ワオキツネザル

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ワオキツネザル
Lemur catta 001.jpg
ワオキツネザル Lemur catta
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
Status iucn2.3 VU.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Eutheria
: 霊長目 Primate
亜目 : 曲鼻猿亜目 Strepsirrhini
: キツネザル科 Lemuridae
: ワオキツネザル属 Lemur
: ワオキツネザル L. catta
学名
Lemur catta
Linnaeus, 1758
和名
ワオキツネザル
英名
Ring-tailed lemur
Lemur catta range map.svg
生息域

ワオキツネザル(輪尾狐猿、学名Lemur catta)は、霊長目キツネザル科に分類されるサル。本種のみでワオキツネザル属 Lemur を形成する。

Lemurローマ神話死者の霊 Lemur(複数形 Lemuresで言及されることが多い)から。cattaラテン語ネコの意。

なお、キツネザル属 EulemurLemur に含める説があり、その場合、Lemur にキツネザル属の和名を当てることがある。

分布[編集]

マダガスカル島南部および南西部固有種。他のキツネザルの生息域より高地にも生息する。

形態[編集]

体長39cm-46cm。ワオキツネザルのトレードマークといえるふさふさした尾は体より長く、56cm-63cmにもなる。体重約5.5kg。背側は灰色で、腹や手足は淡い色をしている。顔は白、眼の周りと鼻に黒い模様がある。虹彩は黄色。尾は白地に黒の輪状の模様が14-15本あり、先端は黒い。

ほっそりとした体型。他のキツネザル科の種と同じように後肢は前肢より長く、足裏の皮膚は軟らかく、なめし皮のようである。前肢の指は細長く、平たく鋭い爪がある。彼らはそれらを器用に使いこなす。後肢の第2趾に鉤爪があるが、これはグルーミングのために特化したものである。

生態[編集]

落葉樹林の茂みに生息する。中でも原生林や、川沿いの森(拠水林)に生息することが多い。樹上生活に適した体を持つが、キツネザル科の中でも地上棲の傾向が強く、地上を疾走している姿がしばしば見られる。

社会性が強く、オス、メスそれぞれ4,5頭と数頭の子どもからなる15頭程度の群れを形成する。群れは6-23ヘクタールの広い行動域をもち、他の群れと縄張りが重複してしまうこともある。群れの階級は雌雄別の順位が決められる。メスははっきりとした階級があるが、オスの階級は不明瞭でよくランクが変わる。メスはオスより上位で、食事においても優先される。オスは群れの活動から離れる傾向があり、3年半ほどの周期で別の群れに移動する。メスとその子どもに優位なオスが加わってサブグループを形成する。

この他、静岡市立日本平動物園の説明によれば二足歩行で歩くこともある[1]

昼行性で、夜は樹上で数頭でかたまって眠る。地上を歩くときは尾を高く上げ、樹上で食事するときなどは下に垂れ下げる。また、尾は仲間同士の視覚的コミュニケーションに用いられている。オスは両手首に皮脂腺を持つ。この分泌物を木にこすり付け、においづけ行動を行う。これは果実が生る木の所有権を主張や、威嚇の意味があると考えられている。また、尾を皮脂腺になすりつけた後に、尾を前方に振りかざしながら上下に動かす「テールウェービング」という威嚇行動を他のオスに対してしばしば示す。

体温調節が苦手なため、冷え込む朝などに日光浴をすることが知られている。両手を左右に広げ、日光にお腹を向けるユーモラスな姿が人気である。愛知県犬山市の日本モンキーセンター(世界サル類動物園)のワオキツネザルたちは、冬期にストーブに向かって同じ行動をする。

食性は雑食で、果実、木の芽、昆虫などを食べる。彼らは1日5.6kmもの距離を歩きまわって食料を探す。

繁殖期は4-5月。メスの発情期は24-48時間である。妊娠期間はおよそ146日で、一度の出産で1-2子を産む。子供は生後2か月で母乳以外の食べ物も口にし始め、生後5か月で完全に離乳する。オスは30か月、メスは19.5か月ほどで成熟する。

ワオキツネザルは短い爪を使って縄張り争いのけんかをするが、闘うのはつねにメス同士である。。その様子は「ジャンプファイティング」と呼ばれていて、子供を背負ったままジャンプして蹴り合うなど、生傷が絶えない激しい闘いである。メスはまた当然のように、オスが食べているものを奪ったりする[2]



関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • Ganzhorn, J. & Members of the Primate Specialist Group 2000. Lemur catta. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.

脚注[編集]

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