ボカロ (音楽ジャンル)のソースを表示

{{pp|vandalism|small=yes}}
{{Infobox Music genre
| name = ボカロ
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| bgcolor = lightblue
| stylistic_origins = [[ポピュラー音楽]]、[[J-POP]]、[[ロック (音楽)|ロック]]、[[アニソン]]、[[エレクトロスウィング]]、[[ヒップホップ]]、[[ゲームミュージック]]、[[ダンスロック]]、[[エレクトロニック・ダンス・ミュージック|EDM]]等
| cultural_origins  = [[2000年代]]、[[2010年代]]<br />{{JPN}}
| instruments = [[デスクトップミュージック|DTM]]<br />[[音声合成]]ソフト<br />[[ボーカル]]<br />[[ギター]]<br />[[ベース (弦楽器)|ベース]]<br />[[ドラムセット]]<br />[[シンセサイザー]]<br />[[キーボード (楽器)|キーボード]]
| popularity = 21世紀初頭から若年層に流行
| derivatives = 
| subgenrelist = 
| subgenres = ボカロック、夜好性<br>など
| fusiongenres = ミクノポップ、VOCAROCK、ミックホップ、ポストミック
| local_scenes = 
| other_topics = [[VOCALOID]]、[[歌ってみた]]、[[ニコニコ動画]]、[[YouTube]]
}}
'''ボカロ'''とは、[[ヤマハ]]が開発した音声技術「[[VOCALOID]]」、及び同技術を応用したソフトウェアで製作された楽曲（'''VOCALOID曲'''、'''ボーカロイド曲'''、'''ボカロ曲'''）の総称<ref name=":12">{{Cite web|和書|title=ボーカロイド曲とは|url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E6%9B%B2-189194|website=コトバンク|accessdate=2021-09-20|language=ja|last=知恵蔵,デジタル大辞泉}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ボーカロイド発売から15年 当初は酷評、転機はやはり「初音ミク」 ヤマハの開発者が歴史を振り返る|url=https://mainichi.jp/articles/20190830/k00/00m/020/186000c|website=毎日新聞|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref><ref name=":27">{{Cite web|和書|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/32/1/32_WII-K/_pdf |title=音楽のジャンルと印象を用いたVOCALOIDクリエータの検索 |accessdate=2022-02-17 |publisher=WEBインテリジェンスとインタラクション2017 |author=末吉優、関洋平}}</ref>。このジャンルを音楽シーンに築いたのは[[クリプトン・フューチャー・メディア|クリプトン社]]の「[[初音ミク]]」とされる{{Sfn|ミクペディア|2013|p=50-51}}。ボカロ曲を制作する音楽家は[[ボカロP]]と呼ばれる<ref name=":7" />。

== 概要 ==
音楽ジャンルの一つである「ボーカロイド曲」は、狭義では株式会社ヤマハが開発した歌声合成技術と、応用ソフトウェア「VOCALOID」を使用した楽曲全般のことを指す表現である<ref name=":27" />。一方広義には「VOCALOID」だけでなく、「[[UTAU]]」「[[CeVIO]]」「[[Synthesizer V]]」「[[NEUTRINO]]」などの他社製音声合成ソフトを使用した楽曲全般も含めて「ボカロ曲」と呼ばれることがあり、[[商標の普通名称化]]が進んでいる<ref name=":17">{{Cite web|和書|title=ニコニコ動画的ボーカロイドの歴史を“970,686本の投稿動画”とともに振り返ってみた |url=https://originalnews.nico/288945 |website=ニコニコニュース オリジナル |accessdate=2021-09-20 |language=ja}}</ref><ref name="vocacolle">{{Cite web|和書|title=ボカコレとは |url=https://vocaloid-collection.jp/about/ |website=The VOCALOID Collection |accessdate=2022-02-09 |language=ja-JP}}</ref>。

ボーカロイド文化はクリプトン社の「[[初音ミク]]」の登場によって誕生し{{Sfn|柴那典|2014|p=148-149}}、ミクの歌声と共に日本の音楽シーンにジャンルが築かれていったとされている{{Sfn|ミクペディア|2013|p=50-51}}（→[[ボカロ (音楽ジャンル)#歴史|#歴史]]、[[初音ミク#初音ミク現象・影響]]）。

ボーカロイド曲は、通称「UGC」と称される「自主制作コンテンツ」の文化を生み出した存在として知られ<ref name=":12" />、ニコニコ動画やYouTube上で多数アップロードされて人気コンテンツの一つとなっている<ref name=":27" /><ref>{{Cite journal|author=山岸祐己、斉藤和巳|date=2012-08-09|title=VOCALOID楽曲の評価法及び推薦法|journal=情報処理学会研究報告}}</ref>。ニコニコ動画では、VOCALOIDを使用したオリジナル曲に対して、再生回数が10万回を突破したものには「VOCALOID殿堂入り」、100万回を突破したものには「VOCALOID伝説入り」、1000万回突破したものには「VOCALOID神話入り」のタグが付けられる<ref name=":14" /><ref name="ニコニコニュース2020-12-07">{{Cite web|和書|date=2020-12-07 |title=ニコニコで100万回以上再生されたボカロ動画を大公開！2007年-2020年を年代別に約700曲をリストアップ |website=[[ニコニコニュース]] |publisher=[[ドワンゴ]] |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw8592140 |accessdate=2021-09-24}}</ref>。

== 歴史 ==
=== VOCALOID開発前のロボット曲 ===
[[ファイル:IBM_704_mainframe.gif|thumb|IBM 704]]
[[File:Shellody-demo-Daisy.webm|thumb|Daisy Bell programmed in Standard shell]]
『[[デイジー・ベル]]』は、世界で初めて[[コンピュータ]]が歌った歌として知られる。[[1961年]]、[[ベル研究所]]の[[IBM 704]]が歌った。[[音声合成]]の主プログラムは[[ジョン・ラリー・ケリー・ジュニア|ジョン・ケリー]]とキャロル・ロックボーム（Carol Lockbaum）が、[[伴奏]]は[[マックス・マシューズ]]が[[プログラミング]]した。それを録音したものは、[[全米録音資料登録簿]]に登録されている<ref name="Library of Congress Preserving the first recording of Daisy Bell">[https://www.loc.gov/today/pr/2010/10-116.html National Recording Registry Adds 25{{Spaced en dash}}The Library Today（Library of Congress）<!-- Bot generated title -->]</ref>。

=== VOCALOID開発から初音ミクの登場前 ===
初音ミクより前のボーカロイド達は「現象」を起こすことが出来ず、仮にミクが成功していなかった場合は売上不振により歴史を終えていた可能性もあったと言われている{{Sfn|柴那典|2014|loc=4章1節}}。

[[2000年]]当時、打ち込み音源で唯一表すことができなかった「歌声」を音源として表現できるものを目指して[[剣持秀紀]]とバルセロナの[[ポンペウ・ファブラ大学]]の共同開発が始まった<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=ボーカロイドは音楽の歴史を変えたのか？初音ミクだけでないブームの背景とは｜ニュースイッチ by 日刊工業新聞社|url=https://newswitch.jp/p/28458|website=ニュースイッチ Newswitch|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。

[[2004年]]には最初のバージョンが出来上がり、クリプトン社からVOCALOID技術を紹介された[[ZERO-G]]社により同年3月に男声の「[[LEON・LOLA|LEON]]」と女声の「[[LEON・LOLA|LOLA]]」として発売されたが、商業的には失敗した（LOLAは[[平沢進]]がアルバム『[[白虎野]]』や『[[パプリカ オリジナルサウンドトラック]]』、2005年以降のライブ等にて使用している）<ref name=":0" /><ref name=":12" /><ref>{{Cite web|和書|title=青土社 {{!}}{{!}}ユリイカ：ユリイカ2008年12月臨時増刊号　総特集＝初音ミク|url=http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=2520|website=www.seidosha.co.jp|accessdate=2021-12-02}}</ref>。

2004年[[11月]]、ZERO-G社の反省を踏まえて日本初のVOCALOIDである女声の「[[MEIKO]]」がクリプトン社から発売され、3000本ほどの売上を達成し、大ヒットを記録した<ref name=":12" />。しかし、2006年2月発売の男声のVOCALOID「[[KAITO]]」は500本しか売れず、商業的には失敗した<ref name=":12" />。

この時期には[[muzie]]などの音楽配信サイトにMEIKOの楽曲が投稿されることはあったが、「ボカロシーン」と称されるものや多数のリスナーの存在はなかった。これには[[2006年]]12月にサービスを開始した[[ニコニコ動画]]などの存在がなかったことも影響していると考えられている<ref name=":7">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（1）初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ|url=https://realsound.jp/2020/08/post-599464.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。

=== 初音ミクの登場〜初音ミク現象 ===
{{Main|初音ミク#初音ミク現象・影響|初音ミク#企画の成り立ち}}

2007年8月31日に発売されたクリプトン社の「VOCALOID2 [[初音ミク]]」の登場からボカロ業界が動き出したとされている<ref name=":7" /><ref name=":2">{{Cite web|和書|title=短いけど深〜〜〜いボカロの歴史を、 和田たけあきさんに聞いてみた【VVmagazine73】|url=https://www.village-v.co.jp/news/media/7520|website=www.village-v.co.jp|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。

初音ミクはクリプトン社による“合成音声を仮想の少女に歌わせる（架空のキャラクターが歌う）”イメージを推し出したソフトで、当時のVOCALOIDの売上不振・YAMAHA側の開発規模の縮小によりVOCALOIDシリーズの断絶の危機にあった中、初動から想定以上の大ヒット{{Sfn|柴那典|2014|loc=4章1節}}{{Sfn|柴那典|2014|loc=4章4節}}。初音ミクは音楽という枠に留まらず様々な[[初音ミクのメディア展開|メディアミックス]]で快進撃を続けた<ref>{{Cite book|和書 |title=読売新聞夕刊popstyle|publisher=読売新聞 |date=2023-10-18|at=6-7面}}</ref>。
2022年-23年頃にはミクは「音楽革命」（変革）をもたらしたとも回顧されるほど、音楽業界に大きな影響を与えていくことになる<ref name="産経23123">[https://www.sankei.com/article/20230123-TDBD7FJFEBP3NLRP6XSMF453VM/ - 初音ミクが「１５０年後の国宝」に？！　音楽を変えた「電子の歌姫」]産経ニュース、2023年1月23日</ref><ref name="ファミ通23831">[https://www.famitsu.com/news/202308/31314867.html - 初音ミクが誕生した日。音楽シーンに大きな変革をもたらした電子の歌姫。『プロセカ』や『初音ミク Project DIVA』シリーズなどでおなじみ【今日は何の日？】] ファミ通.com、2023年8月31日</ref>。

2007年9月3日投稿の動画『初音ミクが来ないのでスネています』の投稿者がアイドルマスター文化の影響で「ワンカップP」と命名されたことからボカロ曲などを製作する人を指す言葉「[[ボカロP]]」という言葉も生まれた<ref name=":7" />。当時、公式イラストが3枚しかなかったが、[[2007年]]9月4日には[[Otomania]]によって『VOCALOID2 初音ミクに『Ievan Polkka』を歌わせてみた』が投稿され、初音ミクをデフォルメした二次創作キャラクター「はちゅねミク」が創作されるなど、音楽に付随する要素の創作も進められた<ref name=":3">{{Cite web|和書|title=初音ミクが開く“創造の扉”|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/25/news017.html|website=ITmedia NEWS|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref><ref>{{Citation|title=VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた|url=https://www.nicovideo.jp/watch/sm982882|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。

また、2007年9月13日に投稿された[[OSTER project]]の『恋スルVOC@LOID』、同年9月20日に投稿されたika_mo（[[鶴田加茂]]）の楽曲『[[みくみくにしてあげる♪【してやんよ】]]』、同年9月25日に投稿された『Packaged』、2007年10月5日に投稿された『celluloid』などの楽曲を筆頭に、VOCALOIDとしての「初音ミク」に焦点を当てた楽曲が数多く投稿された<ref name=":7" /><ref name=":4">{{Cite web|和書|title=初音ミク：21世紀の音楽革命をもたらした電子の歌姫|url=https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01038/|website=nippon.com|date=2021-03-26|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能”|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0709/28/news066.html|website=ITmedia NEWS|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。また、当時は「ボカロ」というカテゴリがニコニコ動画に存在していなかったことから「演奏してみた」などのカテゴリでボカロ曲を投稿していた人が多かった<ref name=":2" />。

この頃、初音ミクの歌は恋愛ソングが多く、次第にコメントを通して作り手と受け手の間で広まりを見せていった<ref name=":3" />。また鮎川ぱては、初音ミク発売後1年ほどは「[[萌え文化|萌えカルチャー]]」としてのボカロ曲が多かったと語っている<ref name=":5">{{Cite web|和書|title=「初音ミク」10周年 知れば知るほど奥深いボカロの世界 {{!}} 東大新聞オンライン|url=https://www.todaishimbun.org/vocaloid20171006/|website=www.todaishimbun.org|date=2017-10-05|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。

2007年12月3日、初音ミクの権利元「[[クリプトン・フューチャー・メディア]]」はコンテンツ投稿サイト「[[ピアプロ]]」を開設し、「キャラクター利用のガイドライン」を発表した<ref name=":4" />。以降、非営利の個人がキャラクターとしての初音ミクを自由に利用できるようになり、「ピアプロ」を通してのクリエイター間での結びつきが強まり、初音ミク関連の創作活動が活発化した<ref name=":4" /><ref>{{Cite web|和書|title=初音ミクが開く“創造の扉” - page 2|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/25/news017_2.html|website=ITmedia NEWS|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。また、2007年11月から始まった即売会「[[THE VOC@LOiD M@STER]]」（通称: ボーマス）は、ボカロPによる同人音楽CDの頒布などが実施される交流の場として定着した<ref>{{Cite web|和書|title=音楽の「ナマ感」伝えたい ボーカロイドイベント主催が語る (1/4)|url=https://ascii.jp/elem/000/000/480/480147/|website=ASCII.jp|accessdate=2021-07-17|language=ja|last=ASCII}}</ref>。

=== メルトショック〜キャラクターソングから一つの音楽ジャンルへ ===
{{See also|初音ミク#メルトショック}}

2007年12月7日発表の[[Supercell (クリエイター集団)|ryo]]のボーカロイド曲『[[メルト (supercellの曲)|メルト]]』は「VOCALOIDとしての初音ミク」でなく、「1人の少女としての初音ミク」を映し出した楽曲となり、以降、VOCALOIDではない「一人の個人としてのVOCALOID」を描く楽曲も誕生していった<ref name=":2" /><ref name=":4" />。『メルト』の誕生は「[[歌ってみた]]」のブームを巻き起こし、生身の人間歌手([[歌い手]])が歌ってもボカロ曲と呼びニコニコ動画上の「ボカロ」タグを貼る様になった<ref name=":1" />。

一方の初音ミクにとっても[[バーチャルシンガー]]として広く受け入れられ、役割を大きく広げるきっかけとなった{{Sfn|柴那典|2014|p=153-156}}。そして初音ミクが発売されてから1年を過ぎた頃からボカロ曲のリスナーの男女比が1対1となり、次第に「萌えカルチャー」としてのボカロ曲から「音楽ジャンル」としての初音ミクへと変化していく<ref name=":5" />。

2008年4月に投稿された[[cosMo@暴走P]]の楽曲『[[初音ミクの消失]]』などの「ボカロならでは」の音楽も数多く製作されていた中でVOCALOIDソフトを利用したことによる音楽上の発見がなされ「早口で棒読みな歌唱」「人間では難い広音域」などを用いた楽曲や「初音ミクのネギを振るった[[イエヴァン・ポルッカ]]に似た曲調の楽曲」等は新しい音楽ジャンルとして認識されはじめる。2008年の中頃にはポップスや打ち込みサウンドを主流としていたボカロ曲に、バンド出身者によるロックが参入してくる、いわゆる「VOCAROCK」が隆盛したとされている<ref name=":13">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（1）初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ ページ2|url=https://realsound.jp/2020/08/post-599464_2.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。164の初投稿作『shiningray』、[[DECO*27]]の初投稿作『僕みたいな君 君みたいな僕』、OneRoom（[[ジミーサムP]]）の楽曲『Scene』などがその代表例とされている<ref name=":13" />。またこの時期には、[[現代音楽]]や[[ブレイクコア]]を取り入れたもの（Treow）、[[プログレッシブ・ロック]]の影響を受けたもの（[[sasakure.UK]]）など、先鋭的な作風でのヒットも見られるようになった。

2008年8月27日にはlivetune feat.初音ミク『[[Re:package]]』が初のメジャーで流通したボカロアルバムとなった<ref name=":13" />。同時期に、ニンテンドーDSiのソフト『[[うごくメモ帳]]』のサービスが開始し、ボカロ曲のカラオケが本格的に始まったことがボカロ曲の流行にも影響を与えたとされている<ref name=":13" />。

2009年5月にデビューした[[wowaka]]やハチ（[[米津玄師]]）などを筆頭に、この頃から「VOCALOIDであること」に焦点を当てた作品だけでなく、後に「VOCALOIDっぽい」と認識されることになるような作風を持つ楽曲も多数生まれてきた<ref name=":13" /><ref name=":14">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（2）シーンを席巻したwowakaとハチ|url=https://realsound.jp/2020/08/post-599468.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。その特徴としては、wowakaの『裏表ラバーズ』での[[ビート・パー・ミニット|BPM]]159・[[十六分音符|16分音符]]の早口歌唱や、ハチの楽曲における特徴的な[[音階]]（『Persona Alice』の[[ブルー・ノート・スケール]]、『結ンデ開イテ羅刹ト骸』の[[短音階#旋律短音階（メロディック・マイナー・スケール）|メロディック・マイナー・スケール]]）の採用が挙げられる<ref name=":14" />。また「サビで転調する」歌が多く見られるようになったのもこの時期だとされており、この特徴は後に「2010年の3大ヒットボカロ曲」と形容されるwowakaの『[[ワールズエンド・ダンスホール]]』、DECO*27の『モザイクロール』、ハチの『マトリョシカ』などの楽曲にも見られる<ref name=":14" />。このほかトーマは2011年5月の『バビロン』において、[[ポスト・ハードコア]]的な過剰性・複雑性を取り入れている<ref name=":15" />。

また、2009年頃から当時の若年層がボーカロイド曲を耳にし始めたとされている<ref name=":14" />。2009年には[[JOYSOUND]]のカラオケランキングで『[[メルト (supercellの曲)|メルト]]』がランクイン、2010年にはトップ10曲中の5曲がボーカロイド曲となる程の人気を博した<ref name=":14" />。カラオケ「JOYSOUND×UGA」では、2011年のVOCALOIDの演奏回数は前年の1.7倍に達し、徐々にボカロ曲が裾野を広げていったことが窺える<ref>{{Cite web|和書|title=年間カラオケランキング ボカロ演奏前年比1.7倍 部門1位「メルト」|url=https://animeanime.jp/article/2011/12/01/9025.html|website=アニメ！アニメ！|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。同年から2012年ごろにかけてはメディアを通してボカロ曲が世間に広まっていった時期とされており<ref name=":15" />、たとえば2011年9月17日にニコニコ動画上に投稿された[[黒うさP]]の楽曲『[[千本桜 (曲)|千本桜]]』は、カラオケなどを介して広く伝搬していった<ref>{{Citation|title=『初音ミク』千本桜『オリジナル曲PV』|url=https://www.nicovideo.jp/watch/sm15630734|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。

この間、後のwowakaやハチの活動停止を受けて、2011年から彼らの影響を受けたと考えられている楽曲も多数登場した<ref name=":15">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（3）kemuとトーマ、じんが後続に与えた影響|url=https://realsound.jp/2020/09/post-613822.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。例えば、2011年11月からボカロPとしての活動を開始した[[kemu]]のデビュー曲『人生リセットボタン』はBPM200という速いテンポに16分音符を使用したロック音楽となっている<ref name=":15" />。2013年3月に投稿された日向電工のヒット曲『ブリキノダンス』には16分音符の早口歌唱を始めとした、wowakaの影響を受けたと考えられるような特徴も数多く見受けられる<ref name=":15" />。

2012年頃には『[[カゲロウプロジェクト]]』に代表される「プロジェクト系」の進行が見られた<ref name=":15" />。他にも椎名もたの楽曲『ストロボラスト』はJust the Two of Us進行とリリースカットピアノを共に用いるという新たな音楽ジャンルを切り開いた<ref name=":18">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（5）ナユタン星人、バルーン、ぬゆり、有機酸ら新たな音楽性の台頭|url=https://realsound.jp/2020/10/post-630267.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。「リリースカットピアノ」は、2012年に投稿されたlumoの楽曲『逃避ケア』、2013年に投稿された150Pの楽曲『孤独ノ隠レンボ』、2013年に[[スズム]]名義で投稿された楽曲『世界寿命と最後の一日』、2014年に投稿された[[まふまふ]]の楽曲『戯曲とデフォルメ都市』などにみられ、2016年以降のボーカロイド曲にも影響を与えた<ref name=":18" />。

=== ポップスの流行 ===

2013年中頃にkemuとトーマの活動が一時的に中断され、『[[カゲロウプロジェクト]]』のメディア展開も一旦完結した<ref name=":16" />。プロジェクト系の衰退がみられたこの時期は、ボカロ史においては「衰退期」「焼け野原」と呼ばれている<ref name=":15" /><ref name=":18" /><ref name=":16" /><ref name=":23">{{Cite web|和書|title=ナユタン星人が告白したデビューの真相 音声合成ソフト「可不」に見た新世界への扉 |url=https://kai-you.net/article/80818 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。ボカロ業界が「焼け野原」になったことに伴って、高速を特徴としたロック風の楽曲からポップス風の楽曲が流行した<ref name=":16">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（4）n-bunaとOrangestarの登場がもたらした新たな感覚|url=https://realsound.jp/2020/09/post-613823.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。この頃に流行した曲として[[スズム]]名義で投稿された楽曲『世界寿命と最後の一日』、TOKOTOKO（西沢さんP）の楽曲『夜もすがら君想ふ』、ユジーの『ミルクラウン・オン・ソーネチカ』、想太の『いかないで』、[[n-buna]]の『[[ウミユリ海底譚]]』や『夜明けと蛍』、[[Orangestar]]の『イヤホンと蝉時雨』や『[[アスノヨゾラ哨戒班]]』などが挙げられる<ref name=":16" />。[[HoneyWorks]]、[[とあ]]、[[40mP]]などのボカロPも同時代に活動している<ref name=":16" />。これは、高速ロックの流行が落ち着いたことに伴ってポップスが表面化したことが関係していると考えられている<ref name=":16" />。2014年にはニコニコ動画において海外Pとしては初めてミリオンを達成したCrusher-Pの『ECHO』が投稿されている<ref name=":16" />。

2014年のJOYSOUNDカラオケ年代別ランキングでは10代のトップ20のランキングで、20曲中11曲がボカロ曲であるという結果となった<ref name=":5" />。同ランキングにおいて40代の第5位にランクインした『[[千本桜 (曲)|千本桜]]』は<ref name=":5" />、2015年に[[小林幸子]]が[[紅白歌合戦]]において歌唱している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.itmedia.co.jp/news/spv/1512/21/news086.html|title=小林幸子さん、紅白でボカロ曲「千本桜」を披露|publisher=|accessdate=2021-10-01}}</ref>。

その一方で、中国では2012年頃より「VOCALOID CHINA PROJECT(現・Vsinger)」の[[洛天依]]を始めとした中国語VOCALOIDにより、[[Bilibili]]で独自の文化を形成していくことになる<ref>[https://ascii.jp/elem/000/000/860/860755/ 中国ボーカロイドの推進企業に中国ボカロの未来を聞いた！]</ref>。

=== 「衰退期」を超えて ===
前述の「焼け野原」の時代とポップスの時代を超えて、[[2016年]]1月に[[DECO*27]]が楽曲『ゴーストルール』を投稿し、その後、2016年4月に投稿された[[ナユタン星人]]の楽曲『エイリアンエイリアン』、[[Neru]]の『脱法ロック』、[[和田たけあき]]の『[[チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!]]』、有機酸（[[神山羊]]）の『lili.』などが人気を集め、再び勢いが盛んになった<ref name=":18" />。この時期には[[コンピレーションアルバム]]シリーズ『ドンツーミュージック』や『モノカラーガールスーパーノヴァ』に代表されるような[[ダンスロック]]の流行が見られた<ref name=":18" />。

同年9月に[[ぬゆり]]が発表した『[[フラジール (ぬゆりの曲)|フラジール]]』は、エレクトロスウィングや、音がスパッと切れることが特徴となっている「リリースカットピアノ」の流行に寄与した<ref name=":18" />。また、『フラジール』は同年10月に有機酸（[[神山羊]]）が投稿した『lili.』とともに「エレクトロニックミュージック」の枠組みで語られることもある<ref name=":18" />。また、バルーン、ぬゆり、有機酸などのボカロPのヒット曲で「[[v flower]]」が使用されたのもこの時期である<ref name=":18" />。同年10月にはバルーン（[[須田景凪]]）が『[[シャルル (曲)|シャルル]]』のボカロバージョンを投稿した数日後に自ら『シャルル』を歌ったセルフカバーのミュージックビデオを発表したことからボカロP自身がボカロ曲を歌うことも増加したと和田たけあきは話している<ref name=":2" />。これらの楽曲には前述のJust the Two of Us進行が使用されているという共通点がある。同時代の邦楽の場合、この進行は[[ネオ・シティポップ]]、Kawaii Future Bassなどで使用されており、[[R Sound Design]]の「帝国少女」はこの流れを汲んでいるといえる<ref name=":18" />。

=== 初音ミク10周年とYouTubeの台頭 ===
2017年には、wowakaなどからの影響を受けて独自のメタル的なフレーズと特徴的な音色の合成を多用した楽曲を製作したボカロPの[[MARETU]]が同年に投稿した楽曲4曲全てで100万回再生を記録した<ref name=":19">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（6）syudouと煮ル果実の功績、YouTube発ヒット曲の定着|url=https://realsound.jp/2020/10/post-630279.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。また、kemuの影響を受けた後にシンセを排した独自の音楽路線に転向した[[かいりきベア]]もヒット曲を叩き出した<ref name=":19" />。同年12月投稿の[[ツミキ]]の『トウキョウダイバアフェイクショウ』がヒットを記録するなど、リリースカットピアノや200を超える高BPMを特徴した楽曲の流行も見られた<ref name=":19" />。

2017年は初音ミク10周年を迎え、wowaka、kemu、ハチなどのボカロPの楽曲が久しぶりに投稿された。<ref name=":1" />。例えば、wowakaは楽曲『アンノウン・マザーグース』でヒットを叩き出し、初音ミク10周年を記念した「[[初音ミク「マジカルミライ」|初音ミク「マジカルミライ 2017」]]」のテーマソングであるハチの楽曲『[[砂の惑星 (ハチの曲)|砂の惑星]]』は歴代最速でニコニコ動画に投稿されたボーカロイド曲としてミリオン再生を記録した<ref name=":1" /><ref name=":19" />。なお「砂の惑星」は2016年当時のボカロシーンを風刺したものと言われており、後にナユタン星人<ref>{{Cite web|和書|title=ナユタン星人「ナユタン星からの物体Z」宇宙初インタビュー|url=https://natalie.mu/music/pp/nayutalien|date=2018-08-31|access-date=2022-04-17|website=音楽ナタリー}}</ref>や[[syudou]]<ref>{{Cite web|和書|title=粗品「乱数調整のリバースシンデレラ」特集 粗品×syudou対談|url=https://natalie.mu/music/pp/soshina/page/2|date=2021-03-31|access-date=2022-04-17|website=音楽ナタリー}}</ref>らがアンサーソングを発表した。
ヒット楽曲の主要な投稿先が、ニコニコ動画だけでなく[[YouTube]]に移行したのも2017年とされており、その先駆けの一つとされている[[カンザキイオリ]]の楽曲『[[命に嫌われている。]]』がYouTube上に投稿されたのもこの時期である<ref name=":19" />。この楽曲のまふまふによる「[[歌ってみた]]」動画は現在YouTubeで1億回再生を突破している。この頃から、YouTube上での活動に際して、こんにちは谷田さん（[[キタニタツヤ]]）、しーくん（[[seeeeecun]]）、有機酸（[[神山羊]]）、MI8k（YUUKI MIYAKE）、mao sasagawa（[[笹川真生]]）、[[はるまきごはん]]、[[Eve (歌手)|Eve]]（[[歌い手]]としても活動していた）などに代表される、ボーカロイド曲のセルフカバーを投稿してシンガーソングライターデビューを果たすという流れが本格化した<ref name=":19" />。また、「和」の雰囲気の楽曲を作る[[羽生まゐご]]や[[一二三 (ミュージシャン)|一二三]]、その逆に洋楽に影響された<ref>{{Cite web|和書|url=https://rockinon-com.cdn.ampproject.org/v/s/rockinon.com/interview/detail/198155.amp?amp_js_v=a6&amp_gsa=1&usqp=mq331AQKKAFQArABIIACAw%3D%3D#aoh=16324073868564&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&ampshare=https%3A%2F%2Frockinon.com%2Finterview%2Fdetail%2F198155 |title=Guiano、才気溢れるシンガーソングライターとして立つ。ニューアルバム『A』インタビュー！ |publisher = |accessdate=2021-09-23}}</ref>[[Guiano]]などが登場している。

2018年2月には[[みきとP]]の楽曲『[[ロキ (曲)|ロキ]]』が投稿され、同年12月の「[[YouTube FanFest]]」でVTuberの[[キズナアイ]]と[[ミライアカリ]]が[[majiko]]とともに『ロキ』を熱唱するなどの展開を見せた<ref>{{Cite web|和書|title=みきとPが語る、ボカロPを取り巻く現状への違和感「“踏み台”なんていう言い方はよしてほしい」|url=https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_743b3baa-d009-4240-94e4-7e4840c938d2.html|website=ぴあ|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。2018年10月には[[煮ル果実]]の楽曲『紗痲』が、2019年2月にはBPM69という低速の楽曲となった煮ル果実の楽曲『ヲズワルド』がヒットした<ref name=":19" />。2019年1月にはエレクトロニックミュージックやJust the Two of Us進行の流れを組んだ[[syudou]]の楽曲『ビターチョコデコレーション』がヒットを記録するなどの現象も起こった<ref name=":19" />。煮ル果実とsyudouに代表されるトラップとヒップホップの流れは、ハチの楽曲『[[砂の惑星 (ハチの曲)|砂の惑星]]』の系譜を組んだものとなっている<ref name=":19" />。2019年4月には、同様にエレクトロニックミュージックに位置づけられる[[Ayase]]（[[YOASOBI]]のコンポーザーも務める）の楽曲『ラストリゾート』がYouTube上に投稿されている<ref name=":19" />。また、この頃[[すりぃ]]が1分ジャストの曲の中で起承転結を成立させ、キャッチーさと物足りなさを作り出すことで中毒性を生む、という手法でヒット<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.village-v.co.jp/news/media/6663 |title=業界騒然!?今年間違いなく爆流行りするボカロＰ「すりぃ」さんに色々聞いた。 |publisher = |accessdate=2021-09-21}}</ref>。

2019年8月に楽曲『オートファジー』で、2020年4月に『ボッカデラベリタ』でヒットした[[柊キライ]]は、[[クラブミュージック]]、[[エレクトロ・スウィング]]を中心とした幅広いジャンルの要素を取り込んだ曲風で人気を博した<ref>{{Cite web|和書|title=柊キライ – ボカロ史に残る大名曲「ボッカデラベリタ」を生み出したボカロPとは…？ カルチャ[Cal-cha]|url=https://ticketjam.jp/magazine/music/vocaloid/36205|date=2021-07-02|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref><ref name=":20">{{Cite web|和書|title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（7）柊キライ、Kanariaら2020年の活躍と今後のシーンに寄せて|url=https://realsound.jp/2020/11/post-650648.html|website=Real Sound｜リアルサウンド|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。2020年5月に楽曲『百鬼祭』でデビューし、2作目の『KING』で大ヒットを記録した[[Kanaria]]は、ロック調ではないシンセや電子ビートなどを特徴とした曲風、2分半という曲の短さなどで人気を博した<ref name=":20" />。この頃発表した楽曲がヒットを記録した人物として、[[john (ミュージシャン)|john]]、Peg、wotaku、獅子志司、SEVENTHLINKS、[[マイキ|マイキP]]、シャノン、[[Aqu3ra]]などの名前が挙げられる<ref name=":20" />。また、[[てにをは (音楽家)|てにをは]]も2020年2月に『[[ヴィラン (曲)|ヴィラン]]』で再度ヒットを果たした<ref name=":20" />。

=== メディアの多様化 ===
2020年5月、ボカロPのちいたなによって、Twitter上のハッシュタグ「#vocaloPost」が登場し、徐々に広がりを見せ始めた<ref name=":20" /><ref>{{Cite web|和書|title=https://twitter.com/dokotana/status/1256142291095314439|url=https://twitter.com/dokotana/status/1256142291095314439|website=Twitter|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。2020年12月からはボカロの祭典「[[The VOCALOID Collection]]」が開催され、[[柊マグネタイト]]や卯花ロク、Fushiなどへ注目が集まった<ref name=":17" /><ref>{{Cite web|和書|title=柊キライ、卯花ロク、柊マグネタイト……「才能の登竜門」ボカコレと、頭角を現す新世代ボカロPたち（柴那典） - 個人|url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/844374a26f3a3bc200e9c0813b92f26363f0a81e|website=Yahoo!ニュース|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ボカロの祭典「The VOCALOID Collection」12月に3DAYS開催|url=https://natalie.mu/music/news/399728|website=音楽ナタリー|accessdate=2021-09-20|language=ja|first=Natasha|last=Inc}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ボカロ史を振り返るライブイベント「The VOCALOID Collection LIVE」開催、「みんな逢いたかった」小林幸子も涙 {{!}} Musicman|url=https://www.musicman.co.jp/artist/363691|website=音楽業界総合情報サイト {{!}} Musicman|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。2020年9月30日にサービス開始したゲームアプリ『[[プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク]]』は、ユーザー全体の8割を20代前半までのユーザーが占め、特に10代が5割から6割ほどを占めている<ref>{{Cite web|和書|title=『プロセカ』がボカロファンやミクたちに与えた影響 ― ニコニコ動画が果たしていたような役割を担うかもしれない【開発者座談会】 |url=https://news.denfaminicogamer.jp/interview/210401n |website=電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない？ |date=2021-04-01 |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。『プロジェクトセカイ』への提供曲である[[すりぃ]]の『[[限りなく灰色へ]]』や[[Ayase]]の『シネマ』は年内に100万再生を突破し、[[sasakure.UK]]の『[[トンデモワンダーズ]]』はTikTok上での話題曲となった<ref>{{Cite web|和書|title=「ボカロ」人気再び？大ヒット曲が続々誕生 需要生んだ2つの仕掛け（J-CASTニュース） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ae91de72dc2f6fa8bd17f410b6f7769244c2f485 |website=Yahoo!ニュース |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref><ref name=":24">{{Cite web|和書|title=2021年「歌ってみた」されたボカロ曲10選 「ヴァンパイア」に「神っぽいな」も |url=https://kai-you.net/article/82462 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。ボカロPの[[Mitchie M]]は、給食の時間に『アイドル親鋭隊』が流れたとするツイートを何度も見かけたことに触れながら、『プロジェクトセカイ』を通じて以前のボカロ層以外もボカロを聴くようになったと話している<ref>{{Cite web|和書|title=【プロセカ1周年特集】ボカロPに直撃インタビュー！ 書き下ろし楽曲の制作秘話！ そしてボカロPになるには！？ #3：Mitchie Mさん {{!}} コロコロオンライン｜コロコロコミック公式 |url=https://corocoro.jp/307943/ |date=2021-10-15 |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。他にも、[[DECO*27]]の『ヴァンパイア』、[[ピノキオピー]]の『[[神っぽいな]]』、[[すりぃ]]の『[[エゴロック]]』、[[wotaku]]の『シャンティ』などの歌ってみた動画が多数投稿された<ref name=":24">{{Cite web|和書|title=2021年「歌ってみた」されたボカロ曲10選 「ヴァンパイア」に「神っぽいな」も |url=https://kai-you.net/article/82462 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。また、[[ポピュラー音楽|ポップス]]に属しながら、「混沌としていながら破綻はしておらず、不思議と統制は取れている」と評される[[いよわ]]が『きゅうくらりん』で、wowakaや[[ヒトリエ]]へのリスペクトを感じさせる一方、ギターのエディットや[[歌愛ユキ]]の使用などで独自色を見せる[[稲葉曇]]が『ラグトレイン』で、[[エレクトロニック・ダンス・ミュージック|EDM]]や[[プログレッシブ・ハウス]]、[[ダブステップ]]を取り入れた音楽性と、難解な語彙を用いた歌詞や壮大な世界観をもつ<ref name=":17" />[[柊マグネタイト]]が『マーシャル・マキシマイザー』で、[[ビリー・アイリッシュ]]から影響を受け、[[トラップ (音楽のジャンル)|トラップ]]と「病み」「メンヘラ」要素を組み合わせた[[なきそ]]が『ド屑』でそれぞれ注目を集めた<ref name=":20" />。

[[TikTok]]を中心に流行した[[Chinozo]]の楽曲『[[グッバイ宣言]]』は2021年8月にハチの『砂の惑星』を超えてYouTubeでのボカロ曲再生回数の最高記録を塗り替えた<ref>{{Cite web|和書|title=YouTubeのボカロ曲歴代再生数、Chinozo「グッバイ宣言」がトップに|url=https://kai-you.net/article/81155|website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here .|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref><ref name=":21">{{Cite web|和書|title=歴代最多7000万再生突破のボカロ曲「グッバイ宣言」が書籍化 作者のChinozoが監修（KAI-YOU.net）|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/e3e73fec301cebd054b32a0863f20b48cd8a2bb2|website=Yahoo!ニュース|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=【TikTok週間楽曲ランキング】Chinozo「グッバイ宣言」5度目の首位 kZm×Tohji、P丸様。ら初登場（Billboard JAPAN）|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/c2921b5a794c986d064c5fbd5ef81a149d8e199e|website=Yahoo!ニュース|accessdate=2021-09-21|language=ja}}</ref>。『グッバイ宣言』は2021年10月に書籍化される<ref name=":21" />。他に2021年頃にTikTokで話題となった曲としては、[[かいりきベア]]の『ベノム』、[[ナユタン星人]]の『惑星ループ』、[[キノシタ]]の『ポッピンキャンディ☆フィーバー!』などがある<ref>{{Cite web|和書|title=【2022年】TikTokで流行の人気曲54選 「シル・ヴ・プレジデント」「グッバイ宣言」もあるよ |url=https://kai-you.net/article/50396 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。

2022年12月7日からは、ニコニコ動画でのボカロ曲の動画再生回数やコメント数などのデータを元に[[Billboard JAPAN]]が発表する音楽チャート「[[ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20]]」が開始されている<ref>[https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/119119/2 Billboard JAPAN、新チャート“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”をスタート],Billboard JAPAN,2022年12月5日</ref>。

== 特徴 ==
京都精華大学教授の[[末次智]]は、学生たちの歌うボーカロイド曲の特徴として、圧倒的な言葉量とJ-POPとは違う速さが目立つことを挙げている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kyoto-seika.ac.jp/researchlab/wp/wp-content/uploads/kiyo/pdf-data/no43/no_suetsugu_satoshi.pdf |title=ボーカロイド歌考 -現代におけるうたの発生をめぐって- |accessdate=2022-02-17 |publisher=京都精華大学 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20211122024957/https://www.kyoto-seika.ac.jp/researchlab/wp/wp-content/uploads/kiyo/pdf-data/no43/no_suetsugu_satoshi.pdf |archivedate=2021-11-22 |last=末次 |first=智}}</ref>。[[Real Sound]]での研究では、ボーカロイド曲は邦楽よりもサビの転調の割合が高いとしている<ref name=":14" />。宮本強は歌詞とメロディの情報を入力するだけで楽曲内のボーカルパートが作れることを特徴として挙げている<ref>{{Cite journal|author=宮木強|year=2015|title=VOCALOIDUCER TM: ボカロ曲の自動生成システム|journal=エンタテインメントコンピューティングシンポジウム}}</ref>。ボーカロイド曲は、歌声合成の一種のため、作曲者が意図的にブレス音を挿入しない限りはブレス音が楽曲の中で登場しないため、ユーザーが歌うことを想定すると適切な位置へのブレス音の挿入が必要だと考えられている<ref name=":25">{{Cite web|和書|url=http://sython.org/papers/SIG-SLP/naito2020otogaku.pdf |title=VOCALOID 曲の歌唱におけるブレス位置の自動推定 |accessdate=2022-02-17 |publisher=情報処理学会研究報告 |author=内藤悟嗣、齋藤佑樹、高道慎之介、齋藤康之、猿渡洋}}</ref>。著名なボーカロイド曲で、ブレスの位置はフレーズの間に挿入される可能性が高く、フレーズはボーカル（ボーカロイド）の言語的・歌声的特徴によるものが多い<ref name=":25" />。

論文『ボーカロイドの人気曲における歌詞とメロディの関係の解析』では、VOCALOIDが人気となっている理由として、音域やテンポなどの関係で人間が歌唱しにくい歌を歌えることを挙げている<ref name=":26">{{Cite journal|author=佐々木あすか、中山伸一、真栄城哲也|title=ボーカロイドの人気曲における歌詞とメロディの関係の解析|journal=情報処理学会第75回全国大会}}</ref>。また、研究結果では人気のボーカロイド曲は普通のボーカロイド曲よりも発生時間が短く、テンポが速く、早口であるという結果が出ている<ref name=":26" />。また、人間が歌う楽曲よりもテンポが高く、発生時間が短いとの結果も出ている<ref name=":26" />。また、全体的に音域が広い楽曲が人気となっている傾向があるとの結論も付けられている<ref name=":26" />。

== ジャンルとしてのボカロ ==
前述の通り、従来のJ-POPと曲調が異なる場合、独立したジャンルとして認識される。大手カラオケ各社では歌う曲を選ぶ際に「ボカロ」という選択肢を設定しており、また、ボカロ曲の人気ランキングを発表している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.karatetsu.com/vocala/pickup/total/vocalo2020.php |title=2020年カラ鉄年間ボカロカラオケランキングTOP5,000|accessdate=2022-04-26 |publisher=カラオケの鉄人 |author=カラオケの鉄人}}</ref>。ボカロの楽曲は更に細分化したサブジャンルを形成している。

===ゲーム・ネットカルチャーボカロ曲===
ゲームや[[ネット用語]]が歌詞になっている事もある。歌手がゲーム由来の回転しながら歌う等のネタ曲アゴアニキP『ダブルラリアット』<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.denfaminicogamer.jp/interview/190424a|title= アゴアニキ、キャプテンミライ、cosMo@暴走P、梨本うい、buzzG……ボカロPのレジェンドと振り返る、niconicoとボーカロイド【『エンゲージプリンセス』配信記念座談会】|date=2019-04-24|accessdate=2022-05-31 |publisher=ファミニコゲーマー}}</ref>等。

===イエヴァン・ポルッカ===
[[イエヴァン・ポルッカ]]は元々[[フィンランド]]民謡であるが2006年頃、インターネット上のフラッシュアニメーション（『[[BLEACH]]』の[[井上織姫]]の[[長葱]]を振るシーン）が人気となり、2007年頃、初音ミクがイエヴァン・ポルッカを歌唱し長葱を振る動画が流行る。イエヴァン・ポルッカの歌詞やリズム「ア、ラッ、ツァ、ツァー、ヤ〜」はボカロ曲の多くに影響を与える。

===早口(高速歌唱)ボカロ曲===
ボカロ曲に多く見られる特徴「早口」<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1548298829423/ |title=人気ボカロ曲は1秒あたり何文字ぐらいの速度で歌っているのか？　最も早口は「初音ミクの消失」2019年1月24日 |accessdate=2022-04-26 |publisher=exciteニュース |author=}}</ref>
「高速歌唱」曲と呼ぶこともある
<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.livedoor.com/article/detail/20998122/|title=ボカロP・cosMo@暴走Pが明かす「初音ミク」高速歌唱の秘密2021年10月8日 人|accessdate=2022-04-26 |publisher=livedoorニュース |author=livedoorニュース}}</ref>。
cosMo@暴走P『初音ミクの消失』、ラマーズP『おちゃめ機能』<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1664523158 早口な日本語パートでも流れるように歌いあげます。|title=VTuberが歌う「おちゃめ機能」特集！　ホロライブ・宝鐘マリンさんやにじさんじ・グウェル・オス・ガールさんなど人気グループの「歌ってみた（Cover）」をピックアップしました！|accessdate=2022-12-14 |publisher=アニメイトタイムズ |author=アニメイトタイムズ}}</ref>
、wowaka『裏表ラバーズ』等

===広音域(高音、低音等)ボカロ曲===
前述「音域が広い」特徴を備えたボカロ曲
<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.livedoor.com/article/detail/17243256/ |title=エンジェルボイスの持ち主・まふまふが『シャルル』を歌ってみた！奇跡の高音域に「性別が行方不明」「成人男性とは？(哲学)」の声2019年10月16日|accessdate=2022-04-26 |publisher=livedoorニュース|author=ニコニコニュース}}</ref>。
バルーン『シャルル』等

===ボカロック(ボカロ的なロック)===
ボカロック(Vocarock)、前述の「テンポが速い」、「早口」、「音域が広い」等のボカロ的特徴をいくつか備えたロック。「ラッタッタ」「パッパッパ」等のフレーズが印象的<ref>{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/2020/08/post-599464.html |title=ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察（1）初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ |accessdate=2022-04-26 |publisher=RealSound |author=Flat}}</ref>
[[椎名もた]]『Q』、かいりきベア『ベノム』、[[ナナヲアカリ]]（作曲 [[ナユタン星人]]）『Higher's High』、『ダダダダ天使』等。

===電波ソング系ボカロ===
電波ソングはネットカルチャーを経由して進化した。[[P丸様。]]『シル・ヴ・プレジデント』等。

===高速早口ロック===
wowaka『裏表ラバーズ』等に見られる
<ref>{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/2019/04/post-350651.html|title=ヒトリエ wowakaが音楽シーンにもたらした“発明”　ロックをアップデートしてきた足跡を辿る |date=2019-04-20|accessdate=2022-04-26 |publisher=RealSound |author=柴那典}}</ref>。

===エレクトロ・スウィング調===
[[エレクトロ・スウィング]]曲調。柊キライ『エバ』<ref name=":20"/>等。

===ダンスミュージック曲調、エレクトロ・ハウス曲調===
[[エレクトロ・ハウス]]曲調、ネット音楽であるボカロはエレクトロハウスの影響も多く有る。Easy Pop『ハッピーシンセサイザ』、[[八王子P]]の多くの楽曲、Kanaria『KING』等
エレクトロ的ではあるが新しいジャンルといえるような曲もある。例えば[[うたたP]]『こちら、幸福安心委員会です。』『永遠に幸せになる方法、見つけました。』は「エレクトロ＋演説」等と呼ばれた<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/music/pp/utatap|title=うたたP feat. 初音ミク、MAYU、結月ゆかり「みんな幸せにな～れ！」インタビュー|accessdate=2022-05-31|publisher=音楽ナタリー}}</ref>。

===エレクトロ、ドラムンベース曲調===
[[ドラムンベース]]曲調は、iroha（sasaki）『炉心融解』、[[さつき が てんこもり]]『ネトゲ廃人シュプレヒコール』、じん『人造エネミー』『メカクシコード』<ref name=":15" />等に使用されている。

===エレクトロ、ダブステップ曲調===
[[ダブステップ]]曲調は[[きくお]]『ごめんね ごめんね』等に使用されている。

===エレクトロニカ・アンビエント曲調===
ボカロには「怖い」「ホラー」「病み」と形容される曲があり、[[エレクトロニカ]]や[[アンビエント]]な曲調である。[[きくお]](きくおP)の多くの楽曲、[[古川本舗]]『Alice feat. 拝郷メイコ』<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/music/pp/fullkawahonpo02|title=古川本舗「SOUP」インタビュー＆全曲解説|date=2013-11-18|accessdate=2022-04-26|publisher=音楽ナタリー}}</ref>等。

===リリースカットピアノボカロ曲===
前述の通り「リリースカットピアノ」を多用したボカロ曲もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://blogs.soundmain.net/7726/|title=Puzzle Project連載インタビュー②なきそ・皆川溺「やりたいことを突き通せる」ボカロシーンの未来にむけて|date=2021-09-13|accessdate=2022-06-29 |publisher=Soundmain}}</ref>。

===夜好性===
ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。YOASOBI等に見られる静かな、[[アンビエント]]やローファイヒップホップ(ローファイ音楽)的志向
<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.livedoor.com/article/detail/16994181/|title=作品づくりは「自分のため」、作った後には興味がない。ヨルシカを貫く強固な哲学|date=2019-08-29|accessdate=2022-04-26|publisher=livedoorニュース}}</ref>の曲
<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72808800R10C21A6KNTP00/|title=「夜好性」音楽　不安を文学的に歌う|date=2021-06-12||accessdate=2022-04-26|publisher=日本経済新聞}}</ref>
[[コード進行]](「Just The Two of Us」コード進行)に特徴があると指摘される事もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01096/|title=J-POPを席巻する「Just The Two of Us」コード進行を読み解く|date=2021-06-08|accessdate=2022-04-26|publisher=nippon.com|author=小渕晃、横山裕章}}</ref>。

=== 歌うボイスロイド ===
[[VOICEROID]]などの[[音声合成]]ソフトウェアに読み上げさせた音声を[[デジタル・オーディオ・ワークステーション|DAW]]ソフトウェアによって[[音高|ピッチ]]調整したもの、もしくは音声合成ソフトウェア上で声の高さを調整することにより歌わせたもの。2015年にVOICEROID上で歌わせる方法を解説した動画が投稿され、2016年にはvsqxファイルを読み込ませることで自動調声することができるソフトウェア「KotonoSync」が公開されたことにより楽曲数が増加していった。「The VOCALOID Collection」<ref name="vocacolle" />の応募対象として例示される等広義のボカロとして扱われている。[[GYARI]]『Seyana.』、電ǂ鯨 『クーネル・エンゲイザー』等

== 音楽ゲームでの利用 ==
ボカロ曲は[[音楽ゲーム]]（音ゲー）に利用される事もある<ref>{{Cite web|和書|title=【2022年5月】おすすめのボカロ・ボーカロイド音ゲーアプリランキング。本当に使われているアプリはこれ！|url=https://www.appbank.net/app-rank/game/music-game/music-vocaloid-game/|date=2021-10-03 |accessdate=2022-06-29 |language=ja}}</ref>。
ボカロ曲は前述の通り、速い、音域が広い、音符が多い等の特徴を持っている場合もある為、ゲーム用音楽としては難易度の高い曲とされる事もある<ref>{{Cite web|和書|title=『プロセカ』最高難易度の新曲“初音ミクの激唱”を追加！最新CD情報や新たなアーティストなど新情報一挙公開|url=https://app.famitsu.com/20210330_1780789/　『プロセカ』最高難易度の新曲“初音ミクの激唱”を追加！|date=2021-03-30 |accessdate=2022-07-01 |language=ja}}</ref>。

== 邦楽シーンへの進出 ==
80年代後期よりパーソナルコンピューター「[[Amiga]]」内蔵の音声合成機能「Sayプログラム」を音楽への転用していたミュージシャンの[[平沢進]]は、2005年発表の曲『[[白虎野|確率の丘]]』や、2006年発表の曲『[[パプリカ オリジナルサウンドトラック|白虎野の娘]]』などで女性コーラスに最初期のボーカロイドとされている『[[LEON・LOLA|LOLA]]』を使用、またライブでの女性ボーカルにも利用している<ref name=":22">{{Cite web|和書|title=青土社 {{!}}{{!}}ユリイカ：ユリイカ2008年12月臨時増刊号　総特集＝初音ミク |url=http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=2520 |website=www.seidosha.co.jp |access-date=2022-07-07}}</ref>。『[[パプリカ オリジナルサウンドトラック|白虎野の娘]]』は[[アメリカ合衆国]]で行われた[[第79回アカデミー賞|第79回アカデミー賞歌曲賞部門]]ノミネート候補となった<ref>{{Cite web|和書|title=アカデミー賞歌曲賞ノミネート候補に「パプリカ」 : 映画ニュース |url=https://eiga.com/news/20061212/6/ |website=映画.com |access-date=2022-07-07 |language=ja}}</ref>。「[[ユリイカ (雑誌)|ユリイカ]]2008年12月臨時増刊号　総特集＝初音ミク」では、平沢は「バーチャルな 「女性」 への欲望とは何か」の表題でインタビューを受けた<ref name=":22" />。

2009年8月12日に[[supercell]]が『[[君の知らない物語]]』をリリースし、ボカロPのアーティストデビューの道を切り開いた<ref name=":14" />。

=== ボカロPが自らの歌唱でデビュー ===
ボカロPのハチとしても活動していた[[米津玄師]]は、ボーカロイドに歌わせるのではなく、自らの歌唱パフォーマンスで2018年に[[第69回NHK紅白歌合戦]]に出場した<ref>{{Cite web|和書|title=NHK紅白出演で話題！米津玄師（ヨネヅケンシ）とは？{{!}}ジャパニーズポップス |url=https://www.hmv.co.jp/news/article/1812261000/ |website=HMV&BOOKS online |accessdate=2022-02-17 |language=ja |last=株式会社ローソンエンタテインメント}}</ref>。2018年にはボカロP・有機酸が、[[神山羊]]名義でミュージシャン活動を開始した<ref>{{Cite web|和書|title=第二の米津玄師！？ ネット発のミュージシャン・神山羊に注目！ |url=https://ananweb.jp/news/257441/ |website=ananニュース - マガジンハウス |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref>。また、『[[シャルル (曲)|シャルル]]』を代表曲にもつボカロPのバルーンは[[須田景凪]]としてデビューした<ref name=":28">{{Cite web|和書|title=【2021年】ネット発アーティストたちの台頭 米津玄師から花譜まで |url=https://kai-you.net/article/79736 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref>。
ボカロP・[[Eve (歌手)|Eve]]の楽曲『[[廻廻奇譚]]』は、アニメ『[[呪術廻戦 (アニメ)|呪術廻戦]]』の第1クールのオープニングテーマに起用された<ref>{{Cite web|和書|title=音楽シーンにその名を轟かせるEveが原点回帰のボカロに立ち返る理由 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー |url=https://natalie.mu/music/pp/eve07 |website=音楽ナタリー |accessdate=2022-02-17 |language=ja |first=Natasha |last=Inc}}</ref>。ボカロPとしても活動する[[まふまふ]]は、2021年に[[カンザキイオリ]]のボカロ曲『[[命に嫌われている。]]』で[[第72回NHK紅白歌合戦]]に出場している<ref>{{Cite web|和書|title=まふまふ、NHK紅白「命に嫌われている。」歌唱 ボカロP カンザキイオリの代表曲 |url=https://kai-you.net/article/82361 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=まふまふ 紅白でブレークきっかけ「命に嫌われている。」歌唱 「その看板は誇らしく背負っていきたい」 - スポニチ Sponichi Annex 芸能 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/12/21/kiji/20211221s00041000520000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref>。

=== 夜好性 ===
ボカロPとして活動歴があるコンポーザーの[[n-buna]]とヴォーカリストのsuisからなるバンド「[[ヨルシカ]]」、ボカロPとして活動する[[Ayase]]とボーカリストの[[幾田りら|ikura]]からなる音楽ユニット「[[YOASOBI]]」、ボカロPの「[[ぬゆり]]」と共作したデビュー曲『[[秒針を噛む]]』でブレイクした「[[ずっと真夜中でいいのに。]]」の3組はDTM打ち込みサウンドに限らず生バンドで演奏する形を用意しファンは「夜好性」と呼ばれ、3組は「ネットカルチャー発の次世代型アーティスト」として注目された<ref name=":29">{{Cite web|和書|url=https://www.billboard-japan.com/special/detail/2954 |title=ヨルシカ、YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。～ネットカルチャー発の次世代型アーティストとは |accessdate=2022-02-17 |publisher=BILLBOARD JAPAN}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ヨルシカ・ずとまよ・YOASOBI、夜つながりの“ボカロ”音楽ヒットの理由 |url=https://www.jprime.jp/articles/-/18303 |website=週刊女性PRIME |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=Ayase、ボカロ曲セルフカバー配信シングル『夜撫でるメノウ / 幽霊東京』を緊急リリース {{!}} SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス |url=https://spice.eplus.jp/articles/292300 |website=SPICE（スパイス）｜エンタメ特化型情報メディア スパイス |accessdate=2022-02-17}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=TikTokでバズる曲の仕掛け人──米津玄師やYOASOBIも卒業生の「ボカロP」とは何者か？ |url=https://signal.diamond.jp/articles/-/730 |website=DIAMOND SIGNAL |accessdate=2022-02-09 |language=ja}}</ref><ref name=":30">{{Cite web|和書|title=YOASOBI、Ado、ずっと真夜中でいいのに。……絶えぬタイアップで感じた“ネット発”からの解放（リアルサウンド） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/91d3c7d9d081c38445f03c98b5b07e92046a9661|website=Yahoo!ニュース |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref><ref name=":28" />。2020年[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|新型コロナウイルス禍]]で日本中がステイホームを強いられていた頃に流行したとされる。音楽評論家[[冨田明宏]]は「“夜好性”というくらいだから、3組とも夜の音楽らしさがある。しかも、夜に騒ぐというより、ひとり夜の部屋で静かに聴くようなもの。」と評論している<ref>{{Cite web|和書|title=ヨルシカ、ずとまよ、YOASOBI…“夜好性”ヒットの要因を探る!2020-12-22|url=https://ananweb.jp/news/324125/ 冨田明宏“夜好性”というくらいだから、3組とも夜の音楽らしさがある。しかも、夜に騒ぐというより、ひとり夜の部屋で静かに聴くようなもの。|website=ananweb |accessdate=2022-07-02 |language=ja}}</ref>。
YOASOBIの『夜に駆ける』は、2020年6月15日付のBillboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で3週間連続、1位を獲得し、ヨルシカの『[[花に亡霊]]』は2020年7月13日付のBillboard JAPANアニメチャート“JAPAN Hot Animation”で2位にランクインした<ref name=":29" />。YOASOBIは、2020年の[[第71回NHK紅白歌合戦]]では『夜に駆ける』、2021年の[[第72回NHK紅白歌合戦]]では『[[群青 (YOASOBIの曲)|群青]]』を披露している<ref>{{Cite web|和書|title=YOASOBIが紅白歌合戦で歌唱、角川武蔵野ミュージアムとは？ |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5fedcc7ec5b61817a53596cc |website=ハフポスト |date=2020-12-31 |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=【紅白リハ＆会見】YOASOBIが挑み続けた2021年を紅白で締めくくり、年越しそばを楽屋に依頼「絶対に食べたい」 |url=https://natalie.mu/music/news/459907 |website=音楽ナタリー |accessdate=2022-02-17 |language=ja |first=Natasha |last=Inc}}</ref>。
その他、[[R Sound Design]]、
[[yama]]、[[くじら (作曲家)]]、すいそうぐらし、[[ヰ世界情緒]]、[[THE BINARY]]、[[空白ごっこ]]、[[ツユ]]、[[月詠み]]、[[DUSTCELL]]、[[三月のパンタシア]]等は同じ様な特徴を備える事から同じまたは近い音楽ジャンルのアーティストとされる場合もある<ref>{{Cite web|和書|title=【夜好性】音楽の特徴は？次世代の夜好性アーティストも紹介！ |url=https://corekike.com/artist/yakousei/ |website=コレキケ |accessdate=2022-08-23 |language=ja}}</ref>。

=== ボカロP+歌い手ユニット ===
ボカロP・[[くじら (作曲家)|くじら]]が作曲提供した『[[春を告げる]]』で話題となった[[yama]]や、[[syudou]]が作曲提供した『[[うっせぇわ]]』で社会現象を起こした[[Ado]]が登場するなど、ボカロPが作詞・作曲に携わった楽曲も有名になった<ref>{{Cite web|和書|title=『春を告げる』の作り手、くじら ボカロPの曲作りは｜エンタメ！｜NIKKEI STYLE |url=https://style.nikkei.com/article/DGXMZO73420740Q1A630C2000000?channel=ASH04002 |website=NIKKEI STYLE |accessdate=2022-02-17 |language=ja |last=日本経済新聞社・日経BP社}}</ref><ref name=":30" />。『[[うっせぇわ]]』は2021年の「[[新語・流行語大賞]]」トップテンにも選出されている<ref>{{Cite web|和書|title=自分のことを好きになったら引退しよう――「うっせぇわ」が社会現象に、顔出ししないAdoの原動力は「劣等感」（Yahoo!ニュース オリジナル 特集） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/6e5f8e1f8592a989aa330e5f17bbd39a19d0e97c |website=Yahoo!ニュース |accessdate=2022-02-17 |language=ja}}</ref>。
また、ボカロPと若手シンガーソングライター集団[[ぷらそにか]]出身歌手とのユニットとして前述のYOASOBIの他[[NOMELON NOLEMON]]等がある。
=== アニメOP曲ED曲主題歌タイアップ ===
近年ではアニメOP曲ED曲主題歌に起用される事もしばしばある。[[MAISONdes]]、[[美波 (シンガーソングライター)]], SAKURAmoti『アイウエ』（アニメ[[うる星やつら]]（2022年）OP）、[[ツミキ]]『トウキョウ・シャンディ・ランデヴ』（アニメ[[うる星やつら]]（2022年）ED）、[[TOOBOE]]『錠剤』（アニメ[[チェンソーマン (アニメ)|チェンソーマン]]（2022年）ED）等、
[[アニメソング]]の記事参照。

== 主なボカロP ==
{{Main|ボカロP|ボカロPの一覧|Category:VOCALOIDを用いている音楽家}}

== メディア展開 ==
2010年8月、ボーカロイド曲をノベライズした「[[ボカロ小説]]」の先駆けとなった[[悪ノP]]の小説『[[悪ノ娘]]』シリーズが始まった<ref name=":15" /><ref>{{Cite web|和書|title=悪ノ娘：ボカロから小説へ広がる世界観 きっかけは「跪きなさい」 悪ノPさんが語る誕生秘話|url=https://mantan-web.jp/article/20120323dog00m200006000c.html|website=MANTANWEB（まんたんウェブ）|accessdate=2021-09-20|language=ja-JP}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=悪ノＰ（mothy) {{!}} 人名事典 {{!}} お楽しみ {{!}} PHP研究所|url=https://www.php.co.jp/fun/people/person.php?name=%E6%82%AA%E3%83%8E%EF%BC%B0%EF%BC%88mothy)&p=NDcyNw==|website=www.php.co.jp|accessdate=2021-09-20}}</ref>。

2011年2月に『人造エネミー』でボカロPデビューを果たした[[じん]]は、ドラムンベースの楽曲からBPM200超えの楽曲が多いロック系の楽曲へ転向してから2011年9月30日にニコニコ動画に投稿した楽曲『[[カゲロウデイズ]]』で人気を博し、以後、「[[カゲロウプロジェクト]]」のメディア展開とともに、ニコニコ動画と音楽業界の一部からしか認知がなかった音楽ジャンルとしての「ボカロ」の認知度が急速に上昇した<ref name=":2" /><ref name=":15" />。2012年5月には150Pの『[[終焉ノ栞プロジェクト]]』、同年7月には[[てにをは (音楽家)|てにをは]]の『[[女学生探偵シリーズ]]』、同年12月には[[ぷす]]（じっぷす）の『ヘイセイプロジェクト』が始動するなど、「プロジェクト系」の進行が見られた<ref name=":15" />。また、2013年3月には『[[千本桜 (曲)|千本桜]]』がノベライズされるなど、多種多様なボーカロイド曲のノベライズが実施されている<ref>{{Cite web|和書|title=【オリコン】『小説千本桜』が文芸部門1位に 初音ミク人気曲のノベライズ本|url=https://www.oricon.co.jp/news/2022576/full/|website=ORICON NEWS|accessdate=2021-09-20}}</ref>。2012年2月に刊行されたボカロ小説『[[桜ノ雨]]』が2015年に実写映画化されるなど、映画方面でのメディア利用も数多くなされている<ref>{{Cite web|和書|title=桜ノ雨（さくらのあめ） {{!}} halyosy原作・原案 藤田遼著 {{!}} 書籍 {{!}} PHP研究所|url=https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80255-8|website=PHP研究所 / PHP INTERFACE|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=初音ミクの卒業ソング「桜ノ雨」が2015年に実写映画化、小説版の物語を描く|url=https://news.mynavi.jp/article/20150307-a043/|website=マイナビニュース|date=2015-03-07|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。「プロジェクト系」は2013年中頃に衰退し、「焼け野原」などと表現される時代が到来した<ref name=":15" /><ref name=":16" />。

2012年には、kzの楽曲『[[Tell Your World]]』が「[[Google Chrome]]グローバルキャンペーン」のCMソングに起用され、VOCALOID曲の存在の認知が広まっていった<ref name=":4" /><ref>{{Cite web|和書|title=livetune - 音楽ナタリー 特集・インタビュー|url=https://natalie.mu/music/pp/livetune|website=音楽ナタリー|accessdate=2021-09-19|language=ja|first=Natasha|last=Inc}}</ref>。

2017年7月には、[[グラミー賞]]を受賞した経験を持つグループ「[[アウトキャスト]]」のメンバー「[[ビッグ・ボーイ]]」がアルバム『BOOMIVERSE』をリリースし、その中で初音ミクの楽曲をサンプリングした楽曲『Kill Jill』を収録している<ref name=":1">{{Cite web|和書|title=祝！初音ミク10周年 ボカロの歴史を紐解く|url=https://www.kkbox.com/jp/ja/column/showbiz-0-1440-1.html|website=KKBOX|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=初音ミク楽曲をサンプリング。アウトキャストのビッグ・ボーイが新曲を発表－rockinon.com｜https://rockinon.com/news/detail/159522|url=https://rockinon.com/news/detail/159522|website=rockinon.com|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。

2017年9月には初音ミク生誕10周年を記念して『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』と題されたアルバムが出されている<ref name=":1" /><ref>{{Cite web|和書|title=手塚治虫×冨田勲×初音ミク 時空を超えたコラボCD『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』9/6リリース決定！ {{!}} 冨田勲 {{!}} 日本コロムビアオフィシャルサイト|url=https://columbia.jp/artist-info/tomita/info/55504.html|website=日本コロムビア公式サイト|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。

2020年9月にはボーカロイド曲を主に取り扱ったアプリ『[[プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク]]』がリリースされた<ref>{{Cite web|和書|title=スマートフォン向けゲームプロジェクト『プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク』本日配信！ 配信記念の各種キャンペーンを実施！｜ニュース｜Craft Egg|url=https://www.craftegg.co.jp/news/1828/|website=株式会社Crafrt Egg|accessdate=2021-09-20}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ボカロ文化の歴史を次世代に繋ぐ試み 『プロジェクトセカイ』鼎談|url=https://www.cinra.net/article/interview-202104-projectsekai|website=CINRA.NET|accessdate=2021-09-20|language=ja}}</ref>。

== 音声合成ソフトの多様化 ==
VOCALOIDは2019年3月に発売された「[[鳴花ヒメ・ミコト]]」からVOCALOID6発売まで新製品が出されなかった一方、システムにAIを組み込んだ[[CeVIO]]や[[NEUTRINO]]、[[Synthesizer V]]の台頭が始まった。2020年に発表されたNEUTRINOを使用した「AI東北きりたん」は、それまでの合成音声とは一線を画す自然な歌声で話題を集めた<ref>[https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2002/26/news101.html 無料の歌声合成ソフト「NEUTRINO」がプロもうなる完成度　楽譜と歌詞を入れるだけで東北きりたんが自然に歌う]</ref>。2021年にはそれまでボカロで製品を出していたAHSや1st PLACE等の会社がCeVIO AIやSynthesizer Vに参入した<ref>[https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2007/22/news121.html AI音声合成ソフト「CeVIO AI」年内発売　ONE、IA、結月ゆかり、v flowerなど音源化]</ref>。また、同じくCeVIO AIを使用したバーチャルシンガー・[[花譜]]の音楽的同位体である[[可不]]の広まりで、[[syudou]]の『[[キュートなカノジョ]]』、[[ツミキ]]の『[[フォニイ]]』などの可不を使ったヒット曲も誕生した<ref name=":23">{{Cite web|和書|title=ナユタン星人が告白したデビューの真相 音声合成ソフト「可不」に見た新世界への扉 |url=https://kai-you.net/article/80818 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref><ref name=":24">{{Cite web|和書|title=2021年「歌ってみた」されたボカロ曲10選 「ヴァンパイア」に「神っぽいな」も |url=https://kai-you.net/article/82462 |website=KAI-YOU.net {{!}} POP is Here . |accessdate=2022-01-26 |language=ja}}</ref>。その一方でクリプトン・フューチャー・メディアも独自の音声合成エンジンを使用した「初音ミクNT」を発売している。

これらのソフトはVOCALOIDとは直接関係の無いソフトであるが、歌声合成ソフト全般を指した総称としてボカロと一括りに言われる事がしばしばある。楽曲においてもこれらのソフトを使った楽曲もボカロ曲と呼ばれる事がある。

== ボカロ曲の著作権を巡る動き ==
2007年末にはボカロ曲が[[JASRAC]]管理楽曲になっていることから、初音ミクを使用したボカロ曲（二次創作）が制限される危惧が高まると考えたユーザーなどの間で騒動が発生し、2007年12月25日に[[ドワンゴ・ミュージックパブリッシング]]と[[クリプトン・フューチャー・メディア]]が共同コメントを出すまでに至った<ref name=":8">{{Cite web|和書|title=「初音ミク作品」騒動、ドワンゴとクリプトンが“和解”コメント|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/25/news041.html|website=ITmedia NEWS|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref><ref name=":6">{{Cite web|和書|title=JASRACモデルの限界を超えて――「初音ミク」という“創作の実験”|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/26/news029.html|website=ITmedia NEWS|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref>。このとき、今後は「初音ミク」関連のコンテンツを配信するケースでは、データ製作者との契約を優先し、契約締結までの間に自動的にJASRACに登録される事態は起こさないことなどが確約され、初音ミクの二次利用への規制に対する危惧は緩和された<ref name=":8" /><ref name=":6" />。しかし、『[[みくみくにしてあげる♪【してやんよ】]]』がJASRACの信託楽曲になると、カラオケや着うたへの使用が増加した代わりに、ブログパーツの「ふるみっくプレーヤー」や初音ミクの楽曲のまとめサイトなどから歌詞や動画が消え、作詞・作曲のika_moは「もうけ主義」と批判を浴びて、ブログを閉じる事態にまで発展した<ref name=":6" />。この事態が影響して、「カラオケで使用されてもボーカロイド曲には[[著作権]]使用料が発生しない」という事態が発生した<ref name=":9">{{Cite web|和書|title=ニュース「初音ミクなどボカロ楽曲 カラオケで著作権使用料が支払われない」 : 企業法務ナビ|url=https://www.corporate-legal.jp/news/514|website=www.corporate-legal.jp|accessdate=2021-09-19}}</ref><ref name=":10">{{Cite web|和書|title=「企業だけが儲け、分配ないのは気持ち悪い」とボカロP|url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw40529|website=ニコニコニュース|accessdate=2021-09-19|language=ja}}</ref><ref name=":11">{{Cite web|和書|title=VOCALOID音楽クリエイターに著作権使用料を分配する音楽出版事業を開始|url=https://www.value-press.com/pressrelease/68951|website=valuepress|accessdate=2021-09-19}}</ref>。これに対して、[[デッドボールP]]は「JASRACに信託するのが現状ではほぼ唯一の方法」と語ったが、「作家の収入確保なんてケチ臭い」などの批判的な意見も多数寄せられる事態にもなった<ref name=":10" />。その中で、2010年11月にクリプトン・フューチャー・メディア株式会社はVOCALOID曲のクリエイターがカラオケなどの楽曲利用で発生する著作権使用料収入を正当に受けられるための音楽出版事業を始めたと発表した<ref name=":9" /><ref name=":11" />。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |date=2013 |title=初音ミク 公式ガイドブック ミクペディア |publisher=マガジンハウス |isbn=978-4838788170 |ref={{SfnRef|ミクペディア|2013}} }}
* {{Cite book|和書 |date=2014 |title=初音ミクはなぜ世界を変えたのか？ |publisher=太田出版 |author=柴那典 |isbn=978-4778313968 |ref={{SfnRef|柴那典|2014}} }}

== 関連項目 ==
* [[Studio One (ソフトウェア)|Studio One（ソフトウェア）]]
* [[The VOCALOID Collection]]
* [[デスクトップミュージック|DTM]]

== 外部リンク ==
* [https://originalnews.nico/288945 ニコニコ動画的ボーカロイドの歴史を“970,686本の投稿動画”とともに振り返ってみた] - ニコニコニュース

{{日本の音楽}}
{{VOCALOID}}
{{DEFAULTSORT:ほかろ}}
[[Category:VOCALOID]]
[[Category:音楽のジャンル]]