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マイヤー・ヴェルフト

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マイヤー・ヴェルフト
Meyer Werft
種類 有限会社 (ドイツ)
本社所在地 ドイツの旗 ドイツ
ニーダーザクセン州エムスラント郡パーペンブルク
設立 1795年
業種 輸送用機器
事業内容 造船
代表者 ベルナルト・マイヤードイツ語版
従業員数 約3,100人[1]
主要株主 マイヤー・ネプトゥーン
外部リンク http://www.meyerwerft.de/
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パーペンブルクの2つの屋内造船ドック(2013年5月3日)
露天ドック(2013年5月3日)
屋内造船ドック内部(1987年建設)。
1987年に建設された屋内造船ドック内部。中央の船はドイツの調査船ゾンネドイツ語版(2014年3月15日)
2013年4月12日、ゾンネ建造中の屋内造船ドック。
ビジターセンター(2013年4月12日)

マイヤー・ヴェルフト(Meyer Werft[注 1])は、ドイツパーペンブルクにある造船会社。河川用クルーズ客船を担うグループ企業ネプトゥーン・ヴェルフト英語版と共にマイヤー・ネプトゥーン(Meyer Neptun)の傘下にある[3][2]

日本語では、ドイツ語を直訳したマイヤー造船所とする表記も存在している。

歴史

1795年に木造船の造船所として設立、1872年には蒸気機関を搭載した鉄製の船の建造に着手[4]。1873年には最初の3隻を、翌年には初の客船となるトリートン(Triton)を進水させた[5]。19世紀を通じ400隻以上を建造[4]、第一次世界大戦前には、21世紀まで航行を続けた1909年のプリンツ・ハインリヒドイツ語版と1913年のゲッツェンが建造されている[6][7]

第一次世界大戦を乗り切り、1934年に建造され2012年まで使用された検査船エムスドイツ語版を含む船舶を建造した他、漁船、灯台船、巡視船、沿岸用客船などに事業を集中した[8][4]。第二次世界大戦が終結すると、貨客船LPG船RO-RO船家畜運搬船英語版クルーズ客船と事業を広げた[9][4][10][11]。1975年には、エムス川沿岸からパーペンブルク近郊へ移転している[12]。1987年には、世界最大となる屋内造船ドックを建設した。その後、2001年には、さらに規模を拡大した第二の屋内造船ドックを設けている[12]

1997年、ロストックのネプトゥーン・インドゥストリー・ロストックとグループ化した[13][14]

2003年には500人もの大量解雇が発生した。これは、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件の影響でクルーズ客船の新規受注の見通しが立たなくなったことが背景にある[1]

2014年8月には、フィンランド政府と共同でSTXヨーロッパからトゥルクSTXフィンランドの造船所を買収[15]。株式の取得比率はマイヤー・ヴェルフトが70%、フィンランド政府が30%。諸手続が完了次第、「マイヤー・トゥルク造船」に社名を変更する予定[16]

運営

建造する船舶はクルーズ客船、LPG船、LNGタンカーフェリー、RO-RO船といった民間向けの大型船が主力である[2]

従業員3,100人を有し、地域最大の雇用を創出する企業の一つとなっている[1]

マイヤー・ヴェルフトが擁する屋内造船ドックは、世界最大のものとして知られており、1987年のものは全長370m、幅102m、高さ60m。さらにこれを1991年に100m延伸している[14][17]。2001年から建設したものは、2008年の延長分120mを含めて全長504m、幅125m、高さ75mとさらに大規模な施設となった[18][14][19]。この他に、敷地内に露天ドックを1基保有している。

パーペンブルクで建造された船は、進水後エムス川へ進み北海へ向かうことになるが、大型船の場合はエムス川河口堰ドイツ語版によりエムス川の水深を最大2.7m上昇させることが必要になる[20][17]

観光

パーペンブルクの造船所は、それ自体が「マイヤー造船所」[注 2]としてヨーロッパ産業遺産の道に組み込まれており、北部ルート、製造業ルート、運輸・通信ルートの3つに属するアンカーポイントとなっている[20]

観光客を受け入れる施設としてビジターセンターを設けており[21][22]、年30万人が訪れている[23]

建造船

受注済みの船を含めて主要な建造船は、2013年1月の段階でクルーズ客船40隻、RO-RO船を含むフェリー29隻、各種ガスタンカー56隻、家畜運搬船27隻[24]

別記無き限り以下の出典は、2013年1月のCompany Brochureに拠る[24]

歴史的な建造船

マイヤー・ヴェルフトにとって歴史的な船[4]
船名 建造 船種 備考
トリートン(Triton) 1974年 客船 初の鉄製客船
プリンツ・ハインリヒ(Prinz Heinrich)[6] 1909年 客船 伝統船ドイツ語版として現存
ゲッツェン(Goetzen) 1913年 客船 リエンバ(Liemba)として現役
ドゥラッツォ(Durazzo)[25] 1921年 貨物船 1951年まで最大の船
エムス(Ems)[8] 1934年 調査船 伝統船として現存
エルベ1(Elbe 1)[26] 1948年 灯台船 航行可能な博物館船として現存
モーリシャス(Mauritius) 1955年 貨客船 初の貨客船
マルメ(MALMÖ) 1964年 RO-RO船 初のRO-RO船
ホメリック(Homeric) 1985年 クルーズ客船 初のクルーズ客船、トムソン・ドリーム英語版として現存

クルーズ客船

クルーズ客船
船名 建造 総トン数 備考
ホメリック(Homeric) 1985年 42,000 初のクルーズ客船、現トムソン・ドリーム
クラウン・オデッセイ(Crown Odyssey) 1988年 34,200 現バルモラル
ホライズン(Horizon) 1990年 46,800 準同級ゼニス
オリアナ(Oriana) 1995年 69,000
センチュリー(Century) 1995年 71,000 現セレブリティ・センチュリー、準同級2隻
スーパースター・レオ(SuperStar Leo) 1998年 76,800 現ノルウェージャン・スピリット、同級スーパースター・ヴァーゴ
オーロラ(Aurora) 2000年 76,000
レディアンス・オブ・ザ・シーズ(Radiance of the Seas) 2001年 90,090 同級3隻
ノルウェージャン・スター(Norwegian Star) 2001年 92,000 同級ノルウェージャン・ドーン
ノルウェージャン・ジュエル(Norwegian Jewel) 2005年 93,500 同級3隻
AIDAディーヴァ(AIDAdiva) 2007年 69,200 同級2隻
セレブリティ・ソルスティス(Celebrity Solstice) 2008年 122,000 同級4隻
AIDAブルー(AIDAblu) 2010年 71,100 同級2隻
ディズニー・ドリーム(Disney Dream) 2011年 130,000 同級ディズニー・ファンタジー
ノルウェージャン・ブレイクアウェイ(Norwegian Breakaway) 2013年 144,000 同級ノルウェージャン・ゲッタウェイ
クァンタム・オブ・ザ・シーズ(Quantum of the Seas) 2014年 166,500 同級アンセム・オブ・ザ・シーズ
ノルウェージャン・エスケープ(Norwegian Escape)[27] 2015年 163,000 同級ノルウェージャン・ブリス

フェリー

主なフェリー
船名 建造 総トン数 備考
プエルト・バジャルタ(Puerto Vallarta)[28] 1974年 7,005 準同級2隻
ヴァイキング・サリー(Viking Sally) 1980年 15,567 クルーズフェリー、1994年9月28日沈没
2000型 1983年 14,800 ペルニ向けフェリー、15隻建造
1000型 1986年 6,000 ペルニ向けフェリー、9隻建造
シリヤ・ヨーロッパ(Silja Europa) 1993年 59,914 クルーズフェリー
ポン=タヴァン(Pont-Aven) 2004年 40,800 クルーズフェリー

その他

その他の船
船名 建造 総トン数 船種 備考
アル・シュワイク(Al Shuwaikh) 2000年 40,600 家畜運搬船 羊80,000頭
ゾンネ(Sonne)[29] 2015年 8,600 調査船 ネプトゥーン・ヴェルフトが受注

  1. ^ 英語による呼称もMeyer Werft[2]
  2. ^ 英:Meyer shipyard、蘭:Meyer Scheepswerf、仏:Le chantier naval Meyer、ドイツ語のみ社名と同じMeyer Werft[20]

出典

  1. ^ a b c Identifying with the Company”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  2. ^ a b c MEYER WERFT at a Glance”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  3. ^ Meyer Neptun”. マイヤー・ネプトゥーン. 2014年6月3日閲覧。
  4. ^ a b c d e Company History”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  5. ^ Triton”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  6. ^ a b Prinz Heinrich”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  7. ^ Graf Goetzen”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  8. ^ a b Inspection-Ship Ems”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  9. ^ Mauritius”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  10. ^ Homeric”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  11. ^ Hightech Afloat Shipbuilding in Papenburg” (PDF). マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  12. ^ a b Yard Facilities”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  13. ^ Company History”. ネプトゥーン・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  14. ^ a b c Peter C. Smith (2011-02-20). Cruise Ships: The World's Most Luxurious Vessels. Casemate Publishers. pp. 184-186 
  15. ^ Jussi Rosendahl (2014年5月8日). “Finland and Meyer Werft may join to buy local shipyard from STX”. ロイター通信. 2014年6月3日閲覧。
  16. ^ “マイヤーがSTXフィンランド買収、欧州客船造船所は2強体制に”. WEB CRUSE (海事新聞社). (2014年8月13日). http://www.cruise-mag.com/news.php?obj=20140813_01 2014年8月26日閲覧。 
  17. ^ a b 甲斐素直. “エムズ河の河口堰”. 2014年6月3日閲覧。
  18. ^ IM DIALOG” (PDF). マイヤー・ヴェルフト (2008年). 2014年6月4日閲覧。
  19. ^ Niedersachsen: Meyer-Werft baut größte Dockhalle der Welt”. シュピーゲル (2008年). 2014年6月3日閲覧。
  20. ^ a b c Meyer Shipyard”. ERIH - European Route of Industrial Heritage. 2014年6月3日閲覧。
  21. ^ Centre de visiteurs MEYER WERFT”. Papenburg Tourismus. 2014年6月3日閲覧。
  22. ^ Visit the Shipyard”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  23. ^ Alan Lam. “Unlocking the secret of the Meyer Werft success” (PDF). Shippax Designs (SHIPPAX) (13): 12-19. http://www.shippax.se/backnet/ext/file/fileredirect.asp?id=851&file=meyer_werft_d13.pdf 2014年6月3日閲覧。. 
  24. ^ a b Company Brochure - Innovation and Technology” (PDF). マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  25. ^ Durazzo”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  26. ^ Lightship Elbe 1”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  27. ^ Norwegian Escape”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  28. ^ Puerto Vallarta”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。
  29. ^ Research Vessel Sonne”. マイヤー・ヴェルフト. 2014年6月3日閲覧。

外部リンク