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公卿補任

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『公卿補任』(くぎょうぶにん)は、神武天皇から明治元年(1868年)にいたる、歴代朝廷の高官の名を列挙した官員録で、日本史の基本史料の1つ[1]

概要

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内容

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各年毎に朝廷の官職を記している。従三位以上で太政大臣摂政関白左大臣右大臣内大臣大納言中納言参議非参議のいわゆる公卿に相当する者の名を官職順に列挙する。記載される人名には本姓が使われ、藤原氏は、「藤原○○」ではなく略して「藤○○」と記載される。各人の名の下には、生没年、昇叙・任官などの事歴を付記している。『国史大系』本には神武天皇の代から明治元年までの分を含む。

作者、成立時期

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公卿補任の作者、成立年代は不明であるが、弘仁2年(811年)に成立した「歴運記[注釈 1]を基に、以後の分を書き足していったものと考えられている。後年の詳細な尻付しつけ[2]を伴った形態としての本書の成立は、応和から正暦あたり(10世紀後半)とみられている。なお非参議の項は、長和以後に補足されていったとみられている[1]

任官についてもっとも纏まった史料であるが、平安時代前期における記事の不正確さ[注釈 2]や政治的な事情から書き直し(遡った期日での任官など)が行われた部分もあるといわれており、実際の任官と合致しない場合がある。

公卿補任補闕

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宝治元年(1247年)と建長4年(1252年)から正元元年(1259年)、および正中元年(1324年)のぶんは古くに失われていたが、正中元年を除く9年ぶんを、徳川光圀が『一代要記』にもとづいて『公卿補任補闕』を作成したことで補われた[1]

写本、刊本

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写本、国会図書館所蔵、全65冊

経済雑誌社 編『国史大系 第9巻 - 第11巻』経済雑誌社、1899年。 

黒板勝美 編『新訂増補国史大系 第53卷-57巻、別巻』国史大系刊行会発行、吉川弘文館日用書房発売。 

冷泉家時雨亭文庫 編『豊後国風土記・公卿補任』朝日新聞社〈冷泉家時雨亭叢書 第47巻〉、1995年https://dl.ndl.go.jp/pid/13197915/1/27 

脚注

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注釈

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  1. ^ 「弘仁歴運記」とも。延喜式などに引用があるが全文は残っていない。
  2. ^ 平安時代前期(弘仁-寛平年間)には同時代史的に国家によって編纂された正史である六国史やそこから引用された『類聚国史』・『日本紀略』など、より正確な記録が存在するにもかかわらず『公卿補任』の記述と一致していない部分が多い。『公卿補任』の成立史を研究した土田直鎮の指摘以後、この時期の『公卿補任』からの引用には慎重が期されることが多い。

出典

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  1. ^ a b c 美川圭 著「解題」、冷泉家時雨亭文庫 編『豊後国風土記・公卿補任』1995年、26-27頁https://dl.ndl.go.jp/pid/13197915/1/202 
  2. ^ 尻付』 - コトバンク

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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