「戦争は女の顔をしていない」の版間の差分

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『'''戦争は女の顔をしていない'''』(せんそうはおんなのかおをしていない、[[ロシア語|露]]: {{Lang|ru|У войны не женское лицо}})は、[[1985年]][[出版]]の[[スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ]]による[[ベラルーシ]]の[[ノンフィクション]][[小説]]。[[第二次世界大戦]]の[[独ソ戦]]において[[ソビエト連邦軍]]に従軍した女性たちの証言をまとめた[[戦争文学]]である<ref name=sankei>{{Cite web|和書|date=2020-05-09|url=https://www.sankei.com/article/20200509-6LA4YVIHCJORRNZTE2ZL7CECEM/|title=【話題の本】『戦争は女の顔をしていない』 埋もれた声が伝える戦争|publisher=産経ニュース|accessdate=2021-01-30}}</ref>。著者の[[処女作]]であり、[[2015年]]に[[ノーベル文学賞]]を受賞した
『'''戦争は女の顔をしていない'''』(せんそうはおんなのかおをしていない、[[ロシア語|露]]: {{Lang|ru|У войны не женское лицо}})は、[[1985年]]出版された[[スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ]]による[[ベラルーシ]]のノンフィクション小説。[[第二次世界大戦]]の[[独ソ戦]]従軍した女性たちの証言をまとめた作品である<ref name=sankei>{{Cite web|和書|date=2020-05-09|url=https://www.sankei.com/article/20200509-6LA4YVIHCJORRNZTE2ZL7CECEM/|title=【話題の本】『戦争は女の顔をしていない』 埋もれた声が伝える戦争|publisher=産経ニュース|accessdate=2021-01-30}}</ref>。


[[1985年]]に出版されたアレクシエーヴィッチのデビュー作である<ref name=sankei/>。アレクシエーヴィッチは[[雑誌記者]]だった30歳代、1978年から500人を超える女性たちから聞き取り調査を行った。原稿は完成したものの、検閲によって2年間出版を許可されず、[[ペレストロイカ]]後に出版された。ベラルーシの大統領[[アレクサンドル・ルカシェンコ]]は祖国を中傷する著書を外国で出版したと非難し、ベラルーシでは出版禁止になっている<ref>{{Cite web|和書|date=|url=https://www.iwanami.co.jp/book/b256544.html|title=戦争は女の顔をしていない|publisher=岩波書店|accessdate=2021-01-30}}</ref>。
== 概要 ==
[[1985年]]に出版されたアレクシエーヴィッチのデビュー作である<ref name=sankei/>。アレクシエーヴィッチは[[雑誌記者]]だった30歳代、1978年から500人を超える女性たちから聞き取り調査を行った。本は完成したものの、2年間出版を許可されず、[[ペレストロイカ]]後に出版された。[[ベラルーシの大統領]]である[[アレクサンドル・ルカシェンコ]]は祖国を中傷する著書を外国で出版したと非難し、[[ベラルーシ]]では長らく出版禁止になっていた<ref>{{Cite web|和書|date=|url=https://www.iwanami.co.jp/book/b256544.html|title=戦争は女の顔をしていない|publisher=岩波書店|accessdate=2021-01-30}}</ref>。


== 背景 ==
この書籍は、1980年代の終わりまでに200万部の発行部数を記録した<ref>[http://news.tut.by/culture/467702.html Светлана Алексиевич получила Нобелевскую премию по литературе — первую в истории Беларуси]</ref>。
[[File:RIAN archive 58861 Before leaving for the front.jpg|thumb|200px|前線に出発するソ連軍の女性兵士たち]]
=== ソ連の女性兵士 ===
第二次世界大戦時のソ連軍では、80万人から100万人の女性が戦地に行ったとされる。女性は徴兵の対象ではなかったため志願による参加であり、医療、看護、調理、洗濯、戦闘などを行なった。正規軍の他に[[赤軍パルチザン|パルチザン]]に参加した女性もいた{{sfn|橋本|2023|p=38}}。ソ連政府は戦闘に参加した女性を称賛し、象徴とされた女性兵士やパルチザンもいた{{efn|狙撃兵の[[リュドミラ・パヴリチェンコ]]は象徴的な存在として宣伝塔になった{{sfn|橋本|2023|pp=38-39}}。パルチザンに参加してドイツ軍に処刑された[[ゾーヤ・コスモデミヤンスカヤ]]は、ソ連で初の女性英雄の称号を与えられ、時代ごとの政治的事情に合わせた像が各地に作られた{{sfn|橋本|2023|pp=41-42}}。}}{{sfn|橋本|2023|pp=41-42}}。しかし実際に従軍した女性兵士は、性的な偏見を持たれることがあり、セクシャルハラスメントやストーカー行為、パワーハラスメントを受けた。戦場から帰還すると男性は英雄扱いをされる傾向にあったが、他方で女性は性的なことで功績を得たと誤解されないように勲章を隠すこともあった{{sfn|橋本|2023|pp=44-45}}。


=== 証言文学・記録文学 ===
2019年、本作を原案とした[[映画]]『[[戦争と女の顔]]』が[[ロシア]]の[[映画監督]]である{{仮リンク|カンテミール・バラーゴフ|ru|Балагов, Кантемир Артурович}}によって製作され、[[第72回カンヌ国際映画祭]]「[[ある視点]]」部門で監督賞、[[カンヌ国際映画祭 FIPRESCI賞|国際映画批評家連盟賞]]を受賞した<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20220407/8/ |title=「戦争は女の顔をしていない」が原案 カンヌ国際映画祭2冠「戦争と女の顔」7月公開決定 |publisher=[[映画.com]] |date=2022-04-07 |accessdate=2022-09-22}}</ref>。
ベラルーシの作家{{仮リンク|アレシ・アダモーヴィチ|be|Алесь Адамовіч}}は独ソ戦でのパルチザン経験があり、『{{仮リンク|私は炎の村から来た|be|Я з вогненнай вёскі…}}』(1975年)や『{{仮リンク|封鎖・飢餓・人間|be|Блакадная кніга}}』(1977年 - 1981年)などで独ソ戦の証言を発表した{{sfn|越野|2023|pp=44-45}}。こうした作品は[[戦争文学]]の他に記録文学や証言文学とも呼ばれる{{sfn|沼野|2021|p=}}{{sfn|越野|2023|pp=44-45}}。複数の証言者の語りを記録・編集する方法について、アダモーヴィチ自身はコーラス文学と呼んでいる{{efn|ロシア語の記録文学の先駆者としては{{仮リンク|ソフィア・フェドルチェンコ|ru|Федорченко, Софья Захаровна}}の『戦争における人々』(1917年)がある{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=347}}。}}{{sfn|越野|2017b|pp=152–153}}


== 受賞 ==
=== 政治的背景 ===
ソ連の[[ミハイル・ゴルバチョフ]]政権が主導した政治改革の[[ペレストロイカ]]では、情報政策として[[グラスノスチ]](情報公開)も進められた。かつての[[ヨシフ・スターリン]]政権時代には不可能だった言論の自由がソ連で広まるきっかけとなった{{sfn|沼野|2021|p=345}}。
* [[リシャルト・カプシチンスキ]]賞(2011年)<ref>{{Cite web|title=Nagroda im. Ryszarda Kapuścińskiego|url=http://www.press.pl/imprezy/pokaz/2036,Nagroda-im_-Ryszarda-Kapuscinskiego|publisher=www.press.pl|accessdate=2020-02-02}}</ref>


== 日本語版 ==
=== 著者 ===
アレクシエーヴィチは、ジャーナリストとして[[ミンスク]]の新聞や文芸誌で働いていた1970年代にアダモーヴィチの作品を知った。『私は炎の村から来た』を読んだアレクシエーヴィチは、その作品が自分の道を見つける道標だと思った{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=72, 338}}。さらに戦争の英雄として知られる男性を取材した際は、妻の戦争体験の方に関心を抱いた。こうしてアレクシエーヴィチは女性を対象にした取材を行い、雑誌に掲載された{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|pp=74-78}}。取材は1978年に始まり、7年間で500人以上の証言を記録した{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=1, 43}}。
日本語版は2008年に、三浦みどり訳で[[ロシア文学]]専門の出版社である[[群像社]]で刊行。


== 内容 ==
2015年10月に群像社は、アレクシエーヴィチのノーベル賞受賞を受け、1000冊の増刷を予定していたが<ref>[http://books-ruhe.co.jp/cgi_bin/bbs/shinbunka/read.cgi?no=6656 群像社、『戦争は女の顔をしていない』を1000部重版](2015年10月15日) 出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ、2020年02月26日閲覧。</ref>、著者の著作権を管理する代理人から権利消失のため出版できないと通知されたことを公式サイトで公表した<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.gunzosha.com/20151021message.html|title=アレクシエーヴィチの本の販売について|publisher=群像社|accessdate=2020-02-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2015-10-23|url=https://www.huffingtonpost.jp/2015/10/21/gunzosha_n_8353632.html|title=【群像社】ノーベル文学賞作家に増刷を断られた中小出版社、健気な声明(全文)|publisher=HUFFPOST|accessdate=2020-02-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2015-12-30|url=https://www.nippon.com/ja/people/e00092/|title=ロシア文学と共に30年—群像社 島田進矢氏に聞く|publisher=公益財団法人ニッポンドットコム|accessdate=2020-02-26}}</ref>。
アレクシエーヴィチは、自分が心を動かされるものが「小さき人々」の物語にあると書いている。アレクシエーヴィチによれば、それは戦争、国、英雄のものではない物語にあたる{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=63}}。英雄や官僚的な偉業はなく、人間らしい仕事をしたか人間らしくない仕事をした人だけがいる。そして人間だけでなく他の生物も苦しんでおり、言葉を発せずに苦しんでいるのでより恐ろしい。そのようにアレクシエーヴィチは表現している{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=317}}。


本書はロシア語で執筆されている。ベラルーシでは[[ベラルーシ語]]と[[ロシア語]]が国家語であり、アレクシエーヴィチのような都市部の住民はロシア語の話者が多い{{efn|ベラルーシ語、ロシア語、ウクライナ語は9世紀から15世紀にかけて別の言語に分かれた。国家としてのベラルーシは1922年に[[ソヴィエト連邦]]の構成国となり、[[ソ連崩壊]]によって独立した。ベラルーシ語は話し言葉、ロシア語は文章で使われる傾向が強かった{{sfn|沼野|2021|pp=349-350}}。}}{{sfn|沼野|2021|p=350}}。
[[岩波書店]]が翻訳権を獲得して2016年に再刊された。


=== 構成 ===
アレクシエーヴィチはアダモーヴィチを師と呼んでいる。ただし、本書には聞き手である作者の意見が少なく、証言とともに自身の分析や意見を書いているアダモーヴィチの作風とは異なる{{sfn|越野|2017a|pp=10-11}}。アレクシエーヴィチは自身の発言を少なくしている理由として、次のように語っている。人は苦しむと気高い声で話すようになる。それは作者には手が届かないような声である。作者は自らの居るべき場所をわきまえ、気高い声のあとで哲学を語る必要はない{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=347}}。

=== 証言 ===
本書の始まりとなった取材は、ミンスクで暮らす元狙撃兵であり、彼女の証言は最初の章に置かれた。11回表彰されたという女性は、戦争について「話したくない」と語っている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=43-45}}。当初のアレクシエーヴィチは片端から取材をしていたが、証言者が別の取材相手を紹介してくれるようになり、連絡先が増えて戦友会のような集まりにも招かれた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=130}}。アレクシエーヴィチはソ連の各地で取材を行い、{{仮リンク|アプシェロンスク|ru|Апшеронск}}、[[ヴィテプスク]]、[[ヴォルゴグラード]]、[[ガーリチ]]、[[キーウ]]、[[スーズダリ]]、[[スモレンスク]]、[[モスクワ]]、{{仮リンク|ヤルトロフスク|ru|Ялуторовск}}など多数に及んだ。[[赤の広場]]やモスクワ・ホテルで行われる退役軍人の集まりにも招待された{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=43-45}}。

アレクシエーヴィチは女性たちが志願した理由について知りたいと思い、その証言がまとめられている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=62-63}}。女性が受けた性差別として、徴兵で断られたり士官として認められなかった体験、周囲のセクシャルハラスメントを避けるために上官と交際した体験などが語られている。性差別や偏見は、帰還兵となったのちに同性からも受け続けた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=71, 327-328, 367}}{{sfn|安元|2016|pp=38-39}}。戦場で女性的な日常は禁じられていて不可能だとアレクシエーヴィチは考えていたが、証言者たちからは美しさの話が出てきた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=283-284}}。戦場でイヤリングを隠し持っていたことや、身体に障害が残れば女性として終わりだと恐れていた話、最も恐ろしかったのは男性用の下着を履いていたことだった話などが収録されている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=61-62, 124, 285-286}}。戦場での恋愛として、包帯のガーゼでウエディングドレスを縫った話や、前線で夫を亡くした話もある。他方、戦後になると男性が去ってしまう場合があった{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=349, 352}}。戦争が終わった後も地雷処理で働いた工兵や、故郷で差別されて結婚できなかった帰還兵がいた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=35, 332, 351, 367}}。

正規軍の兵士だけでなく[[赤軍パルチザン|パルチザン]]の証言もあり、アレクシエーヴィチは「家族を犠牲にするかもしれない場所で戦うことの恐ろしさ」と書いている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=370-372}}。パルチザンの目撃談として、子供を射殺されて発狂した母親、包囲されて子供を犠牲にせざるを得なかった母親、[[ヒヴィ|ドイツ軍に協力したソ連人]]、またパルチザン自身が捕えられて拷問を受けた体験などが収録されている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=34, 383, 406-407, 426-427}}。味方のパルチザンに食料を奪われた被害側としての証言もある{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=34, 383, 406-407}}。

捕虜になったことのある者やドイツの収容所生活を体験した者は、スターリン政権によって流刑地へ送られており、その目撃談もある{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=39}}。捕虜から生還した家族が、裏切り者として[[内務人民委員部]]の暴力的な取り調べを受けて障害者にされたこともあった{{efn|スターリンは、捕虜になった者や生き残った者を裏切り者とみなしていた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=439}}。}}{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=430-431}}。スターリン政権やソ連軍に対する批判として、戦前の[[大粛清]]による収容所や流刑、[[ソビエト連邦における農業集団化|農業集団化]]による国力や軍の弱体化が犠牲を大きくしたと元兵士たちによって語られている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=135-136}}{{sfn|安元|2016|p=40}}。検閲官が特に不快感を示したエピソードとして、兵士が月経のための装備を支給されなかったため川で身体を洗おうとして爆撃された話や、前線に行く兵士が給料の全額で菓子を購入した話などがある{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=314}}。ソ連軍兵士によるドイツ市民への[[戦時性暴力]]の証言もあり、2002年版では男性の元兵士による性暴力の証言も加筆された{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=448-449}}。

アレクシエーヴィチは戦場の実態とともに、敵味方を超えた人間関係についての証言も選んだ。入院したソ連軍とドイツ軍の兵士が相手の容態を心配する光景、捕虜にパンを与えたときに「憎むことができないということが嬉しかった」と思った体験、前線で敵軍の負傷兵を治療した兵士、ドイツを容赦しないと思いつつも、ドイツの子供を見捨てることができず配給を与えた話などが記録されている。アレクシエーヴィチは本書の各所で戸惑いを表明しながら、「道はただ一つ。人間を愛すること。愛をもって理解しようとすること」と書いている{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=207, 442-443}}{{sfn|安元|2016|pp=39-40}}。

== 評価、影響 ==
本作が雑誌掲載された際に、アダモーヴィチは次のように賛辞をした。「本ができるには登場人物たちの娘にあたるほどの年若い作家の誠実な努力があった。五百人を越える一人一人の聞き書きというこのスヴェトラーナの書き方は妥協を許さないものだが、他人の痛みに対して人間の心を塞いでいる邪魔な物を突き破るにはこれが必要だった」。しかしアダモーヴィチの後押しにも関わらず、問題作と見なされて単行本の出版は差し止められた{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|pp=483-484}}{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|pp=77-78}}。検閲官は、ソ連軍の兵士に対する中傷であり、小さな物語は必要ない、勝利のような大きな物語が必要だとアレクシエーヴィチに言った{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=32}}。

ペレストロイカの影響で単行本が出版されるとベストセラーとなり、1980年代の終わりまでに200万部の発行部数を記録した。2004年の最終稿では、ペレストロイカ直後には語れなかったことが加筆された{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=485}}。アレクシエーヴィチは、本書の取材中に別のテーマとして、戦時中に子供だった人々の体験に注目した。これはのちに『{{仮リンク|最後の証人たち|ru|Последние свидетели}}』(1985年。邦題『ボタン穴から見た戦争』)として出版された{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=78}}。アレクシエーヴィチは本書を含む5作品を、ユートピアをめくる記録文学と呼んでいる{{efn|アレクシエーヴィチは、自分よりも前の世代を共産主義に染まった最後の世代、ユートピアに魅せられた世代と呼んでいる。そしてユートピアをめぐる5作品は100年間にわたるロシア・ソ連の精神史としている{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|pp=309-310}}。}}{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|pp=309-310}}。

[[ベラルーシの大統領]]の[[アレクサンドル・ルカシェンコ]]は、アレクシエーヴィチが外国で著書を出版し、祖国を中傷して金をもらっていると非難し、ベラルーシでの出版を禁止した{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=486}}。他方、ロシアでは1997年の2巻本、2004年の普及版、2007年の選集などで出版された{{sfn|アレクシエーヴィチ|2016|p=487}}。日本語版は2008年に、三浦みどり訳で[[ロシア文学]]専門の出版社である[[群像社]]で刊行された。2015年10月に群像社は、アレクシエーヴィチのノーベル賞受賞を受け、1000冊の増刷を予定していたが<ref>[http://books-ruhe.co.jp/cgi_bin/bbs/shinbunka/read.cgi?no=6656 群像社、『戦争は女の顔をしていない』を1000部重版](2015年10月15日) 出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ、2020年02月26日閲覧。</ref>、著者の著作権を管理する代理人から権利消失のため出版できないと通知されたことを公式サイトで公表した<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.gunzosha.com/20151021message.html|title=アレクシエーヴィチの本の販売について|publisher=群像社|accessdate=2020-02-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2015-10-23|url=https://www.huffingtonpost.jp/2015/10/21/gunzosha_n_8353632.html|title=【群像社】ノーベル文学賞作家に増刷を断られた中小出版社、健気な声明(全文)|publisher=HUFFPOST|accessdate=2020-02-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2015-12-30|url=https://www.nippon.com/ja/people/e00092/|title=ロシア文学と共に30年—群像社 島田進矢氏に聞く|publisher=公益財団法人ニッポンドットコム|accessdate=2020-02-26}}</ref>。のちに岩波書店が翻訳権を獲得して2016年に再刊された[https://www.iwanami.co.jp/book/b256544.html]。

アレクシエーヴィチは[[2015年]]に[[ノーベル文学賞]]を受賞した。スウェーデン・アカデミーは「私たちの時代の苦悩と勇気への記念碑」「素材だけでなく形式においても新しい文学ジャンルの成果」と評価した{{sfn|沼野|2021|pp=}}。本書をもとに、さまざまな関連作品が作られている([[#関連作品|後述]])。

== 書誌情報 ==
* 『戦争は女の顔をしていない』 群像社(2008年7月){{ISBN2|978-4-903619-10-1}}
* 『戦争は女の顔をしていない』 群像社(2008年7月){{ISBN2|978-4-903619-10-1}}
* 『戦争は女の顔をしていない』 [[岩波現代文庫]](2016年2月){{ISBN2|978-4-00-603295-1}}
* 『戦争は女の顔をしていない』 岩波現代文庫(2016年2月){{ISBN2|978-4-00-603295-1}}


== 漫画 ==
== 関連作品 ==
[[File:Omsk Drama Theatre.jpg|thumb|200px|本作品が初めて戯曲化されたオムスク・ドラマ劇場]]
2019年4月27日からウェブコミック配信サイト[[ComicWalker]]([[KADOKAWA]])で漫画の連載が始まり、2020年1月27日に同社よりコミックス第1巻が発売されている。[[小梅けいと]]が作画を担当し、[[速水螺旋人]]が監修をしている<ref>{{Cite web|和書|url=https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM00000019010000_68/|title=戦争は女の顔をしていない|website=ComicWalker|accessdate=2019-05-01}}</ref>。単行本第1巻の帯には、富野由悠季が推薦文を寄稿{{R|natalie20200127}}。2023年4月時点で累計70万部を突破している<ref>{{Cite journal|和書|date = 2023-04-26|title=戦争は女の顔をしていない 4 4月27日(木)発売|journal =電撃マオウ|volume=2023年6月号|publisher = KADOKAWA|page=337|asin = B0C1ZC9F75}}</ref>。
=== 戯曲 ===
本作品は1985年から戯曲化されており、初演はシベリアの[[オムスク]]にある{{仮リンク|オムスク・ドラマ劇場|ru|Театральное искусство в Омске}}だった。ロシア各地や国外で巡業を重ねて、公演回数は2021年時点で100回以上となる。上演時間は2時間半におよび、役作りのために[[キーウ]]に住む元女性兵士に会いに行ったという俳優もいる{{efn|オムスクは演劇が盛んな都市で、伝統的なロシア演劇であるゴーゴリ、ドストエフスキー、チェーホフなどの作品の他に安部公房や三谷幸喜などの作品も上演している{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|p=49}}。}}{{sfn|アレクシエーヴィチ他|2021|pp=49-50}}。ペレストロイカの時期に40の劇場で上演されると好意的な書評が増え、アレクシエーヴィチに連絡をして証言をする人々も増えた{{sfn|沼野|2021|pp=344-345}}。


=== 映画 ===
2021年7月、第50回[[日本漫画家協会賞]]が発表され、まんが王国とっとり賞に本作が選出されている<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/438319|title=日本漫画家協会賞、今年の大賞は「鬼滅の刃」「NEW NORMAL!」|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2021-07-26|accessdate=2022-03-31}}</ref>。2023年5月1日から5月7日まで、単行本第4巻の発売を記念し、[[京浜東北線]]と[[根岸線]]にて貸し切りの中吊り広告を展開<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/522901|title=「戦争は女の顔をしていない」戦争の二面性を表す黒と白の電車中吊り広告を展開|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2023-05-01|accessdate=2023-05-01}}</ref>。
2019年、本作を原案とした映画『[[戦争と女の顔]]』がロシアの映画監督である{{仮リンク|カンテミール・バラーゴフ|ru|Балагов, Кантемир Артурович}}によって製作され、[[第72回カンヌ国際映画祭]]「[[ある視点]]」部門で監督賞、[[カンヌ国際映画祭 FIPRESCI賞|国際映画批評家連盟賞]]を受賞した<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20220407/8/ |title=「戦争は女の顔をしていない」が原案 カンヌ国際映画祭2冠「戦争と女の顔」7月公開決定 |publisher=[[映画.com]] |date=2022-04-07 |accessdate=2022-09-22}}</ref>。


=== 漫画 ===
* スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作)・小梅けいと(作画)・速水螺旋人(監修)『戦争は女の顔をしていない』KADOKAWA、既刊4巻(2023年4月27日現在)
2019年4月27日からウェブコミック配信サイト[[ComicWalker]](KADOKAWA)で漫画の連載が始まり、2020年1月27日に同社よりコミックス第1巻が発売された。[[小梅けいと]]が作画を担当し、[[速水螺旋人]]が監修をしている{{efn|単行本第1巻の帯には、富野由悠季が推薦文を寄稿{{R|natalie20200127}}。}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM00000019010000_68/|title=戦争は女の顔をしていない|website=ComicWalker|accessdate=2019-05-01}}</ref>。2021年7月、第50回[[日本漫画家協会賞]]が発表され、まんが王国とっとり賞に本作が選出されている{{efn|2023年5月1日から5月7日まで、単行本第4巻の発売を記念し、[[京浜東北線]]と[[根岸線]]にて貸し切りの中吊り広告が展開された<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/522901|title=「戦争は女の顔をしていない」戦争の二面性を表す黒と白の電車中吊り広告を展開|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2023-05-01|accessdate=2023-05-01}}</ref>。}}<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/438319|title=日本漫画家協会賞、今年の大賞は「鬼滅の刃」「NEW NORMAL!」|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2021-07-26|accessdate=2022-03-31}}</ref>。2023年4月時点で累計70万部を突破している<ref>{{Cite journal|和書|date = 2023-04-26|title=戦争は女の顔をしていない 4 4月27日(木)発売|journal =電撃マオウ|volume=2023年6月号|publisher = KADOKAWA|page=337|asin = B0C1ZC9F75}}</ref>。コミックス発売に合わせて漫画のコマを利用したプロモーションビデオがYouTubeで公開された<ref name="pv1">{{Cite web|和書|date=2020-01-26|url=https://www.youtube.com/watch?v=vJt1aRQsshI|title=『戦争は女の顔をしていない』試し読みPV(CV:日笠陽子ほか)|work=YouTube KADOKAWAオフィシャルチャンネル|accessdate=2021-01-30}}</ref>。PVには、軍医・ブレウス大尉のエピソード(漫画第2話)<ref>{{Cite web|和書|date=2020-02-03|url=https://eiga.com/news/20200203/2/|title=ノーベル文学賞作家の「戦争は女の顔をしていない」コミカライズ第1巻発売 試し読みPVには日笠陽子出演|website=映画.com|accessdate=2021-01-30}}</ref>や書記・ヴィレンスカヤ軍曹、ソ連初の女性機関士・アレストワ機関士、射撃手・アフメートワ二等兵のエピソード(漫画第7話)<ref name="pv2">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/410242|title=「戦争は女の顔をしていない」を田中敦子、高山みなみ、水田わさびらが朗読|work=コミックナタリー|date=2020-12-25|accessdate=2021-01-22}}</ref>が使われている{{efn|主なキャストは、ブレウス大尉/ナレーション:[[日笠陽子]]{{R|pv1}}、ヴィレンスカヤ軍曹/ナレーション:[[田中敦子 (声優)|田中敦子]]{{R|pv2}}、
*# 2020年1月27日発売<ref name="natalie20200127">{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/364765|title=「戦争は女の顔をしていない」小梅けいとによるコミカライズ版1巻が発売|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2020-01-27|accessdate=2022-03-31}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000511/|title=戦争は女の顔をしていない 1|publisher=KADOKAWA|accessdate=2020-02-26}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-912982-3}}
アレストワ機関士:[[高山みなみ]]{{R|pv2}}、アフメートワ二等兵:[[水田わさび]]{{R|pv2}}}}。
*# 2020年12月26日発売{{R|pv2}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000048/|title=戦争は女の顔をしていない 2|publisher=KADOKAWA|accessdate=2020-12-31}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-913595-4}}
*# 2022年3月26日発売<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000701/|title=戦争は女の顔をしていない 3|publisher=KADOKAWA|accessdate=2022-03-31}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-914125-2}}
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* スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作)・小梅けいと(作画)・速水螺旋人(監修)『戦争は女の顔をしていない』KADOKAWA、既刊4巻{{efn|1巻 2020年1月27日発売<ref name="natalie20200127">{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/364765|title=「戦争は女の顔をしていない」小梅けいとによるコミカライズ版1巻が発売|newspaper=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|date=2020-01-27|accessdate=2022-03-31}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000511/|title=戦争は女の顔をしていない 1|publisher=KADOKAWA|accessdate=2020-02-26}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-912982-3}}、2巻 2020年12月26日発売{{R|pv2}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000048/|title=戦争は女の顔をしていない 2|publisher=KADOKAWA|accessdate=2020-12-31}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-913595-4}}、3巻 2022年3月26日発売<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000701/|title=戦争は女の顔をしていない 3|publisher=KADOKAWA|accessdate=2022-03-31}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-914125-2}}、4巻 2023年4月27日発売<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kadokawa.co.jp/product/322212000763/|title=戦争は女の顔をしていない 4|publisher=KADOKAWA|accessdate=2023-04-27}}</ref>、{{ISBN2|978-4-04-914995-1}}}}(2023年4月27日現在)
=== PV ===
コミックス発売に合わせて、漫画のコマを利用したプロモーションビデオが作られ、[[YouTube]]で公開されている<ref name="pv1">{{Cite web|和書|date=2020-01-26|url=https://www.youtube.com/watch?v=vJt1aRQsshI|title=『戦争は女の顔をしていない』試し読みPV(CV:日笠陽子ほか)|work=YouTube KADOKAWAオフィシャルチャンネル|accessdate=2021-01-30}}</ref>。


== 受賞 ==
PVには、軍医・ブレウス大尉のエピソード(漫画第2話)<ref>{{Cite web|和書|date=2020-02-03|url=https://eiga.com/news/20200203/2/|title=ノーベル文学賞作家の「戦争は女の顔をしていない」コミカライズ第1巻発売 試し読みPVには日笠陽子出演|website=映画.com|accessdate=2021-01-30}}</ref>や書記・ヴィレンスカヤ軍曹、ソ連初の女性機関士・アレストワ機関士、射撃手・アフメートワ二等兵のエピソード(漫画第7話)<ref name="pv2">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/410242|title=「戦争は女の顔をしていない」を田中敦子、高山みなみ、水田わさびらが朗読|work=コミックナタリー|date=2020-12-25|accessdate=2021-01-22}}</ref>が使われている。
* [[リシャルト・カプシチンスキ]]賞(2011年)<ref>{{Cite web|title=Nagroda im. Ryszarda Kapuścińskiego|url=http://www.press.pl/imprezy/pokaz/2036,Nagroda-im_-Ryszarda-Kapuscinskiego|publisher=www.press.pl|accessdate=2020-02-02}}</ref>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist|2|}}
=== 出典 ===
{{Reflist|20em}}

== 参考文献 ==
* {{Citation| 和書
| author = スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
| title = 戦争は女の顔をしていない
| editor = 三浦みどり
| publisher = 岩波書店
| series = 岩波現代文庫
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| isbn =
| ref = {{sfnref|アレクシエーヴィチ|2016}}
}}
* {{Citation| 和書
| author = スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ, 鎌倉英也, [[徐京植]], [[沼野恭子]]
| title = アレクシエーヴィチとの対話 「小さき人々」の声を求めて
| editor =
| publisher = 岩波書店
| series =
| year = 2021
| isbn =
| ref = {{sfnref|アレクシエーヴィチ他|2021}}
}}
** {{Cite book|和書|author=沼野恭子|title=ユートピアの声――アレクシエーヴィチの文学|ref={{SfnRef|沼野|2021}}}}
* {{Cite journal|和書|author=越野剛 |title=スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ作品の形式的側面について |url=https://doi.org/10.15026/93175 |journal=国際シンポジウム「文化の汽水域 : 東スラヴ世界の文化的諸相をめぐって」報告集 |publisher=東京外国語大学 沼野恭子研究室 |year=2017 |month=dec |volume= |issue= |pages=5-13 |naid= |issn= |accessdate=2024-04-03 |ref={{sfnref|越野|2017a}}}}
* {{Cite journal|和書|author=越野剛 |title=アレシ・アダモーヴィチとドストエフスキー : 独ソ戦争と古典文学の対話 |url=https://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/20230316003 |journal=上智ヨーロッパ研究 |publisher=東京 : 上智大学 |year=2023 |month=mar |volume= |issue=14 |pages=43-57 |naid= |issn=18835635 |accessdate=2024-04-03 |ref={{sfnref|越野|2022}}}}
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* {{Citation| 和書
| author =
| title = ベラルーシを知るための50章
| editor = [[服部倫卓]], 越野剛
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| ref = {{sfnref|服部, 越野編著|2017}}
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** {{Cite book|和書|author=越野剛|title=ノーベル賞作家アレクシエーヴィチの文学の世界――戦争・原発事故・社会主義|ref={{SfnRef|越野|2017b}}}}
* {{Cite journal|和書|author=安元隆子 |title=スベトラーナ・アレクシエービッチ『戦争は女の顔をしていない』論 |url= https://www.ir.nihon-u.ac.jp/pdf/research/publication/02_37-1_04.pdf |journal=国際関係研究 |publisher=日本大学国際関係学部国際関係研究所 |year=2016 |month=oct |volume=37 |issue=1 |pages=35-44 |naid= |issn=13457861 |accessdate=2024-04-03 |ref={{sfnref|安元|2016}}}}


== 関連文献 ==
; 主なキャスト
* {{Citation| 和書
: ブレウス大尉/ナレーション:[[日笠陽子]]{{R|pv1}}
| author = アレーシ・アダーモビチ, {{仮リンク|ダニール・グラーニン|ru|Гранин, Даниил Александрович}}
: ヴィレンスカヤ軍曹/ナレーション:[[田中敦子 (声優)|田中敦子]]{{R|pv2}}
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: アレストワ機関士:[[高山みなみ]]{{R|pv2}}
| title = 封鎖・飢餓・人間 ドキュメント 1941-1944年のレニングラード(上・下)
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| translator = 宮下トモ子
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| last1 = Адамовіч
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| authorlink =
| year = 1977-1981
| title = Блокадная книга
| publisher =
| isbn =
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| author = [[ティモシー・スナイダー]]
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| first = Timothy
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| isbn =
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== 出典 ==
== 関連項目 ==
* {{仮リンク|ソ連における検閲|ru|Цензура в СССР}}
{{Reflist}}
* {{仮リンク|第二次世界大戦におけるソ連の女性|en|Soviet women in World War II}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2024年5月10日 (金) 07:45時点における版

戦争は女の顔をしていない
У войны не женское лицо
著者 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
発行日 1985年
発行元 Mastatskaya Litaratura
ジャンル

ノンフィクション

第二次世界大戦におけるソビエト連邦の女性
白ロシア・ソビエト社会主義共和国
言語 ロシア語
形態 文学作品
ページ数 320
次作 The Last Witnesses
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

戦争は女の顔をしていない』(せんそうはおんなのかおをしていない、: У войны не женское лицо)は、1985年に出版されたスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによるベラルーシのノンフィクション小説。第二次世界大戦独ソ戦で従軍した女性たちの証言をまとめた作品である[1]

1985年に出版されたアレクシエーヴィッチのデビュー作である[1]。アレクシエーヴィッチは雑誌記者だった30歳代、1978年から500人を超える女性たちから聞き取り調査を行った。原稿は完成したものの、検閲によって2年間出版を許可されず、ペレストロイカ後に出版された。ベラルーシの大統領アレクサンドル・ルカシェンコは祖国を中傷する著書を外国で出版したと非難し、ベラルーシでは出版禁止になっている[2]

背景

前線に出発するソ連軍の女性兵士たち

ソ連の女性兵士

第二次世界大戦時のソ連軍では、80万人から100万人の女性が戦地に行ったとされる。女性は徴兵の対象ではなかったため志願による参加であり、医療、看護、調理、洗濯、戦闘などを行なった。正規軍の他にパルチザンに参加した女性もいた[3]。ソ連政府は戦闘に参加した女性を称賛し、象徴とされた女性兵士やパルチザンもいた[注釈 1][5]。しかし実際に従軍した女性兵士は、性的な偏見を持たれることがあり、セクシャルハラスメントやストーカー行為、パワーハラスメントを受けた。戦場から帰還すると男性は英雄扱いをされる傾向にあったが、他方で女性は性的なことで功績を得たと誤解されないように勲章を隠すこともあった[6]

証言文学・記録文学

ベラルーシの作家アレシ・アダモーヴィチベラルーシ語版は独ソ戦でのパルチザン経験があり、『私は炎の村から来たベラルーシ語版』(1975年)や『封鎖・飢餓・人間ベラルーシ語版』(1977年 - 1981年)などで独ソ戦の証言を発表した[7]。こうした作品は戦争文学の他に記録文学や証言文学とも呼ばれる[8][7]。複数の証言者の語りを記録・編集する方法について、アダモーヴィチ自身はコーラス文学と呼んでいる[注釈 2][10]

政治的背景

ソ連のミハイル・ゴルバチョフ政権が主導した政治改革のペレストロイカでは、情報政策としてグラスノスチ(情報公開)も進められた。かつてのヨシフ・スターリン政権時代には不可能だった言論の自由がソ連で広まるきっかけとなった[11]

著者

アレクシエーヴィチは、ジャーナリストとしてミンスクの新聞や文芸誌で働いていた1970年代にアダモーヴィチの作品を知った。『私は炎の村から来た』を読んだアレクシエーヴィチは、その作品が自分の道を見つける道標だと思った[12]。さらに戦争の英雄として知られる男性を取材した際は、妻の戦争体験の方に関心を抱いた。こうしてアレクシエーヴィチは女性を対象にした取材を行い、雑誌に掲載された[13]。取材は1978年に始まり、7年間で500人以上の証言を記録した[14]

内容

アレクシエーヴィチは、自分が心を動かされるものが「小さき人々」の物語にあると書いている。アレクシエーヴィチによれば、それは戦争、国、英雄のものではない物語にあたる[15]。英雄や官僚的な偉業はなく、人間らしい仕事をしたか人間らしくない仕事をした人だけがいる。そして人間だけでなく他の生物も苦しんでおり、言葉を発せずに苦しんでいるのでより恐ろしい。そのようにアレクシエーヴィチは表現している[16]

本書はロシア語で執筆されている。ベラルーシではベラルーシ語ロシア語が国家語であり、アレクシエーヴィチのような都市部の住民はロシア語の話者が多い[注釈 3][18]

構成

アレクシエーヴィチはアダモーヴィチを師と呼んでいる。ただし、本書には聞き手である作者の意見が少なく、証言とともに自身の分析や意見を書いているアダモーヴィチの作風とは異なる[19]。アレクシエーヴィチは自身の発言を少なくしている理由として、次のように語っている。人は苦しむと気高い声で話すようになる。それは作者には手が届かないような声である。作者は自らの居るべき場所をわきまえ、気高い声のあとで哲学を語る必要はない[9]

証言

本書の始まりとなった取材は、ミンスクで暮らす元狙撃兵であり、彼女の証言は最初の章に置かれた。11回表彰されたという女性は、戦争について「話したくない」と語っている[20]。当初のアレクシエーヴィチは片端から取材をしていたが、証言者が別の取材相手を紹介してくれるようになり、連絡先が増えて戦友会のような集まりにも招かれた[21]。アレクシエーヴィチはソ連の各地で取材を行い、アプシェロンスクロシア語版ヴィテプスクヴォルゴグラードガーリチキーウスーズダリスモレンスクモスクワヤルトロフスクロシア語版など多数に及んだ。赤の広場やモスクワ・ホテルで行われる退役軍人の集まりにも招待された[20]

アレクシエーヴィチは女性たちが志願した理由について知りたいと思い、その証言がまとめられている[22]。女性が受けた性差別として、徴兵で断られたり士官として認められなかった体験、周囲のセクシャルハラスメントを避けるために上官と交際した体験などが語られている。性差別や偏見は、帰還兵となったのちに同性からも受け続けた[23][24]。戦場で女性的な日常は禁じられていて不可能だとアレクシエーヴィチは考えていたが、証言者たちからは美しさの話が出てきた[25]。戦場でイヤリングを隠し持っていたことや、身体に障害が残れば女性として終わりだと恐れていた話、最も恐ろしかったのは男性用の下着を履いていたことだった話などが収録されている[26]。戦場での恋愛として、包帯のガーゼでウエディングドレスを縫った話や、前線で夫を亡くした話もある。他方、戦後になると男性が去ってしまう場合があった[27]。戦争が終わった後も地雷処理で働いた工兵や、故郷で差別されて結婚できなかった帰還兵がいた[28]

正規軍の兵士だけでなくパルチザンの証言もあり、アレクシエーヴィチは「家族を犠牲にするかもしれない場所で戦うことの恐ろしさ」と書いている[29]。パルチザンの目撃談として、子供を射殺されて発狂した母親、包囲されて子供を犠牲にせざるを得なかった母親、ドイツ軍に協力したソ連人、またパルチザン自身が捕えられて拷問を受けた体験などが収録されている[30]。味方のパルチザンに食料を奪われた被害側としての証言もある[31]

捕虜になったことのある者やドイツの収容所生活を体験した者は、スターリン政権によって流刑地へ送られており、その目撃談もある[32]。捕虜から生還した家族が、裏切り者として内務人民委員部の暴力的な取り調べを受けて障害者にされたこともあった[注釈 4][34]。スターリン政権やソ連軍に対する批判として、戦前の大粛清による収容所や流刑、農業集団化による国力や軍の弱体化が犠牲を大きくしたと元兵士たちによって語られている[35][36]。検閲官が特に不快感を示したエピソードとして、兵士が月経のための装備を支給されなかったため川で身体を洗おうとして爆撃された話や、前線に行く兵士が給料の全額で菓子を購入した話などがある[37]。ソ連軍兵士によるドイツ市民への戦時性暴力の証言もあり、2002年版では男性の元兵士による性暴力の証言も加筆された[38]

アレクシエーヴィチは戦場の実態とともに、敵味方を超えた人間関係についての証言も選んだ。入院したソ連軍とドイツ軍の兵士が相手の容態を心配する光景、捕虜にパンを与えたときに「憎むことができないということが嬉しかった」と思った体験、前線で敵軍の負傷兵を治療した兵士、ドイツを容赦しないと思いつつも、ドイツの子供を見捨てることができず配給を与えた話などが記録されている。アレクシエーヴィチは本書の各所で戸惑いを表明しながら、「道はただ一つ。人間を愛すること。愛をもって理解しようとすること」と書いている[39][40]

評価、影響

本作が雑誌掲載された際に、アダモーヴィチは次のように賛辞をした。「本ができるには登場人物たちの娘にあたるほどの年若い作家の誠実な努力があった。五百人を越える一人一人の聞き書きというこのスヴェトラーナの書き方は妥協を許さないものだが、他人の痛みに対して人間の心を塞いでいる邪魔な物を突き破るにはこれが必要だった」。しかしアダモーヴィチの後押しにも関わらず、問題作と見なされて単行本の出版は差し止められた[41][42]。検閲官は、ソ連軍の兵士に対する中傷であり、小さな物語は必要ない、勝利のような大きな物語が必要だとアレクシエーヴィチに言った[43]

ペレストロイカの影響で単行本が出版されるとベストセラーとなり、1980年代の終わりまでに200万部の発行部数を記録した。2004年の最終稿では、ペレストロイカ直後には語れなかったことが加筆された[44]。アレクシエーヴィチは、本書の取材中に別のテーマとして、戦時中に子供だった人々の体験に注目した。これはのちに『最後の証人たちロシア語版』(1985年。邦題『ボタン穴から見た戦争』)として出版された[45]。アレクシエーヴィチは本書を含む5作品を、ユートピアをめくる記録文学と呼んでいる[注釈 5][46]

ベラルーシの大統領アレクサンドル・ルカシェンコは、アレクシエーヴィチが外国で著書を出版し、祖国を中傷して金をもらっていると非難し、ベラルーシでの出版を禁止した[47]。他方、ロシアでは1997年の2巻本、2004年の普及版、2007年の選集などで出版された[48]。日本語版は2008年に、三浦みどり訳でロシア文学専門の出版社である群像社で刊行された。2015年10月に群像社は、アレクシエーヴィチのノーベル賞受賞を受け、1000冊の増刷を予定していたが[49]、著者の著作権を管理する代理人から権利消失のため出版できないと通知されたことを公式サイトで公表した[50][51][52]。のちに岩波書店が翻訳権を獲得して2016年に再刊された[1]

アレクシエーヴィチは2015年ノーベル文学賞を受賞した。スウェーデン・アカデミーは「私たちの時代の苦悩と勇気への記念碑」「素材だけでなく形式においても新しい文学ジャンルの成果」と評価した[8]。本書をもとに、さまざまな関連作品が作られている(後述)。

書誌情報

  • 『戦争は女の顔をしていない』 群像社(2008年7月)ISBN 978-4-903619-10-1
  • 『戦争は女の顔をしていない』 岩波現代文庫(2016年2月)ISBN 978-4-00-603295-1

関連作品

本作品が初めて戯曲化されたオムスク・ドラマ劇場

戯曲

本作品は1985年から戯曲化されており、初演はシベリアのオムスクにあるオムスク・ドラマ劇場ロシア語版だった。ロシア各地や国外で巡業を重ねて、公演回数は2021年時点で100回以上となる。上演時間は2時間半におよび、役作りのためにキーウに住む元女性兵士に会いに行ったという俳優もいる[注釈 6][54]。ペレストロイカの時期に40の劇場で上演されると好意的な書評が増え、アレクシエーヴィチに連絡をして証言をする人々も増えた[55]

映画

2019年、本作を原案とした映画『戦争と女の顔』がロシアの映画監督であるカンテミール・バラーゴフロシア語版によって製作され、第72回カンヌ国際映画祭ある視点」部門で監督賞、国際映画批評家連盟賞を受賞した[56]

漫画

2019年4月27日からウェブコミック配信サイトComicWalker(KADOKAWA)で漫画の連載が始まり、2020年1月27日に同社よりコミックス第1巻が発売された。小梅けいとが作画を担当し、速水螺旋人が監修をしている[注釈 7][58]。2021年7月、第50回日本漫画家協会賞が発表され、まんが王国とっとり賞に本作が選出されている[注釈 8][60]。2023年4月時点で累計70万部を突破している[61]。コミックス発売に合わせて漫画のコマを利用したプロモーションビデオがYouTubeで公開された[62]。PVには、軍医・ブレウス大尉のエピソード(漫画第2話)[63]や書記・ヴィレンスカヤ軍曹、ソ連初の女性機関士・アレストワ機関士、射撃手・アフメートワ二等兵のエピソード(漫画第7話)[64]が使われている[注釈 9]

  • スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作)・小梅けいと(作画)・速水螺旋人(監修)『戦争は女の顔をしていない』KADOKAWA、既刊4巻[注釈 10](2023年4月27日現在)

受賞

脚注

注釈

  1. ^ 狙撃兵のリュドミラ・パヴリチェンコは象徴的な存在として宣伝塔になった[4]。パルチザンに参加してドイツ軍に処刑されたゾーヤ・コスモデミヤンスカヤは、ソ連で初の女性英雄の称号を与えられ、時代ごとの政治的事情に合わせた像が各地に作られた[5]
  2. ^ ロシア語の記録文学の先駆者としてはソフィア・フェドルチェンコロシア語版の『戦争における人々』(1917年)がある[9]
  3. ^ ベラルーシ語、ロシア語、ウクライナ語は9世紀から15世紀にかけて別の言語に分かれた。国家としてのベラルーシは1922年にソヴィエト連邦の構成国となり、ソ連崩壊によって独立した。ベラルーシ語は話し言葉、ロシア語は文章で使われる傾向が強かった[17]
  4. ^ スターリンは、捕虜になった者や生き残った者を裏切り者とみなしていた[33]
  5. ^ アレクシエーヴィチは、自分よりも前の世代を共産主義に染まった最後の世代、ユートピアに魅せられた世代と呼んでいる。そしてユートピアをめぐる5作品は100年間にわたるロシア・ソ連の精神史としている[46]
  6. ^ オムスクは演劇が盛んな都市で、伝統的なロシア演劇であるゴーゴリ、ドストエフスキー、チェーホフなどの作品の他に安部公房や三谷幸喜などの作品も上演している[53]
  7. ^ 単行本第1巻の帯には、富野由悠季が推薦文を寄稿[57]
  8. ^ 2023年5月1日から5月7日まで、単行本第4巻の発売を記念し、京浜東北線根岸線にて貸し切りの中吊り広告が展開された[59]
  9. ^ 主なキャストは、ブレウス大尉/ナレーション:日笠陽子[62]、ヴィレンスカヤ軍曹/ナレーション:田中敦子[64]、 アレストワ機関士:高山みなみ[64]、アフメートワ二等兵:水田わさび[64]
  10. ^ 1巻 2020年1月27日発売[57][65]ISBN 978-4-04-912982-3、2巻 2020年12月26日発売[64][66]ISBN 978-4-04-913595-4、3巻 2022年3月26日発売[67]ISBN 978-4-04-914125-2、4巻 2023年4月27日発売[68]ISBN 978-4-04-914995-1

出典

  1. ^ a b 【話題の本】『戦争は女の顔をしていない』 埋もれた声が伝える戦争”. 産経ニュース (2020年5月9日). 2021年1月30日閲覧。
  2. ^ 戦争は女の顔をしていない”. 岩波書店. 2021年1月30日閲覧。
  3. ^ 橋本 2023, p. 38.
  4. ^ 橋本 2023, pp. 38–39.
  5. ^ a b 橋本 2023, pp. 41–42.
  6. ^ 橋本 2023, pp. 44–45.
  7. ^ a b 越野 2023, pp. 44–45.
  8. ^ a b 沼野 2021.
  9. ^ a b アレクシエーヴィチ他 2021, p. 347.
  10. ^ 越野 2017b, pp. 152–153.
  11. ^ 沼野 2021, p. 345.
  12. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, p. 72, 338.
  13. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, pp. 74–78.
  14. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 1, 43.
  15. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 63.
  16. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, p. 317.
  17. ^ 沼野 2021, pp. 349–350.
  18. ^ 沼野 2021, p. 350.
  19. ^ 越野 2017a, pp. 10–11.
  20. ^ a b アレクシエーヴィチ 2016, pp. 43–45.
  21. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 130.
  22. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 62–63.
  23. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 71, 327–328, 367.
  24. ^ 安元 2016, pp. 38–39.
  25. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 283–284.
  26. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 61–62, 124, 285–286.
  27. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 349, 352.
  28. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 35, 332, 351, 367.
  29. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 370–372.
  30. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 34, 383, 406–407, 426–427.
  31. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 34, 383, 406–407.
  32. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 39.
  33. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 439.
  34. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 430–431.
  35. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 135–136.
  36. ^ 安元 2016, p. 40.
  37. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, p. 314.
  38. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 448–449.
  39. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 207, 442–443.
  40. ^ 安元 2016, pp. 39–40.
  41. ^ アレクシエーヴィチ 2016, pp. 483–484.
  42. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, pp. 77–78.
  43. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 32.
  44. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 485.
  45. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, p. 78.
  46. ^ a b アレクシエーヴィチ他 2021, pp. 309–310.
  47. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 486.
  48. ^ アレクシエーヴィチ 2016, p. 487.
  49. ^ 群像社、『戦争は女の顔をしていない』を1000部重版(2015年10月15日) 出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ、2020年02月26日閲覧。
  50. ^ アレクシエーヴィチの本の販売について”. 群像社. 2020年2月26日閲覧。
  51. ^ 【群像社】ノーベル文学賞作家に増刷を断られた中小出版社、健気な声明(全文)”. HUFFPOST (2015年10月23日). 2020年2月26日閲覧。
  52. ^ ロシア文学と共に30年—群像社 島田進矢氏に聞く”. 公益財団法人ニッポンドットコム (2015年12月30日). 2020年2月26日閲覧。
  53. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, p. 49.
  54. ^ アレクシエーヴィチ他 2021, pp. 49–50.
  55. ^ 沼野 2021, pp. 344–345.
  56. ^ 「戦争は女の顔をしていない」が原案 カンヌ国際映画祭2冠「戦争と女の顔」7月公開決定”. 映画.com (2022年4月7日). 2022年9月22日閲覧。
  57. ^ a b “「戦争は女の顔をしていない」小梅けいとによるコミカライズ版1巻が発売”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年1月27日). https://natalie.mu/comic/news/364765 2022年3月31日閲覧。 
  58. ^ 戦争は女の顔をしていない”. ComicWalker. 2019年5月1日閲覧。
  59. ^ “「戦争は女の顔をしていない」戦争の二面性を表す黒と白の電車中吊り広告を展開”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年5月1日). https://natalie.mu/comic/news/522901 2023年5月1日閲覧。 
  60. ^ “日本漫画家協会賞、今年の大賞は「鬼滅の刃」「NEW NORMAL!」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年7月26日). https://natalie.mu/comic/news/438319 2022年3月31日閲覧。 
  61. ^ 「戦争は女の顔をしていない 4 4月27日(木)発売」『電撃マオウ』2023年6月号、KADOKAWA、2023年4月26日、337頁、ASIN B0C1ZC9F75 
  62. ^ a b 『戦争は女の顔をしていない』試し読みPV(CV:日笠陽子ほか)”. YouTube KADOKAWAオフィシャルチャンネル (2020年1月26日). 2021年1月30日閲覧。
  63. ^ ノーベル文学賞作家の「戦争は女の顔をしていない」コミカライズ第1巻発売 試し読みPVには日笠陽子出演”. 映画.com (2020年2月3日). 2021年1月30日閲覧。
  64. ^ a b c d e 「戦争は女の顔をしていない」を田中敦子、高山みなみ、水田わさびらが朗読”. コミックナタリー (2020年12月25日). 2021年1月22日閲覧。
  65. ^ 戦争は女の顔をしていない 1”. KADOKAWA. 2020年2月26日閲覧。
  66. ^ 戦争は女の顔をしていない 2”. KADOKAWA. 2020年12月31日閲覧。
  67. ^ 戦争は女の顔をしていない 3”. KADOKAWA. 2022年3月31日閲覧。
  68. ^ 戦争は女の顔をしていない 4”. KADOKAWA. 2023年4月27日閲覧。
  69. ^ Nagroda im. Ryszarda Kapuścińskiego”. www.press.pl. 2020年2月2日閲覧。

参考文献

関連文献

  • アレーシ・アダーモビチ, ダニール・グラーニンロシア語版 著、宮下トモ子 訳『封鎖・飢餓・人間 ドキュメント 1941-1944年のレニングラード(上・下)』新時代社、1986年。 (原書 Адамовіч, Алесь; Гранин, Даниил Александрович (1977-1981), Блокадная книга 
  • ティモシー・スナイダーブラッドランド英語版(上・下)』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2022年。 (原書 Snyder, Timothy (2010), Bloodlands 
  • ロジャー・D・マークウィック, ユーリディス・シャロン・カルドナ 著、五十嵐徳子, 河本和子, 藤原克美 訳『女たちの独ソ戦: 彼女たちはなぜ戦場へ行ったか』垣内出版、2023年。 (原書 Markwick, Roger; Cardona, Euridice Charon (2012), Soviet Women on the Frontline in the Second World War 

関連項目

外部リンク