当帰芍薬散

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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、漢方薬の一種である。出典は金匱要略駆瘀血剤と呼ばれる処方のうちで、もっとも虚証の人に用いられる。主に女性に用いられる漢方薬である。めまい、立ちくらみ等には男女ともに用いられる。病院で処方される医療用医薬品と薬局等で購入できる一般用医薬品がある。

組成[編集]

当帰川芎芍薬沢瀉茯苓[1][2]

効能・効果[編集]

比較的体力が乏しく疲労しやすい体質で、足腰の冷えやすいものの次の諸症:更年期障害月経不順、生理痛、下部腹痛、不妊症、妊娠中の諸症、めまい、耳鳴り、冷え性、むくみ、頭痛、肩こり、動悸貧血、倦怠感[3]

慎重投与[編集]

次の患者には慎重に投与する[3]

  1. 腹部触診上、腹部が充実し、腹壁に力がある患者
  2. 胃腸虚弱な患者

副作用[編集]

過敏症発疹等)、肝機能異常、食欲不振、胃部不快感、悪心嘔吐腹痛下痢[2]

関連する方剤[編集]

当芍美人[編集]

当帰芍薬散は婦人病薬として知られており、その中でも特に当帰芍薬散の適応になりやすいタイプが、華奢で色白な虚弱気味の女性であったことに由来する表現である。華岡青州呉茱萸を当帰芍薬散に加味して処方したとされる[4]

脚注[編集]

  1. ^ ツムラは蒼朮を採用しており、他のメーカーでは、メーカーによって白朮と蒼朮の違いがみられるが、本来は白朮で、白朮と蒼朮の混同は日本独自の古方派の影響である。両者は微妙に効果が異なるため、現在では投与目的に応じて白朮入りと蒼朮入りを使い分ける、例えば「基本的には蒼朮を使うが、ただし安胎・不妊治療に使うときは白朮を使う」といったケースも見られる。
  2. ^ a b ツムラ製品情報『ツムラ当帰芍薬散』
  3. ^ a b 監修高久史麿、矢崎義雄『治療薬マニュアル2001』(医学書院、2001)、p.1645
  4. ^ 大塚恭男『東洋医学』(岩波新書、1996年)、p.138

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

伸和製薬|当帰芍薬散(一般用医薬品)