松本吉弘 (情報工学者)
松本 吉弘(まつもと よしひろ)は、日本の情報工学者。工学博士(東京大学)。京都大学・大阪工業大学元教授。シュトゥットガルト大学情報科学部元客員教授。IEEE Lifeフェロー。京都高度技術研究所(ASTEM)名誉顧問。
専門は、ソフトウェア工学(特にSWEBOK) ・ソフトウェア開発/設計(アジャイル開発、DevOps、品質管理/プロジェクト管理・テスティング含む)、組み込みシステム・制御工学。
略歴
[編集]1954年東京大学工学部電気工学科卒業。のちに、工学博士(東京大学)[1]。東京芝浦電気(現:東芝)に入社。1970年代から1980年代にかけて、東芝府中で大規模ソフトウェア工場の立ち上げを行い、その実績が国際的に注目され、ABB社、シーメンス社などにもソフトウェア工場分野で協力し、ミシガン大学、カーネギーメロン大学(CMU)、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)などでソフトウェア工場に関する特別講義も担当。1985年東芝理事。1989年京都大学工学部情報工学科および大学院工学研究科教授。京都高度技術研究所(ASTEM)副理事長および所長を兼任。1995年京都大学定年退職。1996年大阪工業大学情報科学部情報システム学科教授。2002年シュトゥットガルト大学情報科学部客員教授、大阪工業大学退官。
大阪工業大学において、特に1996年新設の情報科学部で初期のソフトウェア工学(特にSWEBOK)・組み込みシステムの研究・育成に貢献した。退官後は、武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子情報工学科教授も務めた。
主な所属学会は、IEEE、情報処理学会、日本ソフトウェア科学会、アジャイルプロセス協議会、アメリカ計算機学会(ACM)。主な受賞は、ACM Recognition of Service賞、全国発明表彰、科学技術長官賞など。
主な著書
[編集]- ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系 SWEBOK 初版/2004版/V3.0(単著、オーム社2003/2005/2014、学術書)
- ソフトウェア開発へのSWEBOKの適用(単著、オーム社2005、学術書)
- ソフトウェア設計 - オブジェクト指向からエージェント指向へ(共著、朝倉書店1995、学術書)
- ソフトウェア工学演習(単著、朝倉書店1981、学術書)
- ソフトウェア工学のすすめ(単著、電気書院1991、学術書)
- 情報システム技術者のためのソフトウェア工学(単著、電気書院1997、学術書)
- ソフトウェア現場力ハンドブック(単著、オーム社2009、学術書)
- ソフトウェアの考え方・作り方(単著、電気書院1981、学術書)
- マイクロコンピュータの応用技術(単著、共立出版1978、学術書)
- 計算機制御システム(単著、電気書院1973、学術書)
- 制御用電子計算機入門(単著、東京電機大学出版局1972、学術書)
主な研究
[編集]- リアルタイムシステムにおけるプロトタイピングの一手法 - 東芝・本位田真一との共同研究[2]
- ソフトウェア工学の現状と動向:ソフトウェアに対する要求の形成
- 協調支援型ソフトウェアエンジニアリング環境[3]
- 組込みソフトウェア技術の研究
- 計測と制御用ソフトウェアのためのCASE環境
ソフトウェア工学・組み込みシステムの対外啓蒙活動として、組込みソフトウェア開発技術研究会共催の「組込みシステム技術に関するサマーワークショップ 1999」で基調講演を務めた[4]。
脚注
[編集]- ^ http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=203413
松本吉弘『制御用マルチコンピュータシステムの一方式に関する研究』 東京大学〈工学博士 乙第3413号〉、1974年。 NAID 500000363046 。 - ^ 本位田真一, 松本吉弘「リアルタイムシステムにおけるプロトタイピングの一手法」『情報処理学会論文誌』第26巻第5号、情報処理学会、1985年9月、946-953頁、CRID 1050564287842761600、ISSN 1882-7764。
- ^ 松本吉弘「ソフトウェアプロジェクトにおける協力と協調を支援する計算機環境」『計測と制御』第34巻第12号、1995年、918-932頁、doi:10.11499/sicejl1962.34.12_918。
- ^ http://www.ertl.jp/CEST/old/cest_pub/img/rep1999.pdf