, r は相異なる素数)の正の約数は 1, p, q, r, pq, qr, rp, pqr
  • 楔数 n は 1 以外の平方数を約数に持たない(無平方数である)ので、 を満たす。ただし μ はメビウス関数である。
  • 連続する2つの自然数である楔数の組で最小のものは (230, 231) である。(230 = 2 × 5 × 23, 231 = 3 × 7 × 11
  • 連続する3つの自然数である楔数の組で最小のものは (1309, 1310, 1311) である。(1309 = 7 × 11 × 17, 1310 = 2 × 5 × 131, 1311 = 3 × 19 × 23
  • 4 つ以上の連続する自然数である楔数の組は存在しない。なぜならば、少なくとも一つは 4 (= 22) の倍数であり、それの素因数 2 の指数は 2 で楔数でないからである。
  • 楔数は、100以下には 5 個、1000以下には 135 個、10000以下には 1800 個ある。
  • 三角数である楔数の列は 66, 78, 105, 190, 231, 406, 435, 465, 561, 595, …オンライン整数列大辞典の数列 A128896

外部リンク

  • Weisstein, Eric W. "Sphenic Number". mathworld.wolfram.com (英語).