マイカード

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マイカードとは、セガが自社ゲーム機SG-1000/SC-3000両シリーズ、及びセガマークIII/マスターシステムソフトウェア供給媒体として使用したICカードROM。開発元は三菱樹脂

概要

それまで使用されていたROMカートリッジは大きさが嵩張り、流通上負荷が生じていた。その為セガは日本市場でのSG-1000IIの発売と合わせ、1984年よりソフト外箱のサイズを大幅に縮小させ流通面での負荷低減を図るものの、当然元のROMカートリッジサイズ以下にはならないため限界があった。またユーザー側から見ても大きなサイズのROMカートリッジは、収納面での負荷となると考えられ、セガは名刺サイズのICカード型ROMの採用に至る。
当初、セガは積極的にカード化を推進し、今後に発売する全てのゲームソフトをカード化する意向であったが、時代の流れはゲームソフトの大容量化に向かっており、 当時、最高で32KB迄しか搭載出来なかったマイカードに対し、ROMカートリッジでは大容量化が比較的簡単かつ安価に実現出来た為、セガは再びROMカートリッジ路線へ回帰し、マイカード発売開始の僅か1年後である1986年7月に日本にて、それ迄のサイズの4倍である1Mbit(128KB)搭載の大容量ROMカートリッジゴールドカードリッジを発売した。
ソフトの大容量化の流れに対応出来なかったマイカードは、その後徐々に姿を消していき、日本では1987年3月15日に発売されたウッディポップを最後に販売を終了した。

MSXで使用されたBEE CARDPCエンジンで使用されたHuCARD(ヒューカード)とほぼ同等品(開発元も同じ三菱樹脂)だが、互換性はない。

仕様

容量 最大32KB
サイズ 厚さ約2mm
ピン 36ピン(上部17ピン 下部19ピン)

種類

  • マイカード

セガのゲーム機で、世界の一部の国々で発売されたSG-1000シリーズ(SG-1000及びSG-1000II)とSC-3000シリーズ(SC-3000とSC-3000H)。そして、両シリーズの互換機で日本で発売されたツクダオリジナルオセロマルチビジョンシリーズ・パイオニアSD-G5や海外で販売された互換機で使用可能なICカードROMソフトのこと。
数カ国で発売された。
日本で のちに登場したSG-1000シリーズの上位互換機であるセガマークIII及びマスターシステム(日本版)でも使用可能。
日本以外のマスターシステムでも非公式には使用可能である。

  • マイカードマークIII

日本で発売されたセガマークIII専用のICカードROMソフトのこと。マークIII互換機であるマスターシステム(日本版)や、メガアダプタでも使用可能。

  • SegaCard

海外版セガマークIIIであるマスターシステム(海外版)専用のICカードROMソフトのこと。マスターシステム(海外版)や、パワーベースコンバータ(海外版のメガアダプタ)で使用可能である。

  • EPマイカード

書き換え可能なマイカード。日本で試験販売されたのみ。殆ど流通していない。

マイカード(日本での動き)

セガマークIIIが発売される前の、1985年7月に日本で販売開始された。

初のカード対応ソフトはドラゴン・ワン及びズーム909の2本で、
両ソフトの初期出荷版には別売のカードキャッチャと呼ばれる変換アダプタが無料で同梱されていた。
当初の対応機種はSG-1000シリーズ(SG-1000及びSG-1000II)とSC-3000シリーズ(SC-3000とSC-3000H)そして両シリーズの互換機(ツクダオリジナルオセロマルチビジョンシリーズ・パイオニアSD-G5)であるが、全てマイカード発売前に登場した機種であるので、当然カードスロットは付いておらず、
その為マイカードを使用するには必ずカードキャッチャをROMカートリッジスロットへ挿入して使用する必要があった。

当初、セガは全てのROMカセットをICカード化する予定であり、
マイカード発売開始時にセガソフトの型番(G-10xx)の最後の番号がG-1045であった為、
最初のマイカードソフトである「ドラゴン・ワン」は"C-46"、「ズーム909」は"C-47"と番号が継承され発売した。[1][2]
また、人気ROMカセットのソフトの再発売はマイカードで行われた。
(例:チャンピオンゴルフ(G-1005)→マイカードで再発売 (マイカード版型番は C-05))

1985年10月に後継機のセガマークIII発売後は、マイカードは当初の対応機種であるSG-1000/SC-3000両シリーズ及びその互換機と、SG-1000/SC-3000シリーズの上位互換機であるセガマークIIIで使用出来るソフトを表す名称となった。
当時、セガがそれまでに発売した全てのゲーム機で使用出来たため、マイカードは「セガ全機種用ソフト」「セガ全機種用マイカード」とも呼称された。

なお、マイカード後に登場したセガマークIIIと、マークIIIの互換機であるマスターシステムは、マイカードスロットを標準装備していた為、カードキャッチャを用いなくともマイカードをそのまま使用可能である。但し、マークIII/マスターシステムのROMスロットにカードキャッチャを挿入し、マイカードソフトを刺しても正常動作する。
(ROMカセットとマイカードは単にピン配列が異なるのみで互換性があるため)

一方、セガマークIII及びマスターシステムSG-1000/SC-3000シリーズの上位互換機であるのでマイカードソフトはそのまま使用可能であるが、
メガドライブにマークIIIソフトを使用する為のアダプタであるメガアダプタを接続した状態の場合には、メガドライブはセガマークIIIソフトとの互換性は維持しているものの、SG-1000/SC-3000シリーズとの互換性は無い為、メガアダプタではマイカードソフトを使用する事は出来ない。

マイカード(ニュージーランドでの動き)

ニュージーランドでは、SG-1000/SC-3000の通常ソフト同様Grandstand Leisure Limited社によってカードキャッチャ及びマイカードの販売がされていた。
発売タイトルは以下の通り

  • SEGA Galaga
  • Zippy Race
  • Lode Runner
  • Hustle Chumy
  • Zaxxon
  • GP World
  • Hyper Sports
  • Dragon Wang
  • Zoom 909
  • Choplifter
  • Pitfall2
  • Penguin Land
  • Drol
  • Chack'n Pop
  • Bank Panic
  • Rock'n Bolt
  • Elevator Action
  • Sokoban
  • Championship Lode Runner
  • Ice Hockey
  • Hangon II
  • BombJack
  • C-SO!
  • Ninja Princess
  • Wonderboy

マイカード マークIII

日本では、マイカードソフトの中で特にセガマークIII専用ソフトの物はマイカードマークIIIと呼ばれ、
1985年10月のセガマークIII発売と同時に登場し当初はマークIII用ソフトは全てマイカードマークIIIで発売された。
しかし、1986年のゴールドカードリッジ登場と同時に次第に姿を消していき、翌1987年には姿を消した。
マイカードマークIIIは、マークIII、及びマークIIIの互換機であるマスターシステム、そしてメガアダプタを接続したメガドライブで使用可能で、マークIII以前のセガハード(SG-1000/SC-3000両シリーズ)とその互換機では使用出来なかった。

日本以外では、マイカードマークIIIは「Sega Card」という名称で発売された。
米国では1986年のマスターシステム(米国版マークIII)発売と同時に販売開始するなど、各国版共にマスターシステム発売と同時に展開された。
日本版以外のマスターシステムでも日本版同様にカードスロットが標準装備であるので、カードキャッチャを使用せず、そのままSega Card(マイカード)が使用可能であるが、後に発売された廉価版のマスターシステムである「マスターシステムII」ではカードスロットが省略された為、使用出来なくなった。

EPマイカード

マイカードが登場した1985年に日本で発売予定のアナウンスがされたEPROM(UV-EPROM)を使用した書き換え可能なマイカードである。[3]
日本では雑誌広告の掲載やチラシの配布等も行われ、発売前のロケーションテストとして、東京・二子玉川の玉川高島屋にて、EPマイカードの販売及び書き換えが試験的に行われていた。
結局、問屋・販売店の協力が得られず発売中止になった為、
その時に販売されたカードにプレミアが付き、一部セガマニアの間では高値で取引されている。

販売店にEPROMの書換え機を設置し、ユーザーは有料で(但し低価格にて)他のゲームに書き換える事が出来るシステム計画していた。[4]
EPマイカードの裏側は通常と違い銀色のステッカーが貼られており、これをはがして書き換えを実施する。
販売予定価格はEPマイカード本体が5000円、書き換えは1800円であった。

EPマイカード本体に初期書き込み済みタイトルとしてはスタージャッカーとドラゴン・ワンの二種、書き換えタイトルは以下が予定されていた。

  • スタージャッカー
  • ボーダーライン
  • サファリハンティング
  • セガフリッパー
  • パッカー
  • サファリレース
  • シンドバットミステリー
  • どきどきペンギンランド
  • ドラゴン・ワン
  • ガルケーブ(当初は書き換え専用タイトルだった)
  • テディーボーイブルース(マークIII専用)
  • グレートベースボール(マークIII専用)
  • グレートサッカー(マークIII専用)
  • アストロフラッシュ(マークIII専用)

ロケーションテストが行われた玉川高島屋では、EPマイカード本体5000円、書き換えは1800円で販売されており、上記予定タイトルの全てが書き換え可能な状態であった。
EPマイカードは日本で試験販売が行われただけであり、日本以外の国では発売予定すら存在しなかった。

対応機種一覧

○=使用可/●=条件付き使用可/×=使用不可

機種名 マイカード マイカードマークIII SegaCard
(日本以外向けのマイカードマークIII)
EPマイカード コメント
SG-2000
(セガ・エンタープライゼス)
×
× 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
日本でのみ発売された
SG-1000
(セガ・エンタープライゼス)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
各国版は相互完全互換が有るが、当該国で発売された物以外はメーカー未保証
SG-1000II
(セガ・エンタープライゼス)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
各国版は相互完全互換が有るが、当該国で発売された物以外はメーカー未保証
SC-3000
(セガ・エンタープライゼス)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
各国版は相互完全互換が有るが、当該国で発売された物以外はメーカー未保証
SC-3000H
(セガ・エンタープライゼス)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
各国版は相互完全互換が有るが、当該国で発売された物以外はメーカー未保証
オセロマルチビジョン(FG-1000)
(ツクダオリジナル)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
日本でのみ発売された
オセロマルチビジョン2(FG-2000)
(ツクダオリジナル)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
日本でのみ発売された
SD-G5
(パイオニア)
× × 使用にはカードキャッチャが必要
EPマイカードは全機種用ソフトのみ使用可
日本でのみ発売された
セガマークIII
(セガ・エンタープライゼス)
SegaCardは公式には非対応でメーカー未保証。
マイカードは使用可能だが、若干色が変化する(EPマイカードの全機種用も同じ)。詳しくはセガマークIII#使用可能ソフトを参照のこと。
マスターシステム(日本版)
(セガ・エンタープライゼス)
SegaCardは公式には非対応でメーカー未保証。
マイカードは使用可能だが、若干色が変化する(EPマイカードの全機種用も同じ)。詳しくはセガマークIII#使用可能ソフトを参照のこと。
マスターシステム(米国版)
(セガ オブ アメリカ)
日本版のソフトは公式には非対応でメーカー未保証。
マスターシステム(欧州版/ブラジル版)
(バージン他)
日本版のソフトは公式には非対応でメーカー未保証。
メガアダプタ
(セガ・エンタープライゼス)
× マイカード使用不可。SegaCardは公式には非対応でメーカー未保証。
メガアダプタが使用出来れば他のメガドライブ互換機でも同様。
パワーベースコンバータ
(セガ オブ アメリカ)
× 米国版メガアダプタ(米国版メガドライブであるジェネシスで使用可能) SegaCardには勿論対応。日本のマイカードマークIIIは公式には非対応でメーカー未保証。
日本のメガアダプタ同様マイカード(全機種用)は使用不可。
メガドライブ以降のセガゲーム機 × × × ×

その他

当時、マイカード及びマイカードマークIIIソフトの説明書についている応募券を4枚集めてセガに送ると、マイカードを6枚まで収納できるマイカードホルダー(非売品)を全員プレゼントで貰うことができた。

脚注

  1. ^ セガの型番 "C"はICカードソフトの意
  2. ^ 但し、ROMカセット路線へ回帰後に登場したソフトザ・キャッスルの型番はそのルールを無視してG-1046の型番が振られた。
  3. ^ EPマイカードのEPとはEPROMの略
  4. ^ 類似のシステムとして、のちに登場するファミリーコンピュータ ディスクシステムが存在する。

関連項目

外部リンク