追い風参考記録

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追い風参考記録(おいかぜさんこうきろく、英語: wind assistance)とは秒速2.0メートルを超える追い風状況における陸上競技・記録。

追い風が風速2.0m/sを超えると各種大会の順位は記録されるが公認記録には成らず「参考記録」に成る。該当種目は短距離走100m200m)・障害走110mハードル100mハードル)や走幅跳三段跳などである。一部種目は追い風参考記録が無い。「追い参」(おいさん)または参考記録と呼ばれる場合もある。ただし向かい風の場合は、どれだけ強く吹いていても参考記録とはならない。

追い風参考記録における「追い風」とは、スタート時の瞬間風速でなく、風速の平均値が用いられる。現在は風速計はデジタル方式が用いられるので算出は容易である[1]。 計測に用いられる風向風速計は、直走路の第一レーンのフィニッシュラインの手前50m、トラックから2m以内、高さ1.220mに設置される。なお100分の1秒単位の計測値は切り上げられる(例:2.03m/s→2.1m/s)。

風速は、追い風と向かい風の成分のみ(つまりトラックと平行して吹く風)が測定される。そのため、例え左右方向(90度)からに風が吹いていても、トラックの進行方向の成分がなければ風速は0.0m/sとして記録される。

混成競技では追い風が風速4.0m/s以内であれば公認されるが4.0m/sを超えると「追い風参考記録」になる。

国際陸上競技連盟の競技規則を遵守している競技会での競技でないと公認記録に成らない。

代表例[編集]

100メートル競走[編集]

オバデレ・トンプソンが1996年4月13日にアメリカ・テキサス州のエル・パソの大会で9秒69のタイムを記録した(追い風5m/s)。[2]このタイムは当時の世界記録を超えたタイムだった。タイソン・ゲイが2008年6月29日に行われた全米陸上競技選手権で9秒68のタイムを記録した(追い風4.1m/s)[2]。 2015年3月28日、米テキサス州オースティンで桐生祥秀が9秒87(追い風3.3m/s)を記録した。この記録は電気時計における日本人初の9秒台となった。

1964年の東京五輪の男子の準決勝では、アメリカのボブ・ヘイズが人類史上初めて10秒の壁を破る「9秒9」を追い風参考記録でマークした[3]

100メートル競走における風速の計測は、スタートの瞬間から10秒間行われる[1]

200メートル競走[編集]

リロイ・バレルが1990年5月19日にアメリカ・テキサスの大会で19秒61のタイムを記録した(追い風4.0m/s) [4]マイケル・ジョンソンが1996年6月22日にアメリカ・アトランタの大会で19秒70のタイムを記録した(追い風2.7m/s)[4]

200メートル競走における風速の計測は、先頭のランナーが直線コースに入った瞬間から10秒間行われる。[1]

110メートルハードル[編集]

レナルド・ニアマイアが1979年6月にアメリカ・イリノイの大会で12秒91のタイムを記録した(追い風3.5m/s)[5]ロジャー・キングダムが1989年9月にスペイン・バルセロナの大会で12秒87のタイムを記録した(追い風2.6m/s)[5]

110メートルハードルにおける風速の計測は、スタートの瞬間から13秒間行われる。[1]

100メートルハードル[編集]

Grazyna・Rabsztynが1979年6月24日にドイツ・ブレーメンの大会で12秒39のタイムを記録した(追い風2.8m/s)[6]コーネリア・オシュケナートが1987年8月25日にベルリンの大会で12秒28のタイムを記録した(追い風2.7m/s)[7]

100メートルハードルにおける風速の計測は、スタートの瞬間から13秒間行われる(110メートルハードルと同じ)。[1]

三段跳[編集]

ウィリー・バンクスが1988年7月16日にアメリカ・インディアナポリスの大会で18m20cm記録した(追い風5.2m/s)。[7]これは初めて18mを超えた記録である。 ジョナサン・エドワーズが1995年6月25日にフランス・ヴィルヌーヴ=ダスクの大会で18m43cm記録した(追い風2.4m/s)。[7]この記録は2012年3月現在の世界記録を超えている。

ケイラ・コスタが2007年5月6日にブラジル・ウベルランジアの大会で15m10cm記録した(追い風2.7m/s)[7]。これは女子で初めての15mを超えた記録である。

走幅跳[編集]

イバン・ペドロソが1995年7月29日にイタリア・セストリエールの大会で8m89cm記録した(追い風2.4m/s)[7]。また同じ大会で風速+1.2mの中、8m96の跳躍を行ったが、イタリア陸連は、風力計の前に係員がいたため、正しい風速が計測できなかったということでこの記録をIAAFに送致しなかった。そのためこの記録は幻の世界記録となった。

マイク・パウエルが1992年7月21日にイタリア・セストリエールの大会で8m99cm記録した(追い風4.4m/s)[7]

混成競技[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 日本陸上競技連盟競技規則 第3部トラック競技 第163条の8
  2. ^ a b 0 Toplists 100 m ? o. iaaf.org.
  3. ^ デジタル編集部 (2014年10月9日). “東京五輪50年:99枚の写真で見る「あの日、あの瞬間」(全99枚中36枚目)”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/graph/2014/10/09/20141009mog00m050011000c/036.html 2014年10月25日閲覧。 →アーカイブ
  4. ^ a b All-time men's best 200m - wind-assisted - The Track and Field all-time Performances Homepage
  5. ^ a b All-time men's best 110m hurdles - wind-assisted marks - The Track and Field all-time Performances Homepage
  6. ^ All-time women's best 100m hurdles - wind-assisted
  7. ^ a b c d e f IAAF Outdoor All Time Lists updated as at 30 August 2010

関連項目[編集]