教務職員

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教務職員(きょうむしょくいん)は、国立大学の職種の一つであり、助手の下位職員として各大学の裁量で採用されていた職種をさす。職員の分類上は、教育職員(大学教員)に属し[1]、職務内容は教員に準じるが、運用上は技官と同じ扱いを受けていた[2]

法律上の規定[編集]

教務職員とは、戦前の副手(大学教員の最下級身分)の流れをくむ職種である。

なお、国立大学法人化の行政改革と法改正にともない、教務職員制度は法的に廃止となった。現在は、各法人大学の内規でのみ教務職員が存在する可能性がある。以下に法の中の位置づけと法改正による流れを解説する。

学校教育法(最終改正:平成30年6月1日)[3]の第92条では、「大学には学長、教授、准教授助教、助手及び事務職員を置かなければならない。」「大学には、前項のほか、副学長学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。」と規定されているが、教務職員に関しては以前から規定はなかった。

一方、国立学校設置法施行規則[4](平成16年4月1日廃止[5])では、その第1章第1節第1条に、国立大学及び国立短期大学職員の種類として、「学長教授助教授講師、助手、事務職員技術職員、教務職員」と規定されている。この施行規則が教務職員制度の根拠であった。なお、施行規則では教務職員の職務内容を、教授研究の補助その他教務に関する職務に従事するとしている。

しかし、平成16年4月1日の国立大学法人の設立[6]に伴って国立学校設置法施行規則が廃止されると、大学に教務職員を置く法的根拠はなくなった[7]


脚注[編集]

  1. ^ 国立大学法人東京大学の役職員の報酬・給与等について” (PDF). 国立大学法人東京大学. 2007年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月19日閲覧。
  2. ^ 教務職員問題”. 東北大学職員組合教務職員対策委員会. 2007年9月19日閲覧。
  3. ^ 学校教育法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年1月21日閲覧。
  4. ^ 国立学校設置法施行規則”. 電子政府法令データ提供システム. 総務省行政管理局. 2017年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月19日閲覧。
  5. ^ 学術研究体制に関する制度等について”. 文部科学省. 2019年10月9日閲覧。
  6. ^ 国立大学法人法の概要”. 文部科学省. 2019年10月9日閲覧。
  7. ^ 技官でもなく、さりとて教官でもない〜教務職員”. 京都大学職員組合教員部会. 2005年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月19日閲覧。

外部リンク[編集]

  • 学校教育法「改正」反対 (PDF) 東京大学職員組合(教務職員問題対策会議)・国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
    • 上記資料3ページ目の「教務職員と「教務職員問題」 なぜ「教務職員制度」がいけないのか」の章に、教務職員の解説あり。
  • 2005年6月10日文部科学委員会議事録
    • 上記資料の政府答弁を引用すれば「教務職員につきましては、学校教育法上の直接の根拠規定を持った職ではございませんで、国立大学の法人化前の内部職制といたしまして、旧国立学校設置法の施行規則、この規則は国立大学の法人化に伴いまして廃止されておりますけれども、これに規定されていたものでございます。なお、その職務の中身につきましては、「教授研究の補助その他教務に関する職務に従事する。」このように定められていたところでございます」
  • 佐々木東大総長宛て 教務職員問題に関する要望書 2002.5.13 - 東京大学職員組合 (アーカイブ)
  • 教務職員問題 - 京都大学職員組合教員部会 (アーカイブ)

関連項目[編集]