モチノキ

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モチノキ
Ilex integra2.jpg
モチノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ニシキギ目 Celastrales
: モチノキ科 Aquifoliaceae
: モチノキ属 Ilex
: モチノキ I. integra
学名
Ilex integra
Thunb.
和名
モチノキ(黐木)

モチノキ(黐の木)とはモチノキ科植物の一種。学名Ilex integra。別名ホンモチ

特徴[編集]

本州四国九州南西諸島台湾中国中南部に分布する雌雄異株常緑高木であり、株単位で性転換する特性がある[1]。 開花期は春、花弁はうすい黄色でごく短い枝に束になって咲く。雄花には4本の雄蕊、雌花には緑色の大きな円柱形の子房と退化した雄蕊がある。晩秋に直径1センチメートルほどの球形の赤い果実をつける[1]

葉がクチクラ層と呼ばれるワックス層に覆われていることから塩害に強い。寒気の強い内陸では育ちにくいため、暖かい地方の海辺に自生する[1]。刈り込みに強いことから公園などに植栽される。

天敵[編集]

モチノキにはモチノキタネオナガコバチという天敵が存在する[1]。このコバチは夏に発育中の種子の中に産卵し、幼虫と成って越冬する。幼虫は実の色を操作する能力があり、秋になれば本来赤くなる実を緑のままにすることで、実が鳥に食べられる事態を避ける。鳥に食べられる事によって繁殖するモチノキにとって、コバチの産卵は繁殖の妨げとなる。

モチノキは花粉を受粉しなくても種子を形成し、果実まで成熟することができる能力があり、調査によって未受精の種子は全体の3割に及ぶことが判明している[1]。コバチは受精した種子にしか産卵しない特性があり、時間と労力をかけて産卵管を挿入しても、未受精の種子だった場合は産卵せずに抜いてしまう。未受精の果実は発芽しないため繁殖の役には立たないが、産卵に無駄なコストをかけさせることでコバチの繁殖を妨害する対抗手段となっている[1]

鳥黐[編集]

樹皮から鳥黐(トリモチ)を作ることができ、これが名前の由来ともなった[2]。まず春から夏にかけて樹皮を採取し、目の粗い袋に入れて秋まで流水につけておく。この間に不必要な木質は徐々に腐敗して除去され、水に不溶性の鳥黐成分だけが残る。水から取り出したら繊維質がなくなるまでで細かく砕き、軟らかい塊になったものを流水で洗って細かい残渣を取り除くと鳥黐が得られる。

モチノキから得られる鳥黐は色が白いため、ヤマグルマ(ヤマグルマ科)を原料とするもの(アカモチ)と区別するために「シロモチ」または「ホンモチ」と呼ぶことがある。

風習[編集]

御神木として熊野系の神社の中にはナギの代用木として植えている場合がある。

ギャラリー[編集]


脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 渡辺 2017, pp. 140-148.
  2. ^ 続・日本の樹木 117P

参考文献[編集]

  • 林将之 『葉で見わける樹木』 小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2004年ISBN 4-09-208022-0
  • 辻井達一「続・日本の樹木」(中公新書)
  • 渡辺一夫 『アジサイはなぜ葉にアルミ毒をためるのか:樹木19種の個性と生き残り戦略』 築地書館、2017年ISBN 9784806715368

外部リンク[編集]