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硫化亜鉛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
硫化亜鉛
異なる濃度の硫黄原子空孔を含むZnS粉末[1]
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.013.866 ウィキデータを編集
EC番号
  • 215-251-3
RTECS number
  • ZH5400000
UNII
性質
ZnS
モル質量 97.474 g/mol
密度 4.090 g/cm3
融点 1,850 °C (3,360 °F; 2,120 K) 昇華
バンドギャップ 3.54 eV (cubic, 300 K)
3.91 eV (hexagonal, 300 K)
屈折率 (nD) 2.3677
構造
本文参照
四面体 (Zn2+)
四面体 (S2−)
熱化学
標準生成熱 fH298)
−204.6 kJ/mol
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 1: Exposure would cause irritation but only minor residual injury. E.g. turpentineFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
1
0
0
引火点 不燃性
安全データシート (SDS) ICSC 1627
関連する物質
その他の
陰イオン
酸化亜鉛
セレン化亜鉛
テルル化亜鉛
その他の
陽イオン
硫化カドミウム
硫化水銀(II)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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硫化亜鉛(りゅうかあえん、Zinc sulfide)は、組成式 ZnS で表される共有結合性の化合物で、白または黄色の粉末または結晶である。普通はより安定な立方晶系型として存在し、これは閃亜鉛鉱として産出する。六方晶系型は合成によって得られるが、ウルツ鉱としても天然に存在する。閃亜鉛鉱とウルツ鉱はそれぞれ固有の大きなバンドギャップを持つ半導体である。300 ケルビンにおけるバンドギャップの値は、ウルツ鉱が3.91電子ボルト、閃亜鉛鉱が3.54電子ボルトである。

閃亜鉛鉱型からウルツ鉱型への結晶構造の転移は約1293ケルビンで起こる。閃亜鉛鉱型 ZnS の融点は1991ケルビンで、その298ケルビンにおける標準生成エンタルピーは 204.6 KJ/mol である。

構造

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硫化亜鉛には主に2つの結晶構造が存在する。この二元性は多形性の一例である。各形態において、ZnとSの配位形状は四面体である。より安定な立方晶閃亜鉛鉱 (sphalerite) としても知られている。六方晶型はウルツ鉱として知られているが、合成することもできる[2]。閃亜鉛鉱からウルツ鉱への転移は約1020℃で起こる。

製法

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硫黄亜鉛の直接化合、または亜鉛イオンを含む水溶液に硫化水素を吹き込むことで生成する。

用途

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初期の原子物理学においてアーネスト・ラザフォードらはシンチレーターとして硫化亜鉛を用いた。これは硫化亜鉛がアルファ線やX線や電子線などといった放射線によって励起された際に発光するという性質を利用したもので、X線の増感剤や(陰極線=電子線を用いる)ブラウン管の材料としても有用であった。不純物が存在すると燐光を持つようになり、青色光または紫外線を発する。

ラザフォードらはとくに硫化亜鉛をアルファ線測定用のシンチレータとして利用した。もっとも、当時の技術では自動計測は難しかったため硫化亜鉛の粉末を用い、暗室にて目測で発光を数えアルファ線の数を数えていたが、測定者の集中力などの問題もありあまり活用できなかった。しかしながらアルファ線を物質に照射するラザフォード散乱の実験に応用し、原子核の存在を証明した[3]。なおアルファ線の検出用素子としては未だに有用である。

ppm程度の活性剤を添加して発光体として用いられ、ブラウン管、X線スクリーンや暗所で光る部品(蓄光剤)など多くの用途を持つ。が活性剤として使われた場合、発する光は最長波長450ナノメートルの明るい青に、マンガンの場合は黄色になる。の場合は発光時間の長い、蓄光剤として良く知られる緑色っぽい色になる。銅をドーピングした硫化亜鉛 (ZnS:Cu) はエレクトロルミネセンスパネルなどにも用いられる。ZnS半導体は一時期青色発光ダイオードの有力候補となった時もあった。

赤外光用の光学素子としても使われ、可視光から12マイクロメートル以上の波長を透過する。平面状の光学窓レンズの形で使用される。商標名としてCleartranやIrtran-2などがある。

ドーピングによりN型半導体P型半導体の両方として使用することができるが、これはII-VI族半導体としては珍しい性質である。

脚注・出典

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  1. Wang, Gang; Huang, Baibiao; Li, Zhujie; Lou, Zaizhu; Wang, Zeyan; Dai, Ying; Whangbo, Myung-Hwan (2015). “Synthesis and characterization of ZnS with controlled amount of S vacancies for photocatalytic H2 production under visible light”. Scientific Reports 5: 8544. Bibcode: 2015NatSR...5E8544W. doi:10.1038/srep08544. PMC 4339798. PMID 25712901.
  2. Wells, A. F. (1984), Structural Inorganic Chemistry (5th ed.), Oxford: Clarendon Press, ISBN 0-19-855370-6.
  3. 三浦功・菅浩一・俣野恒夫、『放射線計測学第4版』、裳華房、〈物理学選書7〉、昭和40年7月5日、2頁。

関連項目

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外部リンク

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