守屋富次郎

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守屋 富次郎(もりや とみじろう、1898年6月10日 - 1974年3月2日[1])は、日本の航空技術者東京帝国大学名古屋帝国大学旅順工科大学教授、防衛庁技術研究所本部長、日本航空学会(現・日本航空宇宙学会)会長[2]などを務めた。航空機翼理論の権威[3]

概要[編集]

岐阜県本巣郡真桑村上真桑に生誕[4]県立岐阜中学[要出典][4]静岡県立静岡中学校に学ぶ[5]。静岡中学時代は野球部に所属[6]旧制第八高等学校を経て[4]東京帝国大学に入学[4]。新設された同大工学部航空学科の第1期生[7]1923年3月、卒業論文「Die Tragflügeltheorie.」(翼理論)[8]を提出して卒業[1]東京帝国大学の講師、助教授を経て、1934年、教授[1]1938年、万国応用力学会議に日本代表として参加、ヨーロッパの航空事情の調査・研究を行った[4]。1940年から1945年にかけて、名古屋帝国大学旅順工科大学などの教授を務めた。

戦後、東京大学応用数学科教授を務める[1]。航空再開を受け、1953年度に航空技術調査団長としてヨーロッパにて調査を行った[9][4]。日本においてもアメリカ航空諮問委員会(NACA)のような航空関係機関や共用の研究施設が必要との要望を提出[10]。その後、設立された航空技術審議会の委員を務めた[11]

F-104戦闘機の導入に伴い、対応する超音速練習機が求められた際、アメリカ製のT-38の導入か国内開発をするかの議論になった。この時、防衛庁技術研究所本部長であった守屋が、この機会に超音速機を開発しないと永久に開発ができなくなると主張し、強く周囲に訴えた結果、T-2高等練習機の開発につながったという[12]

1966年英国海外航空機空中分解事故の調査団団長[13][14]1973年に航空事故調査委員会委員長[15]など各種航空事故の委員も務めた。

著書[編集]

  • 「飛行機の性能向上」『東京大学公開講座. 第1集』東京大学出版会、1953年、NCID BA84224922
  • 『力学概論』培風館、1953年、ASIN B000JBA78U
  • 『Selected scientific and technical papers』Office of the Committee, Dept. of Aeronautics, Faculty of Engineering, University of Tokyo、1959年、ASIN B0007K83KW
  • 『空気力学序論』培風館、1959年、ASIN B000JAS41S
共著

論文[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 守屋 富次郎とは”. コトバンク. 朝日新聞社. 2020年11月20日閲覧。
  2. ^ 藤井恒男「南極観測と航空機について(設営科学技術部門)(<特集>南極シンポジウム)」『南極資料』第11号、1961年1月、1024-1026頁、doi:10.15094/00007081ISSN 0085-7289NAID 120005508022 
  3. ^ 日本自動車殿堂総覧. 1. 日本自動車殿堂. (2016-10). p. 211. http://drhasegawa.com/tatsuo/images/JapanAutomobileHallOfFameFirst15years.compressed.pdf 
  4. ^ a b c d e f 航空工学の権威 守屋富次郎”. 本巣市. 2020年11月20日閲覧。
  5. ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 50ページ。
  6. ^ 『静岡高校野球部 誇り高き文武両道 Since 1896』 高校野球名門校シリーズ8 ベースボールマガジン社 2015 85ページ
  7. ^ 久保田, 弘敏 (2020年4月1日). “航空学科創設100周年によせて”. 航空宇宙会だより (34). http://www.aerospace.t.u-tokyo.ac.jp/alumni/letter/resources/34.pdf 
  8. ^ 卒業論文 Die Tragflügeltheorie.”. 東京帝国大学工学部. 2021年11月15日閲覧。
  9. ^ 第22回国会 参議院 内閣委員会 第14号 昭和30年6月17日”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年11月20日閲覧。
  10. ^ 第19回国会 参議院 内閣委員会 第50号 昭和29年6月3日”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年11月20日閲覧。
  11. ^ 第22回国会 参議院 内閣委員会 第16号 昭和30年6月23日”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年11月20日閲覧。
  12. ^ 神田, 國一 (2018-12-15). 主任設計者が明かす F-2戦闘機開発. 並木書房. p. 39. ISBN 4890633790 
  13. ^ 第55回国会 参議院 運輸委員会 第14号 昭和42年6月27日”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年11月20日閲覧。
  14. ^ BOAC機の事故調査.
  15. ^ 第72回国会 参議院 議院運営委員会 第4号 昭和48年12月21日”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年11月20日閲覧。