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結合組織

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

結合組織(けつごうそしき、: connective tissue)は、生物の組織の一種であり、体内の多様な構造を支え、組織や器官の間を埋める役割を担う。軟骨皮膚靭帯血管などがある。細胞成分が比較的少なく、その間を豊富な細胞外マトリックスが満たしている点が特徴である。細胞外マトリックスは主にコラーゲンから構成されるため、結合組織は体の支持や衝撃吸収に関与し、組織や器官の強度と柔軟性を保つ。発生学的には中胚葉に由来する[1]

分類

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結合組織は大きく線維性結合組織、骨組織、軟骨組織、血液・リンパに分けられる。骨組織、軟骨組織、血液・リンパはまとめて「特殊結合組織」と呼ばれる[2]

線維性結合組織

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線維性結合組織
  • 密性結合組織 - 膠原線維(コラーゲン)が密に並ぶため、引っ張る力に強い。靭帯真皮強膜などを形成し、線維の配列により、平行繊維性と交織繊維性に分けられる。
  • 疎性結合組織 - 膠原線維(コラーゲン)がまばらに配列した柔軟な結合組織で、器官や上皮を支える役割をもつ。皮下組織や粘膜下組織、神経・血管の周囲など体内に広く分布する。
  • 脂肪組織 - 脂肪細胞で構成され、緩衝材断熱材エネルギー貯蔵の役割を果たす。
  • 細網組織 - 細網繊維のネットワークであり、リンパ器官(リンパ節骨髄脾臓)を支持する軟骨格を形成する。

特殊結合組織

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特殊結合組織
  • - 脊椎動物の骨格を構成する組織であり、体を支えるとともに運動を可能にする。
  • 軟骨 - 硝子軟骨、弾性軟骨、線維軟骨の3種類に分けられる。軟骨魚類では骨格の大部分を構成し、その他の脊椎動物では主に関節部に存在して衝撃吸収の役割を担う。細胞外マトリックスはコラーゲンを主成分とする。
  • 血液リンパ - 体内を循環し、栄養素・ホルモン・老廃物などを運搬する液状の結合組織。血液の細胞外マトリックスは血漿であり、主要な細胞成分として赤血球白血球が含まれる。

結合組織の構造

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結合組織は、大きく「細胞」と「細胞外マトリックス」から構成される。細胞外マトリックスはさらに線維基質に分けられ、これらの割合や性質の違いが組織の特徴を決定する。

細胞

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結合組織には、その種類や機能に応じて多様な細胞が存在する[3]

  • 線維芽細胞:結合組織の最も一般的な細胞であり、細胞外マトリックスの主成分であるコラーゲンや、弾性線維を構成するエラスチンなどを産生する。
  • マクロファージ:骨髄でつくられる単球が血液から組織に移り、そこで成熟した細胞。細菌や異物を取り込んで分解するだけでなく、その情報をリンパ球に伝える役割も担う(抗原提示)。
  • 肥満細胞ヒスタミンなどの物質を出して、炎症やアレルギー反応に関わる。皮膚や腸に多く見られる。
  • 形質細胞:体内に侵入した細菌やウイルスに対抗するための抗体を作り出す。
  • 脂肪細胞:脂肪を蓄え、体温を保つ断熱材のような働きや、外部からの衝撃をやわらげて臓器を守るクッションの役割ももつ。

細胞外マトリックス

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細胞外マトリックスは、細胞の周囲を満たす物質であり、結合組織の物理的特性を決定する。主に線維基質からなる。

  • 線維:タンパク質から成る線状の構造物で、組織の強度や弾力性を担う。
    • 膠原線維(コラーゲン):最も豊富な線維であり、強度が高く、引っ張る力に強い。腱や靭帯の主成分となる。
    • 弾性線維:ゴムのような伸縮性を備え、皮膚や血管などに多く存在する。線維芽細胞が産生するエラスチンを主成分としている。
    • 細網線維網目状の構造を形成し、リンパ節などの臓器を支持する。

機能

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結合組織は、臓器の支持、栄養や老廃物の輸送、防御反応、脂肪の貯蔵、損傷組織の修復など、多くの機能を持つ。大部分の結合組織は細胞・線維・基質から構成されるが、血液リンパのように線維を持たない特殊な結合組織もある[4]

発生

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結合組織は主に中胚葉に由来する。胎児では「間葉」と呼ばれる未分化の結合組織から骨や軟骨、腱などが作られていく。代表例として、へその緒に存在する「ワルトンゼリー」が挙げられる。これは膠様組織(こうようそしき)と呼ばれ、胎生期にみられる結合組織の一種である[4]

結合組織の疾患

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遺伝性及び非遺伝性の結合組織の疾患が確認されている。

結合組織の染色

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顕微鏡観察のために用いられる結合組織染色の大部分は、線維の染め分けを目的としている。以下のどの染色法を用いても、コラーゲンを明瞭に染めることが可能である。

脚注

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  1. ^ Mapping the Ligand-binding Sites and Disease-associated Mutations on the Most Abundant Protein in the Human, Type I Collagen. http://www.jbc.org/cgi/content/abstract/277/6/4223. 
  2. ^ 人体の組織分類と結合組織について”. 2025年9月11日閲覧。
  3. ^ College of Medicine Biology(General Histology)Prof.Dr.MahdiAlhety 2019-2020 Connective Tissue”. 2025年9月10日閲覧。
  4. ^ a b Kamrani, Payvand; Marston, Geoffrey; Arbor, Tafline C.; Jan, Arif (2025), Anatomy, Connective Tissue, StatPearls Publishing, PMID 30860769, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK538534/ 2025年9月11日閲覧。 

参考文献

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  • 伊藤隆 著、阿部和厚 改訂 『組織学 改訂19版』 pp. 78-126 南山堂 2005年 ISBN 4-525-11019-8

外部リンク

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