マアリブ (イエメン)

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マアリブ

مأرب
マアリブ旧市街の遺跡。新市街の南に位置する
マアリブ旧市街の遺跡。新市街の南に位置する
マアリブの位置(イエメン内)
マアリブ
マアリブ
イエメンでの位置
北緯15度25分 東経45度21分 / 北緯15.417度 東経45.350度 / 15.417; 45.350座標: 北緯15度25分 東経45度21分 / 北緯15.417度 東経45.350度 / 15.417; 45.350
イエメンの旗 イエメン
マアリブ県
  16794
等時帯 UTC+3 (イエメン標準時)
民族 アラブ人

マアリブアラビア語: مأرب‎、Ma'rib)は、イエメンの都市。人口16794人(2005年)。首都サナアの東120km、ルブアルハリ砂漠の西に位置する。かつてのサバア王国の首都であったとされ、シバの女王ビルキスの居城であったとされるアルシュ・ビルキスなどの遺跡がある。

サバア王国はマアリブに巨大なマアリブ・ダム英語版を築き、そのダムは近隣地域を潤して肥沃な農耕地帯となり、マアリブも繁栄した。このダムは1000年以上にもわたって維持され、この地域の繁栄を支えたものの、西暦575年に崩壊し、以後20世紀にはいるまで再建されることはなかった。また、クルアーンの34番目のスーラサバア』によると、西暦2世紀の初めごろにも決壊し、果樹園ヤナギと僅かばかりのハマナツメが生える園に変えたこともある[1]。1986年、アラブ首長国連邦の援助によって新ダムが完成し、約1500年ぶりにダムが復活した。

ダムの存在した時代は、この町は乳香没薬[2]の取引で知られ、対岸のエリトリアにあったダムト王国と活発な取引を行っていた。その富を求めて紀元前25年にはローマ帝国アウグストゥスの部下であるアエリウス・ガルスがこの町へと遠征を行った[3]ものの失敗に終わった。

マアリブの旧市街は20世紀に入って放棄され、その3.5km北に新市街が建設された。1986年、マアリブに石油精製所が建設され、2009年には1日1万バレルの精製能力を持っている。2009年11月には、一日25000バレルへと精製能力を上げる改修工事を行う契約を発表した[4]。また、マアリブからはマアリブ-ラス・イサパイプラインが通っており、1日20万バレルの石油を送ることができる.[5]

2015年に始まったイエメン内戦では、石油産出施設を有するマアリブの支配権が優劣のカギになるとして、2021年2月以降、サウジアラビアなどのバックアップを受けて市内を掌握する政府軍と奪取を目指す反政府軍(フーシ派)の間で激しい戦闘が繰り返された[6]

世界遺産[編集]

世界遺産 マリブ:古代サバ王国の代表的遺跡群[7]
イエメン
マアリブ・ダム遺跡、この他国内に多数のダムがあった
マアリブ・ダム遺跡、この他国内に多数のダムがあった
英名 Landmarks of the Ancient Kingdom of Saba, Marib
仏名 Hauts lieux de l'ancien royaume de Saba, Marib
面積 375.29 ha
(緩衝地帯 25,967.6 ha)
登録区分 文化遺産
登録基準 (3), (4)
登録年 2023年
危機遺産 2023年 -
備考 2023年1月24日~25日の世界遺産委員会第18回臨時会合で追加登録。
公式サイト 世界遺産センター(英語)
使用方法表示
バラン神殿跡

古代のアラビア半島南部の乳香貿易ルートの中心地であったため、繁栄した時期には高度に進歩した灌漑システムと巡礼の対象となる神殿ができた。現在は不安定な政治情勢などにより保存状況が劣悪であり、2023年の世界遺産委員会臨時会議で世界遺産危機遺産に登録された[8]

世界遺産の指定箇所は以下の7ヶ所である[9]

登録基準[編集]

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

脚注[編集]

  1. ^ 聖クルアーン: 34. サバア  章”. www.way-to-allah.com. 2023年5月18日閲覧。
  2. ^ Durant, Will (1950). The Age of Faith: A History of Medieval Civilization -- Christian, Islamic, and Judaic -- from Constantine to Dante: A.D. 325-1300, The Story of Civilization, volume IV. Simon and Schuster, p. 156
  3. ^ Chris Scarre, The Penguin Historical Atlas of Ancient Rome (London: Penguin Books, 1995), 9. (also Augustus' Res Getae 26)
  4. ^ الشركة اليمنية لتكرير النفط توقع اتفاقا مع شركة شينهان الكورية الجنوبية لتوسعة وتحديث مصفاة مأرب”. CNBC عربية. 2011年4月5日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ Middle East Pipelines map - Crude Oil (petroleum) pipelines - Natural Gas pipelines - Products pipelines”. Theodora.com/pipelines. 2011年4月6日閲覧。
  6. ^ イエメン内戦、要衝都市めぐる戦闘激化 1週間で死者千人超か”. AFP (2021年10月19日). 2021年11月23日閲覧。
  7. ^ 世界遺産検定 - 世界遺産リスト”. NPO法人 世界遺産アカデミー. 2023年5月19日閲覧。
  8. ^ Landmarks of the Ancient Kingdom of Saba, Marib” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月19日閲覧。
  9. ^ Landmarks of the Ancient Kingdom of Saba, Marib - maps” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月19日閲覧。