ヤマナラシ
ヤマナラシ | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤマナラシ
| |||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Populus tremula var. sieboldii (Miq.) Kudô (1924)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ヤマナラシ、ハコヤナギ[1] |
ヤマナラシ (山鳴らし[3]、学名: Populus tremula var. sieboldii) は、ヤナギ科ヤマナラシ属の落葉高木。丘陵や山地に生える。"山鳴らし"の名は、葉がわずかな風にも揺れて鳴ることから。箱の材料にしたことからハコヤナギ[1](箱柳、白楊)の別名もある。
分布
[編集]日本固有種で、北海道から九州にかけて分布する[3]。丘陵や山地に自生する[3]。
形態・生態
[編集]落葉広葉樹の高木で、樹高は10 - 25メートル (m) になる[3]。大きな木では1本立ちする[3]。樹皮は灰白色で菱形の皮目が目立つが、老木では黒みを増して縦に裂ける[3]。若木は樹皮の白みが強く、触ると白い粉がつく[3]。一年枝ははじめ白い毛があるが、のちに無毛になり、短枝もよく出る[3]。
葉は互生し、7 - 15センチメートル (cm) ぐらいで広楕円形から菱状卵形で[3]、下面は灰白色。あまり風がなくとも、サラサラと葉擦れ音がし、強風ではザワザワと音が大きい。
花期は春(3 - 4月)[3]。雌雄異株。葉が展開する前に、褐色の5 - 11 cmぐらいの雄花穂が5 - 6本ぐらい束になり、枝先に下垂する[3]。
冬芽は鱗芽で互生し、卵形や長卵形で先は尖る[3]。芽鱗は多数で白い毛があり、ややべたつく[3]。枝先につく頂芽はふつう葉芽である[3]。葉痕は半円形や三角形で、維管束痕が3個つく[3]。
-
葉が出た様子
(2010年6月、弟子屈町にて)
利用
[編集]街路樹などとして栽植する。材は柔らかく、耐荷重性を要する建築材などには不適で、木目も装飾的特性を有していないので工芸品等にも好ましくない。なお、本種を含むヤマナラシ属の一部を英語で「アスペン(Aspen)」と呼称する。日本において「アスペン」の語は、箱・マッチの軸木・製紙用パルプ原料・OSB合板・経木真田・割り箸などの用材の呼称として普及しているが、これらに使用される材は本種ではなく、ユーラシア大陸に広く自生する本種の原種にあたるヨーロッパヤマナラシ(Populus tremula)や、北米に自生するアメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)などの、主に中国・ロシア・カナダなどで産出された安価な輸入材である。
脚注
[編集]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Populus tremula L. var. sieboldii (Miq.) Kudô ヤマナラシ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月19日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Populus sieboldii Miq. ヤマナラシ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月19日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 207
参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、207頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ヤナマラシ(植物雑学事典) - ウェイバックマシン(2002年7月4日アーカイブ分)