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2008年10月19日 (日) 06:53時点における版

電気工事士でんきこうじし)は、一般用電気工作物および自家用電気工作物の工事に関する専門的な知識を有するものに都道府県知事により与えられる資格

電気工事士法の定めにより、原則として電気工事士の免状を受けているものでない限り、一般用電気工作物および500kW未満の自家用電気工作物の工事を行うことはできない(違反した場合には懲役または罰金の規定がある)。

義務

電気工事士の義務は次のとおり。

  • 電気工作物の電気工事に従事する際、電気設備技術基準に適合するように作業を行う義務。
  • 電気工作物を構成するもののうち電気用品安全法に定める器具などは、電気用品安全法の基準を満たすものを使用する義務。
  • 電気工事の作業に従事する際、電気工事士免状の携帯義務。
  • 第一種電気工事士定期講習の受講義務。(第一種電気工事士のみ)
  • 都道府県知事より業務に関して報告を求められた際の、報告義務。

分類

以下の区分で電気工事士として、工事に従事することが可能。

  • 第一種電気工事士
    • 500kW未満の自家用電気工作物(中小工場ビル、高圧受電の商店等)(ネオン工事及び非常用予備発電装置工事を除く)および一般用電気工作物(一般家屋、小規模商店、600V以下で受電する電気設備等)
  • 第二種電気工事士
    • 一般用電気工作物(一般家屋、小規模商店、600V以下で受電する電気設備等)
電気工事士法に基づく資格と工事の範囲 (○は工事可能)
資格 自家用 一般用
500kW未満
右記以外 電線路除く・600V以下 ネオン設備 非常用予備発電装置
第一種電気工事士 × ×
第二種電気工事士 × × × ×
認定電気工事従事者 × × × ×
特種電気工事資格者
(ネオン工事)
× × × ×
特種電気工事資格者
(非常用予備発電装置)
× × × ×

旧資格との関連

  • 高圧電気工事技術者 → 第一種電気工事士
    • ただし、高圧電気工事技術者試験合格のみでは、第一種電気工事士として工事することはできない。
    • 高圧電気工事技術者免状所持と所定の実務経験3年を経る事で第一種電気工事士の免状を取得することができる。
    • 許可主任技術者(後述)については、第一種電気工事士と同様である。
  • 電気工事士 → 第二種電気工事士(1987年→ )

資格取得方法

電気工事士免状は住所地の都道府県知事より交付される。

  • 第一種電気工事士については、第一種電気工事士試験合格後、免状を取得するには、大学高等専門学校電気工学科卒業者は、3年以上、それ以外については、5年以上の電気工事の経験が必要。ほか電気主任技術者についても、所定の実務経験で免状取得が可能。
  • 第二種電気工事士については、第二種電気工事士試験合格、あるいは経済産業大臣認定の第二種電気工事士認定校の指定を受けた指定教育機関(専門学校職業能力開発校等の養成施設で行われている対象科目)を修了した場合、すぐに免状が交付される。
  • 電気工事士免状交付手数料(各都道府県収入証紙にて納入)
    • 第一種電気工事士→5900円 第二種電気工事士→5200円 再交付手数料→第一種電気工事士2600円 第二種電気工事士2000円

試験

財団法人電気技術者試験センターが全国で年1回実施。試験は誰でも受験可能。 一種・二種どちらも筆記試験と技能試験があり、技能試験は筆記試験合格者及び筆記試験免除者のみ受験可能。 なお平成18年度より試験内容に一部変更があった。

  • 第一種電気工事士試験
  • 第二種電気工事士試験
    • 筆記試験は、工業高校電気科卒業や専門学校、大学などの認定校の科目取得による卒業、電気主任技術者の資格保有等により免除される。
  • 受験手数料等(平成19年度試験)
    • 第一種電気工事士試験→郵便申込11300円 ネット申込10900円
    • 第二種電気工事士試験→郵便申込9600円  ネット申込9300円 (受験手数料等は、変更されることもある)

過去には、小学4年生の男の子や、中学2年生の男子生徒も学科試験に合格したことがある。 年齢に関係なく誰でも電気工事士試験に挑戦できる数少ない電気系の国家資格試験である。

試験の内容

第2種電気工事士試験の学科試験については次のとおり

(1) 電気に関する基礎理論 (2) 配電理論及び配線設計 (3) 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 (4) 電気工事の施工方法 (5) 一般用電気工作物の検査方法 (6) 配線図 (7) 一般用電気工作物の保安に関する法令

 で、解答を答案用紙(マークシート)に記入する4択一方式により行う。なお、電卓及び計算尺の使用はできない。 学科試験の問題数は約50問で、一般問題20問 配線図問題(H17年まであった実技試験の材料等選別試験は廃止され、この配線図問題に組み込まれた)20問  鑑別問題10問

第2種電気工事士の技能試験は、実技試験を実施(なお学科試験合格者、あるいは学科試験免除者しかこの技能試験を受験することはできない)

(1) 電線の接続 (2) 配線工事 (3) 電気機器及び配線器具の設置 (4) 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法 (5) コード及びキャブタイヤケーブルの取付け (6) 接地工事 (7) 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定 (8) 一般用電気工作物の検査 (9) 一般用電気工作物の故障箇所の修理

 電動工具以外のすべての作業用工具を使用して、定められた時間内で単位的な施工作業を課し、所定の作品を完成させることにより、技能を評価する試験である。 実技の配線図は事前に試験センターより、ネット上などで公表される(公表配線図は12問くらい)


第1種電気工事士試験の学科試験の内容は次のとおり。

1) 電気に関する基礎理論 (2) 配電理論および配線設計 (3) 電気応用 (4) 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料および工具並びに受電設備 (5) 電気工事の施工方法 (6) 自家用電気工作物の検査方法 (7) 配線図 (8) 発電施設、送電施設および変電施設の基礎的な構造及び特性 (9) 一般用電気工作物および自家用電気工作物の保安に関する法令で、解答を答案用紙(マークシート)に記入する4肢択一方式により行う。 なお、電卓及び計算尺の使用はできない。 学科試験の問題数は約50問で、一般問題20問 配線図問題(H16年まであった実技試験の等価実技試験は廃止され、この配線図問題に組み込まれた)20問  鑑別問題10問

第1種電気工事士の実技試験の内容は次のとおり(2種技能試験と同様に学科試験合格者かあるいは学科試験免除者しか 技能試験は受験できない)

次に掲げる事項の全部または一部について行われる。

(1) 電線の接続 (2) 配線工事 (3) 電気機器及び配線器具の設置 (4) 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法 (5) コード及びキャブタイヤケーブルの取付け (6) 接地工事 (7) 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定 (8) 自家用電気工作物の検査 (9) 自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理

 技能試験は、実作業を課す実技試験が行われる。実技試験は、電動工具以外のすべての作業用工具を使用して、定められた時間内で実作業を課し、所定の作品を完成させることにより、技能を評価する試験である。 1種も同じく、試験センターより配線図が公表される(12問くらい)

 

認定

  • 第二種電気工事士については、認定を受けた指定教育機関(専門学校や職業能力開発校等)を修了した場合は、申請により免状を交付される。
  • 第一種電気工事士については、電気主任技術者の免状交付を受け、所定の実務経験を経る事で申請により免状を交付される。

他の国家資格との関連について

そのほか、電気工事士免状取得者は次の国家資格の受験資格を取得できる。

  • 第一種電気工事士試験に合格し所定の実務経験が3年未満のとき、3年以上の電気工事の経験、あるいは認定電気工事従事者認定講習を受け、所轄経済産業局の産業保安監督部長等に申請し、認定電気工事従事者認定者証の交付を受けると、500KWの自家用電気工作物のうち600V以下の電気配線や使用設備を設置し、または変更する工事の作業に従事できる。認定電気工事従事者
  • 5年以上のネオン工事の経験を積んだのち、特殊電気工事資格者講習を受け、所轄経済産業局の産業保安監督部長等に申請し、特種電気工事資格者認定者証(ネオン工事)の交付を受けると、電気工事のうちネオンサインの工事の作業に従事できる。特種電気工事資格者
  • 5年以上の予備発電装置工事の経験を積んだのち特種電気工事資格者講習を受け、所轄経済産業局の産業保安監督部長等に申請し、特種電気工事資格者認定者証(予備発電装置工事)の交付を受けると、電気工事のうち予備発電装置の工事の作業に従事できる。特種電気工事資格者
  • 消防設備士試験のうち、甲種の受験資格と、消防設備士試験の一部免除。消防設備士

(乙種第7類→電気に関する基礎的知識、消防用設備等の構造・機能の電気に関する部分、鑑別等試験全問免除) (甲種第4類、乙種第4類→電気に関する基礎的知識、消防用設備等の構造・機能の電気に関する部分、鑑別等試験一部免除)(甲種第1類~第3類、乙種第1類~第3類→電気に関する基礎的知識)

  • 消防設備点検資格者講習の受講資格。消防設備点検資格者
  • 建設業法による専任技術者資格(ただし二種取得者は3年以上の経験)建設業法
  • 電気工事施工管理技士受験資格。電気工事施工管理技士(第一種取得者は管理経験なしでも受験可能、第二種取得者は1年以上の管理経験)

主任技術者としての選任について

自家用電気工作物については、設置者(事業場の代表者)が所轄経済産業局の産業保安監督部長等の許可を受ければ電気工事士の資格保有者等を主任技術者として選任することができる。(一般にこれを許可主任技術者と称する。)

  • 第一種電気工事士(試験のみ合格の場合を含む)は500kW未満の受電設備に限定。
  • 第二種電気工事士の場合は100kW未満の受電設備に限定。

上記の用件を満たした上で、かつ、電気工作物の工事、維持及び運用の保安上支障がないと認められる場合に限り許可される。

許可主任技術者は許可を受けた事業場の電気工作物に限って認められるもので、一般的資格を付与されるものではない。 従ってその者が、他の事業場に勤務して、再び主任技術者となるときは、改めて許可を受けなければならない。また、同一事業場でも、その設備の規模・内容を著しく変更したような場合には、許可を取り消されることがある。 つまり、主任技術者はあくまでも電気主任技術者の有資格者を選任することが建前であり、許可主任技術者は電気主任技術者の有資格者が従業員に居ないなどやむを得ない理由により、小規模な自家用電気工作物に限って「許可」を受けるものであることに留意しなければならない。

無資格者による電気工事問題

一般家庭の電気工作物は、一般用電気工作物であり、工事には第一種または第二種電気工事士の資格が必要であることが電気工事士法に定められている。

電気工事士法は、「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること」を目的とした法律である。工事を依頼する側も電気工事士法の趣旨を理解し、安全のため、工事に従事する者の資格について関心をもたなければならないという事例である。

脚注

  1. ^ 読売ホームガイドニュース 2006年4月12日付読売新聞(2008年8月12日閲覧)
  2. ^ 不適切な電気工事について(厳重注意)

関連項目

外部リンク