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S/2001 (66391) 1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
S/2001 (66391) 1
(66391) 1999 KW4と S/2001 (66391) 1の動き。
(66391) 1999 KW4
S/2001 (66391) 1の動き。
分類 小惑星の衛星[1]
軌道の種類 周回軌道
軌道要素と性質
元期:MJD 52055.4132 ± 0.88[1]
軌道長半径 (a) 2.548 ± 0.015 km[1]
近点距離 (q) 2.547 km
遠点距離 (Q) 2.549 km
離心率 (e) 0.0004 ± 0.0019[1]
公転周期 (P) 17.4223 ± 0.036 時間[1]
平均軌道速度 0.325 km/s
軌道傾斜角 (i) 156.1 ± 2 度[1]
近点引数 (ω) 319.7 ± 1.82 度[1]
昇交点黄経 (Ω) 105.4 ± 3 度[1]
前回近点通過 MJD 52055.4132 ± 0.88
2001年5月26日9時55分0.5秒
(66391) 1999 KW4の衛星
物理的性質
三軸径 0.571 × 0.463 × 0.349 km[1]
直径 0.451 ± 0.027 km[1]
質量 0.135 ± 0.024 × 1012 kg[1]
平均密度 2.81 +0.82
−0.63
g/cm3[1]
自転周期 17.4 ± 0.1 時間(同期回転)[1]
発見
発見日 2001年5月21日[2]
発見者 リンカーン研究所
他のカタログでの名称
S/2001 (1999 KW4) 1
1999 KW4 ベータ[3]
Squannit
Template (ノート 解説) ■Project

S/2001 (66391) 1とは、アテン群に属する潜在的に危険な小惑星である(66391) 1999 KW4の周辺を公転する衛星である[1][4]。主星をアルファ、衛星をベータと呼ぶこともある[5]

2019年8月27日小惑星センターにより1999 KW4が「Moshup」と命名されると共に、S/2001 (66391) 1は「Squannit」と命名された[6]。Moshupはモヒガン族の神話に登場する、ニューイングランドの海岸に住むというとも巨人。Squannitは、Moshupの妻である。

概要

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(66391) 1999 KW4とS/2001 (66391) 1のレーダー画像。

S/2001 (66391) 1と1999 KW4は、互いに近い距離にあるにも関わらず、性質が著しく異なる[1][3]

S/2001 (66391) 1は平均直径450mと、1999 KW4の約34%ほどの大きさしかない。公転半径は約2.6kmと、1999 KW4の長半径の3.5倍程度しか離れておらず、この短い公転半径を約17.4時間で公転している。また、S/2001 (66391) 1の自転周期は、公転周期と同期回転しており、長半径の軸を1999 KW4に向けている。離心率は非常に低く、非常に真円に近い。質量は1999 KW4の約5.7%程度の約1億3500万トンである。S/2001 (66391) 1の三軸径は571m × 463m × 349mと、1999 KW4とは異なり、特徴的な形を持たない不定形である。また、S/2001 (66391) 1の平均密度は約2.81g/cm3であり、これは1999 KW4の約1.4倍になる[1][3]

1999 KW4は平均直径1.32kmの小さな小惑星で、三軸径は1.53km × 1.50km × 1.35kmである[4]赤道がほぼ円形に膨らんでおり、ダイヤモンドのような形をしている[3]。約2.8時間という早い周期で自転しており、平均密度が約1.97g/cm3と低い値を持つことから、1999 KW4ラブルパイル天体であると考えられている[4][7]。質量は23億5300万トンである[1]

誕生

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S/2001 (66391) 1は、1999 KW4から飛び出して誕生したのではないかと考えられている。主星である1999 KW4は、S/2001 (66391) 1と連星の関係を保てるぎりぎりの速度で自転している。これは、1999 KW4YORP効果によって数百万年かけて自転が加速され、その勢いで飛び出した破片がS/2001 (66391) 1であるというものである。S/2001 (66391) 1は、YORP効果によって誕生した可能性があることが推定された初めての衛星である。2008年に出されたこの理論によれば、S/2001 (66391) 1と1999 KW4の形状や密度の大きな違いを説明できる[3][7]

衝突のリスク

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S/2001 (66391) 1は1999 KW4と近い距離で重力的に結合しており、衝突のリスクは1999 KW4と同列に語ることができる。

観測

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S/2001 (66391) 1は、2001年5月21日から23日にかけての観測で発見された[2][1]2006年にはさらなるレーダ観測によって、S/2001 (66391) 1と1999 KW4の詳細な形や質量などがわかり、互いに異なる性質を持つ奇妙な連星系であることがわかった[3]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r (66391) 1999 KW4 Johnston's Archive
  2. ^ a b アテン天体1999 KW4は連星 AstroArtz
  3. ^ a b c d e f Observations of double asteroid stress Arecibo radar's vital role in identifying threats in Earth's vicinity Cornell University
  4. ^ a b c 66391 (1999 KW4) JPL Small-Body Database Browser
  5. ^ 地球への脅威について知る手がかり、地球近傍「連小惑星」の克明な画像 AstroArtz
  6. ^ MPC_20190827⇒P.938
  7. ^ a b Study Puts Solar Spin on Asteroids, their Moons & Earth Impacts University of MARYLAND

関連項目

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