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2012年4月27日 (金) 17:41時点における版

ズルフィカル級フリゲート
艦級概観
艦種 フリゲート
建造者 中華人民共和国の旗 中国・滬東造船廠
パキスタンの旗 パキスタン・カラチ造船所
運用者  パキスタン海軍
就役期間 2009年 - 現在
性能要目
排水量 満載: 3,144 t
全長 123 m
全幅 13.4 m
吃水 6 m
機関 CODAD方式 (33,300 hp; 24.5MW)、2軸推進
18E-390VAディーゼル(計14,000 hp) 2基
MTU ディーゼル(8,840 hp) 2基
最大速力 29 kt
航続距離 5,000nmi
乗員 士官14名+曹士188名
兵装 AK-176M 76mm単装速射砲 1基
730B型 30mm CIWS 2基
FM-90 PDMS 8連装発射機 1基
C-802 SSM 4連装発射筒 2基
87式対潜ロケット6連装発射機 2基
3連装324mm短魚雷発射管 2基
艦載機 Z-9C 哨戒ヘリコプター 1機
C4I ZKJ-3C 戦術情報処理装置
レーダー 517H-1型 2次元対空捜索
360型 低空警戒/対水上捜索
345型(MR-35)PDMS射撃指揮 1基
352型(Square Tie)SSM+砲射撃指揮 1基
347G型(EFR-1/Rice Lamp)CIWS射撃指揮 2基
RM-1290(Racal Decca)航海レーダー
ソナー SJD-7 船底装備式
電子戦 981-3型 ECM

ズルフィカル級フリゲート (Zulfiquar class frigate)は、パキスタン海軍フリゲート。同級の艦名がすべての名称であることからスウォード級(Sword class)とも呼ばれる。開発は中国が担当しており、中国側の呼称はF-22P型である。

概要

本級は、多くの面で、中国海軍の第1世代汎用フリゲートであった053H3型フリゲート (江衛-II型フリゲート) の近代化改良型であり、搭載する装備の多くが踏襲されている。[1] ただし船体設計は大きく改良されており、700トン以上大型化することで、原型艦で問題となっていた航洋性能を改善するとともに、ステルス性に配慮して設計しなおしている。 本級のうち、最初の3隻は中国において建造されたのちにパキスタンに回航されて就役することとなっており、2009年7月には1番艦が就役し、残る2隻も上海で建造され、2010年9月までに就役した。一方、最終4番艦については、中国の技術支援のもとでパキスタンにおいて建造されることとなっており、2009年3月より建造を開始している。また、2007年5月には、本級をさらに4隻調達する可能性が言及されたが、追加分はより大型で強力な兵装を有する054A型フリゲートにより取って代わられる可能性もある[1]

兵装

76mm 単装速射砲
FM-90N

本級が搭載する武器システムは、おおむね053H3型と同様であり、ZKJ-3C戦術情報処理装置を中核にシステム艦として構築されている。

ただし、主砲は054A型フリゲート同様、ステルス性を考慮したシールドを採用したロシア製のAK-176M 76mm単装速射砲に、CIWSもより先進的な730B型30mmCIWSに換装されており、近接防空力が強化されている。

対潜兵装も中国艦艇が標準的に搭載している87式対潜ロケットに加え、欧米艦艇に採用されている3連装324mm短魚雷発射管が搭載されている。なお、発射されるのは中国製のET52C短魚雷だが、これは西側で標準的なMk.46 短魚雷A244-S短魚雷をもとに開発された[1]

ソナーおよびレーダーはいずれも053H3型と同じ機種であるが、このうち、個艦防空の中核的センサーとなる低空警戒/対水上捜索用の360型レーダー、また本級の有する唯一の対潜センサーであるSJD-7ソナーは、それぞれイタリア及びフランスで製造の機種の中国版である。

また、本級とともに、艦載機であるZ-9C 哨戒ヘリコプターも輸出されているが、これは、中国製哨戒ヘリコプターとしては初の輸出事案となった[1]


同型艦
艦名 艦番号 起工 進水 就役
ズルフィカル
(Zulfiquar)
251 2006年10月12日 2008年4月5日[2] 2009年9月19日
シャムシール
(Shamsheer)
252 2007年7月13日 2008年10月31日[3] 2009年12月19日
サイーフ
(Saif)
253 2008年11月4日 2009年5月28日 2010年9月15日[4]
[5] 254 2009年3月5日 2013年(予定)

派生型

F-22B型
2010年4月バングラデシュ海軍は、本級をもとにしたフリゲート2隻を中国に発注することを発表した。このフリゲートはF-22B型と呼ばれており、諸元上、ほぼ本級と同等である。予算は200万ドルである。
漁政310
2010年11月16日に就役した、中華人民共和国農業部(中国農業省)傘下の漁政漁港監督管理局(漁業局)の最新鋭漁業監視船広東省湛江造船所(中国人民解放軍海軍系の造船所)で建造。南シナ海を管轄する南海区漁政総隊所属。中国側の公表した諸元では、排水量2,580総トン、全長108メートル、全幅14メートル。航続距離は6,000海里(約11,112km)、最大速度は22ノット(約41km/h)。ヘリ甲板と格納庫を備え、中国軍が運用するZ-9型ヘリコプター2機の搭載が可能。兵装は不明。広帯域衛星通信システム、光学追尾赤外線センサー、カラー式魚群探知機などハイテク機器も装備しており、最長で60日間の無寄港航海が可能という。

その外観と諸元から、ズルフィカル級フリゲートの船体設計を流用しているとおもわれる。そのため漁業監視船でありながら、ステルス性を有しているとおもわれる。中国側の公表した諸元が正ければ(公表された数値は低めに抑えた欺瞞の可能性もある)、ズルフィカル級フリゲートを原型に、機関銃程度の軽武装にし、(機関出力を低くして)最大速度を抑え、その代わりに航続力を伸ばしたものとおもわれる。外観からは艦首甲板の76mm主砲や、艦橋前の艦対空ミサイル発射機や、艦橋背後の艦対艦ミサイルや、イルミネーターなどは見当たらない。おそらく短魚雷発射管や、対潜ロケット発射機や、30mmCIWSも装備していないとおもわれる。また艦橋前に機関銃(58式14.5mm連装機関銃(ZPU-2)と推定される)2基と放水銃1基が確認されている。ただしこの機関銃は仮装備の可能性もある。搭載されるZ-9型ヘリコプターは、公表ではZ-9A型とされるが、対潜哨戒能力と対潜魚雷運用能力と艦対艦ミサイル誘導能力を持つZ-9C型も搭載可能とおもわれる。ヘリコプターの搭載数に関して、原型のズルフィカル級フリゲートが1機であることから、本艦の2機搭載説には疑問がある。居住性向上のためか、原型のズルフィカル級フリゲートよりも艦橋が後方に拡張されている。艦橋前の機関銃横には膨張型ラフト、煙突横には全天候型救命艇を搭載している。マストには日本無線製の対水上レーダーを装備している。

船体に対し貧弱な装備だが、兵装配置のための空間は確保されているので、今後の情勢の変化に対応して、後から追加で兵装を施すことは可能とおもわれる。16日の就役にあたり、中国農業省の李建華漁業局長が「多くの先進的な監視船建造を既に計画している」と言及したことから、今後もさらに同型船もしくは同様の船舶が建造される可能性がある。

2010年11月20日夕方、漁政310と漁政201尖閣諸島接続水域に進入。約32時間にわたって接続水域を航行。11月21日夕方に接続水域を離れた。領海には進入しなかった。

なお漁政は中国政府の公船であり、国際法(領海・接続水域条約22条2項、公海条約8条・9条、国連海洋法条約32条・95条・96条、1907年「商船ヲ軍艦ニ変更スルコトニ関スル条約」1条、1926年「固有船舶の免除に関する規制の統一に関するブラッセル条約」3条)により、軍艦及び非商業目的の政府公船は沿岸国の管轄権から免除されるので、仮に領海内に進入しても、海上保安庁海上自衛隊は退去要求を出すことしかできない。

この際、漁政310に迷彩服姿の男達が乗船しており、その正体が中国人民解放軍海軍陸戦隊ではないかと話題になったが、これは単に軍払い下げの旧式99式海洋迷彩服を、乗組員が作業着として着ていただけの可能性がある。なお漁政の乗組員は個人携行火器で武装している。

2010年11月28日午前7時40分、漁政310と漁政201が再び尖閣諸島の接続水域に侵入。約34時間にわたって尖閣諸島を周回し、11月29日午後6時までに魚釣島の西北西から日中の地理的中間線を越え中国方面に向かった。領海への侵入はなかった。

参考文献

  1. ^ a b c d rglc85tj8h (2009年7月14日). “F-22Pフリゲイト(ズルフィカル級)”. 2009年9月5日閲覧。
  2. ^ Wendell Minnick (2008年4月10日). “Pakistan Gets New Chinese Frigate”. DefenseNews. 2008年10月21日閲覧。
  3. ^ Building of second Frigate for PN starts in China”. AFP (2008年11月2日). 2008年6月11日閲覧。
  4. ^ 3rd F-22P Frigate commissioned”. Daily Times (2008年9月16日). 2010年10月20日閲覧。
  5. ^ |title=Steel-cutting ceremony of first F22P Frigate held

関連項目