夜と霧 (文学)

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夜と霧』(よるときり)は、1946年に出版されたヴィクトール・フランクルナチスの強制収容所経験に基づいた書籍作品である。

日本語訳はみすず書房が出版している。

タイトル[編集]

原文のドイツ語タイトルは …trotzdem Ja zum Leben sagen:Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager (Kösel-Verlag, München 1977) 、日本語訳すると『それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する』となる。

日本語題の『夜と霧』は、夜陰に乗じ、霧に紛れて人々が連れ去られ消された歴史的暗部を比喩した。実際のところは、日本語版の出版の前年に公開されたアラン・レネの映画『夜と霧』から題名を拝借する意図もあったという[1]

英語版では当初『From Death-Camp to Existentialism』(死のキャンプから実存主義へ)という題名が付けられたが売れ行きが低調だったため、後に『Man’s Search For Meaning』(生きる意味を探す)という題名に付け替えられた[1]。フランス語版もこの英語版の題名がベースになっている[1]

評価[編集]

「言語を絶する感動」と評されている。(『アンネの日記』(文春文庫ほか)に並ぶロングセラーである)

発行部数は、英語版だけでも900万部に及び、1991年のアメリカ議会図書館の調査で「私の人生に最も影響を与えた本」のベスト10に入ったという[2]。また、日本語を含め17カ国語に翻訳されており、読売新聞による「読者の選ぶ21世紀に伝えるあの一冊」のアンケート調査でも、翻訳ドキュメント部門の第3位となった。

刊行当初はそれほど評判は高くなく、原著はわずか2版を出したのみで一時絶版になっていた[1]1956年にみすず書房による日本語版が発売され大ヒットを記録したことで世界的に広まったとされる[1]。ただ日本語版については原著と比べセンセーショナルさを煽る部分もあり、遠藤周作などは「フランクルの意図と本の作りが違うのではないか」と指摘している[1]。フランクル自身も本書が「現代史のドキュメント」として扱われることに戸惑いがあったといい、1977年に出版された改訂新版ではかなり内容に手が加えられている[1]

日本語訳書[編集]

多くの原文改訂が行われた新版が出版された事で、若者世代向けに、2002年(平成14年)に新訳版(写真による解説無し)が発行された。従来の霜山徳爾による翻訳版(写真による解説付き)も発売中である。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 永遠のロングセラーはどう生まれたか。みすず書房と『夜と霧』の60年 - 新刊JP・2017年12月30日
  2. ^ 諸富祥彦『生きていくことの意味』、p.32より、(PHP新書、2000年)

関連項目[編集]