ロンドン・オーバーグラウンド

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ロンドン・オーバーグラウンド ロゴ
378形電車「キャピタルスター」

ロンドン・オーバーグラウンド(London Overground;LO)は、大ロンドン市内および近郊区間を走る鉄道のブランド名。2007年に開業し、2013年現在6路線からなる。ロンドン地下鉄(アンダーグラウンド)に対し、主に地上を走ることから命名されている。

ロンドン交通局の管理の下、ロンドン・オーバーグラウンド・レール・オペレーションズ(London Overground Rail Operations Ltd.;LOROL、香港鉄路有限公司アリーヴァの合弁)に運営が委託され、施設管理はネットワークレールが他のナショナルレール各路線とともに行う。2016年11月13日からは、アリーヴァ・レール・ロンドンに運行が移管されている。

2004年、運輸省による鉄道事業改革案の一環として、旧シルバーリンクのうちシルバーリンク・メトロ(ロンドン近郊区間)のロンドン交通局への移管が計画され、2007年に実施されて、この部分がロンドン・オーバーグラウンドとして誕生した。一部路線は地下鉄と共用。その後、延伸工事とともに旧地下鉄のイーストロンドン線(2010年再開業)がロンドン・オーバーグラウンドに移管され、2012年12月にはロンドンを囲む環状部分(直通運転はしない)が完成した。

ゾーン制料金の切符、トラベルカードとオイスターカードは地下鉄等と共通に利用できる。

路線網[編集]

路線[編集]

路線図(2024年)

運営路線名 鉄道路線名 起点 終点 備考
 
マイルドメイ線
Mildmay line
ノースロンドン線 リッチモンド ストラトフォード
ウェストロンドン線 クラパムジャンクション ウィルズデン・ジャンクション ウィルズデン・ジャンクション駅よりストラトフォード駅までノースロンドン線と直通運転
 
ライオネス線
Lioness line
ワトフォード直流線 ユーストン ワトフォード・ジャンクション
 
サフラジェット線
Suffragette line
ゴスペル・オーク -
バーキング線
ゴスペル・オーク バーキング・リバーサイド
 
ウィンドラッシュ線
Windrush line
イーストロンドン線
サウスロンドン線
ハイベリー&イズリントン、
ダルストン・ジャンクション
ニュー・クロス、
クラパムジャンクション、
クリスタル・パレス、
ウェストクロイドン
土日曜日ハイベリー&イズリントン駅とニュー・クロス・ゲート駅の間で終夜運転
 
ウィーヴァ線
Weaver line
リーバレー線 リバプール・ストリート エンフィールド・タウン、
チェザント、
チンフォード
 
リバティー線
Liberty line
ロムフォード -
アップミンスター線
ロムフォード アップミンスター 終電は22時。日曜日の終電は20時。

運転系統[編集]

ロンドン交通局では以下の6路線に分類している。

  • ワットフォード・ジャンクション - ユーストン[1]
  • リッチモンド、クラパムジャンクション - ストラトフォード[2]
  • ゴスペル・オーク - バーキング[3]
  • ハイベリー&イズリントン - クラパムジャンクション、ウェスト・クロイドン[4]
    • ハイベリー&イズリントン - クラパムジャンクション(日中毎時4本)
    • ハイベリー&イズリントン - クリスタル・パレス(日中毎時4本)
    • ダルストン・ジャンクション - ニュー・クロス(日中毎時4本)
    • ダルストン・ジャンクション - ウェスト・クロイドン(日中毎時4本)

リッチモンド駅からの路線とクラパムジャンクション駅からの路線は、ワットフォードDC線との乗換駅であるウィルスデン・ジャンクションで合流し、バーキング方面の乗換駅であるゴスペル・オーク駅、イーストロンドン線への乗換駅であるハイベリー&イズリントン駅を通り、終点のストラトフォード駅へ至る。

駅一覧[編集]

マイルドメイ線[編集]

ノースロンドン線[編集]

リッチモンド駅からガナズベリー駅まではディストリクト線リッチモンド支線も同じ線路を走行する。

接続路線 ゾーン
リッチモンド駅英語版 ウォータールー-リーディング線英語版 ゾーン4
キュー・ガーデンズ駅英語版 ゾーン3
ゾーン4
ガナズベリー駅英語版 ディストリクト線リッチモンド支線 ゾーン3
サウス・アクトン駅英語版
アクトン・セントラル駅英語版
ウィルズデン・ジャンクション駅 ロンドン地下鉄ベーカールー線
ウェストロンドン線ワトフォードDC線英語版
ゾーン2
ゾーン3
ケンサル・ライズ駅英語版 ゾーン2
ブロンズベリー・パーク駅英語版
ブロンズベリー駅英語版
ウェスト・ハムステッド駅 ジュビリー線
テムズリンクミッドランド本線
フィンチリー・ロード&フログナル駅英語版
ハムステッド・ヒース駅英語版
ゴスペル・オーク駅英語版 ゴスペル・オーク - バーキング線(下記)
ケンティッシュ・タウン・ウェスト駅英語版
カムデン・ロード駅英語版
カレドニアン・ロード&バーンズベリー駅英語版
ハイベリー&イズリントン駅英語版 ヴィクトリア線
イーストロンドン線
ノーザン・シティ線
キャノンベリー駅英語版 イーストロンドン線
ダルストン・キングスランド駅英語版
ハックニー・セントラル駅英語版
ホマートン駅英語版
ハックニー・ウィック駅英語版
ストラトフォード駅 セントラル線ジュビリー線
ドックランズ・ライト・レイルウェイ
TfLレール英語版
グレート・イースタン本線リー・バレー線英語版テンプル・ミルズ支線
ゾーン3

ウェストロンドン線[編集]

接続路線 ゾーン
クラパムジャンクション駅 ナショナル・レール ゾーン2
インペリアル・ワーフ駅英語版
ウェスト・ブロンプトン駅 ロンドン地下鉄ディストリクト線ウィンブルドン支線
ナショナル・レール
ケンジントン・オリンピア駅 ロンドン地下鉄ディストリクト線ケンジントン(オリンピア)支線
シェパーズ・ブッシュ駅英語版 ロンドン地下鉄セントラル線シェパーズ・ブッシュ駅 (ロンドン地下鉄)
ウィルズデン・ジャンクション駅 ロンドン地下鉄ベーカールー線
ロンドン・オーバーグラウンドノースロンドン線、ワットフォードDC線
ゾーン2
ゾーン3
ノースロンドン線ストラトフォード駅まで乗り入れ

ライオネス線(ワトフォード直流線)[編集]

クイーンズ・パーク駅からハーロウ&ウィールドストーン駅まではベーカールー線も同じ線路を走行する。

接続路線 ゾーン
ユーストン駅 ロンドン地下鉄ノーザン線ヴィクトリア線
ナショナルレール
ゾーン1
Euston[5]
サウス・ハムステッド駅 ゾーン2
キルバーン・ハイ・ロード駅英語版
クイーンズ・パーク駅 ロンドン地下鉄ベーカールー線
ケンサル・グリーン駅英語版
ウィルズデン・ジャンクション駅 ロンドン・オーバーグラウンドノースロンドン線、ウェストロンドン線 ゾーン2
ゾーン3
ハールズデン駅英語版 ゾーン3
ストーンブリッジ・パーク駅
ウェンブリー・セントラル駅 ナショナル・レール ゾーン4
ノース・ウェンブリー駅英語版
サウス・ケントン駅英語版
ケントン駅英語版 ロンドン地下鉄メトロポリタン線ノースウィック・パーク駅徒歩5分
ハーロウ&ウィールドストーン駅 ゾーン5
ヘッドストーン・レーン駅英語版
ハッチ・エンド駅英語版 ゾーン6
カーペンダーズ・パーク駅英語版 ゾーン7
ブッシー駅英語版 ナショナル・レール ゾーン8
ワットフォード・ハイ・ストリート駅英語版
ワットフォード・ジャンクション駅 ナショナル・レール Watford

サフラジェット線(ゴスペル・オーク - バーキング線)[編集]

2019年に電化が完了するまで、オーバーグラウンド唯一の非電化路線だった。 2022年にバーキング~バーキング・リバーサイド間が延伸開業。

接続路線 ゾーン
ゴスペル・オーク駅英語版 ロンドン・オーバーグラウンドノースロンドン線 ゾーン2
アッパー・ホロウェイ駅英語版
クラウチ・ヒル駅英語版 ゾーン3
ハーリンゲイ・グリーン・レーンズ駅英語版
サウス・トッテナム駅英語版
ブラックホース・ロード駅英語版 ロンドン地下鉄ヴィクトリア線
ウォルサムストウ・クイーンズ・ロード駅英語版
レイトン・ミッドランド・ロード駅英語版
レイトンストーン・ハイ・ロード駅英語版
ワンステッド・パーク駅英語版
ウッドグランジ・パーク駅英語版 ゾーン3
ゾーン4
バーキング駅 ロンドン地下鉄ディストリクト線ハマースミス&シティー線
ナショナル・レール
ゾーン4
カースル・グリーン駅英語版(予定駅)
バーキング・リバーサイド駅英語版 (2022年延伸開業)

ウィンドラッシュ線(イーストロンドン線とサウスロンドン線)[編集]

クイーンズ・ロード・ペッカム駅からペッカム・ライ駅まではサザン(ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ)と、ペッカム・ライ駅からデンマーク・ヒル駅まではサウスイースタンと、ニュー・クロス・ゲート駅からクリスタル・パレス駅、ウェスト・クロイドン駅まではサザン(ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ)も同じ線路を走行する。

接続路線 運行系統 ゾーン
ハイベリー&イズリントン駅英語版 ロンドン地下鉄ヴィクトリア線
ロンドン・オーバーグラウンドノースロンドン線
ナショナル・レール:グレート・ノーザン(GTR
- - ゾーン2
キャノンベリー駅英語版 ロンドン・オーバーグラウンドノースロンドン線 - -
ダルストン・ジャンクション駅英語版
ハジャーストン駅英語版
ホクストン駅英語版 ゾーン1
ゾーン2
ショーディッチ・ハイ・ストリート駅英語版 ゾーン1
ホワイトチャペル駅英語版 ロンドン地下鉄ディストリクト線ハマースミス&シティー線 ゾーン2
シャドウェル駅英語版 ドックランズ・ライト・レイルウェイドックランズ・ライト・レイルウェイ
ワッピング駅英語版
ロザーハイス駅英語版
カナダ・ウォーター駅英語版 ロンドン地下鉄ジュビリー線
サリー・キーズ駅英語版
ニュー・クロス駅英語版 ナショナル・レール:サウスイースタン - - -
クイーンズ・ロード・ペッカム駅英語版 ナショナル・レール:サザン(GTR) - - -
ペッカム・ライ駅英語版 ナショナル・レール:テムズリンク(GTR)、サウスイースタン、サザン(GTR) - - -
デンマーク・ヒル駅英語版 ナショナル・レール:テムズリンク(GTR)、サウスイースタン - - -
クラパム・ハイ・ストリート駅英語版 ロンドン地下鉄ノーザン線クラパム・ノース駅 - - -
ワンズワース・ロード駅英語版 ナショナル・レール:サウスイースタン(ヴィクトリア駅方面) - - -
クラパムジャンクション駅 ロンドン・オーバーグラウンドウェストロンドン線
ナショナル・レール:サウス・ウェスタン・レールウェイ英語版、サザン(GTR)
- - -
ニュー・クロス・ゲート駅英語版 ナショナル・レール:サザン(GTR)(ロンドン・ブリッジ駅方面) - -
ブロックリー駅英語版 - -
オナー・オーク・パーク駅英語版 - - ゾーン3
フォレスト・ヒル駅英語版 - -
シデナム駅英語版 ナショナル・レール:サザン(GTR) - -
クリスタル・パレス駅英語版 ナショナル・レール:サザン(GTR) - - - ゾーン3
ゾーン4
ペンジ・ウェスト駅英語版 - - - ゾーン4
アナリー駅英語版 - - -
ノーウッド・ジャンクション駅英語版 ナショナル・レール:サザン(GTR) - - -
ウェスト・クロイドン駅英語版 トラムリンクトラムリンクルート1、ルート2、ルート3、ルート4
ナショナル・レール
- - -

●:停車

ウィーヴァ線(リーバレー線)[編集]

リバティー線(ロムフォード - アップミンスター線)[編集]

使用車両[編集]

現有車両[編集]

ゴスペル・オーク駅に停車中のターボスター172形
  • 710形電車英語版 - 2019年にゴスペル・オーク - バーキング線へ投入されたのを始め、2020年以降はリーバレー線、ロムフォード - アップミンスター線及びワトフォード直流線でも運用されている。ノースロンドン線、ウェストロンドン線にも投入の計画がある。4両編成を基本とするが、2020年からは5両編成も製造されている。
  • 378形電車英語版キャピタルスター」 - ノースロンドン線、ウェストロンドン線、イーストロンドン線、サウスロンドン線、ワトフォード直流線で使用。2009年の登場時は3両編成だったが、輸送力増強のため中間車両が増備され、現在は5両編成。ゴスペル・オーク - バーキング線では車両不足により2019年に暫定4両編成で運用されていた。

過去の車両[編集]

  • 150形気動車 - ゴスペル・オーク - バーキング線で使用。2010年に172形へ置き換え、他社へ転出。
  • 313形電車 - ノースロンドン線・ウェストロンドン線、ワトフォード直流線で使用。2010年に378形へ置き換え、他社へ転出。
  • 315形電車317形電車 - リーバレー線、ロムフォード - アップミンスター線で使用されたが、2020年に710形へ置き換えられ廃車。
  • 508形電車英語版 - ワトフォード直流線で使用。2010年に378形へ置き換え。
  • 172形気動車英語版ターボスター」 - ゴスペル・オーク - バーキング線で使用。同線の電化完成に伴い、2019年3月をもって他社に転出。

脚注[編集]

  1. ^ London Overground Watford Junction to Euston
  2. ^ London Overground Richmond/Clapham Junction to Stratford
  3. ^ London Overground Gospel Oak to Barking
  4. ^ London Overground Highbury & Islington to West Croydon/Clapham Junction
  5. ^ オイスターカードで平日ピークの時間帯にワットフォードDC線内のみで乗り降りする際は割引料金が適用

外部リンク[編集]