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キヌタソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キヌタソウ
福島県中通り地方 2020年7月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: リンドウ目 Boraginales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : アカネ亜科 Rubioideae
: ヤエムグラ属 Galium
: キヌタソウ G. kinuta
学名
Galium kinuta Nakai et H.Hara[1]
和名
キヌタソウ(砧草)[2]

キヌタソウ(砧草、学名Galium kinuta)は、アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属多年草[2][3][4]

特徴

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は黄赤色でひげ状になる。はあまり枝分かれせず、直立し、高さは30-60cmになり、無毛。は4個が輪生し、各輪が隔たって茎につく。葉の質はやや硬く、葉身は長さ2-8cm、幅0.8-2.5cm、披針形または卵形で、先は鋭突頭または尾状に細くとがり、基部に葉柄はなく、縁に上向きの短毛が生える。葉に3本の葉脈が目立ち、脈上にも上向きの短毛が生える。輪生する葉は、対生する本来の2個の葉と、残りの2個の、葉と同形の托葉となる[2][3][4]

花期は7-9月。茎上部に円錐状の集散花序をつけ、まばらに多数の白色のをつける。花冠は杯形で、径2.5mm、先は4裂ときに5裂する。雄蕊は4個あり、子房は2室に分かれ、各室に1個の胚珠がある。果実は2個の分果からなり、各分果に1個の種子がある。分果は球形で、表面は平滑で毛はない[2][3][4]

分布と生育環境

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日本では、本州、四国、九州に分布し、山地の林縁に生育する[2][3][4]。世界では、中国大陸に分布する[3][4]

名前の由来

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和名キヌタソウは「砧草」の意[2]。「」とは、本来、布を柔らかくするために叩く台のことをいうが、その布を叩く木槌(横槌)のこともいうこととなったという[5]。「キヌタソウ」は、本種の果実の形をその木槌「砧」に見立てたものと思われるという[4][5]

種小名(種形容語)kinuta は、「キヌタ」のこと。

学名の変遷

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本種の学名は、初め、カール・ヨハン・マキシモヴィッチによって Galium boreale var. japonicum Maxim. (1873) とされ、G. boreale エゾキヌタソウ(広義)の変種とされた。その後、牧野富太郎および中井猛之進によって G. japonicum (Maxim.) Makino et Nakai (1908) とされ、独立種として階級移動された[6]。しかし、G. japonicum なる学名は、G. japonicum Makino (1903) があり、クルマムグラにあてられていた。このような混乱から、中井猛之進および原寛によって、G. kinuta Nakai et H.Hara (1933) に改められた[7]

ギャラリー

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下位分類

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  • オトギリキヌタソウ Galium kinuta Nakai et H.Hara f. bracteatum (Nakai) H.Hara[8] - 品種名 bracteatum は「苞葉のある」の意味[9]タイプ標本徳島県剣山産のもの[8]
  • バライロキヌタソウ Galium kinuta Nakai et H.Hara f. roseum Hayashi[10] - 品種名 roseum は「バラ色の」「淡紅色の」の意味[9]。タイプ標本は神奈川県大室山産のもの[10]
  • アオキヌタソウ Galium kinuta Nakai et H.Hara f. viridescens (Matsum. et Nakai) H.Hara[11] - 品種名 viridescens は「緑色になる」の意味[9]。タイプ標本は長野県白馬岳産のもの[11]

脚注

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  1. ^ キヌタソウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.392
  3. ^ a b c d e 内貴章世 (2017)「アカネ科」『改訂新版 日本の野生植物 4』p.276
  4. ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.973
  5. ^ a b 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.106
  6. ^ T. Makino (1908). “Observations on the Flora of Japan”. 植物学雑誌 (日本植物学会) 22 (262): en155-en163(p.157-158). doi:10.15281/jplantres1887.22.262_155. https://doi.org/10.15281/jplantres1887.22.262_155. 
  7. ^ 原寛「東亜植物考(其一)」(PDF)『植物研究雑誌』第9巻第8号、1933年、518-520,522。 
  8. ^ a b オトギリキヌタソウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  9. ^ a b c 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1486, 1511, 1519
  10. ^ a b バライロキヌタソウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  11. ^ a b アオキヌタソウ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)

参考文献

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