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立木は土地の定着物であり、[[不動産]]とされる<ref>民法第86条第1項</ref>。原則として、土地の構成部分とされ、独立の取引対象とはならない。しかし、伐採前の立木のまま取引をする慣行があるため、立木法で[[対抗要件]]として立木の登記をすることにより、独立の取引対象となる<ref>立木法第2条第2項および第3項</ref>。また、立木登記がされていなくても、[[明認方法]]をした場合にも、独立の取引対象となる。
立木は土地の定着物であり、[[不動産]]とされる<ref>民法第86条第1項</ref>。原則として、土地の構成部分とされ、独立の取引対象とはならない。しかし、伐採前の立木のまま取引をする慣行があるため、立木法で[[対抗要件]]として立木の登記をすることにより、独立の取引対象となる<ref>立木法第2条第2項および第3項</ref>。また、立木登記がされていなくても、[[明認方法]]をした場合にも、独立の取引対象となる。


=== 立木トラスト ===
明認方法とは、立木の幹の一部を削り所有者の住所氏名を墨書したり、それらを書いた札(明認札)を立木に掛けたりすることであり、登記をしなくても慣習的に対抗要件を満たすとされている。これを利用して、土地収用の問題が起きたときなどに、反対派が立木を所有して抵抗する「'''立木トラスト'''」('''一木運動''')とよばれる手法がとられることがある<ref>地方空港建設や愛知万博誘致等 [http://www.npa.go.jp/hakusyo/h09/h090600.html 平成9年警察白書]</ref><ref>{{cite web
明認方法とは、立木の幹の一部を削り所有者の住所氏名を墨書したり、それらを書いた札(明認札)を立木に掛けたりすることであり、登記をしなくても慣習的に対抗要件を満たすとされている。これを利用して、土地収用の問題が起きたときなどに、反対派が立木を所有して抵抗する「'''立木トラスト'''」('''一木運動''')とよばれる手法がとられることがある<ref>地方空港建設や愛知万博誘致等 [http://www.npa.go.jp/hakusyo/h09/h090600.html 平成9年警察白書]</ref><ref>{{cite web
| url = http://www.c-nexco.co.jp/corp/construction/relation/hachioji/pdf/060710youti.pdf
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=== 立木トラストの例 ===
[[File:NaritaAirportTachiki.jpg|thumb|right|[[成田国際空港|新東京国際空港]]の[[成田空港問題|反対運動]]([[三里塚闘争]])時に用いられた立ち木トラストの明認札([[成田空港 空と大地の歴史館]])<br />明認札には[[佐藤行通]]、[[佐々木更三]]、[[成田知巳]]の名がある]]
[[File:NaritaAirportTachiki.jpg|thumb|right|[[成田国際空港|新東京国際空港]]の[[成田空港問題|反対運動]]([[三里塚闘争]])時に用いられた立ち木トラストの明認札([[成田空港 空と大地の歴史館]])<br />明認札には[[佐藤行通]]、[[佐々木更三]]、[[成田知巳]]の名がある]]
* [[下筌ダム]]
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* [[設楽ダム]]<ref>{{Cite web |url=http://blog.goo.ne.jp/yosshi_1947/e/c68f5d36f06fcd37a2d6eee33165be5a |title=立木トラスト名札掛け |accessdate=2017-08-19}}</ref>
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* [[東九州自動車道]]([[椎田南インターチェンジ|椎田南IC]] - [[豊前インターチェンジ|豊前IC]])
* [[東九州自動車道]]([[椎田南インターチェンジ|椎田南IC]] - [[豊前インターチェンジ|豊前IC]])
*: 区間中にあるミカン畑0.2 haの所有者が[[土地収用]]を困難にする目的で立木トラストを実施。2015年7月14日に強制収容の[[行政代執行]]を着手し<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20150714k0000e040175000c.html 東九州道:福岡県がミカン園強制収用の行政代執行]毎日新聞 2015年7月14日</ref>、当該区間は翌年の4月24日に開通した。これにより、東九州自動車道の北九州市から宮崎市までの区間が全線開通した。
* [[中央新幹線]](リニア中央新幹線)
* [[中央新幹線]](リニア中央新幹線)
*: [[山梨県]][[中央市]]での[[市民運動]]で、立木トラストを実施している<ref>{{Cite web |url=http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-428.html |title=リニア、立ち木トラスト始まる。山梨県中央市でまずは405本。 |accessdate=2017-08-19}}</ref>。
*: [[山梨県]][[中央市]]での[[市民運動]]で、立木トラストを実施している<ref>{{Cite web |url=http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-428.html |title=リニア、立ち木トラスト始まる。山梨県中央市でまずは405本。 |accessdate=2017-08-19}}</ref>。

2018年5月1日 (火) 09:17時点における版

立木(たちき、りゅうぼく)、立ち木(たちき)とは、地面に生育している樹木をいう。また、法律上特定の樹木に関して立木(りゅうぼく)と定義して特別の扱いをすることがある。

日本法における立木

日本においては、一般に言う立木(たちき)・樹木のうち、立木ニ関スル法律(立木法、りゅうぼくほう)の適用対象となるものを立木(りゅうぼく)と定義している。立木法では、立木とは「一筆土地又は一筆の土地の一部分に生立する樹木の集団で、その所有者が本法により所有権保存の登記を受けたるもの」のことをいうと定義する。

立木は土地の定着物であり、不動産とされる[1]。原則として、土地の構成部分とされ、独立の取引対象とはならない。しかし、伐採前の立木のまま取引をする慣行があるため、立木法で対抗要件として立木の登記をすることにより、独立の取引対象となる[2]。また、立木登記がされていなくても、明認方法をした場合にも、独立の取引対象となる。

立木トラスト

明認方法とは、立木の幹の一部を削り所有者の住所氏名を墨書したり、それらを書いた札(明認札)を立木に掛けたりすることであり、登記をしなくても慣習的に対抗要件を満たすとされている。これを利用して、土地収用の問題が起きたときなどに、反対派が立木を所有して抵抗する「立木トラスト」(一木運動)とよばれる手法がとられることがある[3][4][5]

新東京国際空港反対運動三里塚闘争)時に用いられた立ち木トラストの明認札(成田空港 空と大地の歴史館
明認札には佐藤行通佐々木更三成田知巳の名がある

出典・脚注

  1. ^ 民法第86条第1項
  2. ^ 立木法第2条第2項および第3項
  3. ^ 地方空港建設や愛知万博誘致等 平成9年警察白書
  4. ^ 圏央道 国土交通省相武国道事務所記者発表資料” (PDF) (2006年7月10日). 2007年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年11月15日閲覧。
  5. ^ 収用制度活用プラン【2011改訂版】―収用制度の理解と活用に向けて-” (PDF). 東京都収用委員会事務局. pp. 26-28 (2011年3月). 2013年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月29日閲覧。
  6. ^ のちに反対同盟に追放される
  7. ^ 北原鉱治『大地の乱 成田闘争―三里塚反対同盟事務局長の30年』 お茶の水書房、1996年、39頁。
  8. ^ 立木トラスト名札掛け”. 2017年8月19日閲覧。
  9. ^ 東九州道:福岡県がミカン園強制収用の行政代執行毎日新聞 2015年7月14日
  10. ^ リニア、立ち木トラスト始まる。山梨県中央市でまずは405本。”. 2017年8月19日閲覧。

関連項目