「重症熱性血小板減少症候群」の版間の差分

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リバビリン除去、有効性がある根拠又は出典の明示が必要でしょう。
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*症例は5月、6月に集中して発生している。
*症例は5月、6月に集中して発生している。
*現在のところ中国だけではなく、日本でも発症が確認された病気である。
*現在のところ中国だけではなく、日本でも発症が確認された病気である。
*中国においては治療に[[リバビリン]]の投与が行われているが、有効性は不明である。


== 本邦での報告 ==
== 本邦での報告 ==

2013年2月22日 (金) 12:06時点における版

中国での血小板減少症候群の流行(ちゅうごくでのけっしょうばんげんしょうしょうこうぐんのりゅうこう)は、2007年頃から流行し2010年9月に公表された中国での感染症である。

概要

2006年11月に安徽省で発見され、中国河南省南部信陽市(しんよう、シンヤン)商城県を流行の中心とした感染症である。

発熱を伴う血小板減少という特別な病状を示したアナプラズマ症例」が特徴であるが、「ヒト顆粒球アナプラズマ症 (HGA)」の証拠が見つけられない場合もある。原因はダニが媒介するブニヤウイルス科の新種ウイルスの可能性が高いとされている[1][2]

発見後2008年始め頃に治療と診断のガイドラインも出て、広範囲の疫学調査がされたが原因不明と言うことで流行が公表されず、2010年9月に新聞のスクープがきっかけとなり9月8日に公表された。2010年8月現在の調査結果では河南省で557人が感染し18人が死亡、山東省で182人の感染と13人の死亡、江蘇省の省都南京市で4人死亡(6人報道有り)、合計35人以上が死亡するなど、31の1級行政区(省など)中12の地域に広がっているとされる。

河南省信陽市に専門家を派遣したのは2010年4月初旬、中国衛生部河南省に専門家を派遣したのは2010年9月12日だった。

山東省では2008年5月にHGAに対して監視を開始している。ブニヤウイルスの監視が河南省湖北省で始まったのは2009年5月だった。

中国は「発熱を伴う血小板減少症候群(强发热伴血小板减少 fever-thrombocytopenia syndrome または thrombocytopenia with fever)」という仮の名称を付けた。(症例定義で「発熱」が必須とされている)

病原体

2011年になって、この感染症の病原体が重症熱性血小板減少症候群ウイルスであると特定された。

症状

ほとんどは突発性であり、全身のだるさや吐き気などの症状を伴う。

その後高熱、喀血(かっけつ)、嘔吐(おうと)、下痢髄膜炎などの症状を示す一方、血小板白血球などが急減する。

重い場合では大便が黒くなり、歯茎出血などの症状もあり、多臓器不全を示す。

疫学

本邦での報告

この流行の原因がブニヤウイルスであると完全に確定しているわけではないが、ブニヤウイルス科には、致死率最大30%のクリミア・コンゴ出血熱(きわめて危険とされる感染症法1類感染症、ダニが媒介)や致死率最大65%のハンタウイルス(4類感染症、野ネズミ))、リフトバレー熱家畜法定伝染病)などが含まれる。 日本でもブニヤウイルス感染例はあり、1960年代に大阪で「梅田奇病」が発生し119人の患者が発生し2人が死亡している。また関東軍は致死率10-15%の「韓国出血熱」(KHF) に苦しめられた(日本本土には持ち込まれなかったとされる)。

2012年秋、山口県において海外渡航歴のない成人男性の重症熱性血小板減少症候群症例が報告され、本邦でも重症熱性血小板減少症候群に罹患しうることが示された。

参考資料

脚注

  1. ^ 「サイエンス」誌2010年10月1日号には、最初アナプラズマ症と診断されたが、テキサス大学のチームがブニヤウイルスとし、その成果を中国チームが利用したいきさつが掲載されている。米中2つのチームが別々にNEJMランセットに報告した。米国チームはDabie mountain virus、中国チームはsevere febrile and thrombocytopenic syndrome (SFTS) virusと名づけた。米国チームは抗生物質が全く効かないなどの理由からアナプラズマ症の可能性を完全否定している
  2. ^ 2006年の安徽省での9例の中国による調査報告(中国初のHGA感染例とした)ではダニのかんだ跡はないと明記されており、また患者相互に密接な接触があったとしている。