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ハイネリア

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ハイネリア
生息年代: 360.00 Ma
(上)H. lindae 生体復元想像図
(下)H. udlezinye 頭蓋骨復元
地質時代
約3億6000万年前
古生代デボン紀末期ファメニアン)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 顎口上綱 Gnathostomata
: 肉鰭綱 Sarcopterygii
亜綱 : 扇鰭亜綱 Tetrapodomorpha
: ハイネリア属 Hyneria
学名
Hyneria
Keith Stewart Thomson, 1968
タイプ種
Hyneria lindae
Keith Stewart Thomson, 1968
和名
ハイネリア
  • H. lindae
    Keith Stewart Thomson, 1968 (タイプ種)
  • H. udlezinye
    Gess and Ahlberg, 2023

ハイネリア学名Hyneria)またはヒネリア[1]は、約3億6000万年前のデボン紀北アメリカに生息した大型の肉食性淡水魚である。硬骨魚類肉鰭綱に属する。鋭利なと強靭なを持ち、当時の河川や河口で大型魚類四肢動物捕食していたと考えられている[1]

語源

属名であるハイネリアは最初の化石が発見された近辺のアメリカ合衆国ペンシルバニア州ハイナー村にちなんでいる。H. lindaeの種小名は、この魚を記載したケイス・スチュワート・トムソンの妻の名をとって名付けられた[2]

発見

最初の化石はアメリカ合衆国ペンシルバニア州の2つの地域で発見されており、ノースベンド村とハイナー村の間で1つ、エンポリアムで1つ発見された。標本は裂けた頭骨の破片と肩甲骨の断片から構成されている[2]。これらの化石はデボン紀後期のレッド・ヒル・シェールのキャッツキル層で発見された[3] 。これは新規参入した化石収集家が新たに豊富な化石を発見した、1993年までに知られている唯一の例である[3] 。ハイネリアはレッド・ヒル・シェールで発見された最大にして最も一般的な肉鰭網の魚類とされている[4]

形態

ハイネリアは大型魚であった。H. lindae は全長約2.3 - 3メートルと推定されており[2][5]、最大の顎は38センチメートルに達する。この2倍の大きさの顎に由来すると思われるさらに大型の断片も知られているが、これはハイネリアではなくリゾドゥス科英語版のものである可能性もある[6]。もう1つの種である H. uldezinye は記載前に全長2 - 4メートルと推定されたが[7]、記載時には最大の標本は全長2.7メートルの個体のものであったとして推定されている[8]。また、いずれの種に属するとも言及されていない未記載標本に基づけば、ハイネリアは最大で3.5メートルに達した可能性がある[9]。頭蓋骨の皮骨は重厚で、下顎は相対的に長くかつ上下に浅い。歯は丈夫であり、前上顎骨歯は最大5センチメートルに達する[2][3]。体はで被覆されており[3][10]、その大きさは長さ5センチメートル、幅6センチメートルに達した[11]。淡水環境は濁りやすく視界が良好でないため、獲物の探知を用意にする大型化の感覚器も存在した[10]。成魚には部分的に骨化していない骨格をはじめとする幼魚の特徴が保存されており、ネオテニーの可能性が高いことが示唆される[12]

H. uldezinye のホロタイプ

アメリカ合衆国ペンシルベニア州の2つの産地から産出したオリジナルの化石は、一つはノースベンドおよびハイナーの村の間、もう一つはエンポリウムの付近で発見されている。これらは関節していない部分的な頭蓋骨と肩帯の断片からなるT[2]。化石はレッド・ヒル・シェールのキャッツキル層英語版で発見されており、上部デボン系にあたる[3]。その後この化石しか知られていなかったが、1993年の発掘調査で新たな骨格要素が数多く発見された[3]。ハイネリアはレッド・ヒル・シェールで最大かつもっとも化石記録の豊富な肉鰭類と考えられている[4]

2023年2月にはハイネリア属の新種 H. udlezinye が記載された。これはウォータールー・ファーム・ラーガーシュテッテ英語版で発見された化石に基づいて命名された。発見された化石には頭蓋骨と肩帯が含まれている[8]

脚注

  1. ^ a b ティム・ヘインズ、ポール・チェンバーズ 著、椿正晴 訳『よみがえる恐竜・古生物 超ビジュアルCG版』SBクリエイティブ、2006年7月15日、32-33頁。ISBN 4-7973-3547-5 
  2. ^ a b c d e Thomson, K. S. (1968). “A new Devonian fish (Crossopterygii: Rhipidistia) considered in relation to the origin of the Amphibia”. Postilla 124. 
  3. ^ a b c d e f Daeschler, EB; Shubin, NH (2007). “New data on Hyneria lindae (Sarcopterygii, Tristichopteridae) from the Late Devonian of Pennsylvania, USA.”. Journal of Vertebrate Paleontology 27 (S3). doi:10.1080/02724634.2007.10010458. 
  4. ^ a b "The Missing Link". Nova. シーズン29. Boston. 26 February 2002. PBS. Transcript: "The Missing Link"
  5. ^ “New description and diagnosis of Hyneria lindae (Sarcopterygii, Tristichopteridae) from the Upper Devonian Catskill Formation in Pennsylvania, U.S.A.”. Journal of Vertebrate Paleontology 38 (3): e1448834. (2018-05-04). doi:10.1080/02724634.2018.1448834. ISSN 0272-4634. https://doi.org/10.1080/02724634.2018.1448834. 
  6. ^ Young, Ben; Dunstone, Robert L.; Senden, Timothy J.; Young, Gavin C. (2013-03-06). “A Gigantic Sarcopterygian (Tetrapodomorph Lobe-Finned Fish) from the Upper Devonian of Gondwana (Eden, New South Wales, Australia)” (英語). PLOS ONE 8 (3): e53871. doi:10.1371/journal.pone.0053871. ISSN 1932-6203. PMC 3590215. PMID 23483884. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0053871. 
  7. ^ Gess, R.W.; Whitfield, A.K. (2020). “Estuarine fish and tetrapod evolution: insights from a Late Devonian (Famennian) Gondwanan estuarine lake and a southern African Holocene equivalent”. Biological Reviews 95 (4): 865–888. doi:10.1111/brv.12590. PMID 32059074. https://www.researchgate.net/publication/339279463. 
  8. ^ a b Gess, Robert W.; Ahlberg, Per E. (2023-02-22). “A high latitude Gondwanan species of the Late Devonian tristichopterid Hyneria (Osteichthyes: Sarcopterygii)” (英語). PLOS ONE 18 (2): e0281333. doi:10.1371/journal.pone.0281333. ISSN 1932-6203. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0281333. 
  9. ^ Engelman, Russell K. (2023). “A Devonian Fish Tale: A New Method of Body Length Estimation Suggests Much Smaller Sizes for Dunkleosteus terrelli (Placodermi: Arthrodira)”. Diversity 15 (3): 318. doi:10.3390/d15030318. 
  10. ^ a b 25 years of fossil collecting yields clearest picture of extinct 12-foot aquatic predator”. ScienceDaily (7 May 2018). 2023年4月10日閲覧。
  11. ^ 土屋健リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』技術評論社、2018年7月21日、148-149頁。ISBN 978-4-7741-9913-9 
  12. ^ Kamska, V.; Daeschler, E.B.; Downs, J.P.; Ahlberg, P.E.; Tafforeau, P.; Sanchez, S. (2019). “Long-bone development and life-history traits of the Devonian tristichopterid Hyneria lindae. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (Cambridge University Press) 109 (1–2): 75–86. doi:10.1017/S175569101800083X. ISSN 1755-6910. https://www.researchgate.net/publication/329371242. 

関連項目