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北アイルランドの地方行政区画

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北アイルランドの地方行政区画(きたアイルランドのちほうぎょうせいくかく)は、地方行政の執行を目的に、北アイルランドを11の行政区(ディストリクト)に分割している。北アイルランドでは、行政区の権限はイギリスの他の地域とは異なっており、例えば、教育、道路建設、住宅供給の責任は負っていない(ただし、住宅に関しては、北アイルランド全域における住宅政策に助言を行なう住宅カウンシル英語版に代表を送っている)。行政区の機能には、廃棄物・リサイクル処理、レジャーやコミュニティ活動サービス、建築物の規制、地元の経済や文化の振興などが含まれている。都市計画の権限はないが、計画の内容によっては意見を求められることもある。財産税の一種であるレート英語版の徴収は土地不動産サービス局 (the Land and Property Services agency) によって行なわれている。11の行政区それぞれの行政・議会組織は、「ディストリクト・カウンシル」、「バラ・カウンシル」、「シティ・カウンシル」、「シティ・アンド・ディストリクト・カウンシル」と、様々な名称が付けられている。

行政区(ディストリクト)

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# ディストリクト District カウンシル
(種別)
カウンシル所在地 面積
(km2
人口
(2015年推定[1]
1 ベルファスト Belfast シティ・カウンシル ベルファスト 134.1 338,907
2 アーズ・アンド・ノース・ダウン Ards and North Down バラ・カウンシル バンガー 457.3 158,797
3 アントリム・アンド・ニュータウンアベイ Antrim and Newtownabbey バラ・カウンシル アントリムニュータウンアベイ英語版(交互) 570.7 140,467
4 リスバーン・アンド・カースルレー Lisburn and Castlereagh シティ・カウンシル リスバーン[2] 502.9 140,205
5 ニューリー・モーン・アンド・ダウン Newry, Mourne and Down ディストリクト・カウンシル ダウンパトリック英語版ニューリー 1,619.1 176,369
6 アーマー・シティ・バンブリッジ・アンド・クレイガヴォン Armagh City, Banbridge and Craigavon ディストリクト・カウンシル クレイガヴォン英語版 1,346.9 207,797
7 ミッド・アンド・イースト・アントリム Mid and East Antrim バラ・カウンシル バリーミーナ英語版[3] 1,045.7 137,145
8 コーズウェー・コースト・アンド・グランス Causeway Coast and Glens バラ・カウンシル コールレーン英語版[4] 1,980.0 143,148
9 ミッド・アルスター Mid-Ulster ディストリクト・カウンシル ダンガノン[5] 1,821.3 144,002
10 デリー・シティ・アンド・ストラバン Derry City and Strabane ディストリクト・カウンシル ロンドンデリー 1,237.4 149,473
11 ファーマナ・アンド・オマー Fermanagh and Omagh ディストリクト・カウンシル エニスキレンオマー[6] 2,846.8 115,311

歴史

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26行政区による北アイルランドの地方行政体制が成立したのは、それまでの地方行政(アイルランド)法 (1898年)英語版に代わって、地方行政(境界)法(北アイルランド)(1971年)英語版および地方行政法(北アイルランド)(1972年)英語版が適用された1973年のことである。新しい制度は、1970年6月に発表されたマクロリー報告書 (the Macrory Report) の提案を受けたものであったが、この報告は枢密院北アイルランド執行委員会(北アイルランド政府)英語版が、北アイルランド地方の統治機構として存続することを前提としていた[7]

1921年から1973年まで、北アイルランドには、6つの行政カウンティ(その中は、都市・農村地区 (urban and rural districts) に分割されていた)と、2つのカウンティ・バラ英語版が置かれていた。カウンティとカウンティ・バラは、その後も儀礼的な名誉職である統監県長官 (Sheriff) の任命の単位としては存続している[8]。現行の制度は農村地区が廃止されており、アイルランド共和国の地方行政区画に準じたものとなっている。(詳細は、en:List of rural and urban districts in Northern Ireland を参照)

北アイルランドの県(カウンティ)

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県名 英名 県都 人口(2011年) 面積(km2) 人口密度
アントリム県 Antrim アントリム 618,108 3,046 202
アーマー県 Armagh アーマー 174,792 1,326 131
ダウン県 Down ダウンパトリック 531,665 2,448 217
ファーマナ県 Fermanagh エニスキレン 61,170 1,851 33
ロンドンデリー県 Londonderry コールレーン 247,132 2,074 119
ティロン県 Tyrone オマー 177,986 3,263 54

2015年以前の行政区(ディストリクト)

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No. 名称 英名 行政種類 行政府所在地 人口(2012年) 面積(km2) 人口密度
1 アントリム区英語版 Antrim バラ・カウンシル アントリム 53,835 577 93
2 アーズ区英語版 Ards バラ・カウンシル ニュートナーズ英語版 78,550 376 208
3 アーマー区英語版 Armagh シティ・アンド・ディストリクト・カウンシル アーマー 60,147 671 89
4 バリーミーナ区英語版 Ballymena バラ・カウンシル バリーミーナ英語版 64,551 632 102
5 バリーマネー区英語版 Ballymoney バラ・カウンシル バリーマネー英語版 31,551 418 75
6 バンブリッジ区英語版 Banbridge ディストリクト・カウンシル バンブリッジ英語版 48,730 453 107
7 ベルファスト区英語版 Belfast シティ・カウンシル ベルファスト 286,000 115 2,486
8 キャリックファーガス区英語版 Carrickfergus バラ・カウンシル キャリックファーガス英語版 39,096 82 476
9 カースルレー区英語版 Castlereagh バラ・カウンシル カースルレー英語版 67,716 85 796
10 コールレーン区英語版 Coleraine バラ・カウンシル コールレーン英語版 58,993 486 121
11 クックスタウン区英語版 Cookstown ディストリクト・カウンシル クックスタウン英語版 37,411 622 60
12 クレイガヴォン区英語版 Craigavon バラ・カウンシル クレイガヴォン英語版 94,597 378 250
13 デリー区英語版 Derry シティ・カウンシル ロンドンデリー 108,586 378 287
14 ダウン区英語版 Down ディストリクト・カウンシル ダウンパトリック英語版 70,440 647 108
15 ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区英語版 Dungannon and South Tyrone バラ・カウンシル ダンガノン 58,813 784 75
16 ファーマナ区英語版 Fermanagh ディストリクト・カウンシル エニスキレン 62,400 1,876 33
17 ラーン区英語版 Larne バラ・カウンシル ラーン 32,191 336 95
18 リマヴァディ区英語版 Limavady バラ・カウンシル リマヴァディ英語版 33,761 586 57
19 リスバーン区英語版 Lisburn シティ・カウンシル リスバーン 121,687 447 272
20 マラフェルト区英語版 Magherafelt ディストリクト・カウンシル マラフェルト英語版 45,450 573 79
21 モイル区英語版 Moyle ディストリクト・カウンシル バリーキャッスル英語版 17,129 480 35
22 ニューリー・アンド・モーン区英語版 Newry and Mourne ディストリクト・カウンシル ニューリー 100,858 902 111
23 ニュータウンアベイ区英語版 Newtownabbey バラ・カウンシル ニュータウンアベイ英語版 85,322 151 565
24 ノース・ダウン区英語版 North Down バラ・カウンシル バンガー 79,420 81 980
25 オマー区英語版 Omagh ディストリクト・カウンシル オマー 51,830 1,130 45
26 ストラバン区英語版 Strabane ディストリクト・カウンシル ストラバン英語版 40,033 862 46

選挙

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各行政区の議会議員は任期4年で、 単記移譲式投票により選出される。最近では2011年5月に選挙が行なわれており、次回は2015年5月に選挙が行なわれる。市議会議員に立候補するための条件は次の通りである。

以上に加え、次のいずれかの要件を満たさなければならない。

  • 当該行政区の有権者
  • 選挙直前の12か月間ずっと、行政区内の土地を所有ないし占有しているか、当該行政区内で居住ないし就業していた者

2011年5月5日に実施された直近の選挙結果は、以下の通りであった[9]

政党 獲得議席 2005年
からの増減
第1選好
比率  %
2005年
からの増減
民主統一党 (DUP) 175 -3 27.2% -2.4%
シン・フェイン党 138 +9 24.8% +1.5%
アルスター統一党 (UUP) 99 -16 15.2% -2.7%
社会民主労働党 (SDLP) 87 -14 15.0% -2.4%
北アイルランド同盟党 (APNI) 44 +14 7.4% +2.5%
伝統的ユニオニストの声 (TUV)英語版 6 +6 2.0% +2.0%
北アイルランド緑の党英語版 3 1.0% +0.1%
進歩統一党 (PUP) 2 0.6% -0.1%
イギリス独立党 (UKIP) 1 +1 0.4% +0.4%
その他の政党 0 -3 1.3% -0.1%
無所属 27 +6 5.1% +1.6%
合計 582

行政区の結合

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行政区は、様々な目的によって数区をまとめて結合させることがある。

教育と図書館

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現在、北アイルランドには、5つの「教育・図書館委員会 (education and library boards, ELBs)」がある。

行政改革の一環として、この委員会の図書館に関する機能は、新たに設置された「北アイルランド図書館庁 (Northern Ireland Library Authority, Libraries NI)」へ、2009年4月に移譲された[10]

教育、職能関係の機能は、単一の組織である「教育・職能庁 (Education and Skills Authority)」へ2010年1月に集約される予定であったが、その実施は延期されている[11]

委員会の名称と所属する行政区は次の通りである。

委員会の名称 所属する行政区
1. ベルファスト (Belfast) ベルファスト区
2. 北東 (North Eastern) アントリム区バリーミーナ区バリーマネー区キャリックファーガス区コールレーン区ラーン区マラフェルト区モイル区ニュータウンアベイ区
3. 南東部 (South Eastern) アーズ区キャッスルレー区ダウン区リスバーン区ノース・ダウン区
4. 南部部 (Southern) アーマー区バンブリッジ区クックスタウン区クレイガヴォン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ニューリー・アンド・モーン区
5. 西部 (Western) デリー区ファーマナ区リマヴァディ区オマー区ストラバン区

健康・社会福祉

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北アイルランドには、以前は4つの「健康・社会サービス委員会 (health and social services boards)」があったが、2009年4月に単一の「健康・社会福祉委員会 (Health and Social Care Board)」に統合された[12]

かつての委員会の名称と所属していた行政区は次の通りである。

委員会の名称 所属する行政区
1. 東部 (Eastern) アーズ区ベルファスト区キャッスルレー区ダウン区リスバーン区ノース・ダウン区
2. 北部 (Northern) アントリム区バリーミーナ区バリーマネー区キャリックファーガス区コールレーン区クックスタウン区ラーン区マラフェルト区モイル区ニュータウンアベイ区
3. 南部 (Southern) アーマー区バンブリッジ区クレイガヴォン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ニューリー・アンド・モーン区
4. 西部 (Western) デリー区ファーマナ区リマヴァディ区オマー区ストラバン区

ユーロスタット地域統計分類単位レベル3

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欧州連合 (EU) によるユーロスタット地域統計分類単位 (Eurostat NUTS) において、北アイルランドはレベル3 (NUTS 3) で 5つに区分されている。

区分名 所属する行政区
UKN01 ベルファスト (Belfast) ベルファスト区
UKN02 ベルファスト郊外 (Outer Belfast) キャリックファーガス区キャッスルレー区リスバーン区ニュータウンアベイ区ノース・ダウン区
UKN03 東部 (East) アントリム区アーズ区バリーミーナ区バンブリッジ区クレイガヴォン区ダウン区ラーン区
UKN04 北部 (North) バリーマネー区コールレーン区デリー区リマヴァディ区モイル区ストラバン区
UKN05 西部および南部 (West and South) アーマー区クックスタウン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ファーマナ区マラフェルト区ニューリー・アンド・モーン区オマー区

制度改革の提案

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2002年6月、北アイルランド政府英語版は、公共サービスの説明責任、改善、手続き、提供方法などを検討する行政点検を行なった。その結果、提言された内容には、行政区の統合による数の削減が含まれていた[13]2005年北アイルランド大臣英語版 ピーター・ヘイン英語版は、行政区を7区に削減する提案を表明した[14]。新設される7行政区の境界と名称は2007年3月に公表された[15]2008年3月、再建された北アイルランド政府は、当初案の7区ではなく、11区を新設する案に合意した[16][17][18]。この新区に基づいた最初の選挙は、2011年5月に実施される予定であった。ところが、2010年5月に北アイルランド政府内に境界をめぐる意見の対立が生じ、この改革は2015年まで棚上げとなった[19]2010年6月、提案されていた改革案は、北アイルランド政府内における合意形成の不調を理由に取り下げられた[20][21]。しかし、2012年3月12日に発表された北アイルランド政府の統治計画には、行政区の数を11区まで削減することに取り組みことが改めて盛り込まれた[22]

関連項目

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出典

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  1. ^ http://www.citypopulation.de/php/uk-admin.php?adm1id=N92000002
  2. ^ https://www.lisburncastlereagh.gov.uk/contact
  3. ^ http://www.midandeastantrim.gov.uk/downloads/Schedule_of_Mid_and_East_Antrim_meetings_Jan_-_June_2016.pdf
  4. ^ https://www.causewaycoastandglens.gov.uk/contact-us
  5. ^ http://www.midulstercouncil.org/Council/Council-Meetings/Council-Meetings/2016
  6. ^ http://fermanaghomagh.public-minutes.com/
  7. ^ Report of the Review Body on Local Government in Northern Ireland 1970. Chairman: Patrick A. Macrory, Esq. (Cmnd 546 )”. CAIN Web Service - Conflict and Politics in Northern Ireland (University of Ulster). Belfast: HMSO (June 1970). 2011年9月16日閲覧。
  8. ^ The Northern Ireland (Lieutenancy) Order 1975 (S.I. 1975 No.156)
  9. ^ BBC. “Northern Ireland Council Elections”. 2012年5月5日閲覧。
  10. ^ News, Campbell officially launches a new era in libraries”. Libraries NI (2009年4月2日). 2013年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月6日閲覧。
  11. ^ Assembly supports new education authority”. Northern Ireland Executive (2008年12月9日). 2013年1月6日閲覧。
  12. ^ Welcome to the Health and Social Care Board, The role of the Health and Social Care Board”. Health and Social Care Board. 2013年1月6日閲覧。
  13. ^ Review of Public Administration”. Northern Ireland Executive. 2013年1月6日閲覧。
  14. ^ Major reform of local government”. BBC News (2005年11月22日). 2013年1月6日閲覧。
  15. ^ Revised Recommendations for new council boundaries unveiled, press release, 30 March 2007
  16. ^ NI councils reduced from 26 to 11”. BBC News (2008年3月13日). 2013年1月6日閲覧。
  17. ^ Councils plan 'illustrates chaos'”. BBC News (2009年11月13日). 2013年1月6日閲覧。
  18. ^ Foster announces the future shape of local government”. Northern Ireland Executive (2008年3月13日). 2008年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月6日閲覧。
  19. ^ “Plan to cut Northern Ireland councils may be delayed until 2015”. Belfast Telegraph. (2010年5月7日). http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/politics/plan-to-cut-northern-ireland-councils-may-be-delayed-until-2015-14796633.html#ixzz0oqCDB5Hm 2010年5月24日閲覧。 
  20. ^ The executive fails to agree a deal on council reform”. BBC News (2010年6月15日). 2010年7月8日閲覧。
  21. ^ Local Government Association Incensed as Minister Stops the Reform Process”. Northern Ireland Local Government Association (2010年6月15日). 2011年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月8日閲覧。
  22. ^ Priority 5: Delivering High Quality and Efficient Public Services; Key Commitments”. Programme for Government 2011-15. Belfast: Office of the First Minister and deputy First Minister (2012年3月12日). 2012年6月15日閲覧。

外部リンク

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