冠輪動物

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冠輪動物
Freshwater Bryozoan234.JPG Pomatoceros lamarckii trochophore.jpg
分類
: 動物界 Animalia
階級なし : 左右相称動物 Bilateria
階級なし : 前口動物 Protostomia
上門 : 冠輪動物上門 Lophotrochozoa

冠輪動物(かんりんどうぶつ、Lophotrochozoa)は動物の大きな系統群の一つである。脱皮動物毛顎動物とともに前口動物を構成する。トロコフォア動物とも。

概要[編集]

冠輪動物は、かつて形態学・発生学的に考えられてきた触手冠動物(Lophophorata)と担輪動物(Trochozoa)を併せたグループである。広義にはPlatyzoaも含まれる。1995年、18SリボソームRNA遺伝子を用いた系統解析の結果に基づいて提唱された[1]

冠輪動物の範囲[編集]

提唱された論文において、冠輪動物は「伝統的な触手冠動物の3つの分類群〔腕足動物・箒虫動物・外肛動物〕・軟体動物・環形動物の最も近い共通祖先と、その共通祖先の子孫すべて」と定義された[1]。この定義に沿えば、冠輪動物に含まれる動物の一部は系統解析の結果次第で変化する。そのため、どの動物を冠輪動物に含めるかは研究者によって異なっている。

Platyzoaを含む広義の冠輪動物に対しては、螺旋卵割を行うことに注目した螺旋卵割動物(Spiralia)という名前も用いられる[2]

下位分類群[編集]

触手冠動物[編集]

触手冠動物は口の周りを繊毛のある触手が取り巻く構造(触手冠)を持つグループで、腕足動物箒虫動物外肛動物を含む。胚発生過程で放射卵割を行う点などから、かつては後口動物との類縁関係を考える研究者も存在した。しかし1990年代以降、両者に類縁関係はないと考えられている。

触手冠動物の単系統性は疑問視されている。特に外肛動物は他の2群と系統的に離れていると考えられている。一方、腕足動物箒虫動物は非常に近縁であるとされ、Brachiozoaとしてまとめられる。このBrachiozoaを「触手冠動物」と呼ぶ研究者も存在する[3]

担輪動物[編集]

担輪動物はトロコフォア幼生を経て発生するグループで、環形動物軟体動物などを含む。かつて、体節制などの点から環形動物と節足動物は近縁であるとされていたため、トロコフォア幼生を経ない節足動物も担輪動物として扱われることがあった。しかし1990年代以降の分子系統解析の結果などから、節足動物は担輪動物や冠輪動物とは別の系統(脱皮動物)であるとされている。

環形動物軟体動物紐形動物に加え、かつて触手冠動物とされた腕足動物箒虫動物をも含んだグループを、「担輪動物」として再定義することがある[4]

Platyzoa[編集]

Platyzoaは無体腔・偽体腔の比較的単純な体制を持つグループで、扁形動物腹毛動物輪形動物顎口動物などを含む。

Platyzoaが単系統群であるかどうかはよく分かっていない。しかし、顎口動物微顎動物輪形動物鉤頭動物のグループは特に単系統性が強く支持されており、担顎動物(Gnathifera)と呼ばれる。

内部の系統関係[編集]

冠輪動物の内部の系統関係はまだ議論が続いている。また、これまで系統的位置が不明だった菱形動物直泳動物が、冠輪動物に含まれる可能性も示唆されている[5]

以下は、分子系統解析などで支持されることが多い系統樹の一例である[2][4][5]

前口動物

毛顎動物



脱皮動物


広義の冠輪動物
= 螺旋卵割動物
担顎動物

顎口動物



微顎動物


Syndermata
= 広義の輪形動物

輪形動物側系統群



鉤頭動物





菱形動物



直泳動物



腹毛動物



扁形動物


狭義の冠輪動物

有輪動物



内肛動物



外肛動物(苔虫動物)


再定義された担輪動物
Brachiozoa
= 狭義の触手冠動物

腕足動物



箒虫動物




紐形動物



軟体動物


広義の環形動物

環形動物側系統群



ユムシ動物



星口動物







上記の系統樹で示したもの以外にも、様々な系統仮説が提唱されている。

Rouphozoa[2]
扁形動物 + 腹毛動物
Platytrochozoa[2]
狭義の冠輪動物 + 扁形動物 + 腹毛動物
Polyzoa
外肛動物 + 内肛動物 + 有輪動物
Kryptorochozoa[6][7]
紐形動物 + 腕足動物 + 箒虫動物

脚注[編集]

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  1. ^ a b Halanych, K. M.; Bacheller, J. D.; Aguinaldo, A. M.; Liva, S. M.; Hillis, D. M.; Lake, J. A. (1995), “Evidence from 18S ribosomal DNA that the lophophorates are protostome animals”, Science 267 (5204): 1641–1643, doi:10.1126/science.7886451 
  2. ^ a b c d Struck, T. H.; Wey-Fabrizius, A. R.; Golombek, A.; Hering, L.; Weigert, A.; Bleidorn, C.; Klebow, S.; Iakovenko, N. et al. (2014), “Platyzoan paraphyly based on phylogenomic data supports a noncoelomate ancestry of Spiralia”, Molecular Biology and Evolution 31 (7): 1833–1849, doi:10.1093/molbev/msu143 
  3. ^ Cannon, J. T.; Vellutini, B. C.; Smith, J.; Ronquist, F.; Jondelius, U.; Hejnol, A. (2016), “Xenacoelomorpha is the sister group to Nephrozoa”, Nature 530: 89–93, doi:10.1038/nature16520 
  4. ^ a b Kocot, K. M.; Torsten, H. S.; Merkel, J.; Waits, D. S.; Todt, C.; Brannock, P. M.; Weese, D. A.; Cannon, J. T. et al. (2017), “Phylogenomics of Lophotrochozoa with consideration of systematic error”, Systematic Biology 66 (2): 256–282, doi:10.1093/sysbio/syw079 
  5. ^ a b Lu, T.-M.; Kanda, M.; Satoh, N.; Furuya, H. (2017), “The phylogenetic position of dicyemid mesozoans offers insights into spiralian evolution”, Zoological Letters 3 (6), doi:10.1186/s40851-017-0068-5 
  6. ^ Giribet, G.; Dunn, C. W.; Edgecombe, G. D.; Hejnol, A.; Martindale, M. Q.; Rouse, G. W. (2009), “Assembling the spiralian tree of life”, in Telford, M. J.; Littlewood, D. T. J., Animal Evolution: Genomes, Fossils, and Trees, Oxford: Oxford University Press, pp. 52–64 
  7. ^ Luo, Y.-J.; Kanda, M.; Koyanagi, R.; Hisata, K.; Akiyama, T.; Sakamoto, H.; Sakamoto, T.; Satoh, N. (2018), “Nemertean and phoronid genomes reveal lophotrochozoan evolution and the origin of bilaterian heads”, Nature Ecology & Evolution 2: 141–151, doi:doi:10.1038/s41559-017-0389-y