要心無用

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ロイドの要心無用から転送)
要心無用
Safety Last!
劇場ポスター
監督 フレッド・C・ニューメイヤー英語版
サム・テイラー英語版
原案 ハル・ローチ
サム・テイラー
ティム・フェーラン
製作 ハル・ローチ英語版
出演者 ハロルド・ロイド[1]
ミルドレッド・デイヴィス
撮影 ウォルター・ランディン
製作会社 アメリカ合衆国の旗 ハル・ローチ・スタジオ
配給 アメリカ合衆国の旗 Pathé Exchange
公開 アメリカ合衆国の旗1923年4月11日
日本の旗1923年12月31日[2][3]
上映時間 73分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 12万1000ドル[4]
興行収入 150万ドル[5][6]
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『要心無用』全編、字幕なし

要心無用(ようじんむよう、Safety Last!)とは、1923年公開のアメリカ合衆国ロマンティック・コメディである。近年は『ロイドの要心無用』(ロイドのようじんむよう)のタイトルで知られている。1977年東宝東和の「プレイ・ロイド」シリーズとしてリバイバル上映した時は『ロイドの用心無用』(ロイドのようじんむよう)という邦題もつけられた[7]。主演のハロルド・ロイドが高層ビルの時計の針にぶらさがっているシーンはサイレント映画を代表する名シーンで、後の映画で何度もオマージュされている。興行的にも批評的にも大成功で、ロイドの人気を決定的なものにした。現在でもリバイバル上映され、ロジャー・イーバートなどから映画史に残る傑作コメディ映画の1本と評価されている[8]。第1回キネマ旬報ベスト・テン(1924年)では「娯楽的に最も優れた映画」の第3位に選出されている。

この映画の原題「Safety Last」は工事現場などで使う「安全第一(safety first)」のもじりである。実は4年前、ロイドは撮影中の事故で親指と人差指を失っていた。それにもかかわらずこの映画ではビルの壁をよじ登る危険なスタントをこなした。

この作品は2019年パブリックドメインになった[9]

あらすじ[編集]

ハロルドは恋人のミルドレッドと別れて、大都市に出て立身出世を目指す。しかし、ハロルドが得た仕事はデパートの店員。それでも見栄を張り、故郷のミルドレッドに高価なプレゼントを送り続ける。

ミルドレッドは恋人が成功したと思い、ハロルドに会いに来ることに。

困ったハロルドだが、店長がデパートの派手な宣伝がないか探していると聞きつける。

ハロルドは友人のビルが壁のぼりしているのを思い出し、売り込む。

かくて、大勢の人々が見守る中、ハロルドは高層デパートの壁を登りだす。

何度も落ちそうに成るハロルドだが、登りきり、屋上で迎えてくれたミルドレッドと愛を誓う。

Cast[編集]

制作[編集]

時計の針につかまるロイドの図はロイドのアイコンとなっている
ウィーンのInterContinental Hotel Viennaにあるロイドのオブジェ(2016年11月)

スタントはロイド本人が演じたが、一部分、たとえばロープで吊るされるロングショットではサーカスのパフォーマーが代役を務めた。その中には、友人ビル役で出演しているビル・ストローザーもいる、劇中、彼が壁を登るシーンを主人公が見たことがクライマックスのビル登りのきっかけとなっている。また、ロイドの死後、スタントマンのハーヴェイ・ケリーが自分もビル登攀シーンでスタントをしたと公表し、どうやって成功したかをテムズ・テレビジョンの『Hollywood』(1980年)で詳細に語っている[10]

また、ビルに関しても、ロサンゼルスの1stストリートから9thストリートにある高さの違うビルを使ったり、メインのビル(International Savings & Exchange Bank Building)のファサードにマッチする屋根のセットを作ったり、建物がより高く見えるような映画のトリックが用いられている[11][リンク切れ]外部リンク"How Harold Lloyd Filmed Safety Last!"も参照)。

評価とレガシー[編集]

この映画は1994年アメリカ議会図書館によりアメリカ国立フィルム登録簿に加えられた。

ランキング[編集]

影響[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 要心無用 - American Film Institute Catalog(英語)
  2. ^ 畑暉男編『20世紀アメリカ映画事典』(カタログハウス)
  3. ^ 東京朝日新聞 1924年12月31日朝刊の広告(牛込館
  4. ^ David Parkinson. “Safety Last!”. Empire. 2015年10月25日閲覧。
  5. ^ rentals in US and Canada - see Variety list of box office champions for 1923
  6. ^ Quigley Publishing Company "The All Time Best Sellers", International Motion Picture Almanac 1937-38 (1938) p 942 accessed April 19, 2014
  7. ^ ロイドの用心無用”. 2023年9月14日閲覧。
  8. ^ Ebert, Roger.  "Safety Last." RogerEbert.com. July 3, 2005. June 21, 2013.
  9. ^ Douglas, Nick (2018年4月13日). “These 1923 Copyrighted Works Enter the Public Domain in 2019”. Life Hacker. 2018年9月5日閲覧。
  10. ^ 6 Dangerous Stunts of the Silent Movie Era”. Mentalfloss.com (2011年8月4日). 2018年6月2日閲覧。
  11. ^ Safety Last! (1923) - Notes - TCM.com”. Turner Classic Movies. 2018年6月2日閲覧。
  12. ^ 「第四部 幼年期の終り 第二章 フリドニア讃歌」『世界の喜劇人』新潮社、2016年3月18日。 
  13. ^ The 100 greatest comedies of all time” (英語). www.bbc.com. 2022年12月18日閲覧。
  14. ^ The 100 Best Comedies of All Time” (英語). pastemagazine.com (2018年4月13日). 2022年12月24日閲覧。
  15. ^ The 100 funniest comedies of all time” (英語). Time Out Worldwide. 2022年12月24日閲覧。
  16. ^ Back to the Future”. 2012年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月30日閲覧。

外部リンク[編集]