吉村医院

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Japanese Map symbol (Hospital) w.svg 吉村医院
Yoshimura-Clinic-2.jpg
情報
標榜診療科 産婦人科
開設者 吉村正(前院長)
管理者 田中寧子(院長)
所在地
444-0834
愛知県岡崎市柱町字東荒子123番地
位置 北緯34度55分22.5秒
東経137度9分37.1秒
特記事項 愛知県の医療情報提供システムであるあいち医療情報ネットへの登録はない。
PJ 医療機関
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吉村医院(よしむらいいん)は、愛知県岡崎市にある14床の有床診療所である。

自然分娩、とりわけ江戸時代を理想とする「日本の昔ながらの自然なお産」に強くこだわり、現代の標準的な産科医療に否定的な診療方針をとっている。院内には「古屋」と称する茅葺屋根の施設がある。妊婦が割り・拭き掃除などの労働などで体力を維持して出産に備える[1]

標準的な産科医療に依らずともそのような労働をしておけば難産を防ぐことができるという独自の思想に基づくものであるが、それを裏付けるエビデンスは示されていない。一方で、前院長の時代の出産データ(2004~2006年)によれば分娩数 910件、うち吸引分娩 0.7%、搬送率 6%と他院への高率な搬送が発生していた。なお、全分娩件数のうち帝王切開率3.4%(吉村医院では帝王切開を実施せず、搬送先での実施率)であった[2]

院長[編集]

田中寧子(たなかやすこ)。1972年生まれ。東京出身。1998年日本医科大学卒業。自治医科大学産婦人科教室で研修。 以後札幌・東京・横浜・豊田にて10年間産婦人科医師として勤務。その後転職し、2014年1月1日より、前院長の吉村医師の分娩に対する考えを継承し、院長となった[3]

前院長[編集]

吉村正(よしむら ただし)。1932年生まれ。1956年名古屋大学医学部卒。医学博士。2010年頃に体調を壊し、2013年末を持って、院長を辞任した[4]

歴史[編集]

  • 1961年 - 吉村医院を開院。吉村院長29歳。
  • 1975年 - 古屋完成。
  • 1999年 - お産の家完成。
  • 2014年 - 新院長に継承。

施設[編集]

「自然なお産」と批判[編集]

この診療所の特徴は、医療介入を極力おこなわない「昔ながらの自然なお産」を行っていることである。

吉村は、多くのお産の経験を通じて、医療介入をする場合としない場合で周産期死亡数(周産期死亡率)に差が無いことに気付いたといい、「自然なお産」の重要さを訴えている。(あくまで吉村個人の主張であり、実際には医療技術の進歩と共に周産期死亡率はめざましく低下している。)

医療介入を全くしないわけではなく、母子は現代医学の管理下に置かれており、リスクを減らしながらの「自然なお産」が行われている。しかし、帝王切開は一切実施せず、陣痛誘発剤等も使用しないため、それらの処置が必要な状況に陥った場合は院内では対処出来ず、母子は他施設へ搬送される。そして搬送先において、吉村医院が否定している標準的な産科医療技術のおかげで母子が危機から救われるという事態が繰り返し起こっている[5]。つまり吉村医院の謳う「自然なお産」は、本来は自院で負うべきリスクを現代的な標準産科医療を行う他院に転嫁する運用をしており、結局のところ「不自然なお産」に頼ることで辛くも継続出来るものと言える。

そのような吉村医院の姿勢に対しては、その危険性や無責任さを指摘する医療関係者からの批判も多い。一例として宋美玄は、「独自の思想のもと、日本の標準医療なら救い得た母親、そして自分では何も選んでいない赤ちゃんの命を救わずにきたとすれば(おそらくそういう症例も多々あったと思われます)、これは法治国家日本での医療機関として存在して問題ないのか、疑問を感じるのです」という意見を述べている[6]

関連書籍・放送[編集]

関連作品[編集]

  • ドキュメンタリー映画『玄牝-げんぴん-』 河瀬直美監督、2010年。

脚注[編集]

  1. ^ 吉村医院”. REBORN産院リスト(web.archive.org に残る2003年11月28日の版). 2003年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月9日閲覧。
  2. ^ 吉本多香美さん、吉村医院から搬送され無事に出産。「母子共に健康そのもの」で良かったですね… : うろうろドクター コメント欄より
  3. ^ 産婦人科 吉村医院|いのちあたたまるお産・出産 愛知県岡崎市|スタッフ紹介
  4. ^ 退任のご挨拶 : うぶやの会ブログ
  5. ^ たとえば、吉本多香美は同医院での逆子のお産が長引き、豊田記念病院に救急搬送されて陣痛促進剤投与で経膣分娩したことを自身のブログに書いている。 - 吉本多香美のWasa Wasa Blog 「産まれました~!」2010-03-16 http://ameblo.jp/takami-yoshimoto/entry-10483680869.html (2013年10月23日閲覧)参照。
  6. ^ 死は悪いことではない!?「自然出産」に違和感 : 宋美玄のママライフ実況中継 : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

外部リンク[編集]