「指揮棒」の版間の差分

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[[File:Bruno Walter repeteert met het Concertgebouworkest in Amsterdam Weeknummer 46-47 - Open Beelden - 30392.ogv|left|thumb|[[ブルーノ・ワルター]]と[[ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団|アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団]]の[[グスタフ・マーラー|マーラー]] [[交響曲第4番 (マーラー)|交響曲第4番]]のリハーサル風景(1946年)。ワルターの振っている指揮棒が現代の一般的なものより長いのが分かる]][[バロック音楽|バロック時代]]は、[[杖]](指揮杖)を地面に打ちつけその音で[[テンポ]]をとって指揮していた。作曲家の[[ジャン=バティスト・リュリ]]([[1632年]][[11月28日]]-[[1687年]][[3月22日]] [[イタリア]]→[[フランス]])は、[[1687年]]に[[ルイ14世 (フランス王)|ルイ14世]]の病気快癒を祝うための「[[テ・デウム]]」の演奏中に、誤って指揮杖で自分の足を強打し、その傷がもとで亡くなった。
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*史上初めて、現代の指揮棒につながるものを用いて指揮をしたのは19世紀初頭の[[カール・マリア・フォン・ヴェーバー]]や、[[ルイ・シュポーア|ルートヴィヒ・シュポア]]と言われている。
*当初、指揮棒は巻き紙が用いられ、後に魚の骨([[フェリックス・メンデルスゾーン|メンデルスゾーン]]が愛用)や樹皮をはいでいないリンデンの枝([[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]が愛用)、その他指揮者の個人的趣味で、ブリリアンカットのダイヤモンド付きの指揮棒、カエデに純金と宝石をあしらった指揮棒などが登場した。
*[[ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団]]の2代目の[[指揮者]]として歴史上有名な[[アルトゥール・ニキシュ]]([[1855年]][[10月12日]]-[[1922年]][[1月23日]])は指揮棒の先が常に目の高さに来るように指揮し、奏者達の注視する先に己の目が来るようにしていた。[[カール・ベーム]]も同様であった。また、シカゴ交響楽団の基礎を築いた[[フリッツ・ライナー]]([[1888年]][[12月19日]]-[[1963年]][[11月15日]])は、指揮棒をわざと小さくしかも下の見難い位置で振ることにより逆に団員の注意をひいたそうである。カラヤンも短い指揮棒で[[小澤征爾]]に影響を与えたが、現在の小澤は [[ニコラウス・アーノンクール]]や[[ワレリー・ゲルギエフ]]、[[ピエール・ブーレーズ]]らと同様 棒なしで指揮をしている。
*[[ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団]]の2代目の[[指揮者]]として歴史上有名な[[アルトゥール・ニキシュ]]([[1855年]][[10月12日]]-[[1922年]][[1月23日]])は指揮棒の先が常に目の高さに来るように指揮し、奏者達の注視する先に己の目が来るようにしていた。[[カール・ベーム]]も同様であった。また、シカゴ交響楽団の基礎を築いた[[フリッツ・ライナー]]([[1888年]][[12月19日]]-[[1963年]][[11月15日]])は、指揮棒をわざと小さくしかも下の見難い位置で振ることにより逆に団員の注意をひいたそうである。カラヤンも短い指揮棒で[[小澤征爾]]に影響を与えたが、現在の小澤は [[ニコラウス・アーノンクール]]や[[ワレリー・ゲルギエフ]]、[[ピエール・ブーレーズ]]らと同様 棒なしで指揮をしている。



2012年10月25日 (木) 17:49時点における版

ファイル:Conductingbaton.jpg
現代の標準的な指揮棒。木製。

指揮棒(しきぼう)とは、指揮者が持つ棒のこと。

概要

指揮棒は、主に右手で持ち、腕の延長としてをきざむ。指揮の小さな動きを大きな動きに変える道具である。 指揮の方法は、各拍子の図形を、指揮棒や手で空間に描いて示す。指揮棒は拍をきざむだけではなく、速度、強弱、アインザッツ、の表情など、演奏についての多くの事柄を指示するためにある。

歴史

ブルーノ・ワルターアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団マーラー 交響曲第4番のリハーサル風景(1946年)。ワルターの振っている指揮棒が現代の一般的なものより長いのが分かる

バロック時代は、(指揮杖)を地面に打ちつけその音でテンポをとって指揮していた。作曲家のジャン=バティスト・リュリ1632年11月28日-1687年3月22日 イタリアフランス)は、1687年ルイ14世の病気快癒を祝うための「テ・デウム」の演奏中に、誤って指揮杖で自分の足を強打し、その傷がもとで亡くなった。

その他

  • 場合によっては、指揮棒(タクト)を用いずに指揮することもある。指揮の動きが小さくなり腕が疲れやすくなる反面、発音の表情をより豊かに表現することが出来るとされる。レオポルド・ストコフスキーは「1本の棒より10本の指の方が優れた音色を引き出せる」と常時指揮棒を用いなかったことで有名である。ヘルベルト・フォン・カラヤンヴォルフガング・サヴァリッシュは合唱音楽のときにのみ指揮棒を使わなかった。
  • レナード・バーンスタインは演奏中に指揮棒をオケや聴衆に向かって飛ばした事がしばしばあった。
  • ゲオルグ・ショルティは、演奏中に指揮棒を額に突き刺しを流した事が時々あった。
  • 2004年10月23日には、NHK交響楽団の定期演奏会で、指揮を務めたウラディーミル・アシュケナージが演奏中に指揮棒が左手に突き刺さるというアクシデントが起こった。アシュケナージは、指揮棒の先から約5センチが手のひらに突き刺さった状態のまま取り出せなくなり、後半のプログラムからは指揮することができなかった。(後半のプログラムであるチャイコフスキー交響曲第4番コンサートマスターのリードで無事に演奏された。)
  • マーチングなどでは、指揮棒の代わりに指揮杖が用いられる。通常の指揮棒と同様動かすことによりをきざむ以外に、指揮者(マーチングバンドではドラムメジャーと呼ばれる)の個人演技にも使用されることがある。
  • 佐渡裕は、指揮棒をたまに折ってしまうことがある。読売日本交響楽団のカルメンを指揮した際は、開始2秒で指揮棒を折ってしまった。ちなみに、演奏会本番で指揮棒が折れることはまれである。(ただし指揮棒そのものの素材が木材の場合、二つ折りにするように力を入れればすぐに折れるものである)

構造・素材等

  • 本体部分は白色の塗色であることが多く、代表的な素材としては繊維強化プラスチック木材などが使われる。
  • 持ち手の部分は本体より太くなっていることがほとんどで、コルクなどを使って持ちやすいように、また滑りにくいように加工されていることが多い。エボニーや、純銀製のものもある。
  • 先述のように指揮棒が刺さって怪我をしたりすることから、本来は折れやすい素材が好まれるようである。

関連項目