フッ化ベリリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
フッ化ベリリウム
識別情報
CAS登録番号 7787-49-7 チェック
PubChem 24589
ChemSpider 22992 チェック
RTECS番号 DS2800000
特性
化学式 BeF2
モル質量 47.01 g/mol
吸湿性
外観 無色
密度 1.986 g/cm3
融点

554 °C, 827 K, 1029 °F

沸点

1169 °C, 1442 K, 2136 °F ([1])

への溶解度 溶けやすい
溶解度 アルコールにはやや溶けにくい
構造
分子の形 直線形
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -21.84 kJ/g
標準定圧モル比熱, Cpo 1.102 J/K
危険性
EU分類 発癌性
猛毒(T+)
刺激性(Xi)
環境への危険性(N)
EU Index 004-002-00-2
Rフレーズ R49, R25, R26, R36/37/38, R43, R48/23, R51/53
Sフレーズ S53, S45, S61
許容曝露限界 0.052 mg Be/m3
半数致死量 LD50 98 mg/kg (経口, ラット)
関連する物質
その他の陰イオン 塩化ベリリウム
臭化ベリリウム
ヨウ化ベリリウム
その他の陽イオン フッ化マグネシウム
フッ化カルシウム
フッ化ストロンチウム
フッ化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フッ化ベリリウム(beryllium fluoride)は、組成式がBeF2無機化合物である。白色の固体で、主に金属ベリリウムの製造に用いられる。

構造と結合[編集]

BeF2結晶構造二酸化ケイ素に類似する。Be2+を中心とした四配位の四面体構造をとる[2]。固体のBeF2は二酸化ケイ素の低温石英(α-quartz)、高温石英(β-quartz)、クリストバライトおよびトリディマイトに類似した重合体構造をとる[3]。BeF2AlF3との間には類似性があり、双方とも温和な温度で拡張構造をとる。BeF2は高度な共有結合結晶であると考えられる。

BeF2の気相構造

BeF2は1160℃以上で気体となる。CO2SiO2と等電子数の直線形分子構造をとる。Be-F間の距離は177 pmである[4] 。BeF2(固体)とCO2(気体)との常温での相違は、複数の結合を形成するアルカリ金属の性質がやや反映されている。

融解したBeF2はBe-F-Be間で強い相互作用を持つ三原子分子であり、いくつかの点で水と似ている。水と同様にBeF2の密度も融点付近で減少する。また、液体BeF2は流動的な四面体構造をとる[5]

合成[編集]

ベリリウム鉱石を処理することにより不純なBe(OH)2を得る。これにフッ化水素アンモニウムを反応させることによりテトラフルオロベリリウム(II)酸アンモニウムを得る。

Be(OH)2 + 2 (NH4)HF2 → (NH4)2BeF4 + 2 H2O

テトラフルオロベリリウム(II)酸イオンは頑丈であり、他の不純物は水酸化物として沈殿する。精製した(NH4)2BeF4を熱すると目的物が得られる。

(NH4)2BeF4 → 2 NH3 + 2 HF + BeF2

利用[編集]

グラファイトるつぼでマグネシウムと一緒に1300℃に加熱することにより還元させる方法は最も実用的な金属ベリリウムを得る方法である[4]

BeF2 + Mg → Be + MgF2

塩化ベリリウムは不安定であるため実用的ではない。

安全性[編集]

すべてのベリリウムの化合物は猛毒である。フッ化ベリリウムは水に易溶で体内に吸収されやすく、ATPの取り込みを阻害する。マウスでのLD50は経口では100 mg/kgで、静脈注射では1.8 mg/kgである。

脚注[編集]

  1. ^ Lide, David R., ed. (2006), CRC Handbook of Chemistry and Physics (87th ed.), Boca Raton, FL: CRC Press, ISBN 0-8493-0487-3
  2. ^ Wells A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry 5th edition Oxford Science Publications ISBN 0-19-855370-6
  3. ^ Greenwood, Norman N.; Earnshaw, A. (1997), Chemistry of the Elements (2nd ed.), Oxford: Butterworth-Heinemann, ISBN 0080379419
  4. ^ a b Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  5. ^ Agarwal, M.; Chakravarty C (2007). “Waterlike Structural and Excess Entropy Anomalies in Liquid Beryllium Fluoride”. J. Phys. Chem. B 111 (46): 13294. doi:10.1021/jp0753272. PMID 17963376. 

外部リンク[編集]