HQS-101 (ソナー)

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対潜飛行艇用ソーナーHQS-101は、技術研究本部で開発されたディッピングソナー[1]

来歴[編集]

1950年代末ごろより、潜水艦の原子力推進化をはじめとする高性能化に対して、海上自衛隊が保有する捜索・武器体系では、広範囲の海域での迅速な捜索・探知が困難となっていた。このことから、遠距離ソナーなどを搭載し、かつ、洋上離着水可能な飛行艇によって、覆域を大幅に拡張することが計画されるようになった。これに応じて開発されたのがPS-1であり、その中核的なセンサーとなるソナーとして開発されたのが本機である[1]。開発にあたっては、アメリカ海軍のAN/AQS-6が参考とされた[2]。しかし日本には航空機用ソナーの開発がなく、また飛行艇へのソナー装備は世界的に見ても前例がなかったことから、慎重に開発が進められた[1]

まず飛行艇用ソナーの方式についての委託研究を経て、昭和36年度から37年度にかけて、2度にわたって受波器の部分試作が行われた。続く38年度には開閉傘方式の受波器群および多線式の吊り下げケーブルの試作が行われ、海中最大150メートルでの機械的強度および発生雑音を検証した。また昭和37年度および39年度には、UF-2およびUF-XSを用いて着水状態での海中放射雑音の測定を行い、設計の資料とした[1]

昭和39年度から42年度にかけて2基の試作機が製作され、まず艦船に搭載しての技術試験によってソナー単体の性能確認が行われた。続いて昭和43・44年度に試作飛行艇PX-Sに装備して、機体との適合性・操作性を確認するとともに探知試験等が行われた。昭和45年対潜飛行艇用ソーナーHQS-101として長官承認を受けた。またその後も順次に改良が重ねられており、昭和52年度からはHQS-101Cとして装備されている[1]

設計[編集]

開発当時、固定翼航空機用のソナー部品は日本国内には皆無であったが、最終的には、数種の部品を除いて国産品で完成されており、以後の電子機器開発への波及効果も大きかった。主な構成要素は下記の通りである[1]

  • 送受波部 - 重量 約500キログラム、高さ3メートル×直径0.6メートル(艇体収納時; 海中開傘時は1.3メートル)[1]
  • 吊下ケーブル - 屈曲のよい多線式(50本)を採用しており、重量 約130キログラム、長さ180メートル×直径23ミリメートル[1]
  • 巻上機 - 重量 約400キログラム。油圧式で、ケーブルの破断力を低減するための緩衝装置を有している。送受波部を各1分程度で吊下げ・吊上げ可能である[1]
  • 電子機器および指示器 - 重量 約400キログラム。小型化のため、送信管を除いてトランジスタを用いてソリッド・ステート化されている[1]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 『防衛庁技術研究本部二十五年史』防衛庁技術研究本部創立25周年記念行事企画委員会、技術研究本部、1978年、89-96頁。NCID BN01573744
  2. ^ 『新明和 PS-1 (世界の傑作機 NO. 139)』文林堂、2010年。ISBN 978-4893191885