中波

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中波(ちゅうは、MF(Medium Frequency)またはMW(Mediumwave, Medium Wave))とは、300kHz - 3MHz周波数電波をいう[1][2]波長は100m - 1km、ヘクトメートル波[3]とも呼ばれる。

概要[編集]

伝播の特徴として、電離層D層のあらわれる昼間は、D層に吸収されるという性質がある。このため、昼間は地表波のみ有効で比較的近距離(ただし、超短波などに比べれば伝播距離は長い)しか届かないが、夜間は、D層が消滅しE層で反射するため電離層反射波により遠距離まで到達する。そのため、夜間は昼間より遠方に届く[4]のが利点となるが、混信が問題[5]という欠点ともなる。

中波放送・路側帯ラジオ・船舶無線・航空無線航行・アマチュア無線などに利用される。

中波放送[編集]

国際電気通信連合(ITU)は、無線通信規則(RR)に放送用として526.5 - 1606.5kHzを分配[6]している。第1地域アフリカヨーロッパ)、第3地域(アジアオセアニア<アメリカ合衆国構成州のハワイは除く>)の中波放送は531 - 1602kHz、搬送波間隔9kHz。第2地域(アメリカ大陸=北アメリカ南アメリカハワイ州)は530 - 1600kHz、搬送波間隔10kHzである。また、地域により差異はあるが2300 - 2498kHzの中から放送用にも分配できるもの[6]としている。熱帯地方の低周波数には空電による雑音が多いためで、搬送波間隔5kHzで国内放送に用いられる。

日本などのアジア・オセアニア・アフリカ・ヨーロッパの各国は1978年11月23日国際協定時0時01分(日本時間同日9時01分)[7]までは10kHz間隔だったが、1974年に行われた国際電気通信連合(ITU)の第1・3地域主管会議において、9kHz間隔にするよう定められた[8]

アマチュア無線[編集]

アマチュア業務にITUの無線規則(RR)により他の業務と共用するものを含めて分配された周波数を下表に示す。各国でアマチュア無線にこの表の周波数がすべて割り当てられているという意味ではない。

バンド 第1地域 第2地域 第3地域
600m 472 - 479kHz
160m 1.81 - 1.85MHz 1.8 - 2MHz

どちらも電信データ通信(ただし占有帯域幅200Hz以下)専用の周波数である。日本での割当てはアマチュア無線の周波数帯を参照。

中波を使用する施設[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 国際電気通信連合(ITU) (2015年8月). “Nomenclature of the frequency and wavelengh bands used in telecommunications”. 2016年7月3日閲覧。
  2. ^ 平成25年情報通信白書>第2部 情報通信の現況・政策の動向>第7節 電波利用”. 2016年7月3日閲覧。
  3. ^ 電波法施行規則 第四条の三(周波数の表示)
  4. ^ 電離層反射波のためフェージングなど品質は悪い。
  5. ^ 韓国北朝鮮のラジオ局では500kwや1000kwといった強力な出力で電波を送信する(それぞれ互いの国民にも届くよう、わざと出力を高めている)ため、特にこれらの放送局と周波数が近い放送局では夜間は混信が発生する。
  6. ^ a b 総務省告示周波数割当計画 第2周波数割当表 第1表9kHz―27500kHz
  7. ^ 中波放送 再編成の話題 郵政省電波監理局 出中真三郎・立野敏(雑誌・テレビジョン第30巻 第5号(1976))
  8. ^ ラジオ放送の周波数のはなし(放送サービス株式会社)

関連項目[編集]