サイード
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サイード(アラビア語: سعيد Saʿīd)は、アラブ人名(イスラム教、キリスト教他各宗教共通)ならびにアラビア語由来のイスラム教徒男性名。語義は「幸せな、幸福な、幸運な(人)」「嬉しい、喜んでいる(人)」[1]。
男性名としても使われ、預言者ムハンマドの子孫の称号としても使われているサイイド(アラビア語:سيد, Sayyid, 「長」「主(あるじ)」の意[2])とは全く別の単語だが、この人名の影響からサイード(سَيِيد, Sayīd)と誤読・誤表記する例[3]がしばしば見られる。
またアラビア語男性名のザーイド(زايد, Zāyid, 「増える者、増やす者、生長する者」の意[4])に対する英語発音ザイードに依拠した、もしくはザイド(زيد, ZaydないしはZaid, ザイド, 「増大、生長」の意[5])とザーイドとの混同からザイードと当て字をされた可能性も考えられるケースのいずれかから生じた日本語カタカナ表記ザイードと似ていることから混同されやすいが、本項目のサイード(سعيد, Saʿīd)とは全く別の人名であり無関係である。
用例
[編集]本人のファーストネーム(イスム)
[編集]- サイード (オマーン王) - サイード朝オマーン第2代国王。在位1783年 - 1784年。
- スルタン・サイード - 16世紀、カシュガル・ハン国のハン。モグーリスタン・ハン国のアフマド・アラクの子。
- サイード (バルガシュ・マスカット副知事) - トルキー(オマーン第6代国王)の孫。バルガシュ・マスカット副知事。
- サイード・ジャフリー - インド出身の俳優。
- サイード・シュライビ - モロッコ出身のウード奏者。
- サイード・ビン・スルターン - サイード朝オマーン第5代国王。在位1804年 - 1856年。
- サイード・パシャ - ムハンマド・アリー朝の第4代君主。在位1854年 - 1863年。1854年、レセップスにスエズ運河建設を許可する。
- サイード・ハリム・パシャ - トルコの大宰相(1913年 - 1917年)。
- サイード・ビン・スルール - UAE、イギリスの馬の調教師。1966年生まれ。
- サイード・ビン・タイムール - サイード朝オマーン第16代国王。前国王第13代カーブースの父。
- サイード・ビン・マクトゥーム・アール=マクトゥーム - ドバイ首長。在位1912年 - 1958年
- サイード・ジャリーリー - イラン元・国家安全保障最高評議会書記
- サイード・ビン・マクトゥーム・ビン・ラーシド・アール=マクトゥーム - ドバイの王族。
- サイード・オワイラン - サウジアラビアのサッカー選手。1994年アジア年間最優秀選手賞。
- サイード・タグマウイ - フランスの俳優。
- サイード・モハンマド - イランの軍人、革命防衛隊傘下の建設会社ハータム・アル・アンビアー建設本部経営者。
- サイード・モルタザヴィー - イランの検事。検事副総長。
- サイード・アル=ムルジャーン - ヨルダンのサッカー選手。
- サイード・アウィータ - モロッコの陸上競技選手。ロサンゼルス五輪男子5000m金メダリスト
- サイド・ムサ - ベリーズの政治家、
- サイド・ベルコーラ - モロッコ出身の元サッカー審判員。
サイードの父(クンヤ)
[編集]ラストネーム、ファミリーネームとして
[編集]- エドワード・サイード - パレスチナ系アメリカ人の文学研究者。オリエンタリズム論で有名。2003年没。
- カイス・サイード - チュニジアの政治家。
- クルバン・サイード - ドイツの作家。
- サミーラ・サイード - モロッコ出身の女性歌手。
- サーレム・サイード - イエメンのサッカー選手。
- ジャビル・サイド=ゲルニ - アルジェリアの陸上競技選手。
- ヌーリー・アッ=サイード - イラク王国の首相。1958年没。
- ハーフィズ・サイード - イスラム主義のカシミール分離独立派「ラシュカレ・タイイバ」創設者。
- サイード横田絵玲奈 - 日本のアイドルグループ、AKB48の元メンバー。
- サイード横田仁奈 - 日本の新体操選手。絵玲奈の姉。
フルネームの一部などとして(ナサブ形式もしくはクンヤ形式)
[編集]- アフマド・ビン・サイード - アフマド・ビン・サイード・ビン・ムハンマド・ビン・サイード。オマーンのイマーム。サイード朝オマーンの創始者。
- イブン・サイード・マグリビー - 歴史学・地理学者。1213年-1276年
- カーブース・ビン・サイード - サイード朝オマーン第17代(現)国王。第16代国王サイードの息子。
- アフマド・ビン・サイード・アール=マクトゥーム - エミレーツグループ会長
- スワイニ・ビン・サイード - サイード朝オマーン第6代国王。サイード大王の息子。
- トゥルキー・ビン・サイード - サイード朝オマーン第9代国王。サイード大王の息子。
- ハリーファ・サイード・スレイマーン - ドバイ首長国儀典長。
- ムハンマド・サイード・アッ=サッハーフ - イラクの政治家。バアス党員
- アブドルファッターフ・サイード・アッ=シーシー - エジプトの軍人。国防大臣。
- ヤースィーン・サイード・ヌウマーン - 政治家、南イエメン首相。イエメン社会党党首。
- モラード・サイード・アブデヴァリ - イランのレスリング選手。2011年世界選手権グレコローマン66kg級金メダリスト。
尊称の類(ラカブ)
[編集]- アリー・アブルハサン・サイード - ムワッヒド朝のスルタン。在位1242年~1248年。
- ムハンマド2世サイード - マリーン朝のスルタン。在位1359年。
王朝名
[編集]- ブーサイード朝 - オマーンのスルタン家。18世紀末には西インド洋における海洋帝国を築き上げた。王家の族称としてアール・サイード: サイード家を用いる。
- アスアド・ビン・ターリク・アール・サイード - オマーン国王代理。(2005年現在)
- スワイニ・ビン・シハーブ・アール・サイード - オマーン国王代理。(2005年現在)
- ファハド・ビン・マフムード・アール・サイード - オマーン閣議担当副首相。(2005年現在)
その他
[編集]- サイフ・サイード・シャヒーン - カタールの陸上競技選手。
地名
[編集]- ポートサイード(ブール・サイード) - エジプトの港湾都市。サイード・パシャに由来。
- ウンム・サイード - カタールの工業都市。
施設
[編集]- プリンス・サイード・イブラヒーム国際空港 - コモロの空港。
補足
[編集]サイード(アラビア語: صعيد, Ṣaʿīd)は「صعيد مصر」(Ṣaʿīd Miṣr, サイード・ミスル)の略語で、アラビア語で、上エジプトの意味。本項目の男性名サイードとは1文字目の子音が異なる。
サイド(英語: Saido)
- サイド・ベラヒーノ - ブルンジ出身のイングランド人サッカー選手。
脚注
[編集]- ^ “المعاني : معاني الأسماء - سعيد”. 2024年4月30日閲覧。
- ^ “المعاني : معاني الأسماء - سيد”. 2024年4月30日閲覧。
- ^ “ムスリム同胞団 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2024年4月30日閲覧。
- ^ “المعاني : معاني الأسماء - زايد”. 2024年5月1日閲覧。
- ^ “المعاني : معاني الأسماء - زيد”. 2024年5月1日閲覧。