国際女性同盟
設立 |
1904年6月3日 ベルリン |
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設立者 | Carrie Chapman Catt |
種類 | INGO |
目的 | 権利擁護 |
本部 | ジュネーブ |
会員数 | 世界の団体50件以上 |
公用語 | 英語・フランス語 |
会長 | Joanna Manganara |
事務局長 Secretary-General | Olufunmi Oluyede |
加盟 | 国際連合経済社会理事会(一般協議資格機関) 、欧州評議会(参加者資格) |
ウェブサイト |
womenalliance |
国際女性同盟 (IAW; フランス語: Alliance Internationale des Femmes =AIF) は国際的な非政府組織で、世界の女性の人権、特に女性のエンパワーメントと開発問題さらにより広く男女共同参画に注力する(本拠地ジュネーブ)。設立当初は有数の国際的な女性参政権組織であった(本拠地ロンドン)。その後、重点を広く人権全般へと拡大、現在は世界各地の加盟団体が50超、会員数百万人を数える。現在、国連代表としてニューヨークで活躍する Soon-Young Yoon は女性の地位NGO委員会委員長職とNGO会議第1副会長を兼務。
日本では日本婦人有権者同盟(League of Women Voters of Japan)が加盟していたが、2016年4月、日本婦人有権者同盟は活動メンバーの減少と高齢化により解散した[1]。
概要
[編集]この分野において世界で最も早く活動を始めた団体であり、最大規模で影響力の最も強い。創設当時の呼称は国際婦人参政権同盟 (IWSA)といい、世界中から集まったマリー・ストリット 、ミリセント・フォーセット、キャリー・チャップマン=キャット およびスーザン・B・アンソニーほか、フェミニストの代表が女性の参政権を求めてキャンペーンを行った[2]。なお在任中に初代会長チャップマン=キャットがアメリカで女性有権者リーグ(League of Women Voters)を創設。
公用語に英語とフランス語を採用するIAWの基本原理は、すべての女性と少女が十分に平等に人権を追及することにある。1926年に非政府組織として最高位にある国際連盟と強い絆を築くと、1947年に国連経済社会理事会で一般議決権を得た第4の組織となる。また欧州評議会にも参加権を有し、代表を国連本部(ニューヨーク)、国連事務所(ジュネーブおよびウィーン)、ユネスコ(パリ)あるいは食糧農業機関(ローマ)、欧州評議会 (ストラスブール)に置いている。さらにアラブ連盟(カイロ)や 湾岸諸国会議(リヤド)にも代表を送り、ヨーロッパ女性ロビー(ブリュッセル)でも影響力を発揮。組織代表のジョアンナ・マンガナラは国連代表団長を務める。組織のシンボルカラーの黄色は、女性の権利や女性普通選挙権を象徴する[3]。
沿革
[編集]1904年にベルリンで設立後、会議はコペンハーゲン (1906年) 、アムステルダム (1908年)、 ロンドン (1909年)、 ストックホルム (1911年) とブダペスト (1913年)で開かれた[4]。フランスの女性普通選挙権運動を代表するフランス婦人参政権組合 (UFSF、1909年2月設立) をロンドン会議で正式に承認した[5]。また独自の月刊雑誌『Jus Suffragii』を創刊。ミリセント・フォーセットの感化を受け、当初はエミリン・パンクハーストが唱えた女性普通選挙運動に対する戦闘的な姿勢を認めず、1906年のコペンハーゲン会議でWSPU 加盟を否決している[4]。
組織名は1920年代後半に国際女性参政権同盟に変更、1946年に現在の名称である国際女性同盟に改称する[6][7]。
初代運営陣を構成したのはキャリー・チャップマン=キャット会長以下アニタ・オーグスパーグ第1副会長 (Anita_Augspurg)、ドノバン・ボールデン第2副会長 (Donovan Bolden)とレイチェル・フォスター=エイベリー事務局長 (Rachel Foster Avery)である。
会議
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組織
[編集]3年に一度、加盟団体の母国で国際会議を開催し、代表選挙を行う。現在の連盟代表で国連主席代表はジョアンナ・マンガナラ (Joanna Manganara)。執行理事会理事20名の構成は事務長、監査役、主席副会長のほか地域代表副会長としてヨーロッパ、アラブ諸国およびペルシャ湾岸アラブ諸国連合ならびに南アジアの各1名を含む。
歴代会長
[編集]- 1904年–1923年 USA キャリー・チャップマン=キャット(Carrie Chapman Catt)
- 1923年–1946年 UK マージェリー・コルベット=アシュビー(Dame Margery Corbett Ashby)
- 1946年–1952年 スウェーデン ハンナ・リド (Hanna Rydh)
- 1952年–1958年 デンマーク エステル・グラフ (Ester Graff)
- 1958年–1964年 スリランカ エズリン・ドラニヤガラ(Ezlynn Deraniyagala)
- 1964年–1970年 パキスタン ベガム・アフメド-イブラヒム(Begum Anwar Ahmed)
- 1970年–1973年 フランス エディス・アンレプ(Edith Anrep スウェーデン)
- 1973年–1979年 フランス イレーヌ・デ・リプコウスキ(Irène de Lipkowski)
- 1979年–1989年 UK オリーブ・ブルーマー(Olive Bloomer)
- 1989年–1996年 ギリシャ アリス・ヨトポーロス-マランゴポーロス(Alice Yotopoulos-Marangopoulos)
- 1996年–2004年 オーストラリア パトリシア・ジャイルズ (Patricia Giles)
- 2004年–2010年 オーストリア ロージー・ヴェルツ (Rosy Weiss)
- 2010年–2013年 オランダ リダ・ヴェルステゲン(Lyda Verstegen)
- 2013年– ギリシャ ヨアンナ・マンガナラ (Joanna Manganara) (現職)
IAWは世界の50以上の団体を代表し、個人会員も多い。IAWが与えられた国連経済社会理事会一般協議資格は非営利組織の最高位であり(1947年)[8][9]、欧州評議会では参加資格を有する[10]。IAW代表は国連代表部のニューヨークとウィーン、ジュネーブ、パリ、ローマ、ナイロビには、ストラスブールに常駐し、欧州女性ロビー[11](ブリュッセル)を通じて欧州連合において発言する。現国連本部代表Soon-Young Yoonには、 国連ニューヨーク・女性の社会的地位非政府組織委員会(NGO Committee on the Status of Women, New York)の委員長を務める。
加盟団体
[編集]IAWが細心の注意を払う対象に、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約(CEDAW)ならびに付帯事項の批准と実施があり、現状の課題として正義と人権、民主主義、平和、暴力撤廃、健康に取り組む。
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出版物
[編集]機関誌
[編集]- 「国際婦人参政権ニュース:IWSA月報」
初版の出版地はロンドン、発行期間は1917年—1920年。英仏2ヶ国語で発行され、フランス語版の出版地はスイス(ジュネーブ)。
- 「Jus suffragii :IWSA月報」
- International Woman Suffrage Alliance (1906). Jus suffragii : monthly organ of the International Woman Suffrage Alliance (マイクロフィッシュ ed.). IDC. NCID AA11290655 - 合本。第1巻第1号 (1906年7月15日)—第11巻第3号 (1916年12月1日)
- International Woman Suffrage Alliance (1913). Jus suffragii : monthly organ of the International Woman Suffrage Alliance (再版 ed.). ラウトレッジ. NCID AA11822277 - 合本。第7巻第10号 (1913年7月15日)—第11巻第3号 (1916年12月1日)
- International Woman Suffrage Alliance (1917). The international woman suffrage news : the monthly organ of the International Woman Suffrage Alliance (マイクロフィッシュ ed.). IDC. NCID AA11290688 - 第11巻第4号(1917年1月1日)以降。フォーセット女性学ライブラリーシリーズ(Fawcett Library on women's studies)
- International Woman Suffrage Alliance (1917). The international woman suffrage news : the monthly organ of the International Woman Suffrage Alliance (再版 ed.). ラウトレッジ. NCID AA11822288 - 合本。第11巻第4号(1917年1月1日)から第14巻第11号(1920年9月)まで。
- 国際会議報告書
- International Woman Suffrage Alliance (1920). Percy Brothers NCID BB21941325 - 「第8回国際婦人参政権同盟(IWSA)会議報告書(1920年6月6日–12日、スイス、ジュネーブ)」
- International Woman Suffrage Alliance (1923). s.n., B. G. Teuber NCID BB22504949 - 「第9回国際婦人参政権同盟(IWSA)会議報告書(1923年5月12日–19日、イタリア、ローマ)」
関連項目
[編集]- List of suffragists and suffragettes - 女性参政権団体と参政権運動家の一覧
- List of women's rights activists - 女性の権利活動家の一覧
- List of women's rights organizations - 女性の人権団体一覧
- Women's suffrage organizations - 女性参政権機関
- Timeline of women's suffrage - 女性参政権のタイムライン
- Timeline of women's rights (other than voting) - 女性の権利のタイムライン(参政権以外)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 1列目 (左から右): J. Borden Harriman夫人 (アメリカ)、DeWitt Schlumberger (French Union for Women's Suffrage会長・フランス)、Marguerite Pichon-Landry (フランス)。2列目: Juliet Barrett Rublee (アメリカ)、Katherine Bennett Davis 博士 (アメリカ)、Brunsching 夫人。3列目: ミリセント・フォーセット (イギリス)、Ray Strachey (イギリス)、Rosamond Smith (イギリス)。4列目: Jane Brigode (ベルギー)、Marie Paunt (ベルギー)、Nevia Boyle (南アフリカ)、Van den Plas (ベルギー)。6列目: Sonnine Capi 夫人 (イタリア)、Eva Mitzhouma (ポーランド)。
出典
[編集]- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “日本婦人有権者同盟(にほんふじんゆうけんしゃどうめい)とは”. コトバンク. 2018年12月13日閲覧。
- ^ “International Woman Suffrage News (Centenary edition)”. Women Alliance. 2018年12月9日閲覧。
- ^ Lumsden 1997, p. 162.
- ^ a b Liddington 1989, p. 63.
- ^ Hause 2002.
- ^ “国際女性同盟 記録1906年–2004年” (英語). 2016年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月8日閲覧。
- ^ Boles & Hoeveler 2004, p. 21.
- ^ E/2007/INF/4 Economic and Social Council: List of non-governmental organizations in consultative status with the Economic and Social Council as of October 17, 2007 (E/2007/INF/4 国際連合経済社会理事会で一般協議資格を有する非政府組織名簿—2007年10月17日現在) (pdf) (Report) (英語). United Nations. 17 October 2007. 2007年12月18日閲覧。
- ^ “Search Results, Civil Society Participation”. NGO Branch, United Nations Department of Economic and Social Affairs. 2018年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月9 日閲覧。
- ^ “CoE 参加NGO名簿”. 2018年12月8日閲覧。
- ^ EWL加盟団体
参考文献
[編集]- Boles, Janet K.; Hoeveler, Diane Long (2004). Historical Dictionary of Feminism. Scarecrow Press. ISBN 0-8108-4946-1
- 日本語訳 - 水田珠枝; 安川悦子 (監訳)、鵜殿えりか、立川希代子、西山惠美、藤森かよこ、見崎恵子『フェミニズム歴史事典』ジャネット・K・ボールズ, ダイアン・ロング・ホーヴェラー (編著: Boles, Janet K.; Hoeveler, Diane Long)、明石書店、2000年。ISBN 4750313254。 NCID BA48256991。
- Hause, Steven C. (2002). “Union Française Pour Le Suffrage Des Femmes (UFSF)”. In Tierney, Helen. Women's Studies Encyclopedia. Greenwood Press 2015年3月13日閲覧。
- Liddington, Jill (1989). The Road to Greenham Common: Feminism and Anti-militarism in Britain Since 1820. シラキュース大学出版局. ISBN 978-0-8156-2539-1 2015年3月13日閲覧。
- 日本語訳 - ジル・リディントン (Liddington, Jill 著)、白石瑞子 (訳)、清水洋子 (訳)『魔女とミサイル : イギリス女性平和運動史』新評論、1996年。ISBN 4794803095。 NCID BN15180535。
- Lumsden, Linda J. (1997). “Appendix I”. Rampant Women: Suffragists and the Right of Assembly. University of Tennessee Press. pp. 161-163. ISBN 1572331631 2018年12月9日閲覧。
関連資料
[編集]- 単行本
- Jacobs, Aletta Henriette; Bosch, Mineke; Kloosterman, Annemarie (1990) (英語). Politics and friendship : letters from the International Woman Suffrage Alliance, 1902-1942. オハイオ州立大学出版会. ISBN 0814205097. NCID BA1169438X - アレッタ・H・ジェイコブズ、ミネケ・ボッシュ、アネマリー・クルースターマン共著、20世紀前半に見る国際婦人参政権同盟の通信(1902年–1942年)
- Wilmers, Annika (2008) (ドイツ語). Pazifismus in der internationalen Frauenbewegung (1914-1920) : Handlungsspielräume, politische Konzeptionen und gesellschaftliche Auseinandersetzungen. Schriften der Bibliothek für Zeitgeschichte. Bd. 23. Klartext. ISBN 9783898619073. NCID BA91840948 - アンニカ・フィルマー著、第一次世界大戦の戦中戦後の国際女性運動における平和主義(1914年–1920年)
- Rupp, Leila J (2011) (英語). Transnational Women's Movements. マインツ: 欧州歴史研究所 レイラ・J・ラップ著、国際的な女性運動について
- ウェブサイト
- 国際女性同盟文書記録 収蔵先はロンドン大学経済図書館女性図書館。
- 国際女性同盟(1904年‐2004年) [リンク切れ]
- 国際女性同盟の公式記録(1906年–2009年) スミス大学ソフィア・スミス文庫 Finding Aid
外部リンク
[編集]- 公式サイト
- 国際女性同盟の記録1906年-2009年 ソフィア・スミス文庫(スミス大学)
- 国際女性参政権同盟のアーカイブ。マンチェスター、ジョン・ライランド図書館。
- 憲法(女性権利資料館収蔵)。1909年、ハーバード大学ラドクリフ研究所シュレジンガー図書館。