フィーバー (パチンコ)

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フィーバー(FEVER)は、日本のパチンコ機器メーカーの三共(SANKYO)が開発したパチンコ台のシステム、およびそのシステムを採用したパチンコ台のシリーズ名であり、同社の登録商標。スタートと呼ばれる入賞口に球が入ると、中央に設置されたドラムが回転し、図柄が揃うと大当たりとなり、中央下部の大きな入賞口が一定時間開放され続けるシステム。現在主流であるデジパチの起源となった。

概要[編集]

1980年テレビゲームスペースインベーダー」のブームにパチンコ業界が苦境を迎えるなかフィーバー機は登場した。三共の営業担当者が当時のファンから聞いた「昔のパチンコ台は度々故障し、入賞口が開いたままになったり、球が続けて止まらなくなったりしたが、それが刺激的で非常に面白かった」「またホールの方もそのような光景も多少大目に観ていた」という話が、「故障した時のように球が一度に大量に出るパチンコ台」を開発するきっかけとなった。大量に球が入賞口に流れ込むように釘の配置と入賞口の大きさを工夫し、またその入賞口を開く制御はラスベガスのカジノのスロットマシンからヒントを得て、回転ドラムを採用した。開発されたパチンコ台は熱狂を意味するフィーバーから「三共フィーバー」と名付けられた。この回転ドラムはステッピングモーターでなく、大当りの判定はドラム停止用のカムが一定時間後作動し、全ドラム停止後、ドラムケースの片側から反対側にドラムを介して光を照射し、反対側でその光をキャッチすると大当りという判定方式で、単純に時間でドラムを停止させる仕様のためデジタル表示方式のデジパチと同じく出目の移行パターンから「リーチ目攻略法」が開発され、大いにパチプロの懐を潤した(後年、フィーバーレクサスVにてステッピングモーターが採用されたが、単発回しによる「連荘打法」が存在した)。

発売当初、大量に球が出るというシステムがパチンコホールに受け入れられなかったが、1980年12月21日に新潟県長岡市エース電研直営店「パチンコ白鳥」が一気に123台設置したところ、立ち見がでるほど客が殺到した。以後このシステムは大人気となり、パチンコ台の主流システムとなった。

フィーバーが発売されたデジパチ黎明期は、無制限に継続する可能性があるためその分リスクが大きく、警察庁や業界関係者は庶民の憩いの場が賭博場化すると危惧していたため、以後法規制や自主規制を繰り返し、いまなおシリーズが発売されて現在に至っている。2004年には新基準機として「CRフィーバー大ヤマト2」を発売した。ただし、フィーバーシリーズにはデジパチ以外に、数は少ないが、パチスロも含まれている。

なお、「フィーバー」の前作に当たるマシンとして、同様に回転ドラムによる抽選を採用した「ブレンド」がある。こちらはアタッカーではなく、ライン上に停止した図柄の組み合わせに応じた数のチューリップが開放するというものだった(チューリップは1個玉が入賞すると閉じてしまうため、大当たりで大量に玉が出るということはなかった)。

「フィーバー」「FEVER」はそれぞれ三共の登録商標であるため、機種名やシステム、また大当たり時などに「フィーバー」の語句を用いることができるのは、三共および系列会社の大同(タイドー、現ビスティ同じく系列会社のジェイビー)だけである。パチンコ台メーカー大手の平和は、同様のシステムを「ブラボー」と、三洋が「パニック」と、ソフィア西陣)が「ターボ」または「ルーキー」と、ニューギンが「エキサイト」と名付けている。ちなみに平和の「ブラボー」も1998年に登録商標として登録された。パチスロ関連として、アルゼが『くるくるフィーバー』(パズルゲーム名)を登録商標としている。

スペック[編集]

  • 『フィーバー(三共フィーバー)』(1980年7月)
    • 大当たり確率 1/250
    • ドラム絵柄「7(太陽)」3つ揃いとドラム上のデジタルが「7」で大当たり
    • 賞球数 13(地域により賞球15も存在) 大当り 大入賞口×30秒開放 特別領域(Vゾーン)通過でラウンド継続(ラウンド上限なし ホールの規定玉数で終了)

※大当り確率の値はメーカー発表

参考文献他[編集]