「エネルギー・運動量テンソル」の版間の差分

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2013年4月2日 (火) 00:31時点における版

エネルギー・運動量テンソル(エネルギーうんどうりょうテンソル、stress‐energy tensor または stress‐energy‐momentum tensor)とは、質量密度エネルギー流束運動量を表現する物理量であり、二階のテンソル として表現される。一般相対性理論におけるアインシュタイン方程式では、物質分布を示す右辺の項として登場し、重力を生じさせる源 (source term) としての意味を持つ。アインシュタイン方程式で、真空の状況を考える時は、 とすればよい。

エネルギー・運動量テンソル は、定義から明らかに対称テンソルである。 以下では、時間座標を0成分とし、空間座標を1,2,3成分とする添字を使い、計量(metric)の符号はとする。また、アインシュタインの縮約記法を用いる。

共変微分をもちいて

とすれば、これは、共変形式のエネルギー・運動量保存則を表すことになる。

定義

エネルギー・運動量テンソルはネーターの定理により、時空の併進対称性の保存電流(ネーターカレント)として定められる。

作用積分

と書かれているとき、時空の微小な併進 x → x' = x + ξ に対して、φ'(x')=φ(x) が成り立つ。 従って、場は

と変換される。 エネルギー・運動量テンソルは

となる。

別の定義の仕方として、計量の変分により定義する方法がある。 作用積分が

と書かれているとき、計量の変分

に対して、

で定義される。


各成分の意味

応力エネルギーテンソル
  • 時間-時間成分、即ち は、エネルギー密度である。
  • 時間-空間成分、即ち は、の方向へのエネルギーの流れである。
  • 空間-時間成分、即ち は、i-成分の運動量密度である。
  • 空間成分、即ち は、の方向への i-成分の運動量の流れである。

完全流体近似のエネルギー・運動量テンソル

物質の平均自由行程が全体のスケールに比べて短いとき、流体近似が可能である。さらに、 流体の静止系に乗ったときに、圧力が等方的であり(応力テンソルが対角的であり)、粘性のない場合、 完全流体として考えることができる。このとき、一般に次のように仮定することができる。

は、静止系で観測したときの質量エネルギー密度と圧力であり、 は、計量テンソル・流体の4元速度ベクトル(共動座標系ならば、、流体速度を と観測する場合には)である。この仮定は、宇宙モデルを論じるときに通常用いられる。

非相対論的な場合、 となるから、行列形式で成分を書くと

となる。この空間成分は、古典的流体力学の応力テンソル

と一致する。

電磁場のエネルギー・運動量テンソル

電磁場のラグランジアン密度

からエネルギー・運動量テンソルを計算すると

となる。ここで、 は電磁場テンソル、電磁ポテンシャルである。

は電磁場のエネルギー密度 及びポインティング・ベクトルマクスウェルの応力テンソルである。

関連項目