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旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 強制不妊救済法、旧優生保護法補償金支給法
法令番号 令和6年法律第70号
種類 社会保障法
効力 現行法
成立 2019年4月24日
公布 2019年4月24日
施行 2019年4月24日
所管 こども家庭庁[1]
主な内容 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する補償金等の支給に関する事項を定める
関連法令 優生保護法母体保護法
制定時題名 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律
条文リンク 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律 - e-Gov法令検索
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旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律(きゅうゆうせいほごほうにもとづくゆうせいしゅじゅつとうをうけたものとうにたいするほしょうきんとうのしきゅうとうにかんするほうりつ、令和6年法律第70号)は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する補償金等の支給に関し必要な事項等を定めた日本法律。「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」として2019年平成31年)4月24日施行されたが、2024年(令和6年)7月3日の最高裁判所大法廷判決(国家賠償請求訴訟の欄を参照)を受け、令和6年10月17日に全部改正された。

行政機関の文書以外では、強制不妊救済法(きょうせいふにんきゅうさいほう)、旧優生保護法補償金支給法(きゅうゆうせいほごほうほしょうきんしきゅうほう)などの通称で呼ばれることが多い。

構成

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  • 前文
  • 第1章 総則(第1条・第2条)
  • 第2章 一時金の支給(第3条 - 第15条)
  • 第3章 旧優生保護法一時金認定審査会(第16条 - 第20条)
  • 第4章 調査等及び周知(第21条・第22条)
  • 第5章 雑則(第23条 - 第30条)
  • 附則

支給対象者と額および申請期間

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支給対象になる人

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優生手術等を受けた生存する本人で、具体的には次に該当する人である(第2条第2項)[2]

  • 優生保護法が施行されていた期間(1948年9月11日~1996年9月25日)に、旧優生保護法に基づいて優生手術を受けた人(旧優生保護法に基づいて不妊手術を受けた元ハンセン病患者も受給対象である[3]
  • 優生保護法が施行されていた期間(1948年9月11日~1996年9月25日)に、旧優生保護法に基づかない不妊手術または放射線の照射により生殖機能を失わせる手術を受けた人

支給対象にならない人

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母体保護や疾病の治療を目的とした、優生思想に基づかないことが明らかな不妊手術を受けた人。厚生労働省は一例として、次に該当する人などとしている[2][4]

  • 子宮内膜症や卵巣のう腫、卵巣がんなどの婦人科疾患の治療、精巣がんなどの男性生殖器疾患の治療を目的とした卵巣や精巣の摘出手術を受けた人
  • 分娩に伴う大量出血などの救命処置、腹部・骨盤部などの手術の際に、やむなくまたは偶発的に生殖機能が失われてしまった人

また、優生保護法が改正された現行の母体保護法下など、優生保護法が施行されていた期間(1948年9月11日~1996年9月25日)外に、優生思想に基づいた不妊手術または放射線の照射により、生殖機能を失わせる手術を受けた人は、支給対象にはならない[5]

支給額

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320万円(第4条)

この一時金は、非課税である。また、老齢年金、障害年金、生活保護制度の最低生活費などの公的扶助の受給者も、受け取ることができる(第15条)。

支給申請期間

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2019年4月24日から2029年4月23日までの10年間(第5条第3項)

受付・相談窓口

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各都道府県に受付・相談窓口が設置されている。また、こども家庭庁には制度全般に関する相談窓口が設置されている。

 ・都道府県 受付・相談窓口一覧

 ・こども家庭庁旧優生保護法一時金に関する相談窓口

   電話:03-3595-2575(10:00~17:00、月~金、土・日・祝日・年末年始を除く)

   ファックス:03-3595-2753  メール:ichijikin@cfa.go.jp

また、優生保護法被害弁護団の相談窓口でも、相談することができる。

なお、2019年4月24日付で、厚生労働省子ども家庭局母子保健課長が、各都道府県母子保健主管部(局)長に宛てた、一時金の請求等に関する事務の取扱いについての通知には、「相談支援」の項目に、「請求者が相談・請求をしやすい体制整備を都道府県において行うこと」とある[6]

成立の経緯

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国家賠償請求訴訟

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2018年(平成30年)1月30日、優生保護法による強制不妊手術を受けた宮城県在住の60代女性が、個人の尊厳や自己決定権を保障する日本国憲法に違反するとして、国家賠償を求めて仙台地方裁判所に提訴した[7]

この原告女性の代理人弁護士を始めとする184人の弁護士によって、2018年(平成30年)5月27日、全国優生保護法被害弁護団が結成された[8]。2019年(令和元年)5月15日時点で、全国規模の一斉電話相談を5回実施するなど、被害者の救済に向けた全国的活動を行っている[9][10]

2019年(平成31年)3月5日時点で、同様の国家賠償請求訴訟が、札幌・仙台・東京・静岡・大阪・神戸・熊本の7地方裁判所に提起されている。原告は、60代から80代までの男女20人にのぼる[11]

2024年5月30日、旧優生保護法下で、聴覚障害のある夫(故人)が不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、福岡県の妻らが国に損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は1644万5千円を支払うよう国に命じた。同種の訴訟は全国12地裁・支部で起こされ、一審判決は13件目。うち違憲判断は11件目、国への賠償命令は6件目[12]

法整備に向けた国会の動き

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宮城県在住の60代女性の提訴を受けて、2018年3月6日には、超党派による「優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟」(会長:尾辻秀久厚生労働大臣)が[13]、同年3月13日には、与党による合同ワーキングチーム(座長:田村憲久厚生労働大臣)が[14]、それぞれ発足した。

出典

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  1. ^ 令和4年6月22日付け閣副第689号内閣官房こども家庭庁設立準備室「こども家庭庁設置法、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律及びこども基本法の公布について
  2. ^ a b 一時金に関するリーフレット”. 厚生労働省. 2019年5月17日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ 元ハンセン病患者も救済一時金支給対象 強制不妊で厚労省”. 東奥日報. 2019年5月20日閲覧。[リンク切れ]
  4. ^ 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づく一時金の支給に関するQ&A〔5月15日時点版〕”. 厚生労働省. 2019年5月17日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ 「旧優生保護法改定後の被害も救済を」 不妊手術強いられた男性が会見”. 毎日新聞. 2019年5月20日閲覧。
  6. ^ 「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づく一時金の請求等に関する事務の取扱いについて(通知)(平成31年4月24日子母発0424第1号)”. 厚生労働省. 2019年5月22日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ 強制不妊、きょう提訴 宮城の60代「救済措置怠った」 国家賠償請求”. 毎日新聞. 2019年4月26日閲覧。[リンク切れ]
  8. ^ 全国弁護士が被害弁護団結成 強制不妊手術”. 日本テレビ. 2019年5月15日閲覧。
  9. ^ 弁護団声明”. 全国優生保護法被害弁護団. 2019年5月15日閲覧。
  10. ^ 今年最初の全国一斉電話相談実施します”. 全国優生保護法被害弁護団. 2019年5月15日閲覧。
  11. ^ 全国の訴訟一覧”. 全国優生保護法被害弁護団. 2019年4月26日閲覧。
  12. ^ 強制不妊、国に賠償命令 「除斥期間」適用せず 福岡地裁判決:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2024年5月31日閲覧。
  13. ^ 強制不妊手術、被害者の救済めざし議連設立 超党派で”. 朝日新聞. 2019年4月26日閲覧。[リンク切れ]
  14. ^ 強制不妊手術問題、自公作業チーム発足 まず実態把握へ”. 朝日新聞. 2019年4月26日閲覧。[リンク切れ]

参考文献

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外部リンク

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