高杉さん家のおべんとう

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
高杉さん家のおべんとう
ジャンル ホームコメディ[1]
漫画:高杉さん家のおべんとう
作者 柳原望
出版社 メディアファクトリー
掲載誌 コミックフラッパー
レーベル MFコミックス
発表期間 2009年5月号 - 2015年6月号
巻数 全10巻
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

高杉さん家のおべんとう』(たかすぎさんちのおべんとう)は、柳原望による日本漫画。『コミックフラッパー』(メディアファクトリー発行)にて2009年5月号から2015年6月号まで連載された。

とある事情で同居することになった、主人公・高杉温巳と年齢の離れた従妹・久留里が、お弁当作り等を通して触れ合い、家族となっていく過程を綴った物語である。作中には、地理学に関する話題が取り上げられていて、地理学者からも評価されている[2]。本作を通じた地理学の普及・啓発等の貢献により2014年度日本地理学賞(社会貢献部門)が作者に授与されている[3]

主な舞台は名古屋市であり、柳橋中央市場などが登場する[4]。そのほか、岐阜県恵那市串原地区などもしばしば舞台となっている[4]

作中の時間経過は現実世界のそれとほぼ同じタイミングとなっており、登場人物が誕生日を迎えて年齢を重ね、進級や留年、定年退職をし、それに伴い様々な成長をしていく様子も描写される。

あらすじ[編集]

高杉温巳は、ある日突然、中学生の久留里の保護者(未成年後見人)となる。久留里は、事故死した温巳の叔母・美哉の娘だった。何かと要領が悪く就職も決まらない温巳と、無口で人見知りの激しい久留里。不器用な2人が、周囲の人たちの助けもあって、少しずつ距離を縮めていくさまが描かれる。

登場人物[編集]

高杉 温巳(たかすぎ はるみ)
本作の主人公。1978年生まれで、物語開始時には31歳。地理学の博士号を修得したが、就職できずにいるオーバードクター
鈍感で心理的洞察力及びその学習能力に乏しく、何事にも懸命だがやることが裏目に出て空回りすることが多い。また、研究以外における対人能力にも乏しい。思い切りのなさから、周辺をやきもきさせている。
幼いころから両親と叔母の美哉(後述)と共に暮らしていたが、18歳の時に両親を交通事故で亡くし、温巳の大学の合格発表の翌日に美哉も置手紙を残して姿を消す。物語開始時には、両親の遺したマンションで暮らしている。オーバードクターは基本的に無職のため収入は少ないが、久留里を引き取る際に、美哉の生命保険労災保険の給付金の中から養育費が出されることになる。
久留里が通う東山中学校で非常勤講師として勤めていたが、第7話でN大学の助教に採用されることが決まり、第8話で正式に辞令を貰い、それに伴い東山中学校の非常勤講師の仕事も辞めた。
久留里には内緒で、久留里の父親探しをしていたが、渡仏が決まったころに父親を探しあて、自身は動揺しつつも久留里を会わせている。
自身の論文を集めた論文集「人口不動論」をヨシュアが翻訳して出版したことをきっかけにフランスでの共同研究に誘われた。渡仏を前に、久留里から男性として好きだと告白を受けるが激しく動揺し、空港で「今後の課題とさせていただきますっ」と言い残して渡仏する。4年後、帰国した後、久留里に「つきあってください」と返事をした。
フランスではバスク地方の移牧をテーマに弁当持参で観察研究していたが、弁当持参の姿が現地で話題になり、ラジオバスクでコーナーを持つほどの人気者になり、国際会議でも招待講演を依頼され、ネットニュースにも取り上げられた。また、ヨシュアと共著で雑誌連載をまとめて出版した本はスペインとフランスのバスク地方でベストセラーになり、日本でも出版された。帰国後は広島H大学の准教授の職を得た。
帰国して3年後は、久留里と結婚しており、単身赴任者として、普段は広島、週末は名古屋に帰る生活を送っている。
高杉 久留里(たかすぎ くるり)
温巳の従妹。1997年3月8日生まれで、物語開始時は12歳の中学1年生。身長152センチメートル、血液型A型。「ありえ_ない」「食べ_る?」など、単語を末尾の直前で区切る独特の口調で喋る(朗読は普通に喋れる)。
かつては母親の美哉と2人暮らしをしており、そのころから仕事に忙しい母に代わって主に家事をしていた。ただし、美哉の作った食事を後で温め直すことが多かったので、料理はあまりしたことがなかった。保育園や小学校が終わった後、美哉が仕事をしているオフィスの片隅で過ごしていた。母を突然失ったことから、1人になることを極端に怖れている。
無駄遣いを嫌い、節約に努めることが好きで、スーパーなどの特売のチラシをチェックすることが趣味。学校でも休み時間には新聞の折り込みチラシを見て過ごすことが多い。中学校では文芸部所属だが、幽霊部員。温巳の家に来てから、毎朝のジョギングが日課になった。運動神経は良く、スポーツも得意。『まるいちとクッキング』(後述)という料理番組がお気に入りで、1週間分を録画して週末にまとめて観ている。
クマ柄のパジャマやエプロン、Tシャツなど、クマグッズを多く揃えている。
第17・18話で、美哉の血液型から温巳とは血の繋がりが無いことが判明するが、幼いころより母親から「温巳は久留里の家族」と教えられており、また境遇が大して変わらないことから、動揺する温巳を横目に事実を平静に受け止めている[5]
第36話でZ高校に進学。マネージャーとして文芸部に所属。その後、渡仏の決まった温巳に、男性として好きだと告白するがあやふやな返事しかもらえなかったが、4年後に温巳が帰国した際に「つきあってください」と返事を貰った。
高校卒業後はN大学に進学して温巳と同じく風谷ゼミに所属する。大学では登山部に所属。温巳のフランスでの様子を伝え聞き、どんどん偉くなる温巳の噂を聞き怖くなり渡仏できず、差を埋めるために在学中に気象予報士の資格を取得。「今までの自分と一番遠い場所に挑戦したい」と、卒業後は名古屋の中央日本テレビのアナウンサーになった。
本作の3年後には温巳と結婚しており、同局のアナウンサーも続けている。
高杉 美哉(たかすぎ みや)
久留里の母。温巳の叔母にあたる女性で温巳の初恋の人。温巳の父の15歳下の妹で、温巳との年齢差は7歳。1971年生まれ。温巳とは姉弟のような関係だった。物語開始時には、事故に遭って既に亡くなっている。血液型はAB型。
温巳の両親が亡くなった後、程なくして失踪する。後に、出産して東京で暮らしていることを温巳は知る。
豊島区にある小さな出版社で働いており、自分に万一のことがあった際の久留里の未成年後見人として温巳を指名していた。
第17・18話にて、高杉家の養子(旧姓・鈴木)で温巳とは血縁が無いことが判明する。
高杉 隆
温巳の実父で故人。享年42。
高杉 早苗
温巳の実母で故人。夫とともに事故で亡くなる。
小坂 りいな(こさか りいな)
眼鏡をかけた女性。北海道H大学からの特別研究員としてN大学の久郎の研究室におり、養蜂に関する研究に従事している。温巳に好意を抱いている。妄想が行き過ぎて、頭がぐるぐるしてしまう描写が多い。酒が入ると強気になる[6]。後にS女学園大学の講師に就任。
温巳と両思いになったが、温巳が久留里のことを第一に考えているのを感じ、ドイツ留学が決まった際に温巳に別れを告げた。その後、丸宮 元とつきあうこととなり、温巳の渡仏中に結婚。子供が生まれる。
1982年昭和57年)8月25日生まれ。実家は北海道で、小坂水産という水産会社の娘。
香山 玲子(かやま れいこ)
温巳の同期。S女学園大学の准教授を務めており、自身も所属していた久郎の研究室に出入りしている。専門はGIS。夫とは別居中。家事・子育てが苦手で、同居の母・節子にほとんど全て任せている。小阪と温巳との関係を良く知っており、世話を焼く。ぶっきらぼうだが他人との関係をとりもつなど、意識せずとも結果的に周りが良好になるという人物。温巳の思い切りのなさを知っておりよく尻を叩く。学生時代には同級生で温巳の家を溜まり場にしており、いろいろなものが置きっ放しになっている。
香山 なつ希(かやま なつき)
久留里のクラスメイトで、玲子の娘。クラスの女子のリーダー的存在。当初は久留里に高圧的に接していたが、それは彼女への興味の裏返しで、後に友達になり小動物を愛でるが如く彼女を溺愛するのだが、久留里からは辟易されている。部活は放送部。他人の恋愛感情や心の機微に対して母同様に非常に敏感。
第36話でS女学院に進学するが、久留里の情報を仕入れており、ことあるごとに久留里の元を訪れる。
丸宮 光(まるみや みつる)
久留里のクラスメイトの男子。物怖じしない性格で、クラスのムードメーカー的存在。女子からの人気も高い。久留里に好意を抱いており、彼女に近づくが、それが原因で久留里は他の女子の反感を買っていた。また後には、なつ希の助言を受けた久留里本人からも警戒されるようになる。実家は「スーパーまるまる」というスーパーマーケット。兄と、2歳年上の双子の姉、それに弟がいるが、それぞれ母親が違い、光の母親は既に他界している。また、母親の連れ子であったため、家族の中で唯一誰とも血のつながりが無い。なつ希とは幼馴染。
高校進学時に自分を変革したいと就職を希望し父に直訴するが、周囲の勧めもありZ高定時制に進学、日中は父の経営するスーパーで働いている。高校卒業後は東京に出てホストクラブで働いている。
園山 奏(そのやま かなで)
市立東山中学校に通う女子生徒。髪をショートヘアにしたボーイッシュな少女。水泳部キャプテンで自由形200メートル県大会入賞経験あり。3年生に進級した際、久留里のクラスメイトになる。光のことが好き。両親と兄がおり、全員体育会系でさっぱりとした性格。
第36話で久留里と共にZ高に進学。
園山 琢(そのやま たく)
奏の兄。高校生で、陸上部のマネージャーを務める。
風谷 久郎(ふうや くろう)
N大学の教授。温巳、玲子、りいなたちの所属した研究室の指導教官であり、温巳の上司にあたる。いつもニコニコしているが、時に意地悪な質問をするなど、つかみどころの無い人物。その後、N大学に進学した久留里の指導も担当する。
御手洗 百合子(みたらい ゆりこ)
市立東山中学校の教師。温巳の中学時代の担任で、美哉が中学生の時も担任をしていた。教師歴30年以上のベテランで、久留里の卒業と共に定年退職した。弁当のおかずは買い置きしてあるふりかけで、弁当のおかずが少ない生徒に分けてあげている。
節子とは教育実習の時に知り合う。
丸宮 元(まるみや はじめ)
光の兄。スーパーまるまるの跡取り息子。N大学の学生で、風谷ゼミに入る。りいなに惚れており、温巳をライバル視している。正直な性格で、その場の状況を考えずに思ったことをそのまま口にしてしまうことが多い。また久留里にとっては自分の心の内を見透かされているような発言が多く、最大限に警戒されている。ドイツに向かうみいなを追って渡航し告白し、交際を始める。温巳の渡仏中にみいなと結婚し、子供が一人いる。卒業後はスーパーまるまるで働いている。
丸宮 麻子(まるみや あさこ)
光の弟である志大(しひろ)の実母。元はスーパーまるまるの店員で、光の初恋の人。
香山 節子(かやま せつこ)
玲子の母親で専業主婦歴30年。登場時は58歳。久留里が家事の師匠として仰いでおり、休日になつ希の家に遊びに行った際には節子から料理を習うのが常となっている[7]。旧姓・大林(おおばやし)。百合子とは旧知の間柄。
山田 旭(やまだ あさひ)
久留里の進学先であるZ高の文芸部部員。久留里の1年先輩。
丸宮 史(まるみや ふみ)、丸宮 蕗(まるみや ふき)
光の姉。久留里の2年先輩で、Z高文芸部の部長と副部長。
佐竹 吾助(さたけ)
弁護士。美哉の死後、様々な手続きを代行した。久留里が芸能プロダクションのスカウトに付きまとわれていることを美哉が相談した際に、万一の場合に備えた未成年後見人の指名や遺言書の作成を勧めた。
永井 英子(ながい えいこ)
美哉が勤めていた「こども出版」の編集長。
青木 隼人(あおき はやと)
青木青果店の長男で芸能プロダクション勤務。粘着質な人物で、久留里の芸能デビューによる自身の功績を目論み、久留里が在籍していた小学校の校門で待伏せまで行った。このことが同級生の嫉妬を呼び彼女が虐められる原因となった。
ヨシュア・マルティネス
香山の夫。地理学者にして写真家。国際エッセイストとして受賞歴があり、写真集や著書も多数出版している。温巳の論文集を翻訳して渡仏のきっかけを作る。香山家には入れないため、日本にきた際には高杉家に居候しているが、温巳の渡仏を契機に高杉家の上の階の部屋に入ることになる。温巳のバスク地方の本では写真を担当する。
コビー・オテイザ
バスク地方出身のフランス人研究者。ヨシュアの翻訳した温巳の論文を読み、興味を持ち、4年間のフランスでの共同研究に誘った。
高遠 晶(たかとお あきら)
長野の養蜂家。美哉の中学時代の同級生。久留里の実の父親。久留里を引き取る話し合いをした際、「お父さんだと思った。でも、家族じゃない」と断られた。
まるいち
作者の別作品『まるいち的風景』に登場するロボット。本作には背景の一部(料理番組のマスコットや防犯ポスターの図案、久留里が着用するエプロンの柄など)としてしばしば登場する。カメオ出演であり、ストーリーへ直接的に関わることはない[8]

書誌情報[編集]

天気予報[編集]

2016年4月より、岐阜県にある民放テレビ局「岐阜放送」で、主要キャラクターが登場する天気予報が放送されている。 約30秒の短いものと、約1分半の長いものがあり、前後に流れる「岐阜新聞中学3年学力テスト」のCMにも、天気予報で使われているものと同じイラストが使用されている。 合計6枚のイラストが確認でき、イラスト内にキャラクターがテキストを持って勉強する姿や、学力テストを受けているシーンがある。スポンサーは「岐阜新聞中学3年学力テスト」。 [9][要出典]

関連作品[編集]

  • 『かりん歩』 - 『高杉さん家のおべんとう』完結から3年後が舞台。本作のキャラクターが登場するほか、描き下ろしで本作のその後も掲載される。

脚注[編集]

  1. ^ 「高杉さん家のおべんとう」2巻で小ネタ満載ペーパー配布”. コミックナタリー. 2015年8月2日閲覧。
  2. ^ 執筆陣が地理学者である『ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖』には次のような紹介文がある。
    N大学地理学教室助教(授業もできる研究者の出発点と位置づけられる職)で、大学院で学位を取った30代男性と女子中学生が主人公の柳原望の漫画単行本『高杉さんちのおべんとう』(4巻まで刊行中)は研究生活の悲喜がリアルに描かれ参考になる。 — 野間晴雄・香川貴志・土平博・河角龍典・小原丈明 編著『ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖』海青社、2012年3月31日、262ページ. ISBN 978-4-86099-265-1(43ページ)
  3. ^ 日本地理学会賞受賞者リスト”. 日本地理学会. 2015年8月1日閲覧。
  4. ^ a b 「ノーベル賞「名大」、文系も主役 マンガ「高杉さん家のおべんとう」 地理研究者の日常描く」『中日新聞』2014年11月11日付朝刊朝文面右15頁。
  5. ^ 第3巻あとがき参照。
  6. ^ 柳原望 『高杉さん家のおべんとうメモリアル』、2015年 巻末 書店購入特典 Illust Gallery(『COMIC ZIN』の、単行本4巻購入特典ペーパーより。)
  7. ^ 柳原望 『高杉さん家のおべんとうメモリアル』、2015年 巻末 書店購入特典 Illust Gallery(『コミックとらのあな』の、単行本3巻購入特典ペーパーより。)
  8. ^ 本編に最も多く登場している、帽子をかぶりタキシードのような衣装のまるいちは、『まるいち的風景』の主人公である有里幸太所有のまるいちと、酷似している(まるいちの衣装は、所有者の好みで、自由に変更できるため、男の子の服装や女の子の服装、なかには小人を模した衣装も登場した)。
  9. ^ 岐阜放送タイムテーブル(2016年4月5月6月)には毎週火曜日午後7時51分、毎週木曜日午後8時57分、同午後11時54分からオンエアされているとの記載がある。

外部リンク[編集]