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'''サラダ油'''(サラダゆ、サラダあぶら)'''サラダ・オイル''' (salad oil) は、[[精製]]された[[植物油の一覧|植物油]]の一種。
'''サラダ油'''(サラダゆ、サラダあぶら)'''サラダ・オイル''' (salad oil) は、[[精製]]された[[植物油の一覧|植物油]]の一種。
主流である[[キャノーラ油]]を指してサラダ油と称される事が多い。
主流である[[菜種油|キャノーラ油]]を指してサラダ油と称される事が多い。


==特徴==
==特徴==
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[[低温]]でも長時間[[結晶化]]しないように[[精製]]されており、[[サラダドレッシング]]や[[マヨネーズ]]のような製品の原料として適しており、また、味や匂いにクセが無いことも特徴である。
[[温度|低温]]でも長時間[[結晶化]]しないように[[精製]]されており、[[サラダドレッシング]]や[[マヨネーズ]]のような製品の原料として適しており、また、味や匂いにクセが無いことも特徴である。


また、[[サラダ]]は比較的低温で供されるので、低温で結晶化する成分が多いとざらついた食感となってしまう。[[油脂]]は多くの種類の[[脂肪酸]]を含み、その中で[[飽和脂肪酸]]が[[グリセリン]]の1、3位に付いた「対称性のよい」ものは低温で[[結晶]]化しやすい(この現象は[[天ぷら]]を一週間[[冷蔵庫]]に入れるだけでも簡単に[[観察]]できる)。このため、サラダ油は精製した[[油]]を長期間[[冷蔵]](ウィンタリング (wintering) という)し、固化した成分を分離(脱[[蝋]]工程)した後に出荷される。
また、[[サラダ]]は比較的低温で供されるので、低温で結晶化する成分が多いとざらついた食感となってしまう。[[油脂]]は多くの種類の[[脂肪酸]]を含み、その中で[[飽和脂肪酸]]が[[グリセリン]]の1、3位に付いた「対称性のよい」ものは低温で[[結晶]]化しやすい(この現象は[[天ぷら]]を一週間[[冷蔵庫]]に入れるだけでも簡単に[[観察]]できる)。このため、サラダ油は精製した[[油]]を長期間[[冷蔵]](ウィンタリング (wintering) という)し、固化した成分を分離(脱[[蝋]]工程)した後に出荷される。


日本では、サラダ油の定義が[[日本農林規格]](JAS)により定められている。従ってJASの基準を満たした[[原材料]]を用い、なおかつJAS認定[[工場]]で[[製造]]されたものでなければ「サラダ油」を名乗ることは出来ない。[[2007年]][[6月]]現在、[[アブラナ|油菜]]、[[ワタ|綿実]]、[[ダイズ|大豆]]、[[ごま]]、[[サフラワー]]([[ベニバナ|紅花]])、[[ひまわり]]、[[とうもろこし]]、[[こめ|米]]([[米糠]])及び[[落花生]]にサラダ油の規格がある。また、二種類以上の植物油を混合して作られたサラダ油は[[調合サラダ油]]と呼ばれる。従って、[[オリーブ]]油や[[椿]]油のサラダ油は存在しない。ただし、これらの油を調合サラダ油の原材料として、規格の範囲で混合することは可能である。
日本では、サラダ油の定義が[[日本農林規格]](JAS)により定められている。従ってJASの基準を満たした[[原材料]]を用い、なおかつJAS認定[[工場]]で製造されたものでなければ「サラダ油」を名乗ることは出来ない。[[2007年]][[6月]]現在、[[アブラナ|油菜]]、[[ワタ|綿実]]、[[ダイズ|大豆]]、[[ゴマ|ごま]]、サフラワー([[ベニバナ|紅花]])、[[ヒマワリ|ひまわり]]、[[トウモロコシ|とうもろこし]]、[[米]]([[糠|米糠]])及び[[ラッカセイ|落花生]]にサラダ油の規格がある。また、二種類以上の植物油を混合して作られたサラダ油は[[調合サラダ油]]と呼ばれる。従って、[[オリーブ]]油や[[ツバキ|椿]]油のサラダ油は存在しない。ただし、これらの油を調合サラダ油の原材料として、規格の範囲で混合することは可能である。


またJAS規格においては、定められた低温の条件下で一定時間放置しても[[凝固]]や白濁の無いことをサラダ油の条件としている(0℃の温度で5.5時間清澄であること)<ref> {{ cite web
またJAS規格においては、定められた低温の条件下で一定時間放置しても[[凝固]]や白濁の無いことをサラダ油の条件としている(0℃の温度で5.5時間清澄であること)<ref> {{ cite web
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; サフラワー([[ベニバナ|紅花]])
; サフラワー([[ベニバナ|紅花]])
: [[リノール酸]]、[[オレイン酸]]の含有量が多い。
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: サラダ油の王様といわれ、高価。非常にまろやかな味わいがある。
: サラダ油の王様といわれ、高価。非常にまろやかな味わいがある。
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: ビタミン類が豊富で優れた抗酸化作用を持つ。サラッとしている。[[こめ油]]の項参照。
: ビタミン類が豊富で優れた抗酸化作用を持つ。サラッとしている。[[こめ油]]の項参照。
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== 脚注 ==
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2017年6月24日 (土) 13:37時点における版

サラダ油(サラダゆ、サラダあぶら)サラダ・オイル (salad oil) は、精製された植物油の一種。 主流であるキャノーラ油を指してサラダ油と称される事が多い。

特徴

低温下でも長時間結晶化しないように精製されており、サラダドレッシングマヨネーズのような製品の原料として適しており、また、味や匂いにクセが無いことも特徴である。

また、サラダは比較的低温で供されるので、低温で結晶化する成分が多いとざらついた食感となってしまう。油脂は多くの種類の脂肪酸を含み、その中で飽和脂肪酸グリセリンの1、3位に付いた「対称性のよい」ものは低温で結晶化しやすい(この現象は天ぷら油を一週間冷蔵庫に入れるだけでも簡単に観察できる)。このため、サラダ油は精製したを長期間冷蔵(ウィンタリング (wintering) という)し、固化した成分を分離(脱工程)した後に出荷される。

日本では、サラダ油の定義が日本農林規格(JAS)により定められている。従ってJASの基準を満たした原材料を用い、なおかつJAS認定工場で製造されたものでなければ「サラダ油」を名乗ることは出来ない。2007年6月現在、油菜綿実大豆ごま、サフラワー(紅花)、ひまわりとうもろこし米糠)及び落花生にサラダ油の規格がある。また、二種類以上の植物油を混合して作られたサラダ油は調合サラダ油と呼ばれる。従って、オリーブ油や椿油のサラダ油は存在しない。ただし、これらの油を調合サラダ油の原材料として、規格の範囲で混合することは可能である。

またJAS規格においては、定められた低温の条件下で一定時間放置しても凝固や白濁の無いことをサラダ油の条件としている(0℃の温度で5.5時間清澄であること)[1]精製油の凝固はロウ分と上記の対称性の良い油脂が原因なので、サラダ油の製造にはこれらの除去が不可欠となる。

原料となる植物

全て種子を用いる。

油菜(菜種)
酸化に強い。キャノーラ油はカナダ原産のキャノーラ種から搾ったもの。
大豆
原材料が安価で最も一般的な原料の一つ。精製しても独特の匂いが残るため、他の油と混合することが多い。
トウモロコシ
加熱、酸化に強いので炒め物に適する。独特の香りがある。
ひまわりの種
淡泊な風味を持ち、多くの場合はドレッシングに使用される。
ごま
通常ごま油と呼ばれる食用油はごまを焙煎してから搾油したものである。サラダ油の場合は原材料を焙煎せずに搾油した上で精製しているので、ごま油の香味は無い。精製していない非焙煎の油は「太白油」とも呼ばれる。
サフラワー(紅花
リノール酸オレイン酸の含有量が多い。
綿実
サラダ油の王様といわれ、高価。非常にまろやかな味わいがある。
米(米糠
ビタミン類が豊富で優れた抗酸化作用を持つ。サラッとしている。こめ油の項参照。
ぶどう(グレープシード)
調合サラダ油
上記のサラダ油を混合したもの。

用途

関連項目

脚注

  1. ^ 植物油に関する用語集”. 日本植物油協会. 2008年12月1日閲覧。