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平時での艦隊編制は、国策の遂行や海上警備など通常任務に常時対処でき、かつ戦時即応に近い編制内容へと、海軍予算的に可能な限りに心掛けられていたが、当然ながら戦時下の艦隊編制とは異なっていた。[[1935年]](昭和10年)の日本海軍保有艦艇数は273隻だったが、その内の103隻が予備艦であり、実に保有艦艇数の38%にも及んだ。
平時での艦隊編制は、国策の遂行や海上警備など通常任務に常時対処でき、かつ戦時即応に近い編制内容へと、海軍予算的に可能な限りに心掛けられていたが、当然ながら戦時下の艦隊編制とは異なっていた。[[1935年]](昭和10年)の日本海軍保有艦艇数は273隻だったが、その内の103隻が予備艦であり、実に保有艦艇数の38%にも及んだ。


予備艦は状態によりいくつかに分かれていた。
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2013年10月23日 (水) 06:50時点における版

予備役 (よびえき)は、軍隊における役種の一種。一般社会で生活している軍隊在籍者や、軍隊に就役していた艦艇・航空機のことを指し、有事の際や訓練の時のみ軍隊に戻る。在郷軍人とも呼ばれる。ほとんどすべての軍隊に存在し、自衛隊の場合は予備自衛官と称される。

予備役にある人で構成されるのが在郷軍人会である。

予備役の兵で編成された軍隊を予備軍という。ただし、この語は予備兵力のことも意味する。

概要

予備役とは、普段から軍隊に組み込まれ営中で生活する現役軍人(常備)に対して、一般社会で生活をしている者や装備の旧式化や保存のため退役はしているが除籍前の艦艇、航空機を指す。軍隊以外の職業に就いて生計を立てていたりする。国会議員をはじめ、現役軍人では就くことのできない職業に就くことも可能であることが多い。

平時と有事では必要とされる兵員の数に大差があるため、有事に不足人員を動員する。しかし、軍の経験もなければ訓練も受けていない者を戦力化するのは困難を伴う。そこで有事の際に早急に兵力を拡充するため、予備役制度が存在する。予備役は一般に現役を退いた退役軍人で構成されるが、予備自衛官補のような例外もある。限られた日数のみ軍隊に出頭して訓練することが多い。国によっては正規軍ではなく、民兵などの準軍事組織に再配置されることもある。

予備役の兵器

軍隊においては人員だけでなく、艦艇や航空機も予備役が存在する。銃などの小型武器はもともと、予備兵器として倉庫に長期間保管されるのが通例であるが、艦艇・航空機は機構の複雑性から維持整備費がかさみ、保管にも特別な配慮が必要である。そこで、モスボールと呼ばれる保管技術が確立されている。屋外保管は腐食が進むため屋内保管が望ましく、雨の降らない砂漠に飛行機を駐機しておく基地、通称「飛行機の墓場」も存在している。これらは必要があれば、整備・改修の上でふたたび軍に就役するが、耐久年数や予備役に属する数の問題などにより需要がなくなれば除籍され、軍務から外される。その後は転用可能な部品を取り外してから、スクラップとして解体処理されるのが普通だが、他国に供与・売却されたり、博物館などの展示品として余生を送る兵器もある。

海外においては、予備役から就役を果たした中で記録的に有名なものに戦艦ニュージャージーがあり、太平洋戦争から始まり、朝鮮戦争ベトナム戦争レバノン内戦と、ひとつの戦いが終わるたびに予備役艦とされ、4度の就役を果たしている。航空機ではF-117が保管されており、ステルス攻撃機としての需要が起これば再び就役するという体制をとっている。保管といってはいるが、事実上の予備役である。

予備艦

日本海軍保有艦船の内、連合艦隊など艦隊に編入や付属されたり、鎮守府警備府に所属して任務に属している船を 「在役艦船」、その他の役務を持たない船を 「予備艦船」 と呼んでいた。

平時での艦隊編制は、国策の遂行や海上警備など通常任務に常時対処でき、かつ戦時即応に近い編制内容へと、海軍予算的に可能な限りに心掛けられていたが、当然ながら戦時下の艦隊編制とは異なっていた。1935年(昭和10年)の日本海軍保有艦艇数は273隻だったが、その内の103隻が予備艦であり、実に保有艦艇数の38%にも及んだ。

予備艦は船の状態により、いくつかに分かれていた。

日本海軍の予備艦の種別
船の状態 配置されている乗員数 出動可/不可
第一予備艦 短期間の整備で出動可能 ほぼ定員 大演習などで敵艦隊の主役となる
第二予備艦 保存整備中や小規模の修理、改造中 定員の8割ほど 演習に出動することがある
第三予備艦 大規模の修理、改造中 定員の半数ほど 当分の間、行動不能
第四予備艦 廃艦間近 定員の2割ほど  
特別予備艦 外国から購入などで回航後、待機中    

[1]

自衛隊の予備役

アメリカ合衆国の予備役

イギリスの予備役

脚注

  1. ^ 世界の艦船」 2001年11月号 海人社 78~81頁 日本海軍の艦隊編成に関する基礎知識 雨倉孝之

関連項目