「シクロヘキサン」の版間の差分

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2011年10月31日 (月) 17:54時点における版

シクロヘキサン
{{{画像alt2}}}
識別情報
CAS登録番号 110-82-7 チェック
PubChem 8078
ChemSpider 7787 チェック
UNII 48K5MKG32S チェック
KEGG C11249 ×
ChEMBL CHEMBL15980 チェック
特性
化学式 C6H12
モル質量 84.161 g/mol
外観 無色透明の液体
密度 0.779 g/mL, 液体
沸点

80.74 °C, 354 K, 177 °F

への溶解度 不溶
屈折率 (nD) 1.4262
粘度 1.02 cP (17 °C)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -156 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo -3920 kJ/mol
危険性
EU分類 引火性 (F)
有害 (Xn)
雰囲気は危険 (N)
目がヒリヒリし、角膜炎になる。
NFPA 704
3
1
0
Rフレーズ R11 R38 R65 R67 R50/53
Sフレーズ S2 S9 S16 S25 S33 S60 S61 S62
引火点 -20 °C
関連する物質
関連するシクロアルカン シクロペンタン
シクロヘプタン
関連物質 シクロヘキセン
ベンゼン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

シクロヘキサン (cyclohexane) はシクロアルカンの一種の有機化合物である。ベンゼンの水素付加によって作られる。常温常圧で無色の液体で、揮発性がある。極性溶媒には溶けにくいが、有機溶媒には溶ける。

シクロヘキサン環

いす型ふね型封筒型ツイスト型の4種類の立体配座があるが、いす型(画像を参照)が最も安定して存在する。ただし、置換されたシクロヘキサンの場合、置換基の大きさによっては他の配座の方が安定になることもある。

シクロヘキサン環の安定性。
シクロヘキサン環の安定性。

(1)いす型、(2)封筒型、(3),(5)ツイスト型(ねじれふね型)、(4)ふね型

アキシアル・エカトリアル

シクロヘキサンあるいはシクロヘキサン型構造を持つ環状化合物のいす型立体配座において置換基は環平面と平行方向の置換基と垂直方向の置換基とに分類される。前者をエカトリアル(エクアトリアル、equatorial; シクロヘキサン構造式で青線で示す)、後者をアキシアル(axial; シクロヘキサン構造式で赤線で示す)と呼ばれる。

エカトリアルには「赤道方向の」という意味があり、アキシアルには「極、軸位」意味の単語である。

環を形成する各結合軸で自由回転することで、シクロヘキサンの2つのいす型立体配座はふね型立体配座を経由して互いに入れ替わる。この立体配座の入れ替わりにより、アキシアルはエカトリアルに、エカトリアルはアキシアルに向きを変える。一方エカトリアルに比べてアキシアルは置換基同士の距離が接近している為、嵩高い置換基の場合は立体配座に影響を与え、アキシアルを避けて置換基がエカトリアル型をとる立体配座が優位になることが知られている。

アキシアル・エカトリアルと立体障害

性質

可燃性で、麻酔作用を持つので取り扱いには注意が必要。シクロヘキサン自体の用途は主として有機溶媒で、接着剤などに含まれている。

製法・利用

シクロヘキサンの大部分はベンゼンニッケルあるいはパラジウム触媒を用いて接触水素添加(水素化)することで工業的に生産される。また、石油改質の過程で生成するメチルシクロペンタンは触媒を用いてシクロヘキサンに転化し利用される。

工業的に生産されるシクロヘキサンはシクロヘキサノンシクロヘキサノールに転化され、最終的にはε-カプロラクタムアジピン酸ヘキサメチレンジアミンとなり、6-ナイロン6,6-ナイロンの原料として利用される。

シクロヘキサンの2010年度日本国内生産量は 483,426 t、工業消費量は105,764 t である[1]。また、防毒マスクの吸収缶の試験用ガスとしても、利用される事もある。

危険性

皮膚などに、長期間触れ続けた場合は、皮膚炎などの病気を引き起こす可能性がある。さらに、吸引などした場合は、低濃度の場合は、頭痛などを引き起こす。高濃度の場合は、意識喪失に陥る。また、低濃度だと、臭いがほぼ無いので注意しなければならない。 

脚注

  1. ^ 化学工業統計月報” (XLS). 経済産業省. 2011年3月23日閲覧。