聖家族

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聖家族』(ラファエロ、1506年、エルミタージュ美術館所蔵)
『カニジャーニの聖家族』(ラファエロ、1507年、アルテ・ピナコテーク所蔵)
聖ヨアキム(上) 聖母マリア(右) イエス・キリスト(中央下)聖エリサベツ洗礼者聖ヨハネ(左)(人物の設定には異説あり)
前景に三角形の構図で聖人を描き、後景の大きな領域に風景を配している。

聖家族(せいかぞく、: Sacra Familia)は、幼少年時代のイエス・キリスト養父ヨセフ聖母マリアのことであり、キリスト教美術の主題のひとつであった。

聖家族をモチーフとした作品の創造は、15世紀から17世紀のルネサンス美術バロック美術において盛んであった。よく描かれたのは『マタイによる福音書』が伝える聖母のエジプト逃避英語版で、旅の途上で休憩するマリア母子が豊かな風景画として描かれた。後の画家は、この画題に幼い洗礼者ヨハネや他の聖人を配した。

『エジプトへの逃避』(ティントレット、1583-1587年、サンロッコ大信徒会所蔵)
『聖家族』(ヤーコブ・ヨルダーンス、1620年頃)

16世紀のイタリア美術は、フランドル絵画の影響により風景画の技法が発達し、とくに宗教画でその技法が取り入れられた。ティントレットの『エジプトへの逃避』はその影響が強くみられ、背景に神秘的な情感を持たせた作品となっている[1]

参考文献[編集]

  1. ^ ジャン リュデル『イタリア・ルネサンス絵画』木村三郎 (監修)、金山弘昌 (監修)、望月典子 (訳)、安室可奈子 (訳)、田中麻野 (訳)、一瀬 あゆみ (訳)、白水社〈文庫クセジュ〉、2010年、pp.83-87頁。ISBN 978-4560509524 

関連項目[編集]